黒魔導士の血脈   作:永遠の炎

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ヒロインは断トツトップでミラジェーンに決定しました。因みにヒロインによって主人公の年齢(原作開始時)と使用する魔法も変わる予定でした。

サブタイはストラウス兄弟姉妹全員の事を表そうとしたけど、リサーナの呼び名が上手く思い付かなかった。エルフマンは「漢」で済むんだけどな。

ちょっとダイジェスト感あるかも?


魔人達との出逢い

 X778年、妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

「辺境の村の悪魔?」

 

「うむ。何やら良からぬ噂が絶えん。何でも悪魔に呪われた一家が村を滅ぼす……などという話が横行しておる」

 

 ギルドで食事をしながらカキは祖父のオーガストからあるクエストへの遠征を命じられる。それはカキが使用する魔法に起因する。

 

「その悪魔を倒してくれば良いのか?」

 

「いや、どうにもキナ臭い噂でな。子供が悪魔に憑かれたらしく、その子供諸共討伐して欲しいという依頼なのだ。評議院の方でも扱いに困っているようだ」

 

「何それひっでーの。つか正規ギルドにそんな依頼出すかフツー」

 

 悪魔に憑かれた子供を始末しろなどという依頼はそもそも評議院から認可などされない。闇ギルドに回されるような仕事だ。しかし認可しなければしないとしてもそのまま放っておく訳にもいかない。故にカキにこの話が来たのだろう。

 

「まずは真相を確かめて来い。場合によってはその村からギルドに連れて来た方が良いだろう」

 

「分かった。確かに俺しか適任はいないわな」

 

 色々と引っかかる点は多いが、正にそこを調べる事が今回の依頼という事だろう。カキは立ち上がると荷物を纏めてギルドの出入り口に向かう。

 

「カキー!勝負しろぉーー!!…へぶっ!?」

 

 その途中で一年程前にギルドに入ったカキと似た系統の魔法を使う子供が手に炎を纏って殴りかかって来たが、カキは彼を一瞥する事すらなく、適当に裏拳でぶっ飛ばして瞬殺。そのまま何事も無かったかのようにギルドを後にした。

 

「ハハハッ!ダッセーなナツ!てかおまえがカキに勝てる訳ねーだろ!」

 

「んだとこのビビリパンツ!」

 

 背景で桜髪の子供とパンイチの子供が殴り合いのケンカをしているが気にしない。いつもの事だから。どうせこの後ケンカ両成敗で緋色の髪の女の子にシメられるのがお決まりのパターンなのだ。

 

「じゃ行ってみるか。その悪魔の村ってトコによ」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 件の村に到着したカキが抱いた印象は酷いの一言だった。ある一軒家を取り囲んで大人達が中にいる子供達へと退去を迫る。

 

「呪われた家族めーー!!」

 

「村から出ていけーー!!」

 

「悪魔憑きめー!!」

 

「いつまで村にいる気だーー!!」

 

「おまえたちがいる限り、村の厄災は終わらねえ!!」

 

 酷い罵声だった。どう考えても子供に向けていいものじゃない。中には家に石まで投げ込む者がいる始末。

 

(人間に取り憑く……いや、寄生か?どっちにしろじーちゃんが言ってた通りみてーだな)

 

 中にいる子供が悪魔に取り憑かれたといったところだろう。カキは家を取り囲む人混みに近付いていく。

 

「これは何の騒ぎだ?」

 

「あ?何だ坊主、この家に近付かねえ方が良い。ここには悪魔がいるからな」

 

「……俺はギルドの魔導士だ。評議院の要請でここに来たんだけど」

 

 取り敢えず探りを入れる為に適当な人に話しかけ、情報を得ようとしたが、それはある意味では取り越し苦労に終わった。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を見せれば村人達は目を輝かせてカキの周りに集まった。

 

「おお!村長!皆!ギルドの魔導士さんが来たぞーー!!」

 

『おおおっ!!』

 

 完全に自分達が悪魔に怯える善良な村人であるかのように集まってくる。いや、本人達はそのつもりなんだろう。

 すると突如として家の窓が開かれ、小さな白髪ショートヘアの女の子が泣きながら顔を出した。

 

「教会で悪さしてた悪魔を退治したのはミラ姉なんだっ!!この村の為に悪魔をやっつけたのに……こんなの酷過ぎるよ!!」

 

 泣いていた。子供ならではの感情的な言葉だった。それ故にあの女の子が言っている事が真実である事はすぐに理解できた。

 

「悪魔をやっつけたのせいで悪魔に取り憑かれちゃったんだ……ミラ姉は悪くない!悪くないもん!!」

 

「……」

 

 そして中にいる姉と兄に引き戻されたのか少女は引っ張られて家の中に戻る。

 

「では魔導士さん、あの家にいる呪われた一家の討伐を……」

 

「……村長さん、報酬はいらねー。その代わりあの家にいる家族は、ウチのギルドで引き取る。それで文句は無いな?」

 

「え、いや……退治……」

 

「文句はねぇな?」

 

 ギロリと簡単に人を殺せそうな目付きで村長を睨むカキ。彼は頭に来ていた。あんな幼い子供達にこんな仕打ちが平然とできるこの村の人間達に強い憤りを覚えていた。

 

「は、はい……」

 

 その剣幕に押された村長は反射的に了承してしまう。討伐をごり押そうとすれば自分がやられる。本能的にそう悟ったのだ。

 カキは家を取り囲む村人達を遠ざけてから一度ノックをしてから返事を待たずに扉を開いた。鍵がかかっていたのを強引に壊してこじ開けているが……まぁ細かい事は気にしない。

 

「な、何だおまえは!?」

 

 鍵がかかっていた扉を破壊されて侵入してきたカキを見て白いロングヘアの少女が声を荒げる。恐らく先程窓から叫んでいた少女の姉にあたるのだろう。

 

「魔導士ギルドのモンだ。評議院の要請でこの村に来た」

 

「っ!や、やめて!ミラ姉を傷付けないで!!何も悪い事してないの!!」

 

 先程の女の子が必死に泣きながらカキの前に出てしがみ付く。見ればショートヘアの少女の兄であり、ロングヘアの少女の弟……つまり真ん中にあたるであろう少年は姉を守る為に彼女を庇うように怖いのを必死に抑えて立っている。

 

 姉として、弟であると同時に兄として、妹として……彼らは強い絆で結ばれているのが分かった。まるでギルドのように。

 元々彼らに危害を加えるつもりは無い。まずは話を聞いて貰わねばならない。

 

「……大丈夫。おまえもおまえの兄ちゃんも姉ちゃんも……誰も傷付けない。悪魔に取り憑かれたんだろ?その悪魔を何とかする為に来たんだ」

 

「……本当?」

 

「ああ。だからまず悪魔に取り憑かれたってところを見せてくれないか?それを見てどうにかする方法を考えないとな。えっと……」

 

「……ミラジェーン・ストラウスだ」

 

「そっか。そっちの二人は……」

 

「エルフマン……」

 

「リサーナだよ」

 

 少女二人と少年一人はまだ完全にカキを信用した訳じゃない。だが魔導士に姉の症状を一度診て貰うべきであるという事は分かったのか、恐る恐る長女の右腕を見せた。

 

「それは接収(テイクオーバー)っていう魔法だな。確か」

 

「ていく…おーばー?」

 

「簡単に言えば対象の力を自分に宿す魔法。悪魔に取り憑かれたんじゃなくて、悪魔を吸収したって感じかな。まだコントロールが効かないみたいだけど、別におまえが悪魔に身体を取られたりはしないよ」

 

 何でもないように語るカキの言葉に少女は愕然としながらも暫く黙り込む。そして数十秒後に緊張の糸が切れたかのようにへたり込んだ。

 

「良かった……」

 

「姉ちゃん!リサーナ!」

 

「うん!ミラ姉は取り憑かれてたんじゃないんだね!」

 

 エルフマンとリサーナは姉であるミラジェーンが無事だったと喜ぶが、ミラジェーンは少し違う。取り憑かれたと思っていた事による懸念が晴れたからだ。

 このまま悪魔に身体の全てを乗っ取られ、大切な弟と妹をこの手で傷付けてしまうのではないか。そんな不安が常々あった。

 だがそれは杞憂に終わった。それと同時にある思いが生まれた。目の前の魔導士は今の自分は悪魔の力をその身に宿していると言ったのだ。

 

(そんなの……いらない)

 

 自分は家族と一緒に幸せに暮らせればそれで良かったのだ。なのに悪魔の力を宿したばっかりに村八分…それ以上の扱いを受け、ドン底に落とされた。こんな力が無ければ……そう思わずにはいられなかった。

 

 ミラジェーンの浮かない顔からその心情を読み取ったのか、カキはミラジェーンの腕に手を伸ばす。

 

「……ちょいと失礼」

 

「な、なんだよ……」

 

 カキは少女の右腕に両手で抑えるように触れると掌から強い熱気を放出する。目に見える程の蒸気だが、その色は薄い紫色という異質なものだった。

 

「ちょっと熱いけど、我慢してくれよ。こんな時こそ悪魔を滅するこの力で……」

 

「っ…!」

 

 熱気を悪魔化したミラジェーンの腕に当て続ける。すると悪魔化した事でこの年代の少女としては一回りも大きくなっていた腕がみるみる小さくなっていく。

 熱気が収まるとミラジェーンの右腕は透き通るような美しい白い肌が顔を出す。禍々しい悪魔の腕は本来の人間としての腕の姿を取り戻した。

 

「………元に、戻った……」

 

「俺の魔法ならこの通り、表面に出た悪魔の力を抑え込むのは朝飯前ってね」

 

「何の……魔法なんだ?」

 

 カキは己の右腕に浮かび上がった黒い紋様を誇らしげに見せ付けながら答える。

 

「悪魔を倒す魔法、炎の滅悪魔法さ。俺はその使い手、滅悪魔導士(デビルスレイヤー)なんだ」

 

「デビル…スレイヤー……」

 

「凄い!ミラ姉の腕が戻った!」

 

「あ、ありがとう……。姉ちゃんを助けてくれて!」

 

 ミラジェーンは元の姿を取り戻した腕を茫然と眺め、リサーナとエルフマンは泣いて喜んだ。しかし喜んでばかりはいられない。

 ミラジェーンの腕の件が解決しても、外にいる連中からすればそんな事関係ないのだ。故にカキは問う。

 

「……これからどうしたい?」

 

「……もう、この村にはいられない。腕が戻ったって大人達は私達を追い出そうとする。例えそうじゃなくても、またいつあんな扱いされるか分からない。私だけならともかく、エルフマンとリサーナまであんな目に遭わされたんだ」

 

 その辺りの事は理解しているのか、ストラウス一家の表情は暗く沈む。今更掌返しされても嬉しくなどないが、どっち道この村に居続けても良い事なんて無いだろう。

 故にカキは提案する。というか既に決めていた。勝手に。

 

「そっか。じゃあ、俺の入ってるギルドに来ないか?」

 

「ギルド?」

 

「ああ。魔導士のギルドだ。おまえは既に接収(テイクオーバー)の魔法が使えるし、エルフマンとリサーナだったら魔法を使える素質はある。何なら、ギルドに入ってから学べば良い」

 

 カキの話を聞いてストラウス一家は考え込む。ミラジェーンもこの魔法についてまだまだ知らない事ばかりまたいつ腕があの禍々しい悪魔のものになるか分からない。故にちゃんと制御が効くようにしなければならない。

 だが不安もある。そのギルドがもしこの村人と同じような考えをしていたら……魔法という「力」のある者達が集うそこで今度こそ自分達は……。

 

「それに……おまえの腕を見て気味悪がる奴なんて、ウチのギルドにはいないぞ。ギルドに入れば皆仲間で家族なんだ」

 

「本当に……本当に大丈夫なのかよ!?」

 

「ああ」

 

 何の迷いもなく断言される。考え込む素振りすら見せない。何故そこまで自信を持って言えるのだ。

 百歩譲って目の前の魔導士は信用できたとしてもその仲間の全てが信じられる訳ではない。それ以前にハッキリさせておかねばならない。

 

 

「なんで……なんでおまえは見ず知らずの私達にそこまでしてくれんだよ!?」

 

 

「何言ってんだおまえ。目の前で泣きそうな奴らを放っておけるかよ」

 

 

 さも当然のように告げるカキの顔を見て、その言葉を聞いて、ミラジェーンは弟と妹がいるというのに、二人の為に強くあらねばならないと考えているのに、泣き崩れてしまった。

 

 それから簡単にこれからの方針について話し合った後、ミラジェーン、エルフマン、リサーナは簡単に荷物を纏めてカキに着いて行く事になった。行き先はフィオーレ王国の東側の街、マグノリアにある魔導士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

「じゃ遅くなったけど自己紹介だな」

 

 カキはニカッと新しい家族(仲間)に笑いかけながら手を差し伸べ、己の名、そして(ギルド)の名前を告げる。

 

「俺はカキ・ヴァーミリオン。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だ!!」




炎の滅悪魔法

対悪魔用のスレイヤー魔法。その名の通り悪魔を倒す為に用いられる。多分オーガストに教わったと思われる。
オーガストが滅悪魔法の修得方法知ってるのは多分父親の負の遺産である「ゼレフ書の悪魔」を息子として責任を持って処分する為とかなんとか今考えた。
それとも滅竜魔法みたいに魔水晶(ラクリマ)とかあんのかなコレ。
属性が炎なのはナツと同じく「夏」が名前の由来なので。

因みに各ヒロインルートでのカキの年齢(原作開始時)と使用魔法の内訳は以下の通りです。

ルーシィ…16歳、コピー魔法
エルザ…17歳、TCM
ミラジェーン…21歳、滅悪魔法
ウェンディ…14歳、滅竜魔法(第二世代)

ウェンディに関しては別でヒロインの小説始めましたが。
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