それと、現実の友人からちょっとした小説の執筆依頼されたので投稿遅くなるかもです。
最近思うこと。
あやしやの二次創作って全く見かけない。(このサイトだとあやしやで調べたらこの作品しか出なくて悲しい)
「そういえば、案内するといったってどこに行くつもりなんだ?」
仁が香とともに錦糸屋の全員が寝泊まりする場所の廊下を歩きながら聞いた
「結界の要。昨日の朝、屋敷全体に結界を張るにあたって六か所に要を設置したの。それぞれ中央、北西、南西、北東、南東…そして店表の土間の片隅にね。中央と店表の要だけは見えないように設置してあるし、管理の必要がないんだけど…中央の要は他の要から力を吸収し、増幅して送り返す結界中央管理増幅分配装置で、店表の要は増幅された力を受けるためだけの受信専用装置だから。ほかの部分は管理必要なんだけど…って、こんな話しても分かんないか。」
「…すまん、全く分からんかった。」
「結界の知識がないと仕方ないね…零番隊は都の結界維持とかもたまにやってたから。あれはあれでまた違う術式なんだけどね。」
「そうなのか…」
「そそ。」
話しているうちに木製の小屋の前についた。
「ここが要。ここは北西の要だね。」
そう言いつつ、香は小屋の戸をたたいた。
「は~い…」
「入っていい?」
「若女将…?いいよ~…」
香が戸を開けると、そこには少しぐったりしているような奏の姿と鬼の像があった。
「…奏、聞くけどまさか昨日の朝からずっとここにいたわけじゃないよね?」
「うっ!?」
「その反応は当たりなのね…結界の維持は1日に12時間でいいって言ってるのに…」
「どういうことだ?」
「私が昨日張った結界は都の結界と違って1日12時間、つまり半日の間結界に力を流しておかないと効力がなくなるの。リセット…時間の区切りはいつも朝7時だから7時になったらたとえ残ってた力があったとしても発散されるだけ。いつも結界の力は零の状態から始まるからそこから力の供給は始まる。力の供給者は鬼導師だから、鬼導力…って私は読んでるけどそれを源として今この屋敷を覆う結界は動いてるの。ちなみに発散された鬼導力はこの屋敷内に充満してるけど、別に鬼に危害をもたらすものじゃなくなってるから安心して?」
「…ようわからんが、わっしゃらには別に危害は加えないんだな?」
「そうじゃないと私や仁、鈴たちまで被害もらうからね。」
そう締めて、香は奏の様子を見た。
「…で、昨日の朝を食べたのは涼から聞いて知ってるけど、その後ここから出た?」
「…出てない」
「だよね…で、この鬼の像は…鍛錬してたんでしょ?」
奏が元気のない顔で小さくうなずいた。
「レベルは?」
「…12」
「…12かぁ…で、どんな感じ?」
「五本使ってやっと倒せる感じ…」
「…ふ~ん?りんね、ちょっと離れてて?」
「え?えぇ…」
香はりんねと分離し、小屋の中に入った。
「Lv.12は…っとこれか。」
落ちていた一枚の札を手に取り、鬼の像に貼り付けた。
「罰ノ十二糸会」
香がそう唱えると鬼の像に光を纏った。
「滅してみて。」
「う、うん…」
「ただし、使うのは一本だけ。」
「え…あ、はい…」
そう言うと香は鬼の像から離れた。
「…すー…」
「…」
鬼導術の光が奏の足元から上がっていき、少し経ったときに奏の体全体を覆った。
「嵐!」
式句とともに放たれた針は鬼の像に刺さったが、撃破を示す断末魔と光の消滅がなかった。
「…なる程ね。」
納得したように呟き、鬼の像に近づいた。
「嵐」
「ギギャァァァァ」
香が刺した針で鬼の断末魔が聞こえた。
「…やっぱり、若女将はすごいなぁ…」
「…いや、その前にね?Lv.12を一撃って隊の副長クラスだからね?」
「「え?」」
「あ、知らなかったんだ…」
香は針を抜き、鬼の像を部屋の隅に置いた。それを見てりんねは香に憑いた。
「一撃撃破の程度ってあるんだけど。基本的に見習い、及び正式隊士はLv.10くらいまでが限度なの。で、これは隊長が選んだ人にもよるけど、副長に任命される人は大体Lv.11からLv.20なんだよね。隊長クラスになるとLv.21からLv.30が針で撃破できるかな?専用の術具を使えば35とかまでは行けるだろうけど…それでも、レベル指定できる最大の50を一撃撃破できる人なんてほとんどいない。ましてこの結界の要は持続的に力を吸い取られているから意外と術に負荷がかかる。そんな結界の要がある小屋の中でLv.12を五撃っていうのは多分、Lv.12を一撃できるだけの滅鬼力はあるよ?」
「そ、そうなの?」
「うん。ちなみに奏のお姉さんである澄さんはLv.39を針で一撃撃破してたかな?」
「す、澄姉すごい…え、じゃあ若女将は?」
「私は針でLv.50。…っていうかそれ以上。鬼符だけじゃ私の術の力測りきれなかったから改鬼符作ったくらいだし。澄さんからはよく教えてって言われたかなぁ…」
「若女将強い……あれ?若女将って澄姉と知り合いだったの?」
「あれ、言ってなかったっけ?私、澄さんと知り合いで、澄さんが使ってた数珠ってもともと私が使ってたやつなんだよ?」
「そうだったの!?」
「うん。…と、奏は外出てて。結界への力の供給やっちゃうから。」
「え?あ…うん…」
奏が小屋から出て、香が小屋の中に入った。りんねはそれを見て香から離れる。
「…劫護与厳抄戒鱗。」
香の全身から光があふれ、その光が地面に吸い込まれていった。
「これでよし、と。さ、次行こっか。」
香が立ち上がると、即座にりんねが香に憑いた。
「奏は台所行ってて?」
「あ、うん…」
奏はフラフラした足取りで台所の方へと向かっていった。
「…香よ、あれ大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないですかね?…ちょっと心配だけど。」
そう言いつつ、香は体の向きを変えて走り始めていた。
「ごめん、ちょっと時間取っちゃったから急ぐよ」
「ん?あ、あぁ…」
仁も少し遅れて走り始めた。
「そういえば、結界は1日12時間の供給と言っていたはずだが…」
「あぁ、それ?それは自動供給能力だけに頼った場合の話で、術者側から与えることもできるんだよ?…まぁ、結構消耗するから教えてないけども。」
「…香が消耗している様子ないんだが…」
「慣れてるからね。っと、着いた。北東の要には確か柊さんがいたと思うんだけど…」
香が戸を叩くと小さいうめき声のようなものが聞こえた。次いで声。
「んあ?柊のおっさんならなんか壁に寄り掛かって座り込んでんぞ~」
「ん?その声、楽か?」
「ん?仁か。」
「…とりあえず入っていいですかね?」
「ど~ぞ~…」
香が小屋の戸を開けると、中には胡坐をかいて座っている楽と壁に寄り掛かって座っている柊がいた。
「おう、香。」
「おはようございます。柊さん、起きてます?」
「起きているが。なんだ?」
「単刀直入に聞きますが、昨日ここから出ましたか?」
「…すまない、出てない。」
「はぁ…分かりました、今日はいいので台所の方に向かってください。楽さんも。」
「だが…」
「いいですから。台所の方に柊さん用に金平糖置いてあるのでご飯食べた後に食べてください。」
「む…分かった。」
柊と楽が小屋を出たと同時に、香が小屋の中に入った。その時にりんねは離れている。
「劫護与厳抄戒鱗。」
唱えた後、香が小屋から出てきた。同時にりんねは憑く。
「さ、次々。急がないと開店時間に間に合わなくなっちゃう」
そう呟いて香は走り始めた。慌てて仁も香を追う。
「確か南東は暁さんだったはず…多分涼もそこにいると思うけど…」
「大変だな、結界維持は。」
「錦糸屋事件の時は結界張ってなかったんだけどね。万全の状態じゃないと本気の結界張ることもできないし。でも今はちょっと状況が違うから。」
「別世界、か…」
「何が起こるかわからない以上、使える策は打っておいた方がいいでしょ?」
「確かに。というかよく柊さんが甘い物好きだとわかったな。」
「勘。」
そんなことを話しているうちに小屋の前に着いた。香は小屋の前で声をかけた。
「暁さん、います?」
「あぁ、いるが…」
「入っても?」
「いいぞ。」
香が戸を開けると、そこにはぐったりした涼と正座している暁がいた。
「……どんな状況です?」
「…さっき暁さんの様子見に来たらかなり元気で…で、私の術試されたの…」
「大体奏と同じくらいだろう、っていうのが俺の感想だが。」
「…そうですか。とりあえず聞きますけど、昨日外出ました?」
「出てない。」
「…分かりました、今日はいいので台所の方に行っててください。」
「だが…」
「たい焼きありますよ。ぎっしりこしあん」
「行く」
「「変わり身早っ!」」
暁はさっさと小屋を出て行ってしまった。
「…ほら、涼も行って。」
「はぁい…」
涼もフラフラになりながら小屋を出て行った。
「さてと…」
「にゃー」
「…ん?」
香のもとに白い猫が近づいてきた。
「あれ、“みりか”?どうしたの?」
「にゃー」
“みりか”と呼ばれた白猫は一声鳴くと、香の体を駆け上がって肩に乗った。
「…はぁ。」
軽くため息をつきながら香は小屋の中へと入った。りんねは例のように香から離れていた。
「…劫護与厳抄戒鱗。」
ちなみに術が発動しているとき、猫は香の肩に乗ったままだった。
「さ、次が最後…じゃないか、ついでにもう一つやっておこう。」
そう呟き、香と仁はまた走り始めた。猫は香から降りて走っていた。
「南西って誰なんだ?」
「咲さん。」
「咲か…」
そんな話をしている間に小屋に着いた。
「ここが南西の要。咲さん、います?」
香が声をかけたが反応は特になかった。
「…?」
「咲、いるか?」
やはり反応がない。そう思っているとだまりが影という特性を生かして小屋の中に入った。
「こ、小娘!?しっかりせんか!」
「「!?」」
だまりの声に香が小屋の扉を開けると、咲がかなりぐったりした状態で床に倒れていた。
「咲さん!?」
香が駆け寄り、咲の脈を診る。
「脈はある。でも、なんで…」
香が付近を見回すと、そこに鬼の像があった。像には、大量の針が刺さっている。
「鬼の像……」
それを見た途端香がはっとしたような表情をした。
「りんねっ!」
「分かってるわよ!」
香の呼びかけでりんねが離れる。それを確認してから鬼の像に手をかざして口を開いた。
「spell act:system.id stand up memorial read…!」
早口ではあったが、急いでいたためか小声ではなかった。そのため、仁の耳にはっきりと聞こえていた。
(スペル…アクト?なんだそれ…?)
そんなことを思っていると、香が手を離した。
「…嘘…改鬼符のLv.12……滅、できたの?」
「改鬼符…さっき言ってたな。どんなやつなんだ?」
「一言で言えば鬼符の改良版…だけど、レベルはほぼほぼ騙しに近くて、改鬼符Lv.12っていうのは
「な…」
「見習い隊士ならまず撃破できないレベルだよ…」
その事実に仁と香が驚いていると、咲が動き始めた。
「う、うぅ…」
「さ、咲さん?大丈夫ですか?」
「あれ…私…?」
香が軽く事情を説明した。それを聞いた咲自身は納得していた。
「なんだ、倒れるのが遅いなって思ったら違う符だったんだ…」
「ていうか改鬼符の方には“悪鬼十二之符・改”って書いてあるんだけど…」
「あ~…ごめん…」
「…とりあえず、台所の方に行っててください。今日の結界への力の供給は私がやります。」
「え…でも…」
「自動供給に頼るだけだと12時間なだけで、別に手動供給できないとは言ってないはずですが。」
「あ、そっか…」
「仁、先に行っててくれる?ここ片付けてから行くから。」
「ん?あぁ…ほら、行くぞ、咲。」
「あ、待ってよ若旦那!」
咲と仁は香を置いて台所の方へと向かった。
「…さて、片付けしておかないとね…」
りんねを憑けた香は小屋の外にあった箒と塵取りを使って鬼の像付近に散らばる針を回収した。
「…さすがに予想外、かな?」
「咲さんのこと?」
「うん。奏もそうだけど、咲さんも同じ領域まで行けるとは思わなかった。」
「…改の領域、ね…」
「零式じゃないだけまだいいんだけどさ…ていうか零式までいかれたら結構凹む。」
「ふふ、香でも凹むのね?」
「私も人間だからね…」
「…ところで香は今どこまで出るのよ?」
「今?万全の状態なら零式鬼符Lv.39…鬼符Lv.139にあたる物まではいけるよ?」
「香も十分化け物じゃないかしら?」
「そう?これでも滅鬼術は一番苦手なんだけど。」
「…訂正、化け物だったわ。」
そんな話をしているうちに周辺に針はなくなっていた。
「さて、あとは結界。りんね、離れてて。」
香が言うとりんねが香から離れた。
「劫護与厳抄戒鱗。」
式句を唱え、光が収まると、小屋に貼り付けられた札が一斉に光った。
「ん、全要供給完了。さ、あとは中央だね。」
「あら?中央は管理必要ないんじゃなかったの?」
「必要ないけど、手動で動かすことが可能なの。別に自動でも手動でもあまり変わりはないけど…でも、結界の力の流れを把握できるからどこかで異常があったらそこで観れるんだよ。」
「へぇ…」
香はりんねを憑けてから中央、台所の方へと向かった。
「流石に万全じゃない状態で結界に力与えるのは結構きついものがあるね…」
「そうなのね…」
話している最中に台所のそばを通りかかる。それに気がついたのか鈴が顔を出した。
「あ、若女将!ご飯できてますよ!」
「ごめん、もうちょっと待ってて!」
足早に台所入口を通り過ぎ、窓の近くに座った。
「りんね」
「はいはいっと。」
「ふー…」
香が座り込むと、台所からほかのメンバーが出てきた。
「香の邪魔をしない方がいいわよ?」
りんねから止められ、一同は見るだけにとどめた。
「轟」
突如、香の全身から光があふれだした。
「感 晋 丞 廻 聯 齦」
「な、なんて力だ……」
「この力、白陽を超えかねんぞ!?」
「祥 眩」
「若女将って…こんなにすごかったの…!?」
「鬩」
香がそこまで言うと光がやんだ。
「これで終わり…りんね」
「はいはい…ところでみんながびっくりしてるからどうにかしなさいよ?」
「え…あれただの結界手動起動なんだけど…」
そう言いつつ、香は台所の方へと向かった。
「ご飯食べましょう?あれはまだ皆さんには使えるものじゃない。」
「あ、あぁ…」
香のその言葉に全員が台所の中に戻った。
「あ、おいしそう。いつもありがとね、鈴。」
「い、いえ…今日は花にも手伝ってもらいましたから…」
「そっか。」
鈴と香が話している間に全員が席に着いた。
「「「「「「「「「「「「いただきます。」」」」」」」」」」」」」」
全員で言い、食べ始めた。しかし、すぐに仁と香が微妙な表情をした。
「若旦那?」
「若女将…?」
「「えと…お口に合いませんでしたか?」」
花と鈴の質問に仁と香は首を横に振った。
「「味がない。」」
「「え…」」
「え?普通に味するぜ?」
「…だまり?」
「…りんね?」
楽の言葉を聞いて仁はだまりを、香はりんねを見た。
「仁の思った通りだろう。わっしゃが仁の味覚を抑えた。まぁ、抑えはすぐに解くがな。」
「私もだまりと同じよ。香の味覚を抑えたの。まぁ、私もすぐに解くけど。」
「「…なんで?」」
仁と香の質問にだまりとりんねは真顔で口を開いた。
「以前のことを思い出してみろ。キサマの人間本来の治癒能力が戻れば、わっしゃは五感を抑えられなくなる。」
「私たちが考えたのはその基準点。私たちが五感を抑えられなくなればそれすなわち治癒能力が戻ったってこと。」
「治癒能力が戻ったっちゅうことは仁、香、キサマらの傷がほぼ治ったってことだ。」
「とはいえ、五感抑えてるのも面倒だからすぐに五感は戻すけど。」
「…そうか。」
仁が料理を一口食べた。
「…うん、うまい。」
「最初の一口だけ味覚がなくなるのは我慢してくれ。」
「分かった。ありがとう、だまり。」
「ふん!あがめたてまつれ。」
「ははっ。」
「ふふっ」
その後、全員(だまりとりんね以外)美味しくいただきました。
次回はちゃんとデート回。…なはず。
ちなみに白猫の名前である“みりか”はとある人に決めてもらいました。
ではでは、また次回。感想その他お待ちしております。