鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

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第二十五話。仕上げましたよ~…
実戦稽古・その弐はこれで終わり。次回はその参…になるのかならないのか。
そろそろキャラ設定書き直し入れるべきですかね…っと。


第弐拾伍話 実戦稽古・その弐 後

 

(…体が重い)

 

仁は復活した思考の中でそんなことを思っていた。

 

(まずい、思考が止まっていた…俺は、どれだけの時間こうしていた?俺は…どうなった?)

 

目を開けようとしたが、目が開かない。力を入れようとしたが、それも無理だった。

 

(…体が重い……ここは…どこだ……俺は……確か……)

 

そう考えて思い出すのは自分が飛ばされた風景。

 

(俺は…あいつの攻撃に飛ばされて……それで…)

 

次に思い出したのは自分が壁に激突した時の衝撃。

 

(…ここは…まさか、瓦礫の下か?)

 

そう考えれば体が妙に重いのも考えはつく。

 

(…考えろ。俺はどうすればいい?どうすれば、ここから抜けられる?)

 

仁は思考を回す。そんな時に思い出したのは香に言われた言葉。

 

『心意っていうのは、全て思いの力。強い思い込みの力、と言ってもいいかもだけど。あれは時によって世界の理を書き換える。だからと言ってすぐに強くなったりはしないけども…そうだね、私たちの動きにはすべて心意制御回路が干渉している。だから、自分が越えたいと思う壁…それでも限度はあるけれど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね。』

 

(壁を…越える…俺にとっての壁は…)

 

仁は軽く気分を落ち着かせた。

 

(この世界を突破すること…そうなるか。)

 

『もし、その壁を突破できたなら。それは貴方にとって、障害にならなくなる未来が近いってことだよ。』

 

(…集中しろ……体の隅々まで心意の網を張れ…)

 

イメージの網を体全体に回すようなイメージをすると、仁の思考の中に自分の体のイメージが浮かんできた。

 

(…顔面は何かにつぶされている。だまりによって修復はされているがこれによって目が開けない…次、腕…こちらも何かにつぶされていて身動きが取れず、うまく力が入らない…体全体が何かで潰されている状態か…)

 

イメージから読み取れた情報はわかったが、そこからどうするかである。

 

(…くそっ、俺の心意操作精度じゃ腕への心意強化残留伝達がうまくいかない…何か…何か…!)

 

焦りから心意の精度が荒くなっていた。

 

『───な』

 

(…?)

 

突如思考内に響いた声に心意を練るのが止まった。

 

『若───那』

 

(…この声は…)

 

『若旦那ぁっ!聞こえていますか!?』

 

『若旦那ッ!』

 

(正…!?それに、花!?)

 

かつて、綺糸屋の番頭を任されていた男、正。そして、仁の恋人である花の声が仁の意識に響いた。

 

『あぁ!よかった…聞こえているんですね、若旦那!』

 

(なん…で…)

 

『落ち着いて聞いてください、私は…あなたの中に刻み込まれた正という人物の残留思念です。』

 

(残留…思念…?)

 

『えぇ…っと、手短に言います。若旦那、あなたはまだ心意の力を正常に発揮できてません。』

 

(っ…)

 

痛いところを突かれ、仁が言葉に詰まった。

 

『あなたはここから出れないことで焦っていて、()()()()()()()()()()()()()んです。その状態では、この場所から出ることはかないません。』

 

(操作…精度…)

 

『若旦那。一度、落ち着きましょう。心を落ち着かせて、本来のあなたの精度を取り戻すんです。』

 

(…)

 

『…私は、もうそろそろ限界なので消えますが…大丈夫です。あなたになら、できますよ…!』

 

(…!)

 

『若旦那。手を、前に出していただけますか…?』

 

仁が意識内で手を出すイメージをすると、その手のイメージの中に何かが落ちてきた。

 

『この世界に来てからずっと…預かっていたのです。あなたの素質、あなたの力を…お願いします…花ちゃんを…必ず…幸せ…に…』

 

(正!?)

 

『…すみません…限界…です…またいつか…お会い…しま……しょ…』

 

その言葉の後、正と名乗った人物の気配が消えた。

 

『若旦那…』

 

(花…)

 

『…頑張ってください…お願いです……早く…帰ってきて…』

 

(…)

 

仁はその言葉で何か思うことがあったのか、無言になった。

 

(…そうだ。なんで…)

 

『お願い…』

 

(なんで、俺は強くなりたいと願ったんだ?)

 

仁のいる場所にひびが入っていった。

 

『早く…帰ってきてください…』

 

(…そうだ…俺は…俺が強くなりたいと望んだのは……!)

 

『仁…!』

 

(大切なものを守るためだっっ!!)

 

仁の意識から強い心意の光が溢れ、腕へと流れ込む。

 

「…ぉぉっ!!」

 

力強い気合とともに自分に乗っかっていた瓦礫をすべて吹き飛ばし、そばにあった柄をつかんでゆらりと立ち上がった。

 

「ふん。生きていたか。しぶとい雑魚め。」

 

「雑魚かどうか…確かめてみたらどうだ…?」

 

仁がそう呟いた直後、()()()()()()()()()()()()

 

「ふん。ならばもう一度…押しつぶしてくれるっ!!」

 

鬼はそう言い、跳びあがった後肥大化して仁めがけて落下してきた。

 

(研ぎ澄ませろ。対処は簡単だ。)

 

『純正系統はただの派生の一種に過ぎない。まぁこの辺はまた今度教えるけど。実はこんな技もあるよ。』

 

(再現するは一度見たあの技。一撃で決めたい。)

 

「死ねェェェっ!!」

 

鬼が仁の間合いに入った瞬間、仁は刀を振るった。

 

「『“反射閃々・火炎十速(かえんじゅっそく)”』」

 

「…!?」

 

上半身と下半身を真っ二つに斬られた鬼は何が起こったのかわからずに変な顔をしていた。

 

(再現するはたった一度だけ見たあの高速の二撃!耐えてくれよ、俺の体…!)

 

「………ぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

とある位置に持っていき、叫びながら左斜め上から内角30度ほどで右斜め下へ、反射角30度程で右斜め上へと切り上げに変更した。途中まで斬られたことで気がついたのか、鬼が肥大化を始めた。

 

「無駄な努力を!」

 

「無駄かどうかきっちり見極めろ!“バーチカル・アーク ver.sonic”ッッッッ!!!!」

 

叫んだ直後、刀が加速し、鬼の体を切り裂いた。

 

「…っぁぁぁぁあああ!熱い!熱いぃぃぃぃ!」

 

(まだ…死なないのか!?)

 

しぶといやつだ、と思いつつ、また鍛錬中に香が言っていたことを思い出した。

 

『よくわからない、この世界にいる人みたいな鬼は悪鬼たちと違って首を正確に落とさないと死なないみたい。だから、正確に首を切り落とさないとね。』

 

(首…か!)

 

仁は鬼の首元に刀を当てた。

 

「ひぃっ!」

 

「…最後に、一つ答えろ。」

 

仁はそこで一呼吸置いた。

 

「お前は“歪みを使う鬼”を知っているか?」

 

「し、しら、しらない…」

 

「そうか。」

 

仁はそれを聞くと刀を後ろに引いた。

 

「た、たすか…」

 

「“浄火一閃(じょうかいっせん)火炎(かえん)”」

 

仁の呟きとともに振るわれたその一閃は、鬼の首を確かに斬り落とした。

 

「…終わった、か?」

 

仁が呟いたが、鬼が動く様子はなかった。

 

「…疲れたな…」

 

 

 

───香の方はというと。

 

 

 

「!?あぁぁぁぁぁ!!!」

 

突如、鬼が叫び始めた。

 

「よくも!よくもお兄ちゃんを!」

 

(ブラコンか…)

 

香は呆れたように鬼を見つめていた。

 

(それにしても、仁は鬼を仕留めたんだ。なら、もう待つ必要はないか。)

 

「お兄ちゃんの……勅次(ときじ)の仇はこのアタシ、明里(あかり)がゼッタイにウツ!!」

 

「狂化してきてるなぁ…」

 

香はそう呟いて、鬼を見据えた。

 

「殺す…まずはオマエから殺すころすコロスコロス!!!」

 

鬼はそう言いながら香に向かって突進してきた。

 

「血鬼術 激劣水(げきれっすい)ッ!!」

 

鬼は叫びながら水を吐き出してきた。

 

(水…受けかな)

 

「“スピニング・シールド”」

 

刀を回し、水を弾き飛ばした。それを見て、鬼がニヤリと笑った。

 

「かかったね、馬鹿め!」

 

「?…!」

 

水を浴びた香の刀が錆びついていた。

 

(これは…酸の水…?)

 

「アンタを溶かせなかったのは残念だけどぉ…それでアンタの武器は使い物にならないねっ!キャハハッ!」

 

鬼がおかしそうに笑った。

 

「アンタはここで負けるの!アタシという下弦候補に無様に負けてね!アハハハッ!!」

 

鬼が何も言わない香を指さしてさらに笑った。

 

「ねぇ今どんな気持ち?下に見てたやつに殺されそうになってどんな気持ち??」

 

「…別に、」

 

「ん~?聞こえな~い!」

 

「…()()()()()()()?だって…」

 

香が顔を上げると、その表情は無に近いものだった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「は?」

 

鬼がその言葉を発したかと思うと、鬼の懐に香がいた。

 

「!?」

 

「受けてみなよ、私のO(オリジナル)S(ソード)S(スキル)!!」

 

香が振り上げた太刀が紅く光った。

 

「“レイバースト───」

 

最初に腹の部分へ十回の高速刺突、次に頭、右脚、左脚、左腕、右腕、右腕、左腕、左脚、右脚、頭、頭、右脚の順で刺突を打った。

 

「かふ!?」

 

「───エクスキューション”ッ!!」

 

叫びとともに首元への二閃、さらに鳩尾の部分へと二十回もの高速刺突を叩き込んだ。

 

“レイバースト・エクスキューション”。香が使う四十四連撃ものソードスキル。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その攻撃を受けた鬼は凄まじい勢いで吹き飛び、壁に激突した。

 

「っ…」

 

鬼が起き上がろうとするが、その前に香が鬼の前に行き、()()()()()()()()()()()を壁に穿ち、動きを止めた。

 

「ひっ…!」

 

「一つ答えて。」

 

鬼はすでに、怯え切っていた。

 

「あなたは歪みの無い鬼を知ってる?」

 

「し、しらない…」

 

「…そう。」

 

香は壁から刀を引き抜き、少しだけ刀を後ろに引いた。

 

「“浄花一閃(じょうかいっせん)”」

 

香がそう呟き、納刀音が響いた直後、鬼の頭が落ちた。

 

「“泣桜(なきざくら)”。」

 

どこからか、すすり泣くような声がした…ような気がした。

 

 

「…」

 

香はしばらくそのまま動かなかったが、やがて刀を斬想鬼に納め、仁の方へと向かった。

 

少し歩くと、道に座り込んでいる仁の姿が見えた。仁も足音に気がついたのか、香の方を向いた。

 

「…お、香…終わったのか。」

 

「あ、仁。そっちこそ、終わったんだ?」

 

「なんとか…な…体がうまく動かん。」

 

「…ちょっと診せてね?」

 

香が仁に軽く触れると、軽くため息をついた。

 

「体の方には異常なし。だけど、かなり心意とかを消耗してる。重度の心意欠乏状態、及び体力欠乏状態だね。いったいどんな無茶したらこうなるの…」

 

「ははは…“反射閃々・火炎十速”を使った。」

 

「…あ~…私が一度見せたのをまねたのかぁ…だからだね、この消耗度は。」

 

「そうなのか?」

 

()()()()()使()()()()()()()()()()使()()()()()()()()。それがこの状態だよ。仁の鍛錬を始める前日の私と一緒。」

 

「そうか…」

 

仁が軽くうつむいた。

 

「さ、帰るよ?私も久しぶりに使った技のせいで疲れちゃったし、仁は早く休まないと。」

 

「あぁ…」

 

「ほら、私につかまって?」

 

仁が香に手を引かれて立ち上がったときである。

 

 

どんっ

 

 

「「!?」」

 

()()!?そんな、こんな時に!!)

 

戦いは、まだ終わらないのかもしれない。




えーっと…なんで仁がソードスキルを、っていうか“バーチカル・アーク”は刀カテゴリソードスキルじゃなくて片手剣カテゴリソードスキルだよね?っていう意見はあると思いますけど……えっと……はい、まぁ…そうですね、その技を強くイメージしてさらに軌跡さえなぞれれば同じ技が出せる、っていう設定です。刀を叩き折られた時に香に使われた“バーチカル・アーク ver.sonic”が強く印象に残ってたんですね。
それと、香が使ったOSSの“レイバースト・エクスキューション”ですが、あれは本文中にもある通り、本来二刀流で放つ技です。それを何故一刀で使えているのか、っていうのはただただ動きの速度を早くして二刀の時の動きを完全に模倣している、っていうのが真相です。やってることは単純ですが、実行するのは普通に難しいやつですね。まぁ、また今度技集とか出した時に詳しく説明しましょうか。
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