あ、前書きからうるさくてすみません…
えっとですね。さっきまでこの話書いてたんですけど……PCの電源がいきなり落ちたんですよ…で、全く保存してなかったもので…すごく焦りました…VS2019(正式名称:Visual Studio 2019)を使って作ってたおかげか、たまに自動バックアップしてくれてたらしくて、途中から書くことはできたんですけど…相っっっっっっ当焦りました。今度から保存ちゃんとしよう…
ということで前書き長くなりましたが第十三話です。タグ関連やってたのと動揺して時間がかかったのでこんな時間に…申し訳ないです。
夜。鈴は部屋で昨日香に買ってもらった本を見つめていた。
「“日ノ本昔話集”…」
鈴がそう呟くと同時に、部屋の戸を叩く音がした。
「は、はい!」
「あ、花です…すみません、ちょっといいでしょうか…?」
「花さん…?…ど、どうぞ…」
鈴が承諾すると、花が部屋の中に入ってきた。
「どう…しました?」
「…私…今朝の香殿の話が気になってしまって…」
「若女将の…ですか?」
「あの…鬼斬り様、とかいう…」
「あぁ…」
鈴はそれを聞いて頷いた。
「この町にいるという“鬼斬り様”…鬼門から出てきた鬼を狩る方のことですか…」
「はい…」
最後に話が出たのが結構前なため、忘れている可能性もあるので説明しておくが、鈴と花は現在“鬼”。だまりとりんねが食欲をそそられない理由はわからないが、鬼であることは涼と楽、さらには香も時間を作っては様々な術式を使って調べつくしたため、鬼であることは断定されているのである。悪鬼ではないとはいえ、鬼門を使える鬼である以上、狩られるかもしれないという不安はある。
「…そうだ、花さん。」
「はい…?」
「これ、一緒に読みますか?」
そう言って鈴が見せたのは日ノ本昔話集の本。
「日ノ本昔話集…ですか。」
「この昔話集、中に“鬼斬り様”っていう話が載ってるんです。」
「え…?」
「…読んで、みませんか?何か手掛かりがあるかも知れません。」
鈴の言葉に花は少し迷ったような表情をした。
「いいんですか?」
「はい。」
「…では、お言葉に甘えて。」
鈴と花はその場で一緒に“鬼斬り様”という話を読み始めた。
鬼斬り様
昔々。
まだこの地に東京という名がつくよりもっと昔。
この地には、鬼というものが存在したそうな。
鬼は、夜になると門から飛び出し、人を喰らう。時間が経つごとにその鬼はより強力に、より恐ろしいものになっていく。
なれば人は夜に出歩くことはなくなる。それは鬼に襲われて命を落としたくないがため。昼に出ないのならば夜に外に出なければいいという考え。
襲われることは少なくなったものの、それで解決するほど話は簡単ではない。
事実、当時の天皇はその鬼共に頭を悩ませていたそうな。
時間は巡り平安の世。陰陽師というものが現れた。
陰陽五行を扱う、呪術師達。
陰陽師らは力を合わせて鬼に対抗する術を編み出し、人々を守ったという。
しかし、鬼は各地に出没する。
いくら陰陽師たちが鬼を退治できるからと言って毎日、各地に出没されたのではどうすることもできぬ。
ならばどうするか。永観2年6月、当時の陰陽師たちと当時の天皇である円融天皇は考えた。
考えた。
考えた末───
結界を張り、その中に各地に散らばる鬼を閉じ込めることにした。
とはいえ結界のできる前に鬼がいたならばそれをその地へと閉じることができない。
ならばどうするか。
一人の陰陽師が言った。
鬼が現れる源を各地から吸収する結界を張ればいい、と。
強力な鬼が出来上がる可能性があるが出現範囲を狭めることはできる。
結界を張った後、各地に散らばる鬼は退治すればいい。
その方針で決まった。
結界の地は平安の都より東。
謎に龍脈の力が強かった場所。
龍脈の力を切らず、なおかつ龍脈の力を強くする結界を張った。
それにより、平安の都、および各地に鬼が出ることは少なくなった。
…結界の場所の話をしよう。
結界を張った場所に、とある少女がいたそうな。
少女は夜になると外へ出ていき、家にあった刀で鬼を斬ったそうな。
それが、鬼斬りである。
少女の髪は黒。桜色の着物に身を包み、背丈ほどもあるであろう太刀を軽々と振り回す。
言葉を発さず、ただただ鬼を斬る者。
偶然鬼に出くわし、喰われそうになるところを助けることも何度かあり。
救われた者達より、いつしか“鬼斬り様”という名前が広まった。
それを聞きつけた陰陽師たちは結界の地に赴き、少女と会おうとした。
だが、できなかった。
目撃情報はあるものの、少女の場所が明らかにされぬ。
どこからともなく現れ、鬼を斬ると跡形もなく消える少女。
その頃のどんな陰陽師でも。かの有名な安倍晴明、蘆屋道満でさえ、少女を見つけることはできなかったという。
平安の世が終わるまで少女の捜索は続けられたが、救われたもの以外、鬼斬りの少女の姿を見ることはなかったという。
未だ怪異を信じる者は未だ文明が届いていない地の者とこの結界の地、明治以後“麹町”と呼ばれているその地の者だという。
著:名もなき怪異研究者
side 胡蝶しのぶ
私が本を読んでいるとカタン、という音が隣の部屋から聞こえた。
「…姉さん?」
隣の部屋への襖を開くと、体を起こして本を読む姉、胡蝶カナエの姿があった。
「何読んでるの?」
姉さんは近くにあった紙に文字を書いた。
“鬼斬り様”
「鬼斬り様、かぁ…そういえば姉さん好きだったよね。」
姉さんは小さく頷いた。
「…鬼斬り様、ね。ね、それってどんな話だっけ?」
姉さんは紙に文字を書き始めた。その姿を見て少し辛くなる。
(…姉さんから声を奪ったあの鬼…私は絶対に許さない。)
姉さんは声が発せない。それは肺と声帯に異常をきたしているからだ。それを起こしたのは氷を使う鬼だった。
(…そういえば)
姉さんが襲われていた時。鬼と姉さんの間に割って入った人物がいた。確か、水色の着物を着た桜色の太刀を持った女の子だったはず。姉さんを助けた後、すごく無機質な目を向けていたのを覚えている。
(あの子は…いったい?)
そんなことを考えていると、机をたたく音がした。姉さんが何かを書き終わったときにする合図。
“鬼殺隊とは違う、鬼を斬る女の子の話、かな?よくわからないけど。”
「ふ~ん…」
私はそれを聞きながら、麹町の謎の呉服屋のことを思い出していた。
ということでとりあえず鬼斬り様と呼ばれていた存在の伝説(?)的なものでした。
胡蝶カナエさんは上限の弐と戦って肺と声帯をやられてはいますが、生命活動は未だ続いています。ただし、全集中の呼吸、でしたっけ。それが使えないために鬼殺隊を辞め、蝶屋敷(でいいんだっけ)で療養中、ということです。
…あ~…もう本当に焦った…