幼馴染がVTuber始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった件   作:すばう

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VTuberの小説にハマったので見切り発車ではありますが始めました。


幼馴染がVTuber始めまして

「私、VTuber始める!」

「は???」

 

グッモーニン、ハロー、こんにちは、こんばんは。

突然の意味わからん発言で開幕困惑ぶっぱしてしまった私を誰が責めようか。

いたら私が手ずから屠ってやるから首をだせい。

っと、脱線してしまった…。

 

「何で急にVTuber?確かに最近流行ってるっちゃ流行ってるけど」

「えっとね、前々から配信者に憧れてたんだけど、普通の実況とか、顔出ししないような配信だと続かないかなぁって思って…」

「待て待て待て待て、配信者やりたかったってのも初耳だし何で無駄にチャレンジャーなんだ」

 

まぁ配信者飽和時代で、ぱっと出たところで伸びるわけはなく、趣味程度でやるのなら良いだろうが、ガチでやるなら2〜3年は長い目で見る必要がある。

正直VTuberも最近は増えてきて同じだろうが、まだトレンドではあるし目は引きやすいから、間違っちゃいないだろうが……。

 

「あんた機材とかどうすんの?」

「それがね!じゃーん!なんと私、VTuber事務所に受かりました!」

「おー……ぱちぱちぱち………はぁ……???」

 

いやそれも初耳なんだよなぁ……。今日は驚きの供給過多で心臓麻痺になりそう。

 

「所属するからしばらく機材を貸し出してくれるんだって!」

「んな太っ腹な事務所って事は、結構有名な事務所なの?」

「えっとね、2次STARSって事務所」

「よく受かったなほんと!」

 

2次STARSーー VTuberを先駆け、VTuber好きなら名前の知らない人はいない事務所。

今や倍率が高く、まだ3期生をつのったばかりだが……。

 

「まさか3期生のオーディション受けたの?」

「せいかーいっ。まさか私も受かるとは思わなかったの!で、で!あーちゃんに真っ先に報告したかったんだっ」

「あー、さいですか……」

「むー……反応うっすーい…!」

「いや…も、ほんと…驚きの供給過多でしんどい…」

 

とんでもねー幼馴染だ…。

小学生の頃から今に至るまでの10年くらいの付き合いではあるが、未だに突飛な事をしでかすから目が離せない…。

 

「で、デビューはいつなの?」

「んーとね、3週間後だったかな。しばらくは告知と絵師さん、運営さんと話し合いっ」

「あー、設定とか?」

「そうそう!絵自体は完成してるから、お披露目できるようになったら真っ先にあーちゃんに見せるねっ」

「はいはい楽しみにしとく…」

 

衝撃発表は兎も角、この子が何かに夢中になれることが見つかったのなら、私としては嬉しい。

私に合わせるように同じ事を始め、私としか遊ばない子だったから。

これで私もゆっくり出来る時間が確保出来そう。

この子の配信を見てあげたりしながら、自分の趣味に没頭するのも悪くないだろう……。

 

私の膝に頭を乗せてゴロゴロしてる幼馴染…小夜の頭をわしゃわしゃと撫で回しながら、そんな少し先の未来図を想像し、少し……ほんの少しだが、ワクワクしている。

私の手の届かない場所に突然行ってしまったような気持ちはあるが、この子が私の後ろを着いてくるのではなく、自ら進んで行くのが、たまらなく嬉しい。

元来この子は、私などいなくてもなんでも出来る子なのだ。

 

私はほんとにたまたま居合わせた一人間にしか過ぎず、私と出会わなくても、小夜は勝手に動いて勝手に輝いていたに違いない。

私がいたからそのタイミングが掴めなかっただけで…こうして自分から動いちゃえば、あっちから運が助走つけてやってくる。

 

「あーちゃんあーちゃん、配信始めても、一緒に遊んでくれる?」

「さて…小夜が人気になっちゃったら、時間作れなくて遊べない可能性があるじゃん?」

「そうなったらあーちゃんとコラボして遊ぶ!」

「はっはっは、こやつめ何を言いよるのやら」

「いひゃいいひゃい…ほっへのひりゅ…っ」

 

私は見る専、配信するには向かないし興味もない。

それに、素人と……しかもリアルの友達とコラボ配信など誰得だって話だ。

兎も角、私は見守る側でいるつもりだ。今回も、これからも……この子が私を必要としなくなる日まで、私は変わる気は無いのだ。

この子の近くで、楽しそうにしてる姿を見ているだけで、私は満足さ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

時間はPM10時過ぎ。

盛り上がる、まだ待機画面中のコメント欄。何時間も前から待機していたのか、初めから数千の視聴者が…開始時間が近づくにつれ数は増え、配信直前には1万近くの視聴者に。

緊張する…この緊張感はなれない…まさかこんなに有名になるなんて、誰が予想しただろう。

あの日あの夜に話した事が、最早現実になるとは思わなかった……。

今や人気絶好調のVTuberとして名を馳せ、チャンネル登録者数も100万間近まで行ってしまった。

 

配信開始ボタンが押された……。

コメント欄の盛り上がりは最高潮だ。

 

コメント きちゃー!

コメント きたぁぁ!

コメント リンちゃんこんばんはー!

コメント 待ってたよー!

 

弾幕のごとく流れていくコメント。皆VTuber、鈴科リンに魅了されている。

私としても、幼馴染がこんなに頑張って輝いてる姿を間近で見れて鼻高々である。

ではある、が……。

 

「皆さんどもどもー!2次STARS3期生、鈴科リンです☆今日もみんな元気だねえ…リンちゃんも負けないゾ!!」

 

コメント めちゃくちゃ元気で草

コメント そら30時間耐久ゲームやった後、先輩とコラボしてる体力お化けだし…

コメント ほんとおかしい

コメント だがそれがいい

 

「その話はなーし!あの後運営さんと、幼馴染のAちゃんに怒られたのデス…」

 

コメント 運営は分かるが流石Aちゃんww

コメント Aちゃんママも大変だったろうな…

コメント 終始見守ってたんだもんな

コメント 30時間耐久からのコラボも……?

コメント あたりまえなんだよなぁ…

コメント ヒェ……

 

私の話題が当然のように流れていく。

それを目で追うが、大体が肯定的なコメントで、否定的な発言はない。

と言うか誰がママじゃい、失礼な。確かにリアル保護者公認の保護者である事に否定は出来ないが……。

なおも話題は友人Aちゃんこと私の話題でコメントは持ち切りだ。

 

「はいストーップ!Aちゃんが素敵で無敵で可愛いのは周知の事実だけど、まだ紹介終わってないからね☆はい、どぞどぞっ」

 

ああ……ほんと……どうしてこうなったんだ…私はただ、幼馴染のVTuber活動を見ていただけなのに……。

 

「……はいこんばんは、鈴科リンの友人、友人Aでーす、帰っていい?」

 

コメント 待って

コメント Aちゃんママ帰らないで

コメント Aちゃんママきた!

コメント 相変わらず可愛い声ですこ

コメント Aちゃんもそろそろ体作って

 

「……私はリンを見てるだけで満足なので要らんわい」

 

「Aちゃんも諦めてVTuberになればいいのに☆」

 

「えーい膝に座らせるな離れろっ」

 

コメント てぇてぇ

コメント Aちゃんママ、膝に座らせられるとか絶対ちっちゃい

コメント 閃いた

アザミ・ロータス 通報

コメント Aちゃんママガチ勢来るぞやめとけ

コメント ローちゃん速攻コメしてて草

コメント Aちゃんママガチ勢の中で最強が来るとは…惜しくもないやつが逝ったな

 

いや、ほんと、どうしてこうなった!?


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