もともと展開は考えていたのですが、書いている最中にもともと考えていた展開が分からなくなりまして。それでも自分が望む形にはしてみた感じです。
と、いうわけで第八話。今回は日越え直後…というわけでもないですが、日越えして間もない時間帯での投稿です。
「っ…」
「ほらほらどうしたぁ!」
外界と切り離された空間の中。香と2体の鬼は戦っていた。
「さっきの威勢はどうしたんだよっ!ほらよぉ!」
鬼の爪によって
(男の方は近接型。女の方は遠隔型。そしてこの場所は空間が切り離されてる。恐らくはこの鬼たちだけになるか鬼たちを倒さなければこの空間は解除されない。)
香が後ろに飛んだ。その時、男の方から舌打ちが聞こえる。
「チッ…勘がいいのかわかんねぇが妹が設置したものをよけやがる…さっさと引っかかって死にやがれよくそが…」
(空間設置型の鋭利な刃。その程度じゃ私は殺せないんだけどね。そんなことを教えてあげる意味もないし。)
香はそんなことを考えながら再度跳躍した。すると、後方で爆音のようなものがする。
(空間砲、ね…そんなのでも私は仕留められないんだけどね…まぁ、“
香は斬想鬼を構え、ポツリと呟いた。
「…“剣式・両手刀・桜花───」
「あん?」
「───贋作”」
ぱきん
直後、斬想鬼の刃の部分が桜色の柄へと変化し、香がそれを引き抜くとこれまた桜色の刃が現れた。
「…さてと。少しだけ本気、出そうかな?」
可愛らしい声に反して、彼女が纏うその雰囲気は冷ややかなものだった。
side 胡蝶しのぶ
私は空間の中で例の民間人を探していた。
「…この空間にいるのは間違いない…」
そう呟いた時、近くで大きな爆音がした。
「っ!こっちですか!」
音のした方向に駆けると、その方向に3つの人影があった。
(3人…?民間人は一人だったはず…)
その姿が完全に目視できる場所まで着いた瞬間だった。
ゾクッ
突然、背筋を這う強い悪寒に襲われた。
(な、何…?)
咄嗟に身を隠し、人影3つを見ることができるようにした。その人影の一つ。黒髪の少女に、見覚えがあった。
(あれって…確か昼の…)
呉服屋の、三代目当主。その彼女が、桜色の刀を持って…鬼と、戦っていた。
(助けないと……でも……)
強い悪寒。それは、まぎれもない彼女自身から発せられていた。
(あの子…本当に何者…?)
そう考えているうちに、彼女が動いた。
「はぁッ!」
強い気合とともに刀を上段から斬り下ろした。
「はっ!そんなもんが効くと思ってたのかよ!」
「そんなわけないでしょ?これはただの様子見!」
「抜かせ!」
鬼が刀を弾き、彼女が吹き飛ばされる。しかし、彼女は空中で姿勢を整えて綺麗に地面に着地した。
「っ!」
「くらえ!俺の血鬼術!」
(血鬼術持ち!)
「空間裂塵砲!」
「なるほど、ただの近接じゃなかったわけね。」
彼女は砲撃を見つめ、刀を一振りした。
「屈折ノ式。“
呟いたと同時に砲撃の角度がズレた。
「「は…?」」
男の鬼と背後にいた女の鬼はその現象を見て惚けていた。その間に彼女の姿は消えていた。
(どこへ…!?)
「抜刀神速斬。“
声が聞こえたかと思うと、彼女は鬼たちの真後ろにおり、鬼たちは左腕が切断されていた。
「な…」
鬼は驚愕を隠しきれていなかった。
「まったく…さっきの言葉、そのまま返そうか?さっきまでの威勢はどこに行ったのか、って。」
「なっ…腕が…
鬼のこの言葉には驚愕した。日輪刀で斬ったとしても再生はできるのだ。鬼にダメージを与え、なおかつ再生を阻害する…謎の武器。そんなものを、彼女は使っている。
「お前…!何をしたっ!」
「答えると思うの?仮にも命を狙っている相手に?」
こちらから見ても冷ややかな目で鬼を見つめていた。
「そんなことより、貴方一体どれだけの人を殺したの?嗅いでるのも辛くなるような強い血の匂い。こっちは戦闘中耐えながら戦ってるんだけど?」
「覚えているか、そんなもの!」
「…そう。貴女は?」
「私も覚えていませんわ。人間なんて私たちの食料でしかありませんから。」
「………そう。」
鬼の言葉に表情を消し、刀を中段に構えた。
「はぁ…」
彼女がため息をついた途端、刀の付近に花びらが現れ始めた。
(あれは…姉さんと同じ花の呼吸?…いいえ、違う。花の呼吸独特の呼吸音がしない。それに…)
いつのまにか、彼女の付近には無数の花びらが舞っていた。
(花の呼吸で、桜を使う技を私は知らない。)
「あまり時間もないし、これで終わりかな。」
「
「血鬼術 影縫いッ!!」
女の鬼の血鬼術が発動し、彼女が動けなくなる。
「ははは!どうだ、動けまい!」
「…」
「…はぁ。奥の手なんだろうけど…でも…」
女の鬼は顔を青ざめた。
「
彼女は静かに跳躍し、女の鬼の目の前に来た。
「滅鬼。“千本桜・
「ぁ……」
何も言わせないまま女の鬼の首を切り落とした。次いで彼女は刀を横一閃、縦一閃し…
「“
そう呟いた。
「さてと、次は貴方ね。」
「あ…あ…ゆ、許してくれぇ…」
「…今更何言ってるの?」
彼女はそういい、刀を振るった。
「滅鬼。“
今度は体の部分を滅多切りにしてから首を切り落とした。次いで、体の部分に刀を突きさし…
「“
そう、呟いた。その途端、男の鬼の体に刺さった刀から、桜の木の幹が生えた。
「……」
彼女はそれを見ながら引き抜き、鞘のようなものに刀を納めた。
(あの子…いったい…?)
そう考えた時、鬼が作っていた空間の切断が解け、空間の色が元に戻った。これが示すのは……
(民間人が空間を操る鬼を殺した…!?あの子、本当に一体…!?)
視線を彼女のいたところに戻すと、既に彼女はその場にはいなかった。
(一体どこへ…!?)
気になることが増えたが、まずはこの場所の対処だろう。
「…伝達。麹町にて鬼の絶命を確認しました。事後対処をお願いします。」
鎹鴉に伝え、処理を任せた。
side normal
麹町内の細い路地。
その一つに、血だらけの香の姿があった。
「……やばい、時間が…」
リミットである1時間。戦闘中に能力を使ったためにそれは削れているが、その削れた時間ぎりぎりまで戦ってしまったのだ。
(りんねを封じた札は…)
香は着物の中を探り、複雑な文字や記号が書いてある札を取り出した。
「解…放っ…ごふっ」
札が光り、その中からりんねが飛び出してくる。
「ちょっと!瀕死じゃない!」
「ご…め…」
「喋らないの!」
香にりんねがとり憑き、香の出血が止まった。
「もう…心配させるんじゃないわよ!」
「結構…ぎりぎり…だったし…それに…あそこに…私以外…いたから…」
出血が引いていき、傷口も塞がっていった。
「はぁ…はぁ…」
「もう…このことは鈴にきっちり説明させてもらうわよ!」
その言葉を聞いて香が顔を青くした。
「う…それは…勘弁…」
「問答無用!一度怒られなさいっ!」
「…はい…」
傷口が全部塞がった後、香はよろよろと立ち上がり、錦糸綺糸屋への道を辿った。
…その後、錦糸綺糸屋に着いた直後、りんねから話を聞いた鈴から泣かれながら怒られたのは言うまでもない。
えーと…斬想鬼…および斬糸の刀化についてなんですけど、あれは使い手の強いイメージが刀を具現化させた、っていう仕組みです。仁はまだ使えないんですけどいずれ使えるようにします…
で、鬼の再生を阻害した理由なんですけども…あれは…なんというか…香が具現化した刀に付与した性質、っていうか……う~ん……なんて説明したらいいかわかりませんね…ひとまず、“再生できない”わけじゃなくて“再生能力が著しく鈍る”って覚えておいてください。(書いてたらいつの間にかそんな性質が出来上がってたなんて言えない…)あとあれは日輪刀じゃないです。
言ってしまうと香はまだ全然本気を出してません。あれでほんの少しです。まぁ怪我のせいで本気が出せないんですけども…
さてと、今回はこの辺にしましょうか。誤字報告等、お待ちしております。感想などもよければ。
ではでは。