…まぁいいや、そんなことより二十六話です。
あとタグ追加します。“東方プロジェクト”…完全に明らかになるのはもう少し後なんですけど明日の投稿とかまでに追加しておきます。
それともう一つ。この作品本編とは違う、小ネタ、没ネタ、単なる思い付きの設定系とかいろいろ押し込んだ裏側とかを別の作品としておこうと思っています。設定とかを一気に読みたい人向け。裏の方は完全に不定期で行こうと思います。連載設定にしておきますけども。チラシの裏で行うか通常投稿で行うかは未定。
それは、一瞬だった。
香が突如現れた鬼門に反応し、少し震えながらも斬想鬼を構えた直後のことである。
香と仁の側を、一陣の風が吹き抜けた。
「え…」
香が遅れてそれに反応した時、鬼門から現れた鬼が真っ二つに斬れ、その骸から鬼の魂が出てきた。
「何が…起こった…!?」
「多分…あの人…」
香の視線の先には、白く長い髪を持ち、赤い太刀を振りぬいた状態にしている、白いシャツに赤いスカートを履いた少女がそこにいた。
(…あの人…いったい…?)
その少女は太刀を背に吊ってあった鞘に納めると、香達の方へと体を向けた。
「…」
(目が…無機質…?)
少女はそのまま歩いてきて、仁が戦っていた鬼の亡骸に触れた。
「…」
触れてしばらくすると、少女にその亡骸が吸い込まれていった。
(吸収した…?…っていうか……)
その亡骸を吸い込みおわると、少女は香が戦っていた鬼の方へと歩いていった。
(……間違い…じゃないよね?)
「香…」
仁が香を呼んだ。
「何?」
「…花から聞いた話とは違うが…あれって…鬼斬り様、って言われるやつなんじゃ…」
「鬼斬り様…」
そう呟いて香は少女を見た。少女は、鬼を吸収している途中だった。
「…太刀を使う少女、ってところだけ見ればあってるけど…」
香が鈴から聞いた鬼斬り様の特徴は“桜色の着物に身を包む、黒髪の少女”だ。対して先程鬼を斬った少女は白髪で、白いシャツに赤いスカートを履いている。だが───
「…可能性はなくはない、か…鈴から聞いたのは平安時代の時の話…その鬼斬り様に子孫がいてもおかしくない…か…」
そう呟くと同時に少女が鬼の吸収を終え、香達の方へと歩いてきた。
「…あの!」
少女が香の近くを通り過ぎた少し後、香が少女に声をかけると、少女が歩くのをやめた。
「助けてくれて、ありがとうございます……えっと……貴女…は?」
少女は顔だけを香に向けた。
(…やっぱり…目に感情がない?)
香がそう思うと同時に、少女は興味を失ったように香から目線を外した。
「……」
その後、少女はまた歩き始めた。
「貴方の…なまえは?」
香が問いかけると、少女が立ち止まった。再度香の方を向き、口を開いた。
「─、─、─、─」
「え……?」
少女は声になっていない言葉を発したかと思うと、その場から
「消えた…!?」
(…あの子が消えると同時に
香は先程まで少女がいた場所を見つめて首を振った。
(ううん、違う。転送魔法とか、そういうものじゃない。あの子、
香のこれが正しければ、彼女は死者だということになる。
(でも、おかしい。悪霊でもないのに霊体がはっきりしすぎている。それに、あの口の動き。)
香は少女の口の動きを思い出す。母音で示せば、“
(子音を当てはめるとするなら…多分、t、s、k、t…即ち“
「香?」
「うん?」
「あそこ、何か落ちてないか?」
仁が指さしたのは少女が消えた場所。そこに何かが落ちていた。香はそこに向かい、それを拾った。
「…木札?結構黒っぽくなってるけど…これは…炭化してるの…?」
黒、というよりは焦げたような色。腐っているわけではないようなので炭と判断した香は何気なしにその木札をひっくり返した。
「何か書いてある…?」
彫られているようで、それを暗い色で塗っているようなため、よく見えないが…確かに、彫られていた。彫られている文字は───“
「藤…原?」
読み上げてから首をかしげた。
「…とりあえず、一度帰ろう。仁を休ませなくちゃだし。…鬼斬り様のことを教えてくれたあの人、明日の営業時間に来店したら聞いてみようかな…」
そう呟いた後、木札を着物の中にしまい、仁に手を貸して錦糸綺糸屋へと向かった。
───翌昼、営業時間。
「あぁ、それは鬼斬り様ね。」
以前、鬼斬り様という存在のことを教えてくれた団子屋のおばさん。錦糸綺糸屋に来店した彼女は香の話を聞いてそう断言した。
「昔話には書いてないけれど、鬼斬り様の姿はたまに変わっていたらしいのよ。特にわかりやすかったのは黒い髪と白い髪の違い。ある時は黒い髪、ある時は白い髪の女の子だったり、女性だったそうなのよ。」
「そうなんですか…」
「だから、いつの時代にも鬼斬り様の家系の女の子や女性がいて、その人達が交代制でこの町を守ってくれてる、っていうのが私たちの見解。」
真相はわからないけどね、と団子屋のおばさんは付け加えた。
「この町には鬼斬り様を信じている人は多いけれど、本当に鬼斬り様に救われた人たちは少ないからね。“鬼斬り様”っていう存在が本当にいるのかを疑う人も中にはいる。だから、鬼斬り様の情報はそこまで多くないんだよ…」
「そうなんですね…」
「…っと、香ちゃん。これ買っていっていいかい?」
そう言っておばさんが差し出したのは音の鳴らない鈴のついた簪だった。
「その鈴、鳴らないんですけどいいんですか?」
「いいよ。これ、旦那からもらった贈り物の簪に似てるんだ。…どっかで、なくしちゃったんだけどさ。その簪も鈴が鳴らなかったから。それで、旦那の思いがこの簪に籠ってるとかはないと思うけどさ。…そうだね…大切だったものって、失ってから気がつくんだねぇ…」
おばさんが外を見てそんなことを呟いた。
「…もし、その簪が見つかったとしたら、どうしますか?」
「ん?そうだねぇ…もう失わないように、大切に持っておきたいね。」
「…そうですか。」
「それで、お代はいくらだい?」
「3円50銭になります。」
「はい。」
香はおばさんから3円50銭を受け取った。
「お買い上げ、ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております。」
「今後ともご贔屓にさせてもらうよ。」
おばさんはそう言いながらお店を後にした。
次回は…どうしましょう。原作本編介入前に日記入れますけども。