夕方。
いつもの通り香と仁が色の違う木刀を持って向かい合っていた。
「…じゃ、はじめるぞ?」
「あぁ、始めてくれ。」
「じゃあ…始めっ!」
楽の掛け声で同時に香と仁が飛び出した。
「“火炎抜閃”」
「“桜花抜閃”」
仁は炎を纏う抜刀を、香は花を纏う抜刀を放った。互いに交差し、鍔迫り合いのような状態になる。
「…花という性質上、こっちの方が不利かな。」
「って言いながら競り合ってんだろうが…!」
「まぁ、“花属性”は私の最適属性だし…っていうか、仁に火属性適正あったことが私的には驚きなんだけど。」
「俺も知らんかったっつうの!」
その声とともに弾かれたように距離を取り、香が接近を試みた。
「“反射閃々・火炎十速・七連”!!」
「そう来るのね…“反射閃々・桜花十速・前進六連”!」
停止中の七連に対して前進し続ける六連。手数は香の方が少ないが、前進するという力のかけ方が加わっていた。
「これならどうだ、“バーチカル”っ!」
「ソードスキルにはソードスキル、“ホリゾンタル”!」
仁の赤い光を帯びた刀と香の水色を帯びた刀が交差する。横方向への力が何度かかかっているというのに、刀は全く折れる気配がない。
「流石師匠っていうかなんて言うか…」
「師匠って呼ばないでほしいんだけどな…」
「“火炎一閃”」
「っと効かないよ」
不意打ち気味の火炎一閃を、二、三回刀を振っただけで防ぎ切った。
「…やっぱ効かないか。」
「一応教えたのは私だし。」
「そうか。」
「技をどこまで進化させられるかは仁次第。それは覚えておいてね。」
「進化…か。」
「そ。」
この話している最中、ずっと斬撃が飛んでいたのだが、全て防ぐか躱すかをしていた仁と香である。
「にしても、強くなったよね…仁…」
「…自分では実感がわかないな…」
「多分、最初のころの仁だとここまで持ってないよ…っていうか、成長速すぎ。」
「…成長か…なぁ、香。」
「ん?」
「属性ってどれくらいあるんだ?」
「属性?」
「あぁ。」
香は刀を振るいながら考えた。
「14、かな?火、水、風、土、雷、氷、闇、光、花、幻、音、虫…それと不変と変化。」
「不変と変化…?」
「不変っていうのはどれだけ心意を注いでも変化させることができない“変化不能属性”。変化っていうのはどんな属性にも変わる“変幻自在属性”。」
「へぇ…」
「仁が使ってる火炎刀は火属性の属性刀の一つ。私の使う桜花刀も花属性の属性刀の一つ…なんだけど、変化不能属性と変幻自在属性には属性刀は一つずつしかない。」
「そうなのか…」
「うん。」
そんなことを話していると、仁の刀が割れ始めた。
「…あ、そろそろ限界か。」
「そうだね…」
「ちなみに火属性の属性刀っていうのは他に何かあるのか?」
「火炎刀は一番弱い火属性刀なんだよね。だからこれを上げてやればいいんだけど…一例で言えば紅炎、とかかな?」
「紅炎?」
「うん。っと、もう折れそうだけどどうする?」
香の言うとおり、仁の刀はもう折れそうなほどになっていた。
「…次の一撃で終わるか。」
「そだね。」
その言葉とともに仁と香は距離を取った。
「“火炎一閃・焼尽”」
「“桜花一閃・三分咲”」
仁の刀からは炎が吹き出し、香の刀からは花が生まれて衝突した。
「“爆刀・散開”っ!」
「“散刀・護法”」
衝突した時、仁の刀は砕け散りながら爆発し、香の刀は砕け散りながらその破片が爆発の衝撃を抑えた。
「うわ…」
「…はい、今回も私の勝ち。」
香は刀の破片を仁の首元に近づけていた。
「あぁ。元から勝てるとは思っていないからな。」
「…いや、結構ひやひやするんだけど?今日で何日だっけ?」
「15だな。」
「ほぼ2週間でこれかぁ…」
香が頭を押さえた。
「今教えられそうなことほぼほぼないんだけど…」
「そうなのか?」
「属性関係はちょっとあれだからね…暫くは模擬戦訓練が主になるかな…?」
香がそう呟き、木刀を斬想鬼に納めた。
「とりあえず分割思考が少し不安定だし、そこの強化かな?」
「分かった。」
「で、とりあえず明日は鍛錬休みね。」
「え…?」
「最近心意使い過ぎ。万全の状態にしておかないとね。」
「…分かった。」
仁は少し不満そうだったが、やがて立ち上がって自分の部屋へと向かった。
誤字修正やろうかな…