鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

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感想欄の設定を間違えてましたので第壱話を投稿します。
なお、しばらく鬼滅の刃のキャラクターたちは出てこないのでご注意を。


第壱話 始まり

「号外号外ィ!昨晩北の大通りで鬼が出たってよォ。」

 

「…らしいぞ、仁。」

 

「だからどうした。」

 

俺は瓦版の声を聴いた楽にそう答えた。

 

「今日も鬼狩り行くのか?」

 

「当たり前だ。最近はだまりがいなくとも何とかなるようにはなってきたからな。」

 

「だよなぁ…」

 

楽はそう言うと着物をたたむのを再開した。

 

「若旦那。しばらく休んではどうですか?」

 

「ん…いや、もう少しやってから休むさ。ありがとう、花。」

 

「疲れたぁ!」

 

「咲、お前はもっと静かに店に入ることはできんのか…」

 

「だって疲れたんだもん!」

 

「柊さんに言いつけるぞ?」

 

「それは勘弁っ!!」

 

事件解決の夜から早7ヵ月が経った。

 

最近は楽も鬼導隊として夜の鬼退治をしに行ってたりする。実際稼業も継いでおり、影の鬼導師として鬼神族と話をしに行っているという。

 

俺も俺で、楽に戦い方を教えてもらいながら鬼狩りをしてたり。まぁ、食べる奴はいないんだが。

 

花は花で俺達のサポート。って言っても前のような術は使えないんだが。

 

「よぉ」

 

「あ、柊さん」

 

「っ!」

 

「なんだ、咲。ちょうどいたのか。」

 

「は、はい…」

 

柊さんは俺達に新しい鬼の情報を与えてくれる情報源。というのも俺達はこの綺糸屋を拠点としているから、隊の情報に疎いのだ。

 

「あら、お客様?」

 

「母さん、時間的に閉店です…」

 

「あら…ということはこれから外へ?」

 

「いや、まだだろ~…」

 

「まだだと思います…」

 

「だがそろそろ悪鬼が出る時間ではあるからな…準備はしとけよ、楽、仁、咲。」

 

「ええ、存じております。…ところで、本日は何かご用で?」

 

実際、営業時間中に柊さんが来ることはあまりない。あるとしたら至急の用事があるか、もしくは…

 

「おお、そうだ…桃。」

 

「こんにちは!」

 

「…本日は何をご所望で?」

 

「髪飾りが欲しいらしい。桃に合いそうな飾り───陰気除けができるのがあるとなおいいんだが───見繕っといてくれねぇか?」

 

「えぇ、良いですよ。」

 

「あらあら、可愛らしい子もいらっしゃい。どうぞ上がってくださいな。お茶をお出ししますから。」

 

「母さん…」

 

「すみませんが今日はもう帰らせないとなんで。」

 

「今まで何してたんだよおっさん。」

 

「桃と遊びまわってたんだ。というか桃が行きたいって言ったんだがな。」

 

「立派な父親ですね、柊さん。」

 

「ね~、桃ちゃんがいる前だと立派な父親に見えるよね、花ちゃん。」

 

「咲、お前明日訓練倍な」

 

「うぇっ!?」

 

何事もない平和な日常。

 

でも、俺はこの平和が続くとは思わない。

 

何故なら、綺糸屋事件は平和な時に起きたからだ。

 

平和は、いともたやすく崩れ去る。

 

それを俺は、すべてを失った時に思い知った。

 

「っと、若旦那。そろそろお店を…」

 

「ん…あぁ、そうだった。桃様、申し訳ありませんが…」

 

「はいです!明日また来るのです!」

 

「聞き分けいいなぁ!」

 

「すまん花。閉店作業してくれ。」

 

「は、はい!」

 

「咲、行くぞ。俺達も鬼退治の準備だ。」

 

「はい!柊隊長!」

 

柊さんはそういうと入口のほうまで向かったが、出る前で止まった。

 

「そうだ、仁、鬼退治終わったらちぃとばかし話がある。」

 

「?わかりました、お待ちしております。」

 

思えば、この時から始まっていたのだろう。

 

俺達の新たな───いや、不可解な事件は。

 

 

───丑三つ時。

 

ここは、人と鬼が同じ世に在る。

 

人と鬼は決して相容れぬ。

 

決して、相容れてはならぬもの也。

 

 

「出たぞ、鬼だ!」

 

「っ!」

 

俺は武器───斬糸(ざんし)と呼ぶことにしたそれを振るい、鬼の攻撃を受け止める。

 

「楽!」

 

嵐!

 

「ウガァァァ!?」

 

動きが止まったのを見計らい、武器の糸を巻き付ける。

 

「これで…終いだ!」

 

最後に引き絞って斬る。

 

「ァァァァァ…」

 

封!

 

飛び出た魂は楽が術で封じる。それが今の俺達の戦い方だった。

 

「うっし、これで俺達の仕事は終わりか?」

 

「咲から聞いた話だとそうだったな。」

 

「じゃ、戻ろ~ぜ~」

 

「そうだな。花と母さんが待ってる。」

 

俺達は綺糸屋への帰路を辿った。

 

 

されど───

 

出逢えば、絆も生まれるもの也。

 

 

「帰ったぞ~」

 

「あ、お帰りなさい若旦那!」

 

花が真っ先に出てきて対応してくれた。

 

「母さんは?」

 

「もうご就寝なされてます。咲さんたちはまだ?」

 

「ここにいるが。」

 

声に振り返ると柊さんと咲が後ろに立っていた。

 

「あ、いらっしゃいませ。」

 

「おう…今終わったもんでな。すまん、時間がかかった。」

 

「柊隊長、実際手負いなんですからあまり無茶しないでくださいよ…」

 

「ともかく、立ち話もあれですので中へどうぞ。」

 

「おう、邪魔するぜ。」

 

柊さんと咲を中に招き、お茶を出した。

 

「…どうだ、最近は」

 

「だまりがいた時よりは動きの自由度が下がってますが、まぁまぁ問題なく狩れてますよ。」

 

「そうか…やっぱりだまりがいないときついところはあるか?」

 

「普段の生活には問題ありません…というかだまりがいると逆に普段の生活に支障が出ます」

 

「あ、そっか。若旦那朝すごく眠そうだったもんね。」

 

「そうだ…だまり…鬼はもともと闇に生きるもの。日の光に弱いせいで眠くて仕方がなかったんだ。」

 

「鬼…か。今回の話はその話なんだが…」

 

「?」

 

「お前さん、“歪みを使う鬼”の噂、知ってるか?」

 

「歪みを?」

 

柊さん曰く、その鬼はどこからともなく現れ、空間の歪みを作り出し、その中に人を閉じ込めてしまうという。

 

「噂でしかねぇし、俺もよくは知らないんだが…昨晩、その鬼に襲われたっていうやつが出てきてな。護符を持ってたがあまり効かない、そんな鬼だったそうだ。」

 

「護符が効かない、ですか…」

 

「例の顔の無い鬼みたいに効かなかったわけじゃないみたいだが…それでも効きにくい相手だったそうだ。」

 

「…」

 

「とりあえず俺から言えるのは用心してほしいってこt…」

 

柊さんがそこまで言ったときに俺達の周囲が突然真っ暗になった。

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「なんだ、これは…?」

 

「これは…!?まさか!」

 

「何か知ってるんですか!?」

 

「恐らく、歪みを…」

 

「ボクに何か用かい?」

 

そんな声が聞こえた瞬間、俺達は落下感覚を感じた。

 

「きゃははきゃはは、落っこちた、落っこちた。時空の狭間を彷徨い続ければいいよ…永遠にね。この女はもらっていくけどね。」

 

突如、俺達と一緒に落ちていた母さんの姿が消えた。

 

「母さん!」

 

「ふふふ…さようなら。この女は鬼舞辻無惨様に鬼にしてもらおう…」

 

(鬼舞辻無惨…?)

 

そんな声が聞こえたと同時に、俺の意識は途絶えた。

 

 

───同時期、別場所にて───

 

 

「お母様!」

 

「くすくす…さて、この女は鬼舞辻無惨様に捧げて強い鬼にしてもらいましょうか…」

 

(鬼舞辻…無惨…?)

 

黒髪の少女もまた、母を連れ去られ、謎の空間を落下し、意識を失った。

 

 

───綺糸屋。

 

───錦糸屋。

 

可能性の世界に存在した二つの呉服屋。

 

同じ運命をたどったこの二つの呉服は。

 

奇しくもまた、同じ運命を辿ることとなる。

 

されど、この度は混ざり合う。

 

綺糸屋と錦糸屋が混ざり。

 

そして更なるものも混ざり合う。

 

 

「で、伝令!麹町に突如謎の大きな屋敷が現れたとのこと!」

 

「謎の屋敷…ですか?」

 

「はっ!何もなかった場所に一夜にして大きな屋敷が現れたと!」

 

「十二鬼月の血鬼術の可能性もあります、鬼殺隊には十分に警戒して事に当たるよう指示をお願いします。」

 

「はっ!」

 

 

鬼狩りと鬼狩りが出会いし時。

 

新たな運命の歯車が回りだす。

 

 

「「お前は、“歪みを使う鬼”を知っているか?」」

 

「「シ、シラナ…イ…」」

 

「「げっげっげっ…はい、ごっそさま!」」

 

ぱきん。

 




今回はこれで終わりです。
ちなみに、柊隊長が営業時間中に綺糸屋を訪れた理由とか訪れるのが遅い時間になった理由は割と適当です。
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