後ろの席の二宮飛鳥   作:断花葵

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まさかのUAが一日にして1000越えとは……
これが二宮効果なのか。


2話 二年目になるとこうなる

 「で?またお前と同じクラスか……」

 

 「そういう事になるね。これはボクたちが運命共同体というわけだが……」

 

 「たかが二年同じクラスになっただけでんなこと言うな」

 

 本当にこいつは……

 

 ホームルームが終わって後ろの二宮と話す。

 二年生からは特に始業式でやる事はないからな。大体顔は分かっているし。

 いつもと変わらない風景だったが……一つだけ違うものがあった。

 

 「そういやエクステ?だっけ。前のとは違うな」

 

 「ああ、仕事でね。とは言えもはや趣味の一環だけど」

 

 エクステとか校則違反乙!と思ったそこの貴方。詐欺罪と器物損壊罪で逮捕します!理由はお分かりですね?

 この中学は比較的自由だからいいんだよ。……多分。

 

 エクステに視線を合わせる。いつ見ても凄い色だな……

 二宮が言う仕事とは何かというとこいつは少し前からアイドルをやっている。

 もう一度言おう。アイドルだ。

 地下アイドルとかV〇UBERとかそんなちゃちなもんじゃあねえ(他意はない)あの346プロ所属のアイドルだ。知ったのはつい最近だけど。

 

 「エクステって要は偽物の髪だろ?よくできてんな……」

 

 「そうだね。このエクステは化学繊維で作られているけど本物に近い素材でできているんだ。」

 

 「へえ……」

 

 そんな風に言われるとどんなものか気になるな……

 

 「なあ、触ってみてもいいか?」

 

 「駄目だ」

 

 dsyn-分かっていたけど。

 こいつはエクステを他人に触らせる事が嫌いだ。理由は分からんが。

 

 俺がショックだったのか二宮はため息を吐くと、

 

 「……まあ、キミがどうしてもというのなら話は別だけど」

 

 「え、いいの?」

 

 「……二度も言わせないでくれ」

 

 やったぜ。

 そういう事なら早速触ってみよう。

 

 「じゃあ……失礼します」

 

 「ああ……なるべく早くしてくれ……」

 

 では、推して参る。

 

 机に乗り出して二宮のエクステを触る。ほう……たいしたものですね。

 初めて触ったそれはサラサラしていて本物の髪の毛と区別がつかないほど似ていた。

 まじでこれ人工物かよ。本物そっくりじゃん。

 

 「……なあ、もういいだろう」

 

 「まだだ」

 

 試しに手櫛を通してみる。すると抵抗なく俺の指先を髪を通していく。

 時代はここまで来たのか……

 ……やっぱり実物と比べたいな。

 

 「ちょっとお前の髪も触らしてくれ」

 

 「それは駄目……っなあ!」

 

 返事も聞かず更に近寄ると二宮自身の髪を撫でる。

 エクステと変わらずサラサラとしているが女子特有かは分からないが柔らかさも感じる。

 あれやばいこれ何か変な扉開きそう。

 

 「この……いい加減にしないか!」

 

「ひでぶ!」

 

 二宮の叫びと同時に頬に鋭い痛みが。

 ぶったね!親父にもぶたれたことないのに!

 あいつの方を向くといつもは白い肌が真っ赤になっていた。

 

 「何しやがるお前!」

 

 「……周りを見てみろ」

 

 消えそうな声でそう言った。

 はあ?周りを見ろって言われても……おっふ。

 

 そういえば忘れてた……まだホームルームが終わっただけだったな。

 教室内には他の生徒がいるのは当たり前だ。

 そんな俺達のやり取りを男子は恨めしそうに、女子はキャーキャー言いながら騒いでいた。

 

 『新崎……!!!』

 

 クラスの男共から怨念が籠った叫びが聞こえた。

 待てお前ら。今さっき知り合ったばっかだろ!なんで団結してるんだ!

 

 『ヒャッハー!汚物は消毒だ!』

 

 畜生……ここは兎に角あれをやるしかない。

 

 「逃げるんだよお!」

 

 スモーキー!

 

 ♦

 

 「散々な目に遭った……」

 

 あれから担任が来るまでクラスの男子と追いかけっこをしてた。

 俺以外の全員と絆が深まったようで学校が終わった後カラオケに行ったそうだ。……俺を除いて。

 

 「あーあ、また友達作れなかったわ」

 

 「残念だったね」

 

 「元凶が何を仰る」

 

 本当にお前のせいだからな。

 睨みつけてると二宮は少し笑って、

 

 「いいじゃないか。ボクとキミは孤独を分かち合った仲なんだから」

 

 「それ理由になってないからな」

 

 全く……こいつちっとも反省してないな。

 二人並んで帰り道を歩くが……随分と周りの視線が痛い。

 

 「……なあ」

 

 「何だい?」

 

 「常々思っていたんだけどさ、お前アイドルだろ?俺と一緒に帰って平気なのか?」

 

 こいつアイドルだったわ。

 男と一緒に帰っていたら理由は何であれスキャンダルじゃないのか?

 

 「ああ……たとえ偶像という存在になっても誰も人の事なんて見向きもしないさ。キミだってそう思うだろ?」

 

 「いやまあそれはそうなんだけど……」

 

 良く分からないけど……まあヨシ!

 

 「でも……今日はレッスンの日だからね。キミとはここでお別れだ」

 

 「そっか、……終わったら()()()にいるのか?」

 

 「ああ、あの場所で待ってるよ」

 

 そう言うと二宮は大通りにある346プロダクションの本社へ入っていく。

 さてと……俺も一旦帰るか。

 

 ♦

 

 夜……といってもまだ20時ぐらいだけど。

 玄関の扉を開けるとまだ少し冬が残っているのかジャンパーを着ていても肌寒く感じた。

 

 「寒……」

 

 赤い革ジャンのチャックを締め直す。

 俺の日課……でもないけどあいつと出会ってから俺は時々夜の散歩をしている。

 同じ場所でも昼間とは違った世界。歩いている人も仕事帰りが多いのか下を向いている。

 程なく歩いていると目当ての場所にたどり着いた。

 

 「やあ、遅かったね」

 

 学校の屋上。

 裏口から校内に入って外付けの階段から侵入する。防犯カメラもこのルートには設置されていない。

 元々は俺のサボり場所だったがある日何故かこいつがいた。

 そこから俺とあいつの関係が始まったのだか……

 

 「で、今日は何かあったのか?」

 

 「特にはないさ……キミと話がしたかっただけだよ」

 

 珍しい。ここに来る時は大抵何かある事が多いんだけどな。

 

 「もしかして迷惑だったかい……?」

 

 「んなことねえよ」

 

 俺の態度が心配なのか寂しそうな表情をする二宮。

 そんな事一回も思ったことない。……いや最初は思っていたかも。

 ……もしかして今日のあれか?こいつ変な所で気にしやがって。

 

 「今日の事だったら心配すんなって。別に友達が居なくても何とかなるさ」

 

 「……うん」

 

 「それに……俺達は運命共同体だろ?」

 

 ……言ったそばから恥ずかしいなおい!

 

 照れた顔を隠すように「アーアー」と言いながら空を見上げる。

 こんなキャラじゃないのにな。

 

 「……キミはそういう奴だったな。……今も昔も」

 

 何を言ったか聞き取れなかったが同じく空を見上げる二宮。

 曇り一つ無い夜空。今日は満月だった。

 

 「月が綺麗だね。速人」

 

 「そうだな」

 

 月明かりが俺達を優しく包む。

 ふと彼女を見ると絵画から切り出した様に神秘的で、優しく微笑んでいた。

 

 ……やばい思わず見惚れてしまった。




『新崎速人』 一日目にして友達を作るどころかクラスの男子から目の敵にされた。しかし何で追いかけられたのか本当の意味で理解してない鈍感系男子。エクステを触れる事から彼女の好感度が高いことが判明した。

『二宮飛鳥』 最後の方に少しだけ勇気を出したが気付いて貰えず。少し主人公に対して依存してる節が見られる。薄い本が厚くなるな!

『クラスメイト』 主人公ズに対して様々な派閥があり、ゆ゛る゛さ゛ん゛!派と見守る派に分かれている。一応主人公ズの知り合いとして田村人志という人物がいるがそいつの出番はいつ来るのか……

『理由はお分かりですね?』 ワザップジョルノ。取り合えず汎用性は高い。

『やったぜ』 投稿者:変態糞土方

『ぶったね!』 その後の台詞も有名。19歳が殴った後に言う台詞じゃねえな。

『ヒャッハー!汚物は消毒だ!』一体いつからこの教室は世紀末になったのだろうか。

『逃げるんだよお!」 一体いつから1983年に(以下略

『ヨシ!』 分からないけど大丈夫な時に使える。これも汎用性高い。

『夜の散歩』 作者に物凄い影響を与えた空の境界から参考にした。

『夜の屋上』 警備がガバいのはご都合

『月が綺麗ですね』 これはググってくれ。

あとがき――
皆様見てくれてありがとうございます。
もはや感謝の極み、いや二重の極みです!
次回からは一話完結といった話になります。一応季節に合わせてやりたいなとは思っているので色々な案を下さい……

評価9をくれたオクスタン様、ありがとうございます!
是非皆さん感想、評価お願いします!今なら更新スピードが上がります(ガチ)

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