アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題) 作:冥咲梓
時間がかかった要因は本です
難航しました
なのでぼやかしててすみません
あと今回デミウルゴスがちょっと精神的に痛い目にあってるかもしれませんが
まぁ日頃美味しいとこもらってるので
少しでも楽しんでいただければ幸いです
本日のアインズ番メイドが来訪者の名前を告げる。
「マーレ・ベロ・フィオーレ様でございます」
「そうか。入室を許可する」
「――マーレ・ベロ・フィオーレ、お呼びとお聞きして、えっと、来ました、アインズ様」
「ふむ。よく来たな、マーレよ。では面談を始める前に――これは面談を行う者全員に行っているのだが、私の許可無く私に触れたりしないと誓えるか?」
アインズが問いかけると、マーレはかわいらしく頭を下げ、応える。
「は、はい!アインズ様の許可無くアインズ様に触れたりしないと、ち、誓います!」
「よろしい」
アインズは人払いをし、ソファ席に移動する。まずアインズが座り、向かいの席に座るように勧める。
「し、失礼します」
「うむ。まずはマーレよ、改めてお前の働きに感謝する。そしてこのような時間を持てることを嬉しく思う」
「こ、光栄です!こ、このようにアインズ様とのお時間をいただけること、僕にとっても、と、とても幸せです!」
「・・・今日は支配する者とされる者ではなく、できれば親子のような対話ができればと思う。よろしく頼む」
「はいっ!」
「さて、お前のレポートによると、読書をしている時と、暗くて寒いところで布団にくるまっているときに幸せを感じる、ということだったな」
「あ、あの、その、すみません」
「謝る必要はないぞ」
「え?」
「暗くて寒いところで布団にくるまる。あれは良いものだな。今の私の体では望むべくもないが」
「アインズ様にもご経験が?」
「そうだな。あれはもういつのことだっただろうな。今でもやろうと思えばやれるのだろうが、暗さも寒さもこの身には関係がないしなぁ。ん?そういえばマーレも暗闇を見通す目を持っているだろう。それは切れないのではないのか?」
「は、はい。それでも暗闇だということはわかりますから」
「あぁ、確かにそうだな。マーレの言うとおりだ」
アインズは思わず立ち上がりマーレの頭をなでる。相変わらずさらさらとしてさわり心地が良い。
「えへへ・・・」
「それから読書、か。私も本を読むがそれは必要にかられてのもので、読書とは違う。そうだ、『泣いた赤鬼』だったか。あの時にも話したが私は読んだことがなくてな」
「あ、あの時の作戦の、元になったお話ですね」
「あぁ、あの作戦を元々考えた仲間たちは知っていたのだろうが、私は知らなくてな。良ければ教えてもらえないか?」
「はい!えっと、あらすじをお話すればいいですか?」
「ふむ、そうだな。せっかくだからマーレに読んでもらおうか。
「そうなんです。ティトゥスさんにえっと、お薦めしてもらいました」
「ティトゥスにか。なるほどな。良い話し相手になっているか?」
「は、はい。いろんな本を教えてもらってます」
「それは良いことだな。では、
「わ、わかりません。アインズ様と一緒に読めるならどんなものも素晴らしいものになると思います」
「ふむ、まぁそれも併せてティトゥスに聞くとするか」
「は、はい!」
―――
扉の前に立つゴーレムに扉を開けさせ
「これはアインズ様、マーレ様、本日はどのようなご用件でしょうか」
「うむ、本を借りたいのだが、ティトゥスはどこだ?」
「司書長でしたら制作の間に」
「そうか。あー『泣いた赤鬼』を借りたいので用意してくれ」
「畏まりました!直ちに!」
司書Iは喜び勇んで去って行った。やはりアインズが仕事を振ると皆喜ぶ。
と思ったらすぐに戻ってきた。
「もう持ってきたのか?」
「いえ、大変申し訳ありません。アインズ様のご案内を忘れるなど」
「制作の間への案内なら不要だぞ」
「しかし」
「うむ、では他の者に案内を依頼する。それでどうだ?」
「畏まりました!少々お待ちください」
そうして司書Iは司書Kを呼んできた。
「大変お待たせ致しました。制作の間へご案内致します」
「では私は本を持って参ります」
「うむ、頼んだぞ」
司書Kに案内され制作の間に向かう。
「司書長、アインズ様とマーレ様がお見えです」
「わかった。入っていただくように」
「畏まりました。アインズ様」
「うむ、ご苦労」
「ご、ご苦労さまです」
「アインズ様、マーレ、どうされましたか?」
「うむ、今日はマーレの面談の日でな。一緒に本を読もうと思うのだが、どういう本がふさわしいだろうか」
「アインズ様とマーレの二人で本を、ですか」
「は、はい」
「他に『泣いた赤鬼』を読む予定だ」
「なるほど、『泣いた赤鬼』ですか。それでしたら・・・」
―――第六階層 巨大樹前
「さて、マーレよ」
「は、はい。アインズ様」
「お前の部屋に案内してもらえるか?まだ寝る時間ではないが、昼寝も良いものだ」
「はい!ど、どうぞこちらへ。あ、こ、この中は」
「あぁ、可変不可固定だったな。大丈夫だ。ここが完成したときに茶釜さんに案内してもらったし、そういうダンジョンは時々あるから装備を持っているぞ」
「ぶくぶく茶釜様が!」
「あぁ。入るのはそれ以来だから久しぶりだな。楽しみだ」
「えへへ。ご、ご案内します」
アインズが装備を変更すると、まるで課金クラスミニマムをとったかのように体が縮み、マーレと頭一つ分も身長が変わらなくなる。
「手でもつなぐか?」
「は、はい!!」
マーレと手をつなぎ木の中のらせん階段を上っていく。一番上まで上ると家があった。
ここ1階にはキッチンやリビングなどがある。
マーレの部屋は2階だ。
「ふむ、マーレよ」
「は、はい。アインズ様。ど、どうされましたか?」
「本をどこで読むのが良いかと思ってな。リビングか。お前の部屋か」
「あ、あの、できたら、僕の部屋だと嬉しいです。あの、ごめんなさい」
「謝ることはないぞ。わかった。お前の部屋だな。邪魔が入らない方がいいものな」
「は、はい!えへへ」
―――ナザリック地下大墳墓 アインズの私室
アインズは報告書を書いていた。
報告書といってもむろん誰かに見せる為のものではない。
面談はすれば終わりというものではない。
良かった点、悪かった点を洗い出し、次に生かさねばならないのだ。
アインズは今回のマーレとの面談を思い出す。
パタンとマーレが「泣いた赤鬼」を閉じる。
なんというか、思っていたのと違う話だったな。
これは正直、赤鬼イコール俺、青鬼イコール
「アインズ様?」
「あぁ、すまない。私が想像していた話と少し違ったのでな。いや、大元が違うということではないのだが」
「そ、そうなんですね」
「ちなみにマーレはこの話を読んでどう思った?」
「ど、どう、ですか?」
「いや、この聞き方は良くないな。ふむ。あ-、まず、青鬼の行動をどう思う?」
「あ、青鬼ですか?え、えと・・・」
「む?この聞き方も良くないか?あー、そうだな。赤鬼が最後に泣いた理由はなんだと思う?」
「あ、青鬼さんがいなくなったから、でしょうか」
「うむ、そうだな。では、赤鬼の本当の望みはなんだったと思う?」
「え、えと、青鬼さんがいて、村人とも仲良くなって、ですか?」
「うむ、そうだ。青鬼と一緒に村人と仲良くなる、これが赤鬼の望みだったと私も思う」
「あの、青鬼さんは、ど、どうしてこんなことをしたのでしょう」
「そうだな。この絵本では青鬼が何を考えていたのかは手紙からしか読み取ることはできないが、青鬼は赤鬼の願いを叶えたい一心だったのだろう。ただ、赤鬼の本当の望みをわかっていなかった」
「ど、どうして、本当の望みがわからなかったのでしょう?」
「これは私の想像だが、赤鬼は青鬼とずっと一緒にいるのは当然と考えていた。それで望みを言う時に言葉が足りなかった、のではないかな?」
「な、なるほど」
「私も時折言葉が足りないことがあるようだ。反省せねばな」
「そ、そんな!アインズ様のお望みがわからない僕たちが悪いんです!」
「マーレ。お前達が悪いなどということはない。絶対にだ」
「アインズ様」
「ただな、誤解が生じうるのだということを理解して、指示代名詞ではなくきちんとお互いの望みを確認しあう事が必要ではないかと思うのだ」
「し、しじだいめいし・・・」
「あれ、とか、あの、その、それ、などだな」
「か、畏まりました。気をつけるように皆さんにも伝えておきますね」
「うむ、私から言うのもなんだからな。頼んだぞ、マーレ。無論私も気をつけるからな」
「は、はい。で、では、次の本を読みますか?」
「そうだな。次はティトゥスのお薦めだったな」
「は、はい。どんなお話か楽しみです」
「うむ、楽しみだ」
2冊目の絵本は教訓めいたものではなく楽しく読むことができた。
その後一緒に昼寝をした。無論アインズは寝ることは出来ないが。
部屋を暗く寒くして、温かいふとんに一緒にくるまって寝た。
最初は遠慮していたマーレもだんだん目がとろんとして最後にはぐっすり寝ていた。
マーレの温かい体温が心地よく久しぶりにゆっくりできた。
しかし、泣いた赤鬼の感想を言ったのは良かったのか悪かったのか。
皆にも伝えるとマーレは言っていたが今後デミウルゴスと話すときにどうなるのかちょっと楽しみなような怖いような。
一方のマーレは守護者たちを集めていた。
「マーレ、いきなり集まれってどうしたの?」
「お、お姉ちゃん。あの、アインズ様のお言葉をみなさんにも伝えるってお約束したんだよ」
「アインズ様!それは何をおいても聞かなくてはいけないわね」
「そうでありんすね」
「マーレを通してアインズ様が我々に伝えたいと思われたお言葉、非常に興味がありますね」
「早速ダガ聞カセテクレナイカ?」
「そ、その前にですね。この絵本を皆様に読んでいただきたいんです」
「これは『泣いた赤鬼』?」
「あ、こないだの作戦の元になったお話だったっけ?」
「そうだよ、お姉ちゃん」
「アインズ様のお言葉はこの絵本に関係があるということかな?」
「そ、そうです、デミウルゴスさん。1冊しかないので順番に読んでもらえますか?」
「わかったわ。私とデミウルゴスとパンドラズ・アクターはすぐに読み終えられそうだけど」
「わ、私だってすぐに読み終えられるでありんす!」
「あ、あの、絵本なので絵にも大事な意味があると思います。ので、しっかり隅から隅まで読んでくださいね」
「なるほど、そういうことですか」
「そ、それです」
「え?」
「あ。あの、えっと、皆さんが読み終えられてからお話ししますね」
「わかりましたよ、マーレ」
そうして全員が読み終わったところで。
「そ、それで、皆さん、このお話を読んでどう思われましたか?」
「どうって?」
「そ、それでは、えっと、デミウルゴスさん、お願いします」
「そうだね。愚かな赤鬼と愚かな青鬼の話、だと思ったのだが、それがアインズ様のお話とは思えない。ふむ」
「えっと、なぜこういうことが起きたのか、ということだと思います」
「ヒントをありがとう」
「い、いえ。さすがはデミウルゴスさんです」
「なぜこういう事が起きたのか。赤鬼が泣く羽目に至ったのはなぜか、ということでしょうか。青鬼は赤鬼の望みの一部しか理解できていなかった。赤鬼の本当の望みがわかっていなかった。つまり!!!」
急にデミウルゴスが立ち上がり、打ちのめされたように崩れ落ちた。
「ド、ドウシタノダ?デミウルゴス」
「なんということを私はしてしまったのでしょう」
「ええ、この予想が当たっているというなら」
「慈悲深いアインズ様だからこそ、ということでしょうか」
「ちょっと三人でわかり合ってないであたし達にもわかるように説明してよ」
デミウルゴスが立ち上がりながら首を振る。
「ふぅ。失礼しましたね。あの時と同じような衝撃を受けたもので」
「あの時?」
「世界征服ですよ」
「あぁ、本当はアインズ様は世界征服をお望みというわけではなかったという話でありんしたね」
「あぁ、あれね。あれはほんとにびっくりしたよね」
「慈悲深いアインズ様は、お望みとは少し違うことになるとご承知の上で、我々に合わせてくださっていた」
「つまり我々は青鬼になってしまっていた、ということだよ」
「え、アインズ様泣いていらっしゃったの?」
「アインズ様は泣きたくとも泣くことはできない。心の中で泣いていらっしゃったのかもしれません」
「いえ、えっと。アインズ様は、赤鬼にならないようにしたいっておっしゃってましたよ」
「赤鬼にならないように?」
「え、えっと、言葉が足りないことを反省する、と」
「そんな!!」
「ナ、ナントイウコトダ!!」
「アインズ様が反省なさる必要なんてありんせん!」
「そうよ、アインズ様がお謝りになるなど!」
「ぼ、僕もそう言ったんです」
「あのさぁ、あたし思ったんだけど。デミウルゴスもアルベドもパンドラズ・アクターも至高の御方々にすっごく頭がいいって設定いただいているんだからさ、まずはアインズ様のお言葉を素直に受け止めるべきじゃない?」
「どういう意味ですか、アウラ」
「たとえばあの世界征服。あの時アインズ様がおっしゃったお言葉を言ってみてよ」
「『世界征服なんて面白いかもしれないな』ですか?」
「そう。お言葉を素直に聞いてみてよ。別に世界征服をしたいっておっしゃっていないよね」
「そうなのですよね」
「でもその前にこの世界を宝石箱に例え、アインズ・ウール・ゴウンを飾る為のものかもしれないなとおっしゃっていましたから」
「それじゃなに、アインズ様がお言葉の選択を間違えられたとでも言うの!?」
「とんでもない!!」
「アインズ様のご命令はさ、あの時玉座の間でおっしゃった、アインズ・ウールゴウンを不変の伝説にせよ、でしょ?」
「その通りです」
「だからさ、それ以外のことを勝手にこうじゃないかって考えるんじゃ無くて、ちゃんと言葉にして確認するようにっておっしゃりたいんじゃない?」
「そうですね。私はあの時浮かれていたのでしょう。アインズ様の本当のお望みをお聞かせくださったと」
「気持ちはわからなくはないわ。私だってデミウルゴスからアインズ様のおっしゃった事を聞いてそうだと思ってしまったもの」
「アルベドもさ。伝聞じゃなくてちゃんとアインズ様に確認しないとだめだったんじゃない?」
「そうね、アウラの言うとおりね」
「お、お姉ちゃん」
「マーレ、こういうことだよね?」
「う、うん」
「さぁ、マーレ。これでデミウルゴス達の聞く用意は調ったよ。アインズ様のお言葉を伝えてよ」
「あ、ありがとう、お姉ちゃん。では、皆さん、聞いてください!
・・・『誤解が生じうるのだということを理解して、指示代名詞ではなくきちんとお互いの望みを確認しあう事が必要ではないかと思うのだ』です!」
「ほら、やっぱり!」
「えぇ、そうですね。やはり私はアインズ様に謝罪をすべきではないでしょうか」
「それは、そうね。謝罪をした上で今後どうするかをお伝えする、前向きな謝罪ならお許しいただけるのではないかしら」
「そうでしょうか」
「もちろん、そうだよ。アインズ様のお優しさはみんなも知ってるでしょ?」
「下手したらアインズ様の方が謝罪なさるかもしれないですね」
「そ、そんなことはあってはいけません!!」
「ん~でも可能性は考慮しておかないと。いざという時に対処できませんよ?」
「それでは、今後どうする、とお伝えすべきでしょう」
「そりゃ行動を起こす前に確認する、じゃない?」
「行動をしてしまってから、これで良かったですか?って確認するのはおかしいでしょう」
「お望みを先回りして叶えて差し上げたかったのですが」
「それが空回りしてるからこうなってるんでしょ」
「面目ありません」
「と、とりあえず、アインズ様の所に行きますか?」
「そうだね。全員で行く?」
「それはさすがにご迷惑でしょう。ここは私デミウルゴスとアルベド、パンドラズ・アクター、そしてマーレで行くのはどうかね?」
「異論はありません」
「そうね。それでいいのではないかしら」
「ご迷惑なら仕方ないよね。任せたよ」
「う、うん。がんばる」
―――ナザリック地下大墳墓 アインズの私室
「アルベド様、マーレ様、デミウルゴス様、パンドラズ・アクター様がお見えです」
「ふむ。この四人の組み合わせは珍しいな。何だろう。良かろう。通せ」
「畏まりました」
アルベドではなく、おどおどとしたマーレを先頭に四人が入室する。
デミウルゴスがかなり落ち込んでいる様子だ。
マーレが例の話をしたから、か?
とりあえず応接セットに移動するか。
応接セットに移動し、一悶着(特にデミウルゴスが座るのをかなり躊躇した)があったがなんとか全員を座らせ、恐らくこのメンバーを率いているマーレに視線を移す。
「あ、アインズ様。さ、先ほどはありがとうございました。そ、それでですね。あのお話を皆さんにしたんですが」
「ふむ。それで?」
「え、えっと。まずあの絵本を皆さんに読んでもらって、えっと・・・」
「失礼いたします。ここからは私からお話しても良ろしいでしょうか」
「ふむ、マーレ。お前はそれで良いのか?」
「は、はい。アルベド様にお願いし、したいです」
「そうか。では、アルベド。お前に頼もう」
「ありがとうございます」
「それで?」
「はい。マーレからアインズ様のお話を伺いました結果、私どもが『泣いた赤鬼』の青鬼と化しているのではないかとの懸念を抱きまして」
「なるほどな。私と同じ感想を抱いた、ということだな」
「ということはやはり」
「うむ、お前達高い知恵を持つと設定されたものたちは青鬼になりかねず、逆に私は言葉が足りないために赤鬼になりかねない、ということだな」
「はい。というよりも実際私どもは青鬼になってしまってアインズ様にご迷惑をおかけしていたかと存じます。大変申し訳ありませんでした。以後は必ず行動に移す前にしっかり報告、相談致します」
「迷惑、というほどではないぞ。結果的にそれも良いかと思ったのも事実だからな。だがそうだな。ほうれんそうは大切だからな」
「は。肝に銘じます」
そうして恐縮している三人を見てアインズは罪悪感がこみ上げる。
そもそもアインズがちゃんと書類を理解できていたら、あるいはもっと早く確認していたら、彼らがこんな風に謝罪する羽目にはならなかったはずだ。
「まぁ済んだことは仕方あるまい。今後だな」
「はっ」
「私も気をつけるとしよう。そもそも、お前達がずいぶん張り切っているなぁとは思っていたのだ。その時に問いただせば良かったのだが。私の為に働くのが喜びだと言っていたからな、そういうことなのかと思っていたのだ。すまなかったな。いや、堂々巡りだな」
「ア、アインズ様!」
「どうした?マーレ」
「え、えっと、みなさんで、お昼寝をする、というのは、ど、どうでしょう?」
「昼寝?」
「は、はい」
「ふむ、昼寝か。悪くはないが、皆で、となると難しいな」
「そ、そうですよね。ご、ごめんなさい」
「いや、謝ることはないぞ。お前の提案は素晴らしかった。代わりにと言ってはなんだが、皆で読書会というのはどうだ?」
「読書会、ですか?」
「うむ。やり方は色々あるが、皆でオススメの本を持ち寄って紹介しあったり、先ほどお前達がしたように同じ本を皆で読んで感想を言い合ったりするのだ」
「そ、それは楽しそうですね。それを皆さんでやるのですね?」
「そうだ。どうだ?お前達」
「ありがとうございます。是非参加したく存じます」
「どちらの形式でやるのが良いだろうか」
「そうですね。やはり最初は一つの本を皆で読む、というのが良いのではないでしょうか」
「私もそう思います。問題は何を読むか、でございますね」
「ふむ、皆種族も年齢もばらばらだからな。よし、ここは専門家であるティトゥスに聞いてみるとするか」
「そ、それが良いと思います」
―――
「これは、アインズ様、アルベド、デミウルゴス、マーレ、パンドラズ・アクター。おそろいでどうされたのですか?」
「うむ。今度皆で読書会をすることになったのだが、何を読むか決めかねてな。お前の意見を聞きたい」
「なるほど。その皆というのは具体的にどのような構成員なのでしょうか」
「そうだな。希望者はできるだけ参加してもらいたいと思っているが、皆の仕事もあるからな。
何回かに分けて開催することになるだろうな。私は無論全てに参加するつもりだが」
「そういうことでしたか。それでしたら参加する者たちに合わせて本を選んだ方が良いかと」
「それもそうだな。ではアルベド」
「はっ」
「すまないが、皆の希望を聞いて日程を調整し、その上でティトゥスに本を選んでもらってくれるか?」
「畏まりました」
「ティトゥスも協力を頼む」
「アインズ様のお望みとあれば喜んで。ちなみにその会には私も参加可能でしょうか」
「もちろんお前も参加してくれ」
「であれば、その際には、本好きと設定されたインクリメントに本を選んでもらうのが良いかもしれません」
「ほう、インクリメントか。ではアルベド、そのように」
「畏まりました」
こうして、「第1回アインズ様との読書会」が催された。
本選びにはかなり難航したようだ。
その時の様子を少し振り返ってみると・・・
幼子が祖父に導かれ、今度は大きくなった子が祖父を導くというお話では
「オォ、オ坊ッチャマ!ゴ立派ニナラレテ、爺ハ、爺ハ、嬉シュウゴザイマスゾ!オ坊ッチャマニ導イテイタダケルナラバ、コノコキュートス、大丈夫デゴザイマス」
遠いところに行ってしまったコキュートスを皆で眺めたり
魔法で作られたガラスの靴が出てきた時には
「魔法で作られているならば、誰にでもサイズが合いそうなものですが」
「もしかすると装備制限があるのかもしれんな」
「なるほど!アインズ様の、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンのように、でございますね」
「うむ」
なんて会話が交わされたり
「裸の王様」を読んだ時には
(うわぁ、これ、まんま俺のことじゃないか?
本当は無能だって。報告書も理解できていないって事を言えなくて、わかっている振りをしている俺だな)
「これは、私だな」
「アインズ様!?」
「それに、デミウルゴス。お前もそうだ」
「わ、私、でございますか?」
「うむ、わからないか?」
「も、申し訳ございません!!!」
デミウルゴスの顔は真っ青で脂汗をだらだら流している。
「そういうところだぞ」
「え~デミウルゴス、わっかんないの?」
「そういうアウラはわかるのかい?」
「一目瞭然だと思うけどなぁ。でも灯台下暗しって言うもんね」
「うむ、その通りだ。偉いぞ、アウラ」
アウラの頭を優しくなでる。
「えへへ。それでアインズ様。デミウルゴスに教えてやりましょうか?」
「そうだなぁ。本当は自分で気づいてほしいところだが。恐らく視野狭窄に陥っているのではないか?」
「なんという・・・ウルベルト様にも顔向けできません」
「そこまででもないぞ。誰にでも起こりうることだ。『泣いた赤鬼』と同じようなことだぞ」
「ティトゥスもいい本選んだよね。あれだけでは足りないだろうって思ったのかな?」
「そうデミウルゴスをいじめてやるな。そうだな。お前で言えば、この作品の商人になりうるし、臣下になり得る。しかし私が求めているのは、真実を告げた子供のような存在だ」
「面目ありません」
「それに私もこの王にもなりうるし、商人にもなりうるだろう」
「アインズ様がそのような!」
「可能性の話をするならばそうだろう?」
「それは・・・しかし、そんなことがあり得るのでしょうか?」
「以前私が黒と言えば白も黒くなり、逆もしかりと言っていただろう」
(まぁ実際は肝心の時にはそうでもなかったりするんだけどな。主に俺の精神的な問題の場合に)
「過去の話はよい。反省し、これからに生かすのだ」
「かしこまりました!!」
「他の者、特にアルベドやパンドラズ・アクターにも伝えておくのだぞ」
「君命、承りました」
「まぁお前と私はある意味似た者同士ということだな」
なんてこともあった。
色々あったが良い読書会だった、と思う。
今後も続けたいものだ。
次はメンバーに合わせてではなく、それぞれが推薦本を持ち寄るのも良いかもしれないな。
そうすれば、一人一人に合わせた福利厚生――慰労ができることだろう。
ニグレドとかシホウツ・トキツとか書いてみたいけどなかなかネタが思い浮かばず
次もまた時間があくと思いますが気長にお待ちいただければ幸いです
タイトルはどうしたらいいでしょうか
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今のタイトルの(仮題)を外す
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一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
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まだ(仮題)のままにしておく