アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題) 作:冥咲梓
途中行き詰まってクラヴゥを書き、その後もまた行き詰まって息抜きに他の方の作品を読みまくってました。
リゼロにも手を出しました。
一応ペストーニャよりも後の面談なのでその後に読んだ方がいいかもしれません。
たいしたことありませんが。
本日のアインズ番メイドが来訪者の名前を告げる。
「ユリ・アルファ様でございます」
「そうか。入室を許可する」
「――ユリ・アルファ、お呼びとのこと。馳せ参じました、アインズ様」
「ふむ。よく来たな、ユリ・アルファよ。では面談を始める前に――これは面談を行う者全員に行っているのだが、私の許可無く私に触れたりしないと誓えるか?」
アインズが問いかけると、ユリ・アルファはメイドらしくカーテシーで応える。
「はい。アインズ様の許可無くアインズ様に触れたりしないと誓います」
「よろしい」
アインズは人払いをし、ソファ席に移動する。まずアインズが座り、向かいの席に座るように勧める。
「失礼します」
「うむ。まずはユリ・アルファよ、改めてお前の働きに感謝する。そしてこのような時間を持てることを嬉しく思う」
「光栄でございます。また、このようにアインズ様とのお時間をいただけること、私にとりましても僥倖にございます!」
「・・・今日は支配する者とされる者ではなく、できれば親子のような対話ができればと思う。よろしく頼む」
「はっ」
「さて、お前のレポートによると、孤児院で子供達に教えることに幸せを感じる、ということだったな」
「はい。以前より私は何かを教えるのが好きでした」
「ふむ、さすがはやまいこさんの子、ということだな」
「アインズ様、私をやまいこ様の子、と?」
「うむ。ユリ・アルファよ。お前は間違いなくやまいこさんの子だとも」
「ありがとうございます!!何よりも嬉しいお言葉です」
「やまいこさんも子供たちに教える仕事をしていたからな。やまいこさんの魂が受け継がれているのだろう」
ユリは眼鏡を外し、ハンカチーフで涙を拭くような仕草をする。
「では、孤児院に行くとするか」
「孤児院に、でございますか?」
「あぁ、以前モモンとナーベと共に視察しようとしたところでアレがあって頓挫したからな。まだ一度も実際には見たことがない」
「畏まりました。ご案内致します」
「よろしく頼む。それでだ、子供たちに何か良い土産はあるか?」
「アインズ様がいらっしゃるだけで十分かと存じますが、あえて、ということでございましたら、菓子類は喜ばれるものと愚考します」
「菓子類か。ふむ、では共に作って持っていくか?」
「アインズ様お手ずからの菓子類を子供たちに?」
「まずいか?」
「いえ、この上ない栄誉かと」
「そ、そうか?まぁさすがに時間が足りぬゆえ少し皆の手を借りるか」
「はっ。それがよろしいかと存じます」
「ではまず食堂に行くぞ」
「はっ」
―――ナザリック地下大墳墓 第九階層 食堂
そっと覗いてみると今の時間、利用者はほとんどいないようだ。
「!!これはアインズ様!!ようこそお越しくださいました!!」
料理長、シホウツ・トキツがさっと片膝をつく。前にも思ったが料理服が汚れないか?
いや、埃一つない床だ。汚れることはないのだろう。
「本日はどうなさいましたか?」
「うむ。少し、いや、手伝ってもらいたいことがあるのだが」
「ははぁ!私にできることでしたら何なりとお申し付けください!!」
「手土産に菓子を作りたい」
「なるほど、畏まりました!すぐにご用意致します!!」
「いや、待て」
「ははぁ!!」
「あくまで私とユリが作るのを手伝ってもらいたいのだ。私が作るということからわかるようにバフのない普通の菓子だ。ユリよ、説明してもらえるか?」
「はっ、畏まりました、アインズ様。シホウツ・トキツ様、これからアインズ様は私が担当している孤児院を視察されます。その際に子供達への手土産をお手ずからご用意されるとのことです。しかしながら数が多いので料理長にはその手伝いをお願いしたいのです」
「なんと、アインズ様お手ずから菓子を?畏まりました!!全力で挑みます!!!」
視察じゃないんだがなぁ。
結局その場にいたメイド達が(喜んで)手伝ってくれた為かなりの数の菓子ができた。
アインズはいつも通り卵を割る係だ。それに少しだけ丸めたりするのを手伝った。
そう、手伝った、という感じにもはやなってしまったのだ。
まぁ皆アインズの手伝いをしたがったので仕方がないのだ。
今は食事休憩中なのだから休憩するようにと言ったのだが、誰かが「これは仕事ではありません。レクリエーションです」と言ったので受け入れざるを得なかった。
メイド達が本気でレクリエーションだと思っているなら問題はないのだが、残念ながらそんなはずはないだろう。
一体誰の入れ知恵だ?だが、仕方がない。確かに嬉しそうではあったのだから今は受け入れるしかない。
実際助かったのだしな。
いつもの手順でエ・ランテルまでやってきたアインズとユリ。
おまけでこういう場合の定番の護衛、六体の天使もいる。ヌルヌルくんも装着済みだ。
あの時のように緊急の<
「さて、ユリ・アルファよ」
「はっ」
「いきなり私が行って怖がらせても悪いからな。まずお前が入るのだ」
「アインズ様がお越しになられて喜びこそすれ、怖がるなどあり得ないと存じます」
「いや、急だと少なくとも驚くのは道理だろう」
「はっ。それがアインズ様のお考えならば」
「うむ。頼むぞ、ユリ」
「畏まりました」
ユリが孤児院に入っていく。中にいた子供達がユリに気づいたようだ。
「あ、ユリさまだ!」
「ほんとだ!ユリさま!」
子供たちに慕われるユリ。良い風景だ。やまいこさんも小学校でああいう感じだったのだろうか。
そっと門の外から覗いていると、一人の子供と目が合った。
「あ」
―――ナザリック地下大墳墓 アインズの私室
アインズは報告書を書いていた。
報告書といってもむろん誰かに見せる為のものではない。
面談はすれば終わりというものではない。
良かった点、悪かった点を洗い出し、次に生かさねばならないのだ。
アインズは今日のユリ・アルファとの面談を思い出す。
「あ、おうさまだ!」
「ちがうよ、まどーおうさまだよ!」
「ちがうよ、へーかだよ!」
「ちがう、ちがうよ、まどーおーへーかだよ!」
ユリの周りに群がっていた子供達が今度はアインズの周りに群がる。
いつかも思った気がするが、子供たちの好奇心というのはすごいものだ。
「うむ、その通りだ。子供達よ。私こそが魔導国国王、アインズ・ウール・ゴウンだ」
つい王の姿勢を取ってしまった。
「すげー!かっこいい!!」
「さすがはまどーおーへーか!」
キラキラした目で見る子供達と違い、周囲の大人を一瞥すると皆さっと顔を伏せる。
魔導国を作ってかなりの時間が経つがまだまだ受け入れてはもらえないようだ。
だがいずれこの子供たちが大人になったころには気安く接することができているに違いない。
「さて、ユリよ」
「はっ」
「アレを頼む」
「はっ」
用意した菓子の入った袋を捧げ持つユリ。
正直親子のようにっていうの忘れていないか?
まぁ魔導国の施設で、ナザリック以外の者がいる状態では難しいか。
「うむ。さて、子供達よ。これはユリと私と、まぁ皆で作った土産の菓子だ。順番に並ぶが良い」
「さぁ、みんな、全員分ちゃんとありますから行儀よく並ぶのですよ」
「「「「は~い!!!!」」」」
袋から一つずつ小袋を取り出し子供たちに渡す。
「へーか、ありがとー」
「ばっか、ありがとーございます、だぞ」
「そっか、ありがとー。ございます?」
「うむうむ」
ついでに大人にも渡した。ダークエルフの村の時とは違うからな。
「ご厚情に感謝申し上げます」
「うむ」
子供たちはすぐに小袋を開け、中の菓子を取り出し口にする。
「おいし~!!」
「あまっ!!」
「うまっ!!」
「こら、お行儀が悪いですよ」
「良い。今日だけ特別だぞ」
「これ、ほんとにへーかが作ったの?」
「うむ、そうだぞ。私とユリでな。まぁあまりに多いので他の者たちにも手伝ってもらったのだがな」
本当は自分が手伝ったのだがそういうことはさすがに言えない。
「陛下は普段から菓子を作られるのですか?」
「うむ、以前ペストーニャに教わってな。まぁすごく上手というわけではないが、卵を割るのはかなり上達したと思うぞ」
「粉を計量するのも、こねるのも本当にお上手でいらっしゃいます」
「まぁ、あのときかなり何度も作ったからな」
「あの至福の一時を忘れる者はおりません。もちろん私も」
「お前たちの癒しになっているのなら何よりだ」
子供たちが菓子を食べていた手を止め、ユリをじっと見ている。何かおかしいことがあっただろうか。
「どうかしたかね」
「ユリさま、いつもとちがーう」
「そうか?いつものユリはどういう感じなのだ?」
「えっとね」
「もっとビシっとしてるよ」
「きょうはちょっとやわらかいよ」
「ふむ。後で少しユリの授業を見学させてもらうか」
「ユリさま、じゅぎょうしてくれるの?」
「えぇ。御方がお望みですから今日は特別ですよ」
「わぁい」
「ちょっとこわいけどユリさまのじゅぎょうはおもしろいんだよ」
「ほぅ。何を教えているのだ?」
「主に姿勢や歩き方などの修練でございます。それにより適切な筋肉がつき、今後どのような道を歩もうとも役に立つかと」
「それはその通りだ」
つい背筋を伸ばす。もちろん常に王の姿勢はとっているはずだが。
「ではどこでするのだ?」
「ここでも良いのですが、教室に移動しましょうか。座り方の訓練もできます」
よし、参考にさせてもらうぞ。
「ではみなさん、教室に行きますよ」
「「「「はぁ~い!!!」」」」
「アインズ様、ご案内いたします」
みなでぞろぞろと教室に移動する。
がらんと広い部屋に椅子が等間隔に並んでいる。
「さぁ、みなさん、まずは椅子の前まで一人ずつ歩いて行きましょう」
「「「「はい!!!」」」」
おぉ、返事まで先ほどと違うぞ。
子供と思えない堂々たる歩き方で一人ずつ椅子の前に向かう。
全員が椅子の前にたどり着いたところで、子供の一人が号令をかける。
「右向け右!」
機敏な動きで一斉に向きを変える子供たち。本当にさっきまでの子供と一緒か?
「着席!」
また別の子供が号令をかけ、さっと音も立てずに座る子供たち。座った後の姿勢も背筋がぴんと伸びて素晴らしい。
「では、次!」
「はい!」
次に何が始まるのかと見守っていると、今度は一斉にではなく一人ずつさっと立ち上がり歩いてユリの元に向かう。
「よろしくお願いします!」
「えぇ、まず良かった点。以前よりも姿勢が良くなっています」
「ありがとうございます!」
「今後の課題としては少し重心が左外側に傾いている時があります」
「ありがとうございます!」
「次!」
「はい!」
どうやら一人一人の歩き方をユリがチェックし、良かった点をまず褒め、今後の課題を伝えるということをしているようだ。
「さすがはやまいこさんの子だな」
見習うべき点が非常に多い。今後
残念ながら難しいだろう。なぜならアインズ自身がよくわかっていないからだ。
少しは得意にしている戦闘行為なら同じようにできるかもしれない。
だが、アインズが話したいのはそういうことではないのだ。
そうこうしているうちに全員終了したようだ。ユリを中心に子供たちが横一列に並んでいる。
そしてアインズがこちらを見たことに気づくと、一斉に綺麗なお辞儀を見せた。
一糸乱れぬ統率された動きだ。
アインズは沈静された。これ、本当にさっきの子供たちか?まぁ、跪かれなかっただけ良いか。
それまでの思考をいったんおいて、大きな音で拍手する。
「素晴らしい!!!」
鈴木悟に子供はいなかったが、
心なしか誇らしげに胸を張るユリの元へ拍手を続けながらゆっくりと歩み寄る。
「本当に素晴らしかったぞ、ユリ。皆もな」
「恐悦至極に存じます」
「私も参考にさせてもらおう」
「恐れながら、アインズ様は王。私が教えたのは従者の姿勢と歩き方でございます。また、アインズ様はすでに王の歩き方と姿勢をお持ちです。お教えできることはないかと」
「そうか。だが他にも学ぶべきことはあった」
「他にも、でございますか?」
「うむ。ユリの子供たちに対する接し方には学ぶべき姿勢があったぞ」
「ありがとうございます。お役に立てたなら何よりでございます」
良い経験は出来たが、この場ではユリに親と子としての態度を望むことは難しいだろう。一度ナザリックに戻ることとする。
「名残惜しいがそろそろ戻るか」
「はい。では皆、また来ますね」
「ありがとうございました」
「ありがとーございます」
「へーか、また来てね」
「うむ、また機会があれば来るとしよう」
―――ナザリック地下大墳墓 第九階層 アインズの私室
ヌルヌル君を外し、ソファに座ると思わず「ふー」と声が出た。
「お疲れ様でございます、アインズ様」
「ふふ、疲れてはいないが、ユリ先生の保護者として子供たちに対して気を張っていたのかもしれぬな」
「アインズ様が?」
「(ユリ先生ってところにつっこんでほしかったんだけど)うむ。子供たちは純真だからな。忖度なく私を見るだろう。あらを見つけられてはならないからな」
「アインズ様にあらなどございません」
「ふふ、ありがとう。そう思ってもらえるようこれからも努力するさ」
「さすがはアインズ様。その向上心、私も見習います」
「うむ。それで、どうだ?その、今日は楽しんでもらえたかな?」
「はい!至福のひとときが過ごせました。忘れられない思い出がまた一つできました」
「そうか、それなら何よりだ」
アインズは報告書を書き終え、見直す。
子の職場訪問というのは良い面もあるが、他人の目が気になって親子らしいふれあいはあまり出来なかったのが残念だ。
菓子作りを一緒に出来たのは良かったが、二人きりでとはいかなかったしな。
これを次回に生かさねば。
アインズは決意を新たにするのだった。
余談だが、子供たちへの土産の菓子を作っている時のこと。
「シホウツ・トキツ、口を開けろ」
「ははぁ!むぐ!?」
反射的に口を開いた料理長、シホウツ・トキツの口の中に先ほど出来たばかりの菓子を放り込む。
「味見だ。私もユリも食事ができないからな。もちろんお前が手伝ってくれている以上問題は無いはずだが、甘さは十分か?」
「はっ、至高のおいしさでございます!!」
「大げさだな」
周囲で手伝ってくれていたメイド達がざわざわする。
「お前達も味見するか?」
手近にいたメイドに確認すると、「はい!」と口を開けられた。
これはあれか、いわゆる、あ~ん、ってやつか?
さすがにシホウツ・トキツに対するようにはいかないだろう。
そっと舌の上にのせるように入れてやる。
メイドは目と口を閉じ、頬を染めながら味わっているようだ。
「どうだ?」
「はい。至福の味でございます。人間達に渡すのがもったいないくらい、あ、失礼しました」
「いや、そうだな。手伝ってもらってすまないが多めに作って残りはお前達で味わうと良い」
「そのような!アインズ様のお役に立つことは私たちの幸せ、これはレクリエーションでございます」
周囲を見渡すと、メイド達はこくこくうなずきながらも、うらやましそうにしている。
「ふむ、お前達、順に味見をしてもらうから並んでもらえるか?」
「はいっ!!」
さっと綺麗な列を作るメイド達。そこに先ほど味見をしたはずのシホウツ・トキツまで並んでいたので思わずつっこむ。
「おい、シホウツ・トキツよ、お前はすでに味見をしただろう」
「しかしアインズ様、先ほどはいきなりで心の準備が出来ていなかったために十分に味わえませんでした!今一度の機会をいただきたく存じます!!」
「お前にそれを許せば皆2度ずつ味見をしたいとなるだろう、そうすれば出かけるのが遅れてしまう。悪いが却下だ」
「ははぁ、畏まりました!わがままを申し上げて申し訳ございません!」
「すまないな、また機会があればな」
全員が一度ずつアインズの手から味見をした上でさらに1個ずつ記念にもらった。
全員当然のごとくインベントリに入れていた。
まぁたくさん出来たから良いだろう。
といった事があったのだが、それを聞きつけたアルベド達からおねだりされ、「アインズ様と一緒にお菓子を作って、あ~んしてもらう会」が開かれた。
当然一度に希望者全員にとはいかなかったので、何度も開かれた。
ユリやシャルティア、ティトゥスのように食事ができない者も参加し、あ~んはさすがに出来なかったが、アインズからお菓子をもらって記念に保管していた。
最後が決まらなくて、苦肉の策でいつもの感じ(?)に。
当然孤児院については何も判らないのでねつ造です。授業をユリがしてるかもわかりませんしね。
シホウツ・トキツの話も書きたいけど彼の趣味はなんだろうなぁ。
タイトルはどうしたらいいでしょうか
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今のタイトルの(仮題)を外す
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一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
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まだ(仮題)のままにしておく