衝動に負けた結果、気付いた時には投稿してました。
まぁ、一度やったからには最後までやります。
そう覚悟を決めましたよ十秒で(つまり何も考えていない)。
楽しんでもらえたら嬉しです。
「ねぇおじさん、私に戦い方教えて」
「は?」
「戦い方‼」
「いやいや、別に聞こえなかった訳じゃないから。あと、せめて『お兄さん』って呼んで?ちょっと傷付く」
「おじさんってば‼」
青年の事情などお構い無しに、少女はそう続ける。
「あぁもう。・・・・・
「それでも、あなたがいいの‼」
青年はうんざりしながらも答える。
対する少女は笑顔で頷く。
それは、己の魂を
最高クラスなら時間の流れを自由に操ったりでき、科学では検証できない力を持っている。
自分の能力はそんな大それた代物ではないが、この男ソレは他とは違うと感じた。
「お嬢ちゃんが何を期待してるか知らないが、俺は別に強くもなんともないぞ?」
「でも、私より戦えるは確かでしょ?“強さ”と“戦い”は違うはずよ」
「まぁ、な」
「じゃあ決まりね‼」
「・・・・君、人の話を素直に聞かないタイプだろ」
そして少女は、青年に弟子入りしたのだった。
あれから五年、那澄は今年で十五歳となり、日本に七校ある『騎士学校』の一つ、『破軍学園』に入学することになる。
だが、入学式は明日だ。
現時点ではやることがなくて暇。
授業も、武の祭典である『七星剣武祭』の代表を決める『選抜戦』もまだ先の話だ。
「ど~うしよ~う・・・・・おや?」
暇潰し目的で学園を散策していると、第三訓練場に人が集まっていくのを発見した。
「・・・・ふむ」
聞いた話ところによれば、Fランクの《落第騎士》とAランクの皇女様が戦うのだとか。
「・・・見てみよ」
無謀の一言に尽きるそんな話が、那澄の好奇心を刺激した。
結果は、《落第騎士》の勝利。
最初は皇女様が圧倒しているように見えたが、実際は違う。
《落第騎士》は敢えて、相手の剣を、業を、太刀筋を受けていた。
方法はよく解らないが、 最終的に彼は皇女様のそれらを模倣して勝利した。
ちなみに戦闘の過程で練習場の天井に穴が一つ空いた。
「・・・・どう思いました?」
突然の問いかけに、那澄は声のする方を見る。
声の主は、おそらく自分と同じ年齢の女子。
「別に」
一言、那澄は面倒くさそうに答えた。
「あなたなら、どんな方法で攻略しました?」
「・・それは、どっちが相手の場合?」
あまり関わりたくないのに、相手は話を続ける。
「二人とも、ですよ」
「戦うつもり自体ないから、それには答えられないわね」
「えー、本当に?」
「選抜戦の事を言ってるなら、答えてあげる。“その時次第”よ」
「・・・・はぁ」
「今度は私が聞く番よ。あなた、何で私に絡んできたの?」
「・・・・・・」
「人には散々質問しといて、いざ自分が聞かれたら、だんまりかしら?」
「・・・・・・」
「そう、ならいいわ。またね。お互いに楽しい学園生活を・・・・」
「・・・・あなたを倒すためよ」
相手が答えなくなったところで、別れを告げようとしたが、遮られてしまった。
「ん?」
「戦って、あなたを倒すためよ‼」
「・・・・・私には戦う理由なんてないんだけど?」
「あなたになくても、私にはあるのよ‼」
幸い、周囲に見物客の姿はない。
さっきの模擬戦を見終わったことで満足して、皆去っていったのだ。
唯一いた理事長は、天井の穴を見つめていた。
「そこの二人、何をしている」
こちらの視線に気付いたのか声をかけてきた。
「いえ、なんでも・・・・・・」
「・・・・・・理事長、お願いがあります。私と彼女で模擬戦をさせて下さい」
「お前たちもか。まぁいいだろう。今更一組増えたところで何も変わらん。やるならさっさとしろ」
「え、いや、私は別に・・・・・・」
「ありがとうございます‼」
私の意見は、誰にも聞いてもらえなかった。
「塗り潰せ、不知火」
「覆い尽くせ、朝霞」
お互いに
私は、漆黒の大鎌。
相手は、1対の純白のナイフ。
それぞれ、色も形状も対極と言っていいだろう。
それでも二人の間には、一つだけ共通しているものがある。
“目の前の相手を倒す”という気持ちが。
「それでは二人とも、準備はいいな?」
「ええ‼」
「・・・・・・はぁ」
「・・・・始め!」
試合開始の合図が鳴り響く。
先に仕掛けたのは、相手の女子。
走り寄り、腹部目掛けてナイフを突きつける。
「・・・・はぁ」
那澄は気だるげそうに、刃でそれを弾く。
キィン‼、という甲高い音が鳴り響く。
弾かれても相手は構わず、今度は右腕目掛けてナイフを突きつける。
「・・・・・・」
またか、そう思いながら那澄は再び刃で弾こうとする。
しかし、弾けなかった。
そう、ナイフは右腕に迫っていなかったのだ。
純白のナイフは、那澄の首に切りかかろうとしていた。
「・・・・ッ!?」
那澄は急いで、対処する。
刃ではなく、柄で防ぐ。
水平に構えていた鎌の、柄を上に移動させる。
これにより、ナイフを自身の頭上に弾く事に成功。
結果、ナイフは空を切る事になった。
「ちょっと、危ないじゃないの」
「・・・・ふん」
那澄の都合などお構い無しに、彼女は追撃してくる。
首や腕に続いて、腿や手首と狙いは様々だが、そのどれもが実戦では致命傷となるかそれに準ずる場所である。
つまり、自分の前に立っているこの女子生徒は、那澄を仕留めに来ていると言える。
そう、実戦ならば。
「随分とまぁ、面倒な攻め方をするのね。あなた」
「あなた程じゃないと思うけどね」
「あらあら、バレてたの。思ったより鋭いのね、あなた」
そう、攻防の最中に那澄は、相手の武器を弾く攻め方をしていた。
それは、戦闘中では形勢逆転となる行為。
武器を失えば、素手や投擲で戦う他にない。
故に、攻撃するための手段が減るのである。
「それにしても、あなた・・・・」
「紗奈。空戸紗奈よ」
「・・・・驚いたわ。だって、あなたも“空戸”なんですもの。おまけに攻め方も似てるなんて」
「・・・・・・そんなにおかしいかしら?」
「えぇ。だって私以外にそんな・・・・」
「“そんな条件の揃う人、あの人しか知らないから”・・・・かしら?」
その言葉を聞いて、那澄は得物を構え直す。
目の前の人間が、何を言いたいのか、解ってしまったから。
「答えは簡単よ。私もあの人に、
「・・・・そう」
「じゃあお喋りは終わりよ。
紗奈が叫ぶと同時に、那澄の周囲に数え切れない程のナイフが展開される。
「・・・・っ!?」
近くに展開されたナイフを攻撃するが、すり抜けてしまった。
「諦めなさい。これだけの数から本物を見つけるなんて不可能。見つけるより先ににあなたの方が終わるわよ」
確かにこのままでは負けてしまう。
一本一本狙っていても埒が明かないのは明確だから。
だが、別に一本ずつ攻撃する必要はない。
・・・・・・だって、全て消せばいいだけの話なのだから。
「ぬるいわよ、
那澄は呟くと、周囲のナイフは一斉に消えた。
「・・・・なっ!?」
ナイフを構え直した紗奈と、対峙する那澄。
殺伐とした空気の中、先に動いたのは審判をやっていた神宮寺黒乃だった。
「あー、せっかくのところですまないが、そろそろ終わってもらうぞお前達」
「・・・・えっ?」
「・・・・は?」
「私としても引き受けたからには最後まで見届けたいところではあるが、生憎と外せない要件が入った」
「は、はぁ」
気の抜けた返事をしたのは紗奈。
「ちょうどいい。ほい」
投げ渡されたのは、鍵。
一人に一個ずつ。
「あの、これは?」
「番号が同じ気がするんですけど」
呆気にとられてる二人に神宮寺は告げる。
「お前達の部屋の鍵だ。これから三年間、ルームメートとして仲良くしろよ」
「・・・・・・えぇ」
「・・・・・・うっわぁ」
お互いに、相手の顔と貰った鍵を何度も見て、盛大な溜め息をついた。
こうして模擬戦は意外な結末に終わった。
「・・・・ねぇ」
隣から紗奈の不満そうな声が聞こえてくる。
「何よ」
「あなた、兄さんとどんな関係なのよ」
「私が答えたとして、それがあなたに関係あるのかしら?」
ガチャリという音と共にドアが開く。
「大有りよ‼だって私は・・・・」
「外で大声は迷惑になるから、中で話せば?」
「・・・・くっ」
那澄は構わずに進む。
対する紗奈は、不服そうにしながらも後に続く。
「さぁ、もういいわよ」
「・・・・だって私はあの人の実の妹だから」
答えは予想していた通りだった。
「さ、ほら言ったでしょ。今度はあなたが話しなさいよ」
「・・・一方的ねぇ」
さて、どう伝えたものか。
正直に話しても、それはそれで面白みにかけるからつまらない。
かといって、嘘を伝えてもそれも面白くない。
そんな風に少し考えていると、一つ思いついた。
「あなた、“妹”って言ったわよねぇ」
「・・・・えぇ」
「“血の繋がった妹”と」
「だ、だから何よ」
ニヤリと笑って、那澄は伝える。
「じゃあ・・・・私の叔母さんにあたるのねぇ」
「なっ、何をいきなり!?」
「だって私、春澄さんの娘ですからぁ」
「はぁ!?」
「義理よ義理。養子だから血は繋がってないわよ」
まぁ、これなら嘘をついた事にはならないだろう。
詳細は気が向いた時にでも聞かせればいい。
「・・・・確かに兄さんならあり得なくはないけど」
「けど?何かしら、叔・母・さ・ん?」
「同年に叔母さん呼ばわりされるのは嫌なの‼」
「じゃあ、なんて呼べばいいのよ」
「お姉様」
「嫌よ」
「・・・姉上」
「堅苦しいから却下」
「・・・・・」
「え、もう終わり!?ボキャブラリー無いにも程があると思うわよ」
「・・・・・・くぅ」
「仕方ないわねぇ。・・・・“お姉ちゃん”で良しとしてあげる」
「えぇ~、それはちょっと」
「単なる呼び方に何を求めてるのよ」
悩んでる紗奈を放って、那澄は部屋を物色する。
「・・・・・・あ」
見つけたのは二段ベッド。
これまた、軽い争いになるやつ。
「・・・・私が上だからね」
後ろから声が聞こえる。
いや、正直どちらでもいいのだが、一方的に決めつけられると反対したくなるのが人間の心理。
「あらあら、恐くないのかしら?」
「高所恐怖症の事を言ってるならお構い無く。生憎と平気よ」
「いえいえ。私が言いたいのは、“叔母さんが落ちて怪我しないか”よ。ほらぁ、高齢の人って、若い人と比べて骨が脆いって言うからぁ」
「誰が高齢よ!私、あなたと同年だからね!」
「そういう事は私に勝ってから言えば?
那澄はそういって、これみよがしに自分の身体を強調する。
「・・・・くぅ。でもその分、足りないんじゃないの?
対する紗奈は自身の頭を指差して言い返す。
言い争いをしていて、どっちが上か決まるはずもない。
悟った二人は、最初に言ったように『紗奈が上』ということで納得した。
そんなこんなで一日は終わった。
そして次の日の朝。
「おはよう那澄」
「おはようございます、叔・母・さ・ん」
二人の一日は悪口から始まる。
「・・・・まだ言うのね」
「当然でしょ。
「・・・・あんた、嫌な奴ね」
「あらあら、初めて気が合ったわねぇ」
それでもまぁ、悪口を言い合える間柄の方が、ただ無視し合うよりは良いだろう。
何より、理事長直々に決められた以上は、三年間は同室なのだ。
二人の関係が変わるのはそう遠くないだろう。
「ちょっと、早くしなさいよ‼私の準備ができないじゃない‼」
「え~、移動しながらやればいいんじゃない?」
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ‼いいから早く‼」
「・・・・せっかちねぇ」
そう遠くない・・・・・・はずだ、多分。
空戸 那澄(NASUMI SORATO)
所属:破軍学園一年三組
伐刀者ランク:B
二つ名:NO DATE
人物概要:好奇心溢れる面倒くさがり
攻撃力:D+
防御力:C
魔力量:A
魔力制御:B+
身体能力:C
運:E
いつも眠そうにしながら、過ごしている。
行動方針は基本的に“好奇心の向くまま”
黒髪のロングヘアーをいつもポニーテールにしている。
尚、髪に関しては伸ばしているのではなく、面倒なだけで仕方なくである。
家事は・・・・できない。
私自身、どこまでいけるかわかりませんが、まぁやるからには最後までいくつもりです。
こんな誘惑に弱い私ですが、付き合って頂けたら幸いです。
それではまた次回。