いつかを夢見て、私は騎士を目指す   作:怠惰ご都合

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お久しぶりですと挨拶するには今更過ぎて自分でも引いてます、作者です。復帰してから今まで放置し続けた結果、結局年末になって慌てて投稿しているという・・・・・まぁ今までと何も変わらない行動をしてます。


せめてもの仕返しに

 

 一輝達が訓練しているのを遠目に眺めながら、隣りにいる那澄をこっそり見る。

 一見大人し目な雰囲気でありながらも、己を貫こうとする意思を感じる瞳。性格はともかくとしても、外見でなら人目を引くのも頷ける。

 

 「どうかさいまして、お姉様?そんなに見つめられると私、照れてしまいますわ」

 

 「・・・・ごめんなさい、あまりにも楽しそうだったから」

 

 「そういうことでしたの。えぇそうですわね、私とっても楽しいですわ。なにせ、こういった施設に来ること自体が始めてでしたので、自分でも驚く程楽しんでいますわ!」

 

 「・・・・・そう、良かったわ」

 

 那澄の言葉に、思わず戸惑ってしまった。そして思ってしまった。今まで、この子はどうやって生きてきたのだろうか、と。

 

 「ねぇ、聞かせて?学園に来るまで間、アナタはどうしていたの?」

 

 すると、今まで楽しそうにしていた表情が微かに曇った。

 

 「それは・・・・残念ながら、お答えできません。今お伝えしてしまっては雰囲気を壊してしまいますもの。楽しい時間には、やはり楽しい記憶が相応しいですから」

 

 「・・・・・・・そう」

 

 「ですが・・・・・きっといつか、お伝えすることを約束しますわ。ですから、それまで待っていて下さいな」

 

 無理矢理聞き出したところでお互いの為にはならないだろう。

 

 「私、ちょっと泳いでくるわね」

 

 「はい!」

 

 那澄の表情はいつの間にか戻っていた。だけど、これ以上は何を聞いても曇らせてしまうかもしれないから、今はここまでにしておかなければ。そう思って、私は泳ぎに向かう事にした。

 

 「・・・・・・こんな記憶、誰に伝えても意味なんてないんですよ。どう伝えたところで過去は変わらない。だから人に伝えても無駄なだけなのよ、お姉様」

 

 少しして、周りが騒がしくなってきた。人が増えてきたのだろう。昔からあまり混雑が好きじゃない私は、やや早足でその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泳いで少しすっきりした私は、那澄のいる方へと向かった。特に探さなくても見つけられたのは、すれ違う度にあの外見に反応した人が話していたから。

 

 「こ、これは確かに衝撃ね。慌てるのも頷けるわ」

 

 途中で顔を赤くしたステラと合流して一緒に向かうと、そこには思わず見惚れてしまう程の雰囲気を纏った那澄がいた。隣のステラも、どうやら同じ感想らしい。

 

 「・・・・ごめんなさい、待たせちゃったわね。一人でも大丈夫だった?」

 

 思ったよりも時間をかけてしまった事に今更気づいて、那澄に駆け寄った。

 

 「・・・・・・・」

 

 「那澄?」

 

 疲れたのだろうか、何かを言っているにも関わらず、その声はさっきと比べてか細い。聞き取ろうと鼻と鼻が当たりそうな距離まで顔を寄せる。すると、那澄はこう口にした。

 

 「・・・・・遅いじゃない、叔母さん」

 

 「っ!」

 

 思わず距離をとって顔を見つめてしまった。だって静かに聞こえたその声は、口調はいつも耳にする小生意気なものだったのだから。

 

 「どうかなさいまして、お姉様?」

 

 「紗奈、どうしたの?」

 

 隣でステラが不思議そうな顔をしているのを見る限り、今の声は自分にしか聞こえていないのだろう。しかし依然として那澄の表情は大人しいもので、プールに来たときと変わらず、周りを惹きつけるものだった。

 

 「な、なんでもないわ。ほら那澄、行きましょう」

 

 「えぇ、お姉様!」

 

 疑問が解消できた訳では無いが、今それを考えていても意味はない。どうやら、ステラが言うにはそろそろ帰る時間帯らしく、着替えるために更衣室へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着替えた後、そのまま解散する流れとなり那澄と紗奈だけの帰り道となった。

 

 「・・・・・ひょっとして、さっきまでのは本当に頭突きの影響だったりする?」

 

 「そんな訳ないに決まってるでしょ!あんなの演技よ。いやぁ私も出来るようになったものね!お姉様だけでなく一輝さんたちにまで騙せるなんて!そうねぇ、これからはもっと狙ってみようかしら!」

 

 「絶対やめて」

 

 「どうしてよ、満更でもなさそうだったじゃない?」

 

 「もしそう見えたなら眼科に行く事を勧めるわ。早めに行きなさいね」

 

 「そういうお姉様も耳鼻科に行ったらどうかしら?あんなところで驚くなんて挙動不審過ぎて、笑いを堪えるのに大変だったんだから。聞こえなかった振りしてくれれば、あんなに苦しい思いしなくて良かったのにぃ」

 

 一体なぜ私が悪いという事になっているのだろうか。本はといえば那澄が朝から色々と全開だったからじゃないか。

 

 「気になったんだけど、どうしてあんな悪戯をしたの?」

 

 無いとは思うが、ひょっとしたら何か理由があってやったのかもしれない。だから、純粋な興味本位で聞いてみた。

 

 「えっ、そんなの頭突きされたのが悔しかったからに決まってるじゃないの」

 

 「あぁ・・・・・そういう」

 

 しかし、返ってきたのが聞いたこと自体が馬鹿らしく思えてしまうような回答に疲れた紗奈は、それ以上は聞かない事にした。

 

 

 それにしても、不思議だったわね今日のプール。朝起きて、なんか頭に衝撃が走って、気づいた時にはお姉様が目と鼻の先にいたし。まぁ、伝える程の事でもないし、伝えたところでマトモに受け止めてもらえなさそうだしね。それに別にどうしてもって訳じゃないけど、それでもあまり知られたくはないんだから、悪く思わないでよね。学園に来るまでのことなんて、聞いてても楽しくないでしょうし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




那澄のアレは演技なのか、そうじゃないのか・・・・・真実はどっちなんでしょうね。結局のところ、深夜テンションで書いているので、詳しいことは作者にも解りません(まぁいつも通りということでここは一つ)
そんな感じで、今年初の投稿&最後の投稿、そして文字数は少なめとなりましたが、お待たせして申し訳ありませんでした。来年もよろしくお願いします。
それではまた次回。
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