鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

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第十六話。実際投稿数がいつのまにか20を越えてたことに内心驚いている私です。
最近登校時間が遅くなってしまい申し訳ないです…


第拾陸話 鈴の想い、仁の思い

 

錦糸綺糸屋、昼。香の部屋内。

 

そこには白猫と黒猫に見守られながら眠る香の姿があった。

 

 

 

───朝。

 

 

 

仁は今日の店の準備をするために一ノ蔵に向かっていた。

 

(…あれから香は帰ってないようだが…いったいどこに行ったんだ?)

 

仁が考えていたのは錦糸屋の当主である香のこと。昨日の暗い時間帯に一人にした後、彼女が錦糸綺糸屋に帰ってきた足跡は見当たらなかったからだ。

 

(…一体どこでなにをしてるんだ、全く…鈴が心配してるぞ…)

 

彼女の恋人である鈴が心配していることを考えつつ、一ノ蔵の鍵を開けた。

 

「楽、灯り。」

 

「おう」

 

後ろからついてきていた楽に灯りを求めると、一ノ蔵内部が照らされた。

 

「…ん?なんだ、これ…」

 

仁が蔵の中に落ちている赤い布にかかった何かに気がついた。

 

「…なんだ……っ!?」

 

「なぁっ!?」

 

仁が布をはがすと、仁と楽が驚きの表情を浮かべた。

 

「こ、香!?なんでこんなところにいるんだ!?」

 

そこにいたのは香。帰ってきた痕跡の無かったはずの、香だった。

 

「気…失ってんのか?」

 

「…死んではないみたいだ。なら気を失ってるんだろう。」

 

「そうか…ともかく、鈴と涼に伝えてきたほうがいいよな。」

 

「あぁ…頼む…あと香の父親も頼む。」

 

「分かった」

 

楽が一ノ蔵から出て、屋敷内に駆けていった。残された仁が、ふと香の着物を見ると、何か鋭利なもので複数回斬られたような跡があった。

 

「これは……一体…?」

 

その後しばらくすると、鈴と灯純が屋敷から出てきて、灯純が香を担いで屋敷内に連れて行った。斬想鬼については鈴が屋敷内へと持って行った。

 

 

 

───そして今に至る。

 

 

 

香が寝ている部屋の中に、一つの人影が入ってきた。鈴だ。

 

「若女将……まだ起きないんですね…」

 

既に仁達に見つかってから3時間は経過している。ほぼ一時間おきに来ているというのに未だ香が起きる気配はない。

 

「…早く…起きてください…───…」

 

香の額に手拭いを乗せ、呪文を唱えてから退室した。

 

その場にいるのは白猫と黒猫。そして、眠った香とりんねのみである。

 

そうして暫く経ったころ。

 

「…ぅ」

 

香から小さな声が聞こえた。それに白猫が反応し、香の体の上に乗る。

 

「うぅ…」

 

香が体を起こす。それと同時に香の額から手拭いが落ちる。

 

「…?これは…」

 

「お目覚めですか?」

 

白猫の方から声が聞こえる。

 

「その声は…ツルさん?」

 

「えぇ。意識ははっきりしておりますか?」

 

「は、はい…」

 

「では、鈴を呼んできますね。すごく心配されてましたから。」

 

白猫が口を開けると、そこから霊体の鬼が飛び出し、屋敷を飛んで行った。

 

「…幽鬼、か…」

 

「にゃ~」

 

「みりかと…あと…?」

 

「この子は佐吉からクロという名をもらっていますよ。」

 

黒猫が話し、口から霊体の鬼───幽鬼が現れた。

 

「あなたは?」

 

「“ユキ”、と言います。」

 

「ユキさんですか…」

 

そんな話をしていると、部屋の外から走る音が聞こえた。

 

「若女将っ…!」

 

「あ…鈴…」

 

「…っ…よかった…!」

 

鈴が若女将に抱き着いた。

 

「っ!?び、びっくりしたぁ…」

 

「よかった…!」

 

「…私はお暇させていただきますね。」

 

ユキと名乗った幽鬼は黒猫の中へと戻り、白猫とともに部屋を退室した。

 

「…ごめんね…心配かけて…」

 

「心配…しました…私を置いて…どこかに行ってしまうのかと…」

 

「…ごめん」

 

香が鈴の背をさすり、落ち着かせていた。

 

「…あっ」

 

鈴が気がついたような声を発し、香から離れた。

 

「はわわ…///」

 

恥ずかしいことをしていたのに気がついたのであろう、顔を赤くしていた。

 

「そ、そういえば若女将…」

 

「な、何?」

 

「昨夜はどこに行ってたんですか?」

 

「昨夜…あぁ…」

 

香は少し考えるような顔をした。

 

「ちょっと、強い敵と戦ったんだよね。相手に加減されてたからなんとかなったけど、されてなかったら、って考えるとね…」

 

香の言葉に鈴が顔を青くした。

 

「ここに若女将はいなかった…?」

 

「…不安に思わせること言いたくはないけど、そうなる。」

 

「そんな…」

 

その場に沈黙が下りた。

 

「…そうだ、りんね。」

 

…なによ

 

「今日、私の体動けると思う?」

 

…無理ね。あいつに与えられた傷が多すぎるわ。私の力も少し足りないから今日一日は安静にしてなさい。

 

「…分かった。」

 

りんねは言い切ると、香の影に溶け込んだ。

 

「…お腹…減ったかも…」

 

「…朝ご飯、食べます?」

 

「あ、うん…」

 

「待っててください、今持ってきます…」

 

鈴が退室し、台所の方へと駆けていった。

 

「…よ。どうだ、気分は?」

 

「お父様…」

 

入れ替わるように灯純が現れる。

 

「…お前、鬼と戦ったんだって?」

 

「あ…うん…」

 

「どんな奴だった?」

 

「…人間に近かったけど六つ目で…あと…刀を使ってた。」

 

「ほぉ…」

 

灯純は少し悩むような表情をした。

 

「そう言えばお父様。」

 

「ん?」

 

「“月の呼吸”、って知ってる?」

 

「月の呼吸?」

 

「敵が使ってた技っぽいやつの名前なんだけど…」

 

「…いや、知らねぇな。もっと情報集めた方がいいか。」

 

「お願いしてもいい?」

 

「分かってる。それはそれとして香、あの術の構築は終わってるのか?」

 

「あ~…」

 

灯純の言葉に香が言葉を濁した。

 

「構築は終わってない…なんとなく理論とかはできてるんだけど。」

 

「そうか…いつごろできる?」

 

「多分あと1ヵ月はかからないはず。」

 

「…そうか。俺たちはお前の術式構築を手伝うことはできないからな…」

 

「あはは…魔法なんて、お父様たちは知らないもんね…」

 

魔法。香が使う謎の術。灯純たちはこれに対する理解ができていない。

 

「魔法の理論は何となく理解できるんだがな…術式の施行、術式の改変なんざ俺達にゃできん。っつうかよくやろうと思うよな…」

 

「あはは…」

 

香の笑い声が乾いていた。

 

「まぁ私は慣れてるし。どこを変えていいのか、どこを変えちゃダメなのか理解できてるから。」

 

「俺にゃ全く分からん…」

 

「まぁこれに関しては慣れだから。」

 

「すげぇのかおかしいのか…」

 

灯純が頭を抱えた。その時、ちょうど鈴が顔を出した。

 

「持ってきました…」

 

「あ、ありがと…」

 

「…じゃ、俺は失礼しますよっと…」

 

そう言って灯純は姿を消した。

 

「若女将、一人で食べれます?」

 

「あ、うん…」

 

「じゃあ…どうぞ…」

 

鈴が差し出したお椀を持ち、一口食べる。

 

「…味がない、ってことはまだ治ってないのね…」

 

「そうね…」

 

「…ん、おいしい。いつもありがと、鈴。」

 

「い、いえ…」

 

香が食べていると、部屋の戸を叩く音が聞こえた。

 

「はーい」

 

「香…すまん、俺だ。ちょっといいか?」

 

「仁…?どうぞ~」

 

香が答え、仁が部屋の中に入ってきた。

 

「あ…食事中だったか…」

 

「大丈夫。で、何か用?」

 

「あ…っと…」

 

仁は鈴に目線を向けた。

 

「…私、席外しておきますね?…聞かれたくないみたいなので。」

 

「あ、うん…」

 

「すまん、助かる…」

 

「いえいえ…」

 

そう言って鈴が部屋の外へと出た。

 

「…それで、用事は?」

 

「…香。頼みがある。」

 

「…何?」

 

「俺を…鍛えてくれないか。」

 

その言葉を聞いて香の目線が鋭くなった。

 

「…理由を聞いても?」

 

「…強く、なりたいんだ。もう、誰も…失わないために。」

 

「…」

 

「お前が見せたあの武器の使い方。あんな使い方ができるなんて俺は知らなかった。」

 

「…」

 

「俺は、しばらく戦っているというのに知らないことが多すぎる。似た武器を使う者として香に鍛えてもらいたい。」

 

「…そうですか。」

 

香は仁から視線を外し、近くにあった斬想鬼に触れた。

 

「…辛くなるかもしれませんよ?」

 

「かまわない。もとよりそれは承知の上だ。」

 

「…分かりました。」

 

香はそう言ってから軽くため息をついた。

 

「では、明日の夕方、お店を閉めてから。その後2時間ほど、私から教えましょう。」

 

「…助かる。」

 

「…ですが、私が教えたとしても。その技を本当に身に着けられるかはあなた次第ですよ。」

 

「…分かった。」

 

それを聞いた後、香が何かに気がついたような顔をした。

 

「…あ。敬語戻ってた。」

 

「確かにな…それが素なのか?」

 

「分かんない。」

 

その後、香の部屋には何度か人が来て、違う人が来るたびに前にいた人が退室するという形になっていた。

 




はい、仁強化フラグ的なのが立ちました。多分今炭治郎さん達は藤の家にいるんじゃないですかね?骨折治癒とかで。
次回は教導回かな…
ではでは。
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