幼馴染がVTuber始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった件   作:すばう

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かなココ同居にすいちゃんも加わるとか天国?天国かな?



幼馴染の同期がやべーやつでして

初めて彼女に会った時、何てでかい子なんだろうと思った。

唯一の男性で同期の彼よりも、さらに高く、大きな子。

これで高校二年生と聞いた時は、さらに驚いた。

 

彼女の名前は音無小夜、2次STARS3期生、鈴科リンとして活動しているVTuberだ。

リアルの彼女は元気で明るく、バーチャル世界の彼女もまた、同じ性格をしている。

私のような根暗とは違う、オンもオフも快活な子……それが、私の、彼女のイメージだった。

 

彼女はよくトラブルを起こす子だった。

彼女は善意で行っているのだろうが、全て空回りしてしまい、思わぬ方向へと向かってしまう。

 

頑張ることは悪いとは言わないが、その努力の方向性が明後日の方向に向かってしまうのは、彼女自身が不慣れなことをやろうとしているからだと思う。

 

彼女は努力家だった。配信機材の使い方、配信方法なんか一切知らない、それでもVTuberになった。

1から覚えて行き、問題なく配信できるようになった。

 

そんな彼女が、それを改善しないはずは無い。改善しようと奮起する度、空回りしてさらに明後日の方へと行ってしまうんだろう。

 

だから、私達も、事務所のスタッフさんも、マネージャーさんも強く言えないのだ。

私は、そんな彼女を殊の外気に入っていた。

 

元気で、自由奔放で、人懐っこい彼女からは、邪な気持ちなど何も無い無邪気な感情を向けられているようで、なんだかこちらの毒気が抜かれていくようだった。

 

3期生の仲も良好で、1期生2期生の先輩方も優しく、とても良い所に入れて楽しい活動ができていると思っていた……。

 

そう、あの子を知るまでは……。

 

度々彼女の口から語られる、あーちゃんと言う幼馴染の話。

あのトラブルメーカーに付き合える幼馴染が居るのかと、当初は話題で持ち切りになっていた。

話を聞けば聞くほど、あ、保護者だこれ……と思わなくもなかったが……。

 

彼女曰く、唯一無二の親友、小学生の頃からの付き合い、毎日遊んでくれる優しい子、配信も毎日見てくれている、お母さんよりお母さんなどなど……。

耳にタコができるほど聞かされた。

 

そしてついには配信にまでも幼馴染の話題を出してしまうほどだった。

そこまで話題が尽きない幼馴染、と言うのも…逆に気になってしまうものである。

 

一体どんな人物なのか、あの子を御することの出来る存在は本当に居るのか……。

それを確認すべく、ジャングルの奥地に赴いたスタッフも少なくない……なんて冗談はさておき。

 

初めてのオフコラボの時に、ついに彼女の幼馴染と邂逅を果たした。

 

「おっはようございまーす!!小夜でーす!」

 

勢いよく開かれたドア、入ってきた彼女はいつも通り元気いっぱいであった。

時間にはかなり余裕がある…打ち合わせとかいつもギリギリになってしまう彼女にしたら、とても珍しい事だった。

 

唯一違うとすれば……。

 

「リンおっそい、また遅刻したかと思ったわよ?」

「いや、俺らが早かっただけで今日は普通にセーフだぞ!?」

「あら、リンが普通に来るなんて…明日は雨降りそうね」

「あらあら〜…珍しい事もありますねぇ」

「りり……リンが…誰か連れてきてる…」

 

そう、誰かを連れてきていたのだ。

彼女とはとても対照的な、小さな女の子だった。

肩に掛かるか掛からないかくらいの黒髪を揺らし、キョロキョロと辺りを見渡すその姿は、好奇心旺盛な子猫のように見えた。

 

「何、あんた誘拐でもしてきた?」

「誘拐じゃないよアズちゃん!」

「妹連れてきて社会見学でもさせに来たかあ?」

「い、妹でもないよアイゼンくん!Aちゃんだよ!」

「「「「「は??」」」」」

 

彼女を除いた3期生メンバー全員が驚く。

無理もない、こんなに大きい彼女とは別ベクトルな…とても小さく可愛い子が、あの幼馴染とは……。

彼女に手を繋がれている幼馴染は、とても彼女と同い年には見えなかった。

 

しかし…可愛い……私の性癖にぶっ刺さるほど可愛いのだ。

素直に言おう、私はロリコンである。小さい女の子がとても大好きだ。

 

もちろん、イエスロリータノータッチである。

小さい女の子の少しむっちりした肉感、膨らみかけの未成熟なちっぱい、柔らかそうな太もも、お尻……うへ、うへへへへ……。

 

は、いけないいけない、ヨダレが垂れてしまった……ぢゅる、じゅるるる……。

 

「可愛い…飴、居る?」

「え…あ、ありがとう、ございます…?」

 

我慢出来ずに、持ち歩いているのど飴を手渡してみる。

困惑しながら、おずおずと飴を受け取り、どうしようか悩んだ挙句、肩に掛けているポーチにしまっているこの子を見て、脳内コロンビア状態だった。

 

もう一個、飴をあげる。じとっと見、警戒しながら2個目も受け取り、ポーチにしまう。

ああ、いけない……息が荒くなってしまう、

 

「ひぇ……」

「あぁ…怖がらないで」

 

彼女に手を引かれて間にはいられてしまった……。

ぐぬぬ……Aちゃんとお近付きになりたい…。

オフコラボが終わった後、Aちゃんに話しかけてみた。

 

「今日は、お疲れ様です…大丈夫でしたか……?」

「うぇ…あ、はい…私は、全然……その……」

 

あ、あぁ……めちゃくちゃに警戒されてしまっている。近づこうとしたらわたわたと彼女の背に隠れてしまう……あぁ、あぁ…とても悲しい…ポロロン…。

 

そんな衝撃的出会いを果たした私は、Aちゃんとのお近付きを諦めきれず…………。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『Aちゃんにローちゃんのいい所を知ってもらおう!』

『わー、ぱちぱちー』

 

本日、小夜とアザミさんがコラボをする事となった。

内容は私に自分を知ってもらいたいと言う、アザミさんの持ち込み企画らしい。

 

いや、同期の幼馴染に何しようとしてるんだこの人は……。

 

コメント な に こ れ

コメント Aちゃん人気過ぎて草

コメント AちゃんVTuber化秒読みってま??

コメント ↑本人次第やろな

 

あ り ま せ ん。

そもそも、アザミさんは私に知って貰って何がしたいのだろう?

直接あったりしないのであれば、アイゼンさんみたいにゲーム位ならするけども。

 

直接会ったらなんかやばい様な気がするので、それは仲良くなってからということで……。

 

…………いや、VTuberの方と遊ぶって普通に考えて可笑しいよね?やばいやばい、感覚が麻痺してきているってこれ……。

 

『とりあえず、ローちゃんはAちゃんと何がしたいノー?』

『それはもう、くんずほg…ゴホン…仲良くなって遊びたいわね』

 

コメント 待って

コメント 今何言いかけた??

コメント 遊び(意味深)

コメント おねロリ、アリだと思います

 

『はい、今日の枠はここまで!』

『えっ、えっ、えっ、何故ーっ』

『Aちゃんに不埒なことするのは私が許さヌ!』

『しない、しないから…』

『本当にぃ??』

『ホントデス』

 

コメント ウソだゾ

コメント リンちゃん騙されたらあかん

スパチャ これで手を引いてもろて ¥1000

コメント 手切れ金ww

 

『リン、私は純粋にAちゃんと仲良くなりたいの、信じて欲しいわ…』

『ローちゃん……うん、信じる!』

『計画通り……(小声)』

 

コメント マイク入ってますよ〜

コメント 丸聞こえw

コメント ロリコンは嘘つき

コメント Aちゃん逃げて

 

本気でやばい人なのでは??

え、ひっさびさにやばい人に目をつけられた気がするんだけど。

 

配信のために誇張してるとか、は……ないよなぁ……。綺麗で優しい人なんだろうが、これは困った。

 

『じゃあ取り敢えず、Aちゃんにアピールしたい事ある?』

『私、視聴者さんのおかげもあって、そこそこお金に、ね?余裕があるのよ』

『うんうん』

『三食昼寝付き、お小遣いありで手を打たないかしら?』

『おっかしいなぁ、私が思ってたアピールと違うぞゥ??』

 

コメント 養わせろと?w

コメント 手を打たないかしら?じゃないんだよなぁ…

コメント 普通に事案でくさ

コメント もしもしポリスメン?

 

『Aちゃんを養うのは私だけど!』

『じゃあ、お互いに養うと言うことにしないかしら?』

『えー、どうしようかなぁ…』

 

待って、待って??

まず養われる気は一切ないんだが?あと小夜も何言ってるの??

確かに小夜とは一緒にいる時間は長いが、かと言って養われたいとかは一切ないのだけど……。

 

…………おかしい、誘われたら頷いてしまう自分がいる事に、妙に納得というか腑に落ちてしまっている己がいる事に頭抱えたくなった。

 

コメント Aちゃんモテモテやな

コメント めちゃくちゃ微妙な表情浮かべながら配信見てるAちゃんが想像できるな

コメント Aちゃん強く生きて

コメント アザミちゃんがガチ過ぎてやばいレベルですわ

 

『Aちゃんはそこら辺しっかりしてるから、頷いても結局自分で仕事探して働いちゃいそうだなぁ』

『家にいてくれるだけで私は満足』

『Aちゃん几帳面だから、帰ったら家の中綺麗になってるんだろうなぁ』

『……家庭的なのは良い事ね、私は散らかしてしまうタイプだから、迷惑かけてしまうかもしれないわ』

『お母さんみたいな事言いながら片付けてくれるよ』

『ッスー…り、料理とか、一緒にしてみたいわね』

『Aちゃんお料理は苦手だからなあ…得意料理がカップ麺なんだよね』

『ッスー……っな、なら、私が是非作って上げたいわね』

『ちなみに好きな料理はオムライスだよっ』

『いちいち幼馴染マウント取らないで頂けるかしら!?』

 

コメント つ よ い

コメント Aちゃんに関してリンちゃんに敵うわけないんだよなぁ

コメント Aちゃん料理苦手で、好きな食べ物オムライスとかは、可愛過ぎかな??

コメント リンエーてぇてぇんじゃあ…

コメント ここまで綺麗にマウント決めてくるリンちゃん初めて見たww

コメント そらAちゃんガチ恋勢だから仕方ないね

 

ヤメテ、ヤメテ。人の事で変な争いはやめなさい……。

聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた……。

この配信を最後まで聞いていることが厳しくなってしまったので、配信を見るのをやめたのであった……。

 

アザミさんは危険人物、私覚えた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

読まなくても良いおまけみたいな物。

 

 

 

今日、家に子猫がやって来た。

友達の家で飼っている猫が産んだようで、流石にこの数は飼えないとの事で、里親を探していたのだ。

友達のよしみということで半ば押し付けられる形で、黒い子猫を飼うことになってしまった。

 

うちには大型犬もいると言ったのに、しようのないヤツめ……。

とりあえずストレスにならないよう、普段犬が寄り付かない部屋の一角にケージを設置し、慣れるまでしばらくそこで生活させる。

 

小さすぎて犬が踏まないか心配というのもあるが、猫と犬を一緒にしていいものかわからなかった。

 

子猫は好奇心旺盛ではあるが、あまり人に懐く性格ではないようだ。

餌をやろうとケージを開ければ、俺に警戒をして威嚇をしたり、ケージから出ようと躍起になる。

捕まえようものならすごい声で鳴きながら暴れに暴れて大変だ。

 

そんな生活が数週間続いたある日、気がついたら犬の姿が見当たらなかった。

何処かで寝ているのだろう、なんてのぺーっと考えながらダラダラ過ごしていると、子猫に餌を与える時間になった。

 

子猫のケージが置いてある部屋の前に行けば、ドアが全開に開いていた。

部屋の中を覗けば、姿が見えなかった犬が子猫のケージの前で寝転がりながら、じぃっと様子を見ていた。

 

当の子猫はと言うと、尻尾が逆だってはいるが、そちらもじぃっと見ながら様子を伺っていた。

大型犬と子猫、体格差は言うまでもない。

 

流石の威圧感に動けないのだろう。

子猫の精神衛生上にも宜しくないため、犬を持ち上げ、若干引きずるように退場させる。

 

わんぱくでいつもバタバタ暴れるように遊び回ってる犬が、珍しく大人しくしながら子猫を見ていた事に少々面食らったが、まあ犬も興味があったのだろう。

犬以外では初めて見る、自分とは異種の動物だし、そういう日もあるか、なんて楽天的に考えていた。

 

その次の日も、また次の日も、そのまた次の日も、犬は子猫のケージの前にいつの間にか居て、尻尾を振りながら寝転がり、子猫を見詰めていた。

 

何がしたいんだろうか、こいつは……等と考えながら、犬を退場させ、餌やシーツを取り替えていく。

ふと気づく。いつの間にやら威嚇も暴れもせず、大人しくしながらその様子を見ている子猫に。

 

あぁ、もう数週間経つし、ようやく慣れたのだろう。

触れるかな、なんて淡い期待を込めながら子猫に指を差し出してみたら、べしんと叩かれた、辛いぜ。

 

その翌日、そろそろ犬にも慣れただろうと思い、ケージを開けて子猫を出してみることにした。

流石に数週間も経ったし、少し狭くなってストレスになっても困るから、気晴らしにってやつだ。

 

子猫はポテポテと歩きながら、周りの様子を見ながら歩き回っている。

たいへん微笑ましいものだ。

癒されていると、廊下からバタバタと音を立てながら何かが近づいてくる。

 

「ワン!ワン!!」

 

大きな体と尻尾を揺らしながら部屋に駆け込むようにして入ってくる犬。

流石の子猫もさぞ怯えてしまったに違いない、ちらっと見てみれば、子猫は気にもせず、尻尾を振りながら犬に近づいていく。

 

そのまますりすりと犬の前足に擦り付き、甘え始めたのだ。

おかしいな、飼い主より先に先住犬に懐くとは、誠に遺憾である。

 

犬は嬉しそうに寝転がり、すりすりと鼻を擦り付けたり、ぺろぺろと毛繕いをするではないか。

犬と子猫って、仲良くなるんだなと感心し、これ幸いと、二匹の頭を撫でてやる。

 

「仲良くなってよかったぜ、リン、エー」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「いや、俺のマシュマロに何送ってんの???書いたやつ誰だよ!」

 

コメント 草

コメント SS書かれてて草

コメント 送るにしてもリンちゃんとこにおくれよwww

コメント イイハナシダナー

コメント 飼い主はアイゼンくんです

コメント ↑書いたんお前かい

 

「飼い主俺ぇ!?やだよ!リンなんて飼ったら家のもん全部壊されるわ!」

 

コメント ならAちゃんは飼いたいって事だな

コメント 正体見たりってやつだな

コメント Aちゃん逃げてー

コメント 炎上不可避

 

久々にマシュマロを消化していく配信をしようと、送られた物に目を通していたら、このマシュマロがあり、突っ込まざるを得なかった…。

 

いや、な??書くにしろ投稿するにしろ、俺に送るんじゃなくリンのやつに送れよマジで!

 

コメント アザミちゃんとリンちゃんが配信でマウント取ってる時にこれはww

桃江梓 うっっっわ……同期辞めよ

コメント くそ引かれてて草

コメント 勝手にマシュマロでSS送り付けられて紹介しただけでこんな事になるとか流石に可哀想がすぎるw

コメント 草生やしとるやんけ!w

コメント オマエモナー

 

本当にな??ただ読んだだけでここまでになるとか流石に予想外なんだが??

とりあえずこのマシュマロ、リンに後で送り付けてやろうっと。

 

 

配信終了後、リンからチャットで。

 

 

『アイゼン君が飼い主は…ちょっと、なぁ……』

 

と、めちゃくちゃに引かれた文が送られてきた俺は、枕を涙で濡らしたとか濡らさなかったとか。

やっぱつれぇわ!


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