幼馴染がVTuber始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった件 作:すばう
会長、天使公、わためぇの三人が3D化してテンションぶち上ったね、これからも推してくぜ!!
「あーちゃんあーちゃんっ」
「なーによー?」
「同期のみんなで遊ぶ予定なんだけど、来る?」
「……逆に何で私が行くと思うのかしら……?」
「え!?」
今日も今日とて、小夜の家でのんびりしている私に、突拍子もない発言をかましていく小夜は、エンジン全開といったところだろう。
とりあえず、VTuberの幼馴染が一緒に遊びに行くって、相当おかしくないかしら……。
最近感覚が麻痺しすぎててやばいわこれ。
「いーい?私は鈴科リンの幼馴染、OK?」
「OK!」
「私はVTuberではない、OK?」
「OK!!」
「故に、私が行く意味は無い、OK?」
「NO!」
「よし、表出なさい」
何故そこまで言ってNOと言い張れるのか甚だ疑問だ……。
小夜は断られるとは思っていなかったといった表情を浮かべながらうろたえている。
いや、普通に予測できた事柄ではないだろうか…。
「でもでも、何だかんだで皆気になってるみたいでね…?良かったらAちゃんもどうかーって…」
「あんたそれ、気ぃ遣われてない…?」
もしくは保護者の役割として呼んで欲しいとかかしら……?
案外小夜のマネージャーが心配して小夜の引率を…何て、さすがにそれは考えすぎかしらね。
どちらにせよ、VTuber同士の集まりに関係……無いとは全く言いきれなくなって来てるけど、幼馴染が混ざるのって、何か、違うというか。
自分の友達が友達の友達と遊ぶけど、来る?みたいなあれよね、例えるなら……。
ま、私小夜位しか仲いい子居ないから知らないけど。
「本当に良いのなら、折角のお誘いだし考えなくもないけど…とりあえずもっかい皆に聞いてみなさい、それ次第ね」
「了解!」
そう言って小夜はスマホで連絡を取り始めたのであった。
はー…それにしてもジメジメするわねぇ…。
小夜のベッドに腰をかけ足をプラプラさせながら暇を持て余す。
今日出された課題は今しがた終えてしまったし、小夜は連絡してるし、うーん…。
あ、ソシャゲの周回やろう。
等とのんきにソシャゲを周回を始めてからはや数十分。
「全員からオッケー出たよっ」
「あー…やっぱりそうなるわよね…」
ある程度予測はしていたが、皆さんフットワーク軽々すぎやしないだろうか…。
アイゼンさんはまぁ、ちょくちょくとゲームはやったりするため、仲良くないというわけではないが、他の人達とはそこまで接点がない筈なんだけどなぁ。
んー…でもここまで小夜にさせてやっぱり行かないってのもあれだし…。
「はいはい、負けよ負け…仕方ないから御呼ばれされますよ」
「やったぁ!」
「嬉しいのは分かったから小躍りするのやめなさい、見てるこっちが恥ずかしいから」
「酷い!?」
〜それから数日後〜
「あーちゃん行こ!!」
「あーはいはい…分かったから引っ張らないの、まだ私着替えてないでsいや力ホント強いなあんた」
あれから数日経ち、日曜日。ここ最近じめじめした日が続いたが、今日は晴れ。とても暑くなりそうな一日である…。
ちなみに、集合場所は割と近い所のため、時間にはまだ余裕がある。
おい、まだ私寝巻きだし、今から行っても暇を持て余すだけよ、楽しみなのは分かるがステイ、ステイ。
「とりあえず、まだ待ち合わせには時間があるから、少し落ち着きなさい」
「でもでもっ、あーちゃん以外の人達と遊びに行くのとか初めてだから!」
「私もだからな??分かった…分かったから引っ張らないの…」
休日に遊びに連れて行けとせがむ子供かあんたは…。
いまだ寝間着姿でベッドに寝転がっている私の腕をぐいぐい引っ張って起こそうとしてくる小夜を宥めながら起き上がる。
前日にいろいろと用意はしておいたから、顔洗って歯を磨いて着替えればすぐにでも出られるけども…。
とりあえずご飯は食べておきたいわね。
「私顔洗って歯磨いてくるから、部屋で待ってなさい」
「あいあいさー!」
「調子の良い返事だ事で…」
部屋から出て下に降り、顔を洗い、冷蔵庫にあるものを適当に漁って貪りながら部屋に戻る。
と言うか集まって何するんだろう今日…何するか何にも聞いてなかったな私。
「戻ったわよ~」
「おかえりーっ、もおあーちゃん、いくら楽とはいえ食パン咥えたまま歩かないっ」
「時短よ時短、胃に入れば問題ないの」
残った食パンを食べ終わり、着替え始める。
今日は暑いみたいだし、少し薄着でもいいかしらね…。
パパっと着替え、髪型も少し整え準備を終える。
所要時間わずか20分程度、また世界を縮めてしまったぜ…。
「はい、準備終わったわよ」
「それじゃあレッツゴー!」
「はいはいれつごーれつごーって、引っ張るなああああああっ」
家から出て鍵をかった瞬間、小夜に手をつながれそのまま引っ張られるようにして連れていかれる。
こうなった小夜はしばらく落ち着かないので、そっとしておこう。
私は小夜を止めることを諦め、そのまま流れに身を任せるように心を無にするのであった…。
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「おっはよ~!!」
「やっと来たわね小y…って、何かAちゃん疲れ切ってない…?」
「ぜーっ…はーっ…お、お構い…なく…っ」
「おはよーアズちゃん!!」
「うわうるさ…っ外だから今日は普通に名前で呼びなさいって言ったわよね??」
「あっ、そうだった!今のなしっ」
「いやもう遅いだろ…」
小夜に引っ張られ、すでに開店しているお店を少し見て回る羽目となり、ようやく集合場所へとたどり着いた。
ツカレタ…まだ何もしていないのにすでに疲労困憊である。
何でこの子はこんなにもぴんぴんしているのだろう…。
「えっと、おはようございます…?」
「おはよう!ごめんね急に誘ったりして」
「い、いえ…確かに戸惑いはしましたが…えっと、お名前、なんてお呼びすれば…?」
「あぁそっか!あっちの名前しか教えてなかったもんね、じゃあ改めて…私は永瀬楓、よろしくね!」
「俺は小暮修平、改めてよろしくなっ」
「あ、はい、よろしくお願いします…」
そう言えば初オフコラボの時は、VTuber名しか知らなかったんだった。
えっと…梓さんが永瀬さんで、アイゼンさんが小暮さん…。
やばい、人の名前と顔一致するか心配になってきたぞ…。
「おはようAちゃん…飴いる…?」
「ひえ…っ」
二人の名前を憶えていると、後ろから突然話しかけられる。
相手はあのアザミさんである…もう一度言おう、あのアザミさんである…正直どう対応したらいいかわからないのだけど…とりあえず恐る恐る飴を受け取りカバンにしまっておく。
「私は立花栞…ぜひ栞って呼んで?」
「は、はい…よろしくお願いします…」
「しおちゃんちょーっと近すぎかな??」
「アッ…アッ…そんなご無体なぁ…」
小夜によって立花さんと引き離される。
ふぅ…助かった、でかした小夜。後で何か飲み物をおごってやろう。
「栞は少し自重しなさい…あのオフコラボと配信のせいですっかり警戒モードじゃない」
「うふふ、栞ちゃんは性癖を隠すの下手くそだものねぇ~。おはようAちゃん、私は蓮見蓮子、よろしくねぇ。それと、後ろにいるのが」
「ハァ…ハァ…スッー……か、金森…文香…です…」
「よ、よろしくお願いします…」
オフコラボであった以来ではあるが…やっぱり配信とオフとのギャップがすごいなこの人。
キルヒさん…改め金森さんは、あの日オフコラボであったときと同じく、蓮見さんの後ろに隠れてこちらの様子をうかがっている。
人見知りとは聞いていたが、どう接していいものか…。
「あ、えっと…園崎杏子と申します、よろしくお願いします」
「こちらこそっ、さて、全員集まったし、そろそろ行きましょうか」
「は、はい…えっと、何も聞かされてないので、いったい何をするのか分からないんですけど…」
「さ~よ~?あんたろくに説明もしてないの?」
「さ、さぷらぁいず…な、何て…あは、あははは…」
「ただ忘れてただけでしょあんたはっ」
「ご、ごめんなさぁい!?」
おぉ…小夜が私以外に注意されている…これは良いものが見れたかもしれない。
でも後で私からも注意しておこう…下手したらやる内容によっては格好がそぐわない場合もあった可能性あるし…。
流石に山登りとかそんな事はないよね???
周りの恰好は普通の格好だから、流石にこれはないか…。
「まぁ、と言っても普通に親睦を深めるためにご飯食べたりゲーセンかカラオケ行ったりって感じ何だけどね」
「Aちゃ…じゃなかった、園崎さんはカラオケとか大丈夫か?」
「えぇ、別段苦手とかはないので大丈夫です」
「Aちゃんと個室…何も起きないはずもなく…」
「私たちもいるのよぉ、栞ちゃん?」
「自重しろ…」
普通に遊ぶ感じね、なるほど。
とりあえず身構えなくて済みそうだと思ったが、絶対に立花さんの隣には近づかないでおこう、壁役として小夜を置いておけば問題ないだろう、たぶん…。
「それじゃあ、先ずは軽く遊んでからご飯食べて、カラオケでも行こうかしらねっ」
「よーしっ、園崎さんガンシューティングやろうぜっ」
「は??私とUFOキャッチャーするんですけど???」
「しおちゃん…それ一人用じゃ…」
「うふふ…人気者ねぇ園崎さん」
「うぇ…あ、はい…あの…耳元で話すのはちょっと…」
音もなく背後を取られ耳元で話しかけられる。
小夜にあのASMRの音声を聞かされてからというもの、すっかり耳元で話しかけられるのが苦手になってしまった。
あ、あ、やめてください蓮見さん、貴女の言葉は私に効きまくりです…。
そんなこんなでみんなで固まって移動し、ゲーセンで軽く遊んだ。
小暮さんとガンシューティングで遊んだり、みんなでプリクラを撮ったり、立花さんにぬいぐるみをプレゼントされたり、金森さんと蓮見さんと音ゲーに巻き込まれたり、永瀬さんとアーケードゲームで対戦したりなどなど…。
小夜としか遊んでこなかったため、こう色々な人と遊ぶのはとても新鮮だ。
普段家に閉じこもってゲームばかりしている自分ではあるが、ゲーセンで遊ぶというのも、なかなかに悪くはない。
とりあえず立花さん、人形そんなに渡されても持ち帰るのとてもきついんですけど…お、押し付けないで、押し付けないでください…。
小夜へるぷ、へるぷ…っ。
今回のことで分かったこと、永瀬さん格ゲーが上手い、小暮さんはシューティングがホントに得意、立花さんはUFOキャッチャーがお上手、蓮見さんと金森さんは音ゲーがつよつよ…。
普通に楽しんでしまった…場違いかなと思っていたけど、杞憂で済んでよかった。
まぁ誘われてる身のため、そもそもそんな事を考える必要もなかったのかもしれないが。
所で…何で終始小夜はこちらのことをじっと見ているのだろうか…、何か言いたいことがあるのなら言えば良いものを。
「くーっ、やっぱ園崎さんゲーム上手いなっ」
「ほんとほんと、まさか格ゲーも上手いなんて」
「あ、ありがとうございます…、普段から家でやってますので」
「お、音ゲーも…上手かった…ふへ…」
「初めてって言っていたけど、そうは見えなかったわねぇ」
「ぐ、ぐぬぬぬ…UFOキャッチャーしか特技がない…」
「あーちゃんはゲームつよつよだからね!」
何故そこであんたがどや顔するんだ…。
小夜は私に引っ付いて、後ろでプレイしている所をずっと見ていた。
混ざりたいなら普通に混ざればいいものを…何を遠慮しているのか。
「さて、そろそろいい時間だし、ご飯食べに行きましょうか!」
「さんせーい!」
「お腹空いたっ」
「何食べようかしらねぇ」
「わ、私は…何でもおっけー…」
「園崎さんに、あーん…うふふふ…」
ひえ…絶対にそんな事はしないしさせないからな…。
私達はゲーセンを後にし、お昼ご飯を食べに行くのであった。