アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題)   作:冥咲梓

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短めです


アインズとの面談~エントマの場合~

本日のアインズ番メイドが来訪者の名前を告げる。

 

「エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ様でございます」

「そうか。入室を許可する」

 

「――エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ、お呼びとのこと。馳せ参じました、アインズ様」

「ふむ。よく来たな、エントマよ。では面談を始める前に――これは面談を行う者全員に行っているのだが、私の許可無く私に触れたりしないと誓えるか?」

 

アインズが問いかけると、エントマは手に擬態している部分を胸に当て応える。

 

「はい。アインズ様の許可無くアインズ様に触れたりしないと誓います」

「よろしい」

 

アインズは人払いをし、ソファ席に移動する。まずアインズが座り、向かいの席に座るように勧める。

 

「失礼いたします」

「うむ。まずは、エントマよ、改めてお前の働きに感謝する。そしてこのような時間を持てることを嬉しく思う」

「光栄にございます。また、このようにアインズ様とのお時間をいただけること、私にとりましても僥倖にございます」

「・・・今日は支配する者とされる者ではなく、できれば親子のような対話ができればと思う。よろしく頼む」

「はい。かしこまりました」

「さて、本題に入る前にお前には改めて詫びねばならぬ。イビルアイについてだ。本当に済まなかったな」

「あ、アインズ様、頭をお上げ下さい!アインズ様がお謝りになられる必要はございません」

「最前にも説明したように今蒼の薔薇に手を出すことは危険が多い為見送った。彼女たちは南東に向かったそうだから将来的にはお前の願いを叶えてやれる可能性もあるが、まずは安全が最優先だ。恐らくお前も理性では分かっているだろうが、理性と感情は別物だろう」

「それは・・・」

「お前の願いをすぐに叶えてやれなくて本当に済まないな」

 

そう言ってエントマの頭をぽんぽんと優しく叩く。

 

「アインズ様・・・」

「許してくれるか?」

「許すなど・・・」

「許してくれないのか?」

「いえ、そのような!あの小娘につきましては私怨に過ぎません。アインズ様のお考えを優先するのは当然の事でございます」

「そういう事を言いたいのではないのだが・・・まぁいいだろう。この話は終わりにしよう。さて、お前のレポートだが・・・最近あやとりをしているそうだな」

「はい。ユリ姉様に教えていただきました」

「あやとりというのは輪の形にした紐状のものを指を使って一人または二人で様々な形を作るもの・・・というので合っているか?」

「はい、そのとおりでございます」

「あれは通常五本の指を使うと聞くがお前はどうしているのだ?」

「はい。髪に擬態しているところと、手に擬態しているところを使用しております」

「なるほど。私に教えてもらえるか?うまく出来るようになったら二人でするあやとりというものをしてみようではないか」

「はい!是非お願い致します」

「ところでエントマよ」

「はっ」

「・・・お前はユリと話す時もそのような口調なのか?」

「とおっしゃいますと?」

「ユリやシズと話す時はもう少し砕けた口調なのではないか?」

「それはそうですが・・・」

「私にもその口調で話してはくれないか?」

「不敬です!」

「先ほど私は支配する者とされる者ではなく、できれば親子のような対話ができればと思うと話したであろう」

「ですが・・・」

「今は私とお前の二人きり。お前の口調をとがめるものなどいない。今だけでいいのだ。どうだ?」

「かしこまりました。それがアインズ様のご命令ならば」

「うむ、命令だ。それでどうだ?」

「わ、わかりましたぁ」

「うむ、それだ。いいぞ」

「あ、ありがとうございますぅ」

「ふふ、可愛いな」

「ありがとうございますぅ」

「さて、では早速教えてくれ」

「はい。わかりましたぁ。まずぅ、この紐をぉ、このようにかけますぅ」

「ふむ。こうか?ちなみにこの紐は何で出来ているのだ?」

「普通の紐だとぉ、すぐに切れてしまいますのでぇ、私の特殊技術(スキル)で作りましたぁ」

「なるほど。それならば私の骨の指でも問題なく使えそうだな」

「はいぃ、大丈夫だと思いますぅ。ではぁさっそく始めますねぇ」

「あぁ」

「ここをぉ、こうしてぇ、こうするとぉ、箒ですぅ」

「おぉ、なるほど。これはすごい。どれ、こうして・・・こう・・・か?」

「さすがはアインズ様。一度ご覧になっただけでお出来になるとは」

「エントマ。口調が戻っているぞ」

「も、申しわけ・・・ごめんなさぁい」

「うむ、構わないぞ。さて、せっかく褒めてくれたのだが実はこれで予習していたのだ」

 

インベントリから三冊の本を取り出す。「はじめてのあやとり」「やさしいあやとり」「おやこでたのしむあやとり」と書かれている。

 

「お前との面談に当たり予備知識としてこの3冊を読んでいたのだ。ただ実際にやるのは初めてでな。エントマの教え方が上手だからできたのだと私は思うぞ」

「あ、ありがとうございますぅ」

「さて、次はどんな形を作るのだ?」

「そうですねぇ、少し難易度は上がりますがぁ、きらきら星はいかがでしょうかぁ?」

「きらきら星か、良いな。私はこの世界の夜空がとても好きだ」

「そうなのですねぇ。では始めますねぇ」

 

そうして二人は心ゆくまであやとりを楽しんだ。

 

 


―――ナザリック地下大墳墓 アインズの私室

 

アインズは報告書を書いていた。

報告書といってもむろん誰かに見せる為のものではない。

面談はすれば終わりというものではない。

良かった点、悪かった点を洗い出し、次に生かさねばならないのだ。

アインズは今日のエントマとの面談を思い出す。

 

今回の面談はほぼ成功といっていいのではないだろうか。

・・・なかなか良い感じに義親子っぽくできたと思う。

イビルアイについての謝罪はうまくいかなかったが、命令とはいえ、普段の口調で話してもらえたことも一歩前進と言えるだろう。

この調子で次も頑張ろう、と堅く決意するのであった。

 

 

 

 

戦闘メイド(プレアデス)達の私室のうちの一つ、ユリ・ルプスレギナ・ナーベラルの部屋

 

「ただいまぁ」

「おや、エンちゃんがこっちに来るのは珍しいっすね」

「そうね。今日はアインズ様との面談だったのでしょう」

「はいぃ・・・」

「どうだったの?あ、これは聞いてはいけないのでしたね」

「ユリ姉様ぁ、ありがとうございましたぁ」

「どういうことかしら?」

「教えていただいたあやとりをぉ、アインズ様と一緒にしましたぁ」

「それは素晴らしい」

「いいっすね、いいっすね。アインズ様とあやとりだなんて。私にも教えてほしいっす」

「・・・うらやましい」

「ではぁ、一緒にやりましょうかぁ。シズ()にもぉ、教えてあげるぅ」

「・・・違う。貴女が妹」

「貴女がぁ妹ぉ」

「はいはい。そこまで。それよりもあやとりをするのでしょう?」

「・・・ユリ姉が言うなら仕方が無い」

「ユリ姉様にぃ、感謝するのねぇ」

「・・・む」

「今日はぁ、気分がいいからぁ、許してあげるぅ」

「・・・それはこっちの台詞」

 

いつものように仲良くじゃれ合う二人をおいてユリ、ルプスレギナ、ナーベラルがあやとりを始めると慌てて二人も加わる。

 

「後でソリュシャンにも教えてあげましょうね」

「はいぃ」

 

ソリュシャンは今日はログハウス勤務だ。

 

「アインズ様とぉ最初にしたのはぁ、箒ですぅ」

「これは割と簡単っすね」

「そう?私にはちょっと難しいわ」

「・・・ここをこうすればいい」

「ありがとう、シズ」

「私がぁ教えてるのにぃ」

「アインズ様はどうおっしゃっていたの?」

「かわいいって褒めて下さいましたぁ。それにぃ、とっても楽しいって笑っていらっしゃいましたぁ」

「アインズ様を楽しませる事が出来たなんて本当に素晴らしいわね」

「・・・私もアインズ様とあやとりをして楽しいって笑ってほしい」

「そうね。お忙しい御方ですから難しいかもしれませんが、機会があればできるといいわね」

 

そうして、翌日はソリュシャンも入れてあやとりを楽しんだ。

 

その翌早朝、第九階層食堂

 

「う~ん、これはちょっと難易度高いっすねぇ」

「・・・そう?簡単。こうすれば良い」

「ルプスレギナさん、シズちゃん、それはいったい何ですか?」

「ん~あやとりっすよ」

「・・・エントマが先日アインズ様と一緒にしたって言ってた」

「まぁ、アインズ様と!私たちにも教えてもらえませんか?」

「いいっすよ~でも私たちよりユリ姉やエンちゃんの方が詳しいっす」

「そうなのですね」

 

そうして一般メイド達の間で瞬く間にあやとりがブームとなり、そしてナザリック中がブームになるまでさほど時間はかからなかった。

 

 

 

 

―――ナザリック第九階層 副料理長のショットバー

 

いつも通りエクレアが副料理長――ピッキーと話しているとカランと来客のベルが鳴る。

 

「やぁ、パンドラズ・アクター」

「エクレア、やはりここにいましたか。さぁ、私と一緒にあやとりを致しましょう!!」

「え?あやとり?」

「ご存じありませんか?今ナザリック内であやとりが流行っているのを!」

「知ってはいるが、あれは指が五本ないとできないだろう。私たちには縁の無いものだと思うがね」

「そこでございます!」

「そこ?」

「ち――モモンガ様に私の指が足りなくてあやとりが出来ないことをご相談致しましたら・・・」

 

 

「何?指が足りなくてあやとりができない?あやとり、そんなにしたいのか?」

「もちろんでございます!!」

「別に私に変身しても構わないが、そうだな、お前と同じように指が足りなくてあやとりができない者がいるだろう。その者達と協力してやるのはどうだ?」

 

 

「・・・とご提案いただいたのでございます!さぁ、エクレアもピッキーも私と共にあやとりを致しましょう!

そしてゆくゆくはモモンガ様と『おやこのあやとり』を!まずは練習でございます!」

「わかった、わかりましたからそんなに顔を近づけないでくれたまえ」

「ピッキーも」

「畏まりました。おつきあい致しましょう」

 

そうしてあやとりをする為に休憩時間を使用して集まる者達が増え、上手くできるようになると順番にアインズと共に「おやこのあやとり」をするのが皆にとってのご褒美の時間となった。

特にアインズ番が夜番をする時にこのチャンスが巡ってくることが多く、垂涎の的であった。

 

「私は仕事中でございますから・・・」

「ふむ、私の気分転換につきあってくれ。それならば良いだろう?」

 

などとアインズは心置きなくあやとりが出来るように配慮する事を忘れなかった。

夜番メイドにじっと見つめられるのは正直苦手だったが、このあやとりによる交流によって少し見つめられるストレスが軽減したのも良かった。

 

それにしても・・・とアインズは独りごちる。

パンドラズ・アクターはともかく、デミウルゴスやコキュートスまであやとりをアインズと一緒にすることを希望したのには正直驚いた。

考えてみれば彼らも意識を持ってまだ数年。子供の部分もあるのだろう。

こういう子供の遊びを皆とするのも良いものだ。幸せ、かもしれない。




リクエストいただいたエントマとの面談話です。

元々のリクエストは、エントマが符術を使うということで、符を書くのから派生して書道はどうか、というお話でした。
しかし調べてみるとエントマの符術はあくまでエフェクトで実際に符を書いたり用いたりする事はないとの事でした。
それでどうしようと考えてひねり出したのがあやとりです。
アインズ様とエントマのあやとりは絵で描くとかなり怖いと思いますが、雰囲気はほのぼのにできたかな、と思っております。

当たり前ですがエントマの趣味があやとり、というのはねつ造です。

タイトルはどうしたらいいでしょうか

  • 今のタイトルの(仮題)を外す
  • 一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
  • まだ(仮題)のままにしておく
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