いつかを夢見て、私は騎士を目指す   作:怠惰ご都合

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年始に出すつもりが気付けば世間はバレンタイン。
いやぁ不思議な事があるモンですね。
・・・・・・ウソですスイマセン。
決してサボってた訳ではないんです、決して。


言い争いと黒歴史

「ねぇねぇお姉ちゃん」

 

「・・・・いきなり何よ気持ち悪いわね」

 

猫なで声で話しかける那澄と、嫌そうに答える紗奈。

 

「能力で私もう一人作って?」

 

「理由は?当然、あるんでしょ?誰もが納得する理由が」

 

「・・・・・・ありますぅ」

 

「その間は何よ。後、語尾をそれっぽく言っても私が納得しなきゃダメよ」

 

「・・・・あるもん‼」

 

「『もん‼』じゃないわよ。ほら、さっさと話して楽になりなさいな」

 

「・・・・楽なんだもん」

 

「・・・は?」

 

「だって、その方が楽できるんだもんっ‼」

 

紗奈は、あまりの衝撃に言葉が出なかった。

理由があまりにも自分本位だったというのもあるが、頬を少し膨らませているその態度が子どもっぽく見えたからだ。

 

「・・・・お断り」

 

「なんでー、理由なら話したじゃない!?」

 

「私が納得できないからよ。そもそも、思いっきり自分本位な動機に誰が納得できると思ったのよ?」

 

「・・・・うぐぅ」

 

「それに、仮に私が許可したとしても理事長が絶対に許さないと思うわよ?」

 

「・・・・?」

 

何度も反論してくる那澄に、効果絶大なソレを告げた。

 

「第一、伐刀絶技(ノウブルアーツ)を使うって事は・・・・固有霊装(デバイス)の不正使用するって事じゃない」

 

「・・・・・・あ」

 

ずうぅぅぅん、と効果音が出そうな程に落ち込んでいるのが解る。

そう、生徒の能力使用権限は、学園が定めた場所及び場合でなければ認められない。

当然、二人が住んでいる学生寮の一室も例外ではない。

 

嫌そうにしながらも、 なんだかんだで話を聞いてくれる同居人に対して、那澄は揶揄いたくなった。

ちょうど最近ハマっているソレを本棚、目的のモノを見つけると、ニヤリと笑った。

 

「ねぇ、ちょっと言って欲しい言葉があるの」

 

「・・・何よ急に」

 

「まぁまぁ慰めると思ってここは一つ」

 

「・・・・・・・・ん~」

 

「お願~い」

 

「・・・・はぁ、仕方ないわねぇ。早く済ませてよ?」

 

「わかってますって~」

 

許可を得た那澄は、笑顔でソレを伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、言うからね」

 

「お願いしま~す」

 

「え、えーと、『体は剣で出来ている。血潮は鉄で、心は硝子。幾たびの戦場を越えて不敗。ただの一度も敗走はなく。ただの一度も理解されない。故に生涯に意味はなく、その体はきっと剣でできていた』・・・・・・何笑ってるのよ」

 

「・・・・べ、別に。わ、笑ってなんて・・・・ふふッ。ほら気にしないで続けて・・・・ふふ」

 

那澄はこっそりと手に持っている本を隠した。

 

「・・・・今、何か隠したでしょ」

 

しかし、同居人の事を把握できつつある紗奈は一瞬の事も見過ごさなかった。

 

「な、何も隠してなんて」

 

「私があなたと同居してから、どれくらい経ってると思ってるのよ」

 

「・・・・・・一週間」

 

「そうね、一週間。その間に、あなたの性格を知る位なんて事ないわ」

 

「いやいや、僅か一週間でバレる程安い性格してない って・・・・」

 

「なら、何を隠してるのかしら?」

「・・・別に何も隠してなんかないし?」

 

「へぇそうなの、ふぅ~ん?」

 

そう言うと紗奈は急に黙ってしまった。

「え、ちょっと?」

 

「ふぅ~ん?」

 

 「・・・・ひょっとして怒ってる?」

 

 「・・・・別に、起こってなんてませんけど?」

 

口では否定しつつも雰囲気は変わっていない

 

「えーっと、ゴメンね?」

 

「聞こえな~い、心がこもってないから受け付けませ~ん」

 

“しっかり聞こえてるじゃん”という言葉が出かけるが、かろうじて飲み込むことに成功する。

(私は悪くないが、)今の状況を端から見れば、多数の人がこの同居人を支持するであろう。

なら、(不満ではあるが)このまま謝り穏便に済ませるのが最善策だ。

 

「許してってば~」

 

「何を隠してるのか、教えてくれたら許してあげる」

 

「・・・・っ!?」

 

うっかり差し出そうとしたソレを慌てて引き止める。

 

「はい隙ありー」

 

その一瞬の間に、後ろに回り込まれてソレを奪われてしまった。

この攻防戦の目的であるソレは、電子化が一般的である今の時代にはもはや絶滅危惧レベルだと言える書籍(漫画)なのだ。

ではなにが問題なのか。

パッと見、特に問題は内容に思えるだろう。

しかし違った。

散々振り回しておきながら、“その正体、実は漫画でした(テヘッ)”

これ自体が最早アウトである。

いくら慰めるためとはいえ、『しょうがない』の一言で済ませてくれる程、この同居人は優しくない。では何故、自ら困りにいくのか?

“どうせ怒られるなら、多少なりは迷惑かけてやる。だって自分だけが困るなんて癪だから”

それが那澄()の言い分だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・とかそんなのを是とするのはOKだったりしない?」

 

「・・・・・・そんな迷惑極まりない意見には誰一人として賛同しないし、仮に提唱したとしても全力で阻止してあげるから安心しなさい」

 

「・・・えー」

 

「あと長い。うるさい。設定がいちいち面倒くさい。うるさい」

 

「・・・はいは~い。うるさいし、そもそも最初から叔母さんには聞いてませ~ん」

 

「自分から言い出したくせに随分な言い草ね!?あとまた“叔母さん”って言ったわね!?いい加減その口無理やり閉ざすわよ!」

 

「閉ざすならご自身の口でどうぞー」

 

「・・・あなた達、さっきまで仲良くなかったかしら?」

 

 ステラがそう呟くも、口論中の二人はお構いなしだ。

 

「覚えてませ~ん。いつの事ですかぁ?」

 

一輝たちが映画について話している中、2人は全く違う事で騒いでいた。

因みに“無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)よりも王の財宝(ゲートオブバビロン)の方が紗奈の能力的に合ってるとかは、実は私が一番理解してるから突っ込まないで欲しいなー”というのは言うまでもなく那澄の心の代弁である。

 

 「アンタねぇ・・・・・」

 

 「で、決まったのかしら?」

 

 紗奈が何か言いかけた途端、嫌な予感がした那澄は話を強引に変えた。

 変えた先は当然、映画についてだ。

 

 「あぁ、そうだね。無難にこれにしようと思うんだけど・・・・」

 

 そう言って、一輝が映画のサイトを見せてきた。

 見せられたのは、『ガンジー 怒りの解脱』

 タイトルの下では、炎をバックにした坊主頭上半身裸のムキムキマッチョメンが、重火器を手に佇んでいる。

 気になる煽り文句は『許すことは強さの証と言ったな。あれは嘘だ』

 

 「・・・・・ちょっと那澄、これが無難って言えるの?」

 

 「・・・というかそもそも、これが一番無難って他のは一体どんなレベルなのよ」

 

 二人だけで話していると一輝は苦笑いしていた。

 どうやら、彼も同意見のようである。

 

 「じゃ、映画も決まったみたいだから私たちは帰るわね」

 

 那澄がそう言い出すと、紗奈はキョトンとした。

 

 「一緒しないの?」

 

 「いやまぁ、確かに気になる内容ではあるけどね・・・・・」

 

 「けど、何よ?」

 

 「私、一度外に出ると最低でも4時間は寝ないと動く気しないの」

 

 「ただ、怠けたいだけでしょソレ!?」

 

 「それに、元々は口止めに来ただけだしぃ」

 

 そう、那澄がこの4人と合流したのは黒歴史(おんぶ姿)を口封じするためである。

 ソレが終わった今、もうここにいる理由はないのである。

 

 「じゃ、またねー」

 

 別れの挨拶を済ませて、那澄はさっさと歩き出した。

 

 「ちょ、ちょっと!?えっと、突然お邪魔してごめんなさい」

 

 「そんなに謝らなくても別にいいわよ、またお話ししましょ?」

 

 「・・・・ありがとう」

 

 置いていかれた紗奈は有栖院にそう告げて急いで同居人の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ちょっ・・・・・ま、待ちなさいって!」

 

 「・・・・・どうかしたの?」

 

 呼びかけるままに振り向くと紗奈が息を切らしながら立っていた。

 

 「・・・あのまま一緒させてもらっても良かったんじゃないの?」

 

 「はぁ・・・・・お断りよ、面倒くさい」

 

 「ひ、開き直るのね。てっきりふざけてるとばかり」

 

 「ふざけてなんてませんー」

 

 「へぇ、そうなの。ふぅーん?」

 

 「ほ、ほんとの事なんだからね!?・・・・・ていうか言葉遊びしないでよ。もうやんないから」

 

 呆れながら答える那澄と、息を整えてから話す紗奈。

 しかし話している間に、多少なりとも相手のことが解ったような気がした・・・・かもしれない。

 

 「それに・・・・」

 

 「何よ?」

 

 外を見ながらの那澄の呟きが気になって、思わず聞き返してしまった。

 

 「早く、買い物しないといけない・・・・・んでしょう?」

 

 「あぁ、そうよ!忘れてたわ!?ちょっと、早くしなさいよ!!」

 

 「ちょっ、いきなり掴まないでよ!?そしてそのままの勢いで走るなー!?」

 

 故に、うっかり今日の目的を忘れてた紗奈は、急いで同居人の手首を掴んで小走りになった。

 

 「・・・・それに、早くしないと買い物どころじゃないからね」

 

 あまりにも急いでいたから、那澄のその一言が聞き取れなかった。

 

 「えー、聞こえない!?」

 

 「・・・・・引っ張るなって言ったの!」

 

 二人は走る。

 日用品を買い揃えるために。

 一人は気怠げに、また一人は忙しそうに。

 

 




次はいつ投稿しよう・・・・・・そんな事を考えてるから毎回先延ばしになるんですか。
改善?多分するんじゃないですか?(他人事)
・・・・・それではまた次回。
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