後ろの席の二宮飛鳥   作:断花葵

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遅刻した!
お気に入りが30を超えました。ありがたやありがたや。


3話 カラオケの曲選択は悩みがち

 時は流れて。

 今日は試験だったからいつもより早く終わった。

 こういう時は家に帰って寝るに限るな!

 

 いそいそと教科書をバックに仕舞う。

 ちゃんと持ち帰ってえらい!

 

 「なあ、今日は暇かい?」

 

 「暇じゃない」

 

 後ろから二宮が前のめりに倒れかかってきた。

 残念だったな。今日はもう用事が出来たんだよ!

 

 「そうか、今日は暇なんだな」

 

 「……なんで分かった」

 

 何やってんだ美嘉ァ!……っと別の人だったな。

 なんなのこいつ?もしかしてエスパー?

 

 「残念だけどもうエスパーは事務所にいるんだ」

 

 「まじかよ!?」

 

 やばいな346プロ。こいつもかなりの色物だし実は魔物の巣窟じゃないのか?

 ……まあアイドルはキャラ付け大事っていうからな。

 

 「で?なんか用事でもあるのか?」

 

 「今日はボクもオフの日だからね。何処かへ出歩こうじゃないか」

 

 珍しい。大体はレッスンだとかなんだでほぼ毎日忙しいんだけどな。

 

 「……拒否権はないんだろ」

 

 「勿論さ」

 

 「はいよ……お嬢様」

 

 バックを背負うと二宮の横に立つ。

 ……いつもの事だが視線が痛い。

 いや待てよ?何ならこいつらも誘えばいいじゃないのか?

 

 「なあ、折角だからクラスの奴らも誘おうぜ」

 

 その瞬間冷たい視線が一気に変わり男子から歓喜の声が。

 まあアイドルと遊べるならこうなるか。

 

 「嫌だ」

 

 何気ない二宮の一言が男子を傷つけた。

 ……これ俺が悪いの?

 

 「ほら、さっさと行くよ」

 

 打ちひしがれる男達をスルーし二宮は教室を出て行った。

 すまない……本当にすまない……

 

 その後を追うように着いていった。

 

 ♦

 

 学校を抜け出し中心街へ向かう。

 同じく試験だったのか昼の時間にも関わらず違う制服の人もチラホラと見かける。

 

 「それで何処に行くんだ」

 

 「そうだね、折角だからカラオケにしようじゃないか。キミも行きたがってただろう?」

 

 「帰る」

 

 なんで現役アイドルがいる前で歌わなきゃいけないんだ。唯の吊し上げだろ。

 それに俺が行きたいのは男友達とだ!

 帰らせて貰うぞ……って手を掴むな!

 

 「へえ……まさかキミがそっちの人だったとは。まあ理解はあるけど……」

 

 「いや違うから!是非とも二宮飛鳥様とカラオケ行きたいです!」

 

 「フッ、最初からそう言えばいいんだ」

 

 この速人様をコケにしやがって……

 やってやろうじゃないの!

 

 ……あ、手は掴んだままなのね。

 

 ♦

 

 「カラオケとか久しぶりだな……」

 

 あいつは別にいいと言っていたが念の為に俺が受付をした。

 ファンに特定されたら困るだろ。

 学校に出る前に渡した変装用の眼鏡もあまり好きじゃなかったみたいだし。

 ……本当にアイドルとしての自覚あるのか?

 

 受付を済ませると指定された部屋に入る。

 そこには先に準備を終わらせたのか二宮がソファに座ってた。

 ……はえーよホセ。

 同じく入り口近くの場所に座り込む。

 

 「……どうする?俺から歌うか?」

 

 トップバッターを決めるのは結構大事だからな。

 その流れで曲選択も変わるし。

 

 「……先にボクから歌おうか。その方がキミも楽だろう」

 

 いや全然楽じゃないけど。

 寧ろその後に続くとか不安まであるけど。

 

 「折角来たんだ。ボクの曲を歌おうじゃないか」

 

 「……まじで?」

 

 そう言ってマイクを持ち、立ち上がった。

 此処にこいつのファンが居たら泣き出すんじゃないのか?

 バレたら刺されそうだな……

 

 「それじゃあ唄おうか」

 

 

 『共鳴世界の存在論』

 

 

 二宮が歌い始める。

 正直曲の内容は難しい言葉が多くて理解できなかった。

 

 「叫び続ける。ボクは此処に居る」

 

 だけど俺には……とても哀しい曲に見えた。

 

 まるで誰かを待っている様に。

 誰かの救いを求めているかの様に。

 

 突然あの日を思い出した。

 まだ俺があいつとこんな仲じゃなかった頃。

 ……あの雨が降る日を。

 

 

 「……そんな哀しい顔してどうしたんだい?」

 

 いつの間にか曲が終わっていたのか二宮が顔を覗いてきた。

 愁いを帯びた表情が見える。

 

 「そんな心配しなくてもあの時の様にはならないよ」

 

 「……そっか」

 

 思い込みすぎだったな。

 ……俺も歌うか。

 

 スマホで調べながらタッチパネルを交互に見る。

 ……これにするか。

 

 立ち上がって歌う準備をする。

 あいつが魅せたんだ。俺もそれ相応にやらなきゃな。

 ……逝こうか。

 

 ♦

 

 「……死にたい」

 

 時間が来たので店から出る。

 空は茜色に染まっていて光が目に染みる。

 

 「……まさかキミがあんなに音痴だったとは」

 

 「悪かったな」

 

 そう、俺は音痴だったのだ。

 あまり上手ではないと思っていたが二宮が言うには地声はいいのに音程が壊滅的とのこと。

 ……アイドルが言うんだから本当の事なんだろうな。

 結局一曲歌い終わったら後は二宮が歌っているのを聴くのに徹していた。……もうカラオケ行くの辞める。

 

 「……次はいつ行こうか」

 

 「お前本気か」

 

 死体蹴りかな?

 今さっき下手なのが分かったのに一緒に行く奴が何処にいるんだ。

 ……下手で悪かったな!

 

 「いいじゃないか、ボクは他の奴とは違うんだ。それに……」

 

 「それに?」

 

 そう言うと並んで歩いてた所から目の前へ歩き出した。

 

 「ボクだって好きじゃない奴と行こうとは思わないさ」

 

 視線が交差する。

 

 「キミとだから行きたいんだ」

 

 逆光だからか、二宮の顔がハッキリと見えなかった。

 だけどその顔は……

 

 夕陽と同じ様に朱く染まっていた気がした。




『新崎速人』 コ〇ンもびっくりの音痴。終始気づかない鈍感野郎。過去に何かあったご様子。

『二宮飛鳥』 孤高の歌姫。今があるのは彼のおかげ。

『男子』 今回の被害者。

『えらい!』 肯定ペンギン。

『美嘉、エスパー』 どちらも同じ事務所のアイドル。彼女らに出番は来るのだろうか……

『すまない』 ドラゴン必ず殺すマン。作者はアポを観て推しになった。

『はえーよホセ』 「あいつ何やってんだ?!」

あとがき――
短い上に遅くなりました。
いやーバイトが重なって書く暇がなかったです。皆はコロナに気をつけろよ!
今回は少しだけ彼らの過去に触れました。
書こうとは思うんですがタイミングガガガ。
そこでアンケート形式にして決めてもらおうと思います。
これって銀魂方式だから時系列バラバラでも多分大丈夫。

さて、皆様此処まで見てくれてありがとうございます。
是非とも感想、評価の方よろしくお願いします。
お願いします何でもしますか((お馴染み

先に過去の話を……

  • いいや限界だ!やれ!
  • 逆に考えるんだ後でもいいさと
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