「どうした!!そんなもんかよ、騎士団長さんよ!!」
電撃を纏った拳が盾を殴る。盾からは電気が流れ体にダメージがどんどん蓄積されていった。
リザは遠くから魔法で援護していた。しかし練習仕立ての魔法じゃ全く歯が立たなかった。
「リザ…。ここは危険だ、お前だけでも逃げてくれ。俺がなんとかするから。」
ガクトがそう言うと、リザは珍しく感情を表に出して大きな声で喋った。
「嫌だよ!!嫌だ…。父さんも…同じこと言っていなくなったんだ!!もう大切な人を失うのは辛いよ…。それに約束したでしょ!私が支えるって…!!」
はっと目が覚めた感覚がした。そうだ。俺は世界を平和に導くんだ。こんな所で折れちゃいけない。そう思った。
「よそ見してんじゃねぇぞ!!」
ヴォイスがガクトに殴りかかる。カーンッ!!と硬い音がなった。
「なんだ…急に盾が硬くなった、さっきまで殴りでもいけたのに!!」
すぐに声を遮り、ガクトが言った。
「この盾は思いに答えるんだよ、俺の強い信念がこの盾を硬くした。もう攻撃は通さない…。俺がお前を倒す!!」
これまでとは違う表情で強く睨みつけた。ヴォイスは急に頭を抱え地面に崩れ落ちた。まるでトラウマを見た子供のように。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…。父さん!!俺じゃ無理だよ…。帝国をまとめるなんて俺じゃ無理だったんだよ…。」
これまでの威勢がなくなり、弱気になっていたヴォイスに過去の記憶が蘇る。
―15年前―
「父さん!!見てみて!今日はもっと強い電撃が出せるようになったんだ!」
ヴォイスは満面の笑みで父親に話しかける。
「すごいなヴォイス!父さんも誇らしいよ、お前みたいな優秀な息子がいてなぁ。」
そう答えるのは先代国王のガルファ。
ヴォイスはいつもなぜ父が王国を領土にしたいのか考えていた。
するとある日、ガルファがフェイカーと話している声が聞こえてきた…。
「ガルファ様。そろそろハインスラシアを制圧しませんか…?もう時間は残されてないですよ?」
時間が残されていない?何の話をしているんだろう、好奇心からヴォイスはそのまま話を聞いていた。
「私が死ぬことなどどうでもいい。問題はこの世界を破滅においやる存在のことだ。私の未来視に間違いなどない。急いで我が手中にハインスラシアを収め、武力で対抗せねばならん。しかしこのことは言うな。私の未来視を知っているのはお前だけなんだ。」
「しかしまだ話し合えばなんとかなるのではないのですか?王国と手を組んでその謎の第三勢力に対抗するのでは駄目なんですか?」
「本当のことを話しても変に警戒されるだけだ。この国はそもそもあまりいいイメージを持たれていないからな。私にもしものことがあれば、ヴォイスを頼むぞ。」
正直何を言っているのか全く分からなかった。しかしその数年後、王国騎士団長のルミナスによってガルファは本当に殺害された。
そこでヴォイスは必ず父の目的のためにハインスラシアを制圧しなければいけないと思っていた。
―現在―
ヴォイスは心の中で思う。こいつなら本当のことを明かしても聞いてくれるんじゃないかと。
冷静を取り戻し、口を開いた瞬間ヴォイスの体は弾きだされた。
エイリーンの巨大障壁が完成したのだった。
時を同じくしてカルナの方では。
ダストが同じように弾かれ、王国の外に出てしまった。
そしてそこに一人倒れるカルナの元へ王国騎士団の団員たちが駆け寄る。
「すぐに副団長様を病室へ運べ!!」
こうして王国と帝国の戦いは強制的に一時休戦した。