アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題) 作:冥咲梓
そしてお待たせしているのに番外編で申し訳ありません。
それでも楽しんでいただければと思います。
再び意識が浮上する。
空腹感が押し寄せるが二回目だ、慣れたものだ。とはいえ我慢など不可能。
もう本能にゆだねる他ない。口を開け、泣き出す。
先ほどと同じように抱き上げられ、ほ乳瓶を口元に当てられる。相変わらず美味しい。
ふと先ほどとの違いを感じる。
視線だ。
視線が先ほどより圧倒的に多い。
無論アインズは視線には慣れている。だが、先ほどまではそこまで大勢はいなかったように思う。
いったい誰がこの寝室にいるのだろう。
好奇心に負けたアインズはそっと<
そこにいたのは目をぎらつかせ一心にこちらを見つめる一般メイド達だった。
十数人はいるだろうか。
びっくりして思わずミルクを飲むのを止めてしまった。
あ、しまった、と思った時にはもう遅い。
また泣き出してしまった。
「あなたたち、近すぎます、わん」
『も、申し訳ありません!!!!』
居並ぶ一般メイド達が一斉に視界から消える。恐らく跪いたのだろう。
(あ、あーフォスよ)
「こ、これはアインズ様!先ほどは大変失礼いたしました」
(ふむ、状況を説明してもらえるか?)
「はい。アインズ様へミルクを差し上げる練習を先ほど皆でしていたので、実践の為に見学を」
(なるほどな。少し驚いただけだから問題ないぞ。皆跪いているなら立ち上がるように)
「ですが」
(跪かれては私からは皆の顔が見えない。だから立つように。良いな?)
「畏まりました!皆、アインズ様からのご命令です。私たちの顔をお目にかけるためにも立ち上がるように、とのことよ」
『畏まりました』
再び皆の顔が見えた。
ん?奥にいるのはソリュシャンか?これはちょうど良いな。
(すまないが、ソリュシャンに頼みがある。こちらに来てもらってくれ。それで<
「畏まりました。ソリュシャン様、アインズ様がお呼びです。それではアインズ様、失礼致します」
(うむ)
フォスが少し後ろに控え、代わりにソリュシャンが前に出てくる。
(ではソリュシャン)
「はい」
(頼みたいこと、というのはな、その、お前のスライムという特質を生かして私の口の中、というか、飲んだものがどうなっているのかを見てもらえないか?)
「畏まりました」
(か、構わないのか?)
「もちろんでございます。アインズ様の中に入らせていただく栄誉。是非私に」
(う、うん。では頼む)
周囲ではアインズの<
が、もちろんメイドたる者、動揺を表に出すことはない。
もしここにアルベドがいたら酷い事になっていたかもしれないが。
「では、お手数ですがお口を開けていただけますか?」
(うむ)
「あー」
「もう、大丈夫でございます。引き続きミルクをお召し上がりください」
(わかった)
再びミルクを夢中になって飲む。気がつけば満腹だ。眠気も襲ってくる。その前にまずソリュシャンに確認しなくては。
(ソリュシャンよ、何かわかったか?)
「はい。一応アインズ様のお口からミルクと一緒に飲んでいただく事はできたのですが。わかったと申し上げて良いものかどうか」
(どういうことだ?)
「はい。喉を通り越したところで、闇に飲まれてしまいました」
(私の喉の先が闇だったと?だがスライムであるお前は暗闇を見通せるのではないのか?)
「闇、と申しましたのはそうとしか表現できなかったのでございます。通常の闇ではない、真の闇と申しますか。私の目では見通すことが出来ない闇でした。そこにすべてが吸い込まれていきました。恐らくアインズ様の一部になれたのかと」
(え、ダメージ受けたのか?大丈夫か?)
「大丈夫でございます。ダメージなどございません。むしろアインズ様の一部になるなどなんたる光栄」
驚いて眠気が飛んだ。まぁダメージがないなら良いのか?取り敢えずおむつは考えなくて良さそうだな。
それにしても消化管がないとは。まぁもともとスケルトン種だから食事が出来るだけでもすごいもんな。
肺や心臓もないのだろうか。脳はどうなんだろう。まぁこれは今考えることではないな。
(おかげで一つ疑問が解消された。感謝する)
「もったいないお言葉。なれどアインズ様のお役に立てたなら何よりの喜びでございます」
(では、<
「畏まりました。フォス、貴女に交代よ」
「畏まりました」
「ではアインズ様、御前失礼致します」
(うむ、助かったぞ、ソリュシャン)
「はっ」
(ではフォスよ)
「はい、アインズ様。そろそろ守護者の皆様をご案内してよろしいでしょうか」
(うむ、頼む)
フォスに案内され、皆がアインズのベッドの周りに集まり跪く。
(すまないがフォスよ、このマジックアイテムのスイッチを入れてもらえるか?)
「畏まりました」
フォスが先ほどのパンドラズ・アクターと同じようにスピーカーのつまみを調整する。
「まず、私から皆の顔が見えるように立ってくれ」
「畏まりました」
これで皆の顔がよく見えるな。
「さて、度々集まってくれて感謝しよう」
「感謝などともったいない。この危急の事態にアインズ様の招集に応えないものがおりましょうか」
「まぁ感謝くらい述べさせてくれ。それで先ほどの件だがどうだ?」
「はい、アインズ様のおっしゃっていた通り、パンドラズ・アクターとグレーター・ドッペルゲンガーに代役を務めてもらうこととします。
それから私どもからもご提案があるのですがよろしいでしょうか」
「うむ、聞こう」
「はっ。今後アインズ様のお身体は成長あそばされ、様々な事がお出来になられるようになるかと存じます」
(言い回しが回りくどくてわかりにくいな)
「その際に周囲の者がアインズ様のなさることを手助けし過ぎるとお身体の成長を妨げることになりかねないのではないかと懸念致します」
「なるほどな」
「アインズ様のお身体のご成長の為に、メイド達には過度の世話を禁ずる事をご命令いただけないでしょうか」
「うむ、その辺りは任せる。『過度の世話』が具体的にどの程度かを指示した方が良いだろうな」
「畏まりました」
そこでふいに
「くしゅんっ」
くしゃみが出てしまった。ついで泣き出してしまう。
(おかしいな。冷気耐性は・・・あるな?いや、あるが働いていない?上位物理無効化Ⅲや上位魔法無効化Ⅲのようなものはあるようだが。アンデッドの基本特殊能力が無効になっている?毒・病気・麻痺が効くようになっているかもしれないか)
「ちょっとコキュートス。あなた、近すぎるのではなくて?」
「スマナイ」
フシューッと冷気を吐くコキュートス。
「ちょっと!何やってんのさ」
皆にコキュートスは連れられていった。気の毒だ。くしゃみの原因は不明だが。
そこで慌てたペストーニャとシャルティアがそれぞれ
「<
とアインズに魔法を掛けかけたので、慌てて止める。
「ペストーニャ、シャルティア、待て!!!」
「「はっ」」
ここは治療法を探るチャンス、だよな。
「今の私にとっての治療法がネガティブ・エナジーであるかの検証はまだ出来ていない。まず低位の魔法で試してみたいのだが」
「申し訳ないでありんす」
「申し訳ございません、わん」
「いや、咄嗟に治療をしようとすること自体は問題は無い。ちょうど治療法を検証したいと思っていたので渡りに船だな。まずネガティブ・エナジーを試してみるとするか。ペストーニャ、<
「畏まりました。<
上位魔法無効化Ⅲぽいものは切っておく。
「では行くぞ。<
「はい。生命力に微細な変化も見受けられませんでした」
「ふむ。ではネガティブ・エナジーでの回復は有効と見てよい・・・とは言えないな。防御を抜け無かっただけという可能性もある。また、アンデッドの基本能力である食事不要、睡眠無効が働いていない以上、毒・病気・麻痺などが私に効果をもたらす可能性がある」
「なんと!」
「じゃ、じゃぁ、あたしの吐息も気をつけないと、ですね」
「うむ、そうだな。問題は、万が一私が毒・病気・麻痺になった場合の回復方法だ」
「それは・・・」
「麻痺については時間経過で回復するかもしれないが、毒と病気は治した方が良いだろうな」
「どういうことでありんしょう?」
「も、もしかして、ですね。あの、もともとアンデッドは毒や病気にならないから、通常の治療で回復するかわからないというのが問題ってことでしょうか」
「その通りだ。そこでどうするか、だが・・・」
一度毒を受けて、どのような方法で治癒するか試すというのは冒険に過ぎるだろうか。
麻痺で試すか?麻痺なら時間経過で回復するはずだが。
ただ、この状況で麻痺を付与しろと言って誰がするだろうか。
誰もが反対するのが目に見えている。
しかし何もせずに過ごすなどあり得ない。そう。転移して間もない頃に剣を己に突き立て、実験したように。
「ソリュシャン」
「はっ」
「お前は様々な毒を体内で作れたな」
「はい」
「一部分のみを麻痺させる毒は作れるか?」
「はっ。作る事は可能ですが、もしや」
「そうだ。ソリュシャン、お前に命令する。ごく一部に効果のある麻痺毒を生成し、私の・・・そうだな、右足に投与せよ」
「アインズ様、それは!!」
「実験は必要だ。お前達ならわかるだろう?未知を未知のままにすることはできない」
「畏まりました。差し出たまねを申し訳ございませんでした」
「良い。お前達の気持ちはよくわかっている。では、ソリュシャン、頼むぞ」
「はっ」
ソリュシャンの指の一つの先端がごくごく細い針状になる。
「失礼致します」
右足が少しチクリとした。泣き出しそうになるのを必死にこらえる。そして毒の効果があるのかどうかだが、この体だとよくわからないな。
「すまないが、右足と左足にそれぞれ触れてみてくれるか?」
「畏まりました。失礼致します。まず左の御御足に触れさせていただきます」
うん、普通に触られているのがわかるな。
「次に右の御御足に触れさせていただきます」
全然感覚がない。やはり毒が効いているようだ。
「うむ。毒の効果はあるようだな。それでは実験を始めよう」
<
「ペストーニャ、お前は<
「申し訳ありません、わん。<
「まぁ<
「恐れながらアインズ様」
「む?なんだ、アルベド」
「既にルプスレギナを控えさせております。この部屋に入れてもよろしいでしょうか?」
「さすがはアルベドだな。入れてくれ」
「畏まりました。フォス」
「はい。少々お待ちいただけますか」
「うむ」
フォスがルプスレギナを連れて戻る。
こちらを見たルプスレギナはさすがに少し驚いたそぶりを見せたが静かに控えた。
百聞は一見にしかずというやつだな。
「では、ルプスレギナよ」
「はっ」
「お前は<
「はい。使用可能です」
「では私に<
「畏まりました。<
「ふむ。右足に触れてもらえるか?」
「はっ。御御足失礼致します」
うん、麻痺はとれているようだな。ではもう一つ実験だ。実は気になっていることがあるからな。
「うむ、<
「いえ、必要とあらば常におそばに控えさせていただきます」
「いや、それには及ばない。お前はカルネ村ーまぁ既に村といっていいかはわからんがあそこの担当だし、休みも必要だからな」
「畏まりました。差し出口を申し大変失礼致しました」
「気にすることはないぞ。さて、もう一つ実験をしたいのだが、ペストーニャよ。私のHPはどうなっている?」
「はっ。その・・・ほんの少し減っているようでございます。あ、わん」
「やはりそうか」
「そ、それは先ほどの<
「いえ、毒を受けたことによるものですわん」
「も、申し訳ございません!」
「何を言う、ソリュシャン。お前は私の命令に従ったまでだ。それにこの少しダメージを受けるというのも私の実験の一部だからな。さて、お前達の中で<
「はっ。私は使用可能です」
「ふむ。ではルプスレギナよ。私に<
「そ、それは!」
「アインズ様!いくらなんでもそれは!」
「実験だと言っただろう。今のうちに思いつく限りの実験をしておかねばな」
「畏まりました。お言葉に従います。ルプスレギナ」
「は、はいっ」
「ご命令に従うのよ」
「か、畏まりました。では、アインズ様、失礼致します」
<
「ペストーニャ、どうだ?」
「は、はい、あの、HPは回復しました、わん」
「やはりな」
「ど、どういうことでありんす?」
「ふむ、今の状態の私は正のエネルギーで回復可能なのかもしれないな」
「ということは、もしや」
「うむ、<
「それはまさか」
「うむ、再度麻痺毒を投与してもらう。ソリュシャン、頼む」
「畏まりました。御御足失礼致します」
予想通り<
さらにネガティブ・エナジーでの回復可能かを確認するために、再度麻痺毒を受け、<
この体はつまり現状ニュートラルということなのだろうか?
一段落したところで眠気が戻ってきた。
「すまないが、そろそろ限界のようだ。私が寝ている間に、次にするべき実験について検討しておいてもらえるか?」
「はっ、畏まりました」
『おやすみなさいませ』
「うむ、おやすみ」
アインズ様は精神抑制がないのでより行き当たりばったりで行動しています。
そのためにか、毒を受ける前に、毒治癒を使える人を確認してないなど
つっこみどころ満載ですが、眠気もあるので大目に見てもらえれば。
タイトルはどうしたらいいでしょうか
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今のタイトルの(仮題)を外す
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一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
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まだ(仮題)のままにしておく