…と、いうことで三十一話です。実際、約2週間ぶりの投稿でしょうか。
今後も遅くなると思いますがしばらくお待ちください…申し訳ありません。
「ママー!」
白く長い髪を持つ女の子が同じく白い髪を持つ女性に抱き着いた。
「うん?───。どうしたの?」
「えへへ、なんでもなーい!」
「…そっか。」
女性はそう呟いてから壁にかかっている時計を見た。時刻は06:25を指していた。
「…───、今日って学校だっけ?」
「え?うん。」
「部活は?」
「あるけど…」
「…もうそろそろ家を出ないと時間危ないんじゃない?」
女性にそう言われた女の子は時計を見た。
「…あっ!?ほ、ほんとだ!」
女の子はそう言って女性から離れて家の奥の方へといった。
「急ぎすぎて足をs……」
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「……遅かったみたいだね」
女性はため息をつくと悲鳴のした方向へと足を向けた。
「…あ、これ地下室まで落ちたの?」
一階の階段の一番下の段より下にも段はある。それは地下室へと通じる階段。しかしその階段は途中で途切れている。
「地下室…ま、いっか。───!聞こえるー!?」
「何ー!」
小さくではあるが女の子の声が聞こえた。
「そっち行くからクッションから降りてじっとしててー!」
「うん!」
返答が聞こえたかと思うと女性は近くにあった縄を地下室の門に投げ入れ、慣れた様子で一階の床と縄を固定した。
「よっ」
そんな声とともに女性は地下室の門の中に自身の身を投げた。
「さてと、どこまで落ちたかな」
声が届いたということはそこまで深くはないはずである。
「…っと、クッション見えた。」
そう呟いて女性は空中で姿勢を変えた。
「Angel Fly」
女性がそう呟くと、
「あ、ママー!」
見上げていた女の子が女性の姿を見てそう叫んだ。
「もう、危ないでしょ?いつも言ってるのに、階段は走ったら危ないって。」
「はぁい…」
「んと…ここは四階層か。」
女性は周囲を見渡してそう呟いた。
「ママ…?」
「magic clear」
女性がそう呟くと白い翼が消えた。
「spell act:system.id stand up teleport floor 2」
女性は香が使ってたような式句と同じものを唱え、少女とともに家の二階へと転移した。
「ほら、準備してきなさいな。」
「はぁい」
少女が部屋に入ったのを見届けると、女性は一階へと降りた。
「…結構派手に壊したね~…」
女性はそう呟き、割れている床に手をかざした。
「既存情報照合…既存情報との相違点を修復。…開始」
女性がそう唱えると、
「…これで良しっと。」
そう呟いた時には床は完全に直っており、階段の方から降りる音がした。
「準備できた?───。」
「うん!」
少女と女性が話していると、階段からもう一人おりてくる音が聞こえた。
「───?います?」
「?あ、パパー!」
降りてきたのは銀色の髪を持つ女性だった。
「あ、いましたね。これ、必要じゃないんです?部活じゃありませんでしたっけ?」
そう言って銀髪の女性が見せたのは和弓と矢、そして竹刀だった。
「…あっ!忘れてた!」
「もう、危ないですよ?」
「はぁい…」
銀髪の女性は持っていた竹刀と弓矢を渡した。
「じゃあ、いってきまーす!」
「気を付けてねー?」
「はーい!」
少女は家を出ると、一瞬で見えなくなった。
「……あの子、大きくなったよね。」
「…えぇ、そうですね。もう、17歳ですから。」
「…もう、そんなに経つんだっけ。」
「えぇ…時の流れは早いですね…」
銀髪の女性が白髪の女性を見つめた。
「…貴女と出会って、もう、20年以上経つんですよ、
「……その呼び名、久しぶりに聞いたかな。でも…」
香と呼ばれた女性は自分より背の高い銀髪の女性を軽く見上げた。
「そっか。
爆弾発言である。
「そうですよ。忘れちゃったんですか?若女将。」
「…その呼び名も久しぶりだね。…仁達はどうしてるかな…」
「気になりますか?」
「一応同じ店舗経営したからね。」
「…そうですね。」
この2人、なんと香と鈴らしい。しかし、鈴はもともと銀髪だったが香が白髪とは一体…?
「…元気にやっていますかね、仁さん達ご夫妻は…」
「ん~…どうだろうね。私も最近あっちに行ってないからわかんないね…」
「そうですか…」
その言葉の後、少しの間沈黙が降りた。
「…若女将。久しぶりに仁さん達の方に行ってみませんか?」
「え?…まぁ、いいけど…」
香は家の中の階段の方を見た。
「…まぁ、多分動くかな?そんなにあの装置脆くないし。」
「じゃあ行きましょう?今日は私お休みなんです。」
「…ん、じゃあ行こうか。」
「はい!」
「転移門起動!転移、地下10階・転送ポータル
香が鈴と手を繋いだまま叫ぶと、鈴と香を青い光が包み込んだ。
少しすると香と鈴のいる場所が様々な機械が置いてある場所になっていた。
「…んと…」
香が機械に近づき、何か操作をすると、ブゥゥゥン…という音がした。
「…ん、動いた。さ、行こ?───。」
「…はい、───!」
2人が機械の中に入ると、青い光に包まれてどこかへ運ばれていった。
その青い光の中で、2人の顔が近づいていき───
───と、そこで世界が割れた。
割れた後、そこには布団の上で起き上がった状態の黒い髪の香がいた。
「……」
「…どうしたのよ…」
「りんね、ちょっと離れてて」
「え?え、えぇ…」
りんねが離れたのを確認すると、地面に手をかざした。
「spell act:system.id stand up silent area.」
かなりの小声で呟くと、香を中心に何か球体のものが張られた。
「…」
香は大きく息を吸った。
「なんていう夢なのよっ!!!!」
そう、かなりの大声で叫んだ。
「…はぁ。spell act:system.id stand up silent area delete.」
香が唱えると、先程の球体のようなものが消えた。
「はぁ…」
「なんか、お疲れのようね?」
「…あ、ごめんね。また心配させちゃった?」
「いえ、別に?まだ心配するほどのレベルではないわよ?」
「そっか。」
香がそう呟くと、香の部屋の襖を叩く音がした。
「は~い?」
「すみません、香さん…わたしです、妹紅です…美月もいます。」
「妹紅さんと美月さん…?どうぞ~」
香がそう言うと襖をあけて妹紅と美月が入ってきた。
「どうかしました?」
「…香さん」
「?」
「本日はよい夢を見られましたか?」
「…え?」
香は妹紅の言葉に正確な返答を返さなかった。
「…どうして、妹紅さんが私が夢を見たということを知っているんですか?」
香が妹紅に問う。確かに考えてみればおかしい。夢というのはその当事者しか知らないようなものだ。夢の共有、なんて力があれば別だが。
「…昨晩。いえ、本日の明朝でしょうか。わたしと美月は自分達の力を組み合わせて香さんにその能力を使いました。」
「…」
「わたしの能力は夢と無意識を操る能力です。そして美月の能力は…」
「…少し先の未来を知る能力…つまりは現在から短期間までの未来予知です。」
「この二つの能力を組み合わせると…どうなると思いますか?」
「未来予知と夢……まさか、“予知夢”…ですか?」
香がそう呟くと、妹紅と美月が頷いた。
「その通りです、香さん…」
「…未来予知はその人の素質によってさらに精度が上がる可能性があります…私は精度は高めとはいえ短期間しかできませんが…もしも、香さんに未来予知の素質があるのなら……」
美月はそこで一度言葉を切った。
「………恐らく、私が予知できるよりもさらに長い期間の未来予知ができるでしょう。」
「…お聞きしますが、美月さんの予知期間は?」
香が美月に予知期間を聞いた。
「…時間が現在よりも離れる程精度が落ちますが…最大で1ヵ月、かなりの高精度で見ることができるのは1週間です。」
「高精度1週間…最長1ヵ月…」
香はその時先程の夢を思い出していた。
(…確か、
「あの…?」
遠慮がちに美月が話しかけてきた。
「…あ、ごめんなさい。そういえば、妹紅さんと美月さん以外はどんな能力を持っているのですか?」
「流華は花と心を通わせる能力を持っています。探査系には結構役立ったりしますね。風兎は霊体と心を通わせる能力です。」
「……大地は、霊体を作り出す能力を持っています。妹紅含め私達が封印されていても外で鬼を狩るという行動ができたのは彼のおかげです。最後に日向は時間を知る能力を持っています。私の能力と組み合わせてそれがいつ起こり得ることなのかを知ることができます。」
「…なるほど。すごいですね。」
「ありがとうございます…」
「…さて、お昼ご飯、食べに行きましょうか。そろそろみんな起きている頃でしょう。」
香はそう言って部屋の外へと出た。
───夕方
香と仁は自分の刀を振るい、戦っていた。
「…技の精度、心意強度、心意精度。どれを見ても申し分ない。…シュッ!」
香が刀の速度を上げ、仁の刀の腹に当てた。その衝撃で仁の刀は折れた。
「っ…再具現化!」
一瞬のうちに納刀し、叫んだ後に抜刀して香の次の攻撃を防いだ。
「まだ本気は出せていないとはいえ多少早い私の動きを防げるほどの心意構築速度。一瞬の判断力も速い……融合状態第二段階行ったらどこまで化けるんだろう。」
「全部聞こえてるぞ…!っていうかまだ本気じゃないのか…っ!」
「
「いつか絶対に出させてやる……!!」
「頑張って。仁ならいつかできるよ。」
「お~い、仁、香!」
戦闘の中、そんな会話を交わす2人に声がかかった。その声に仁と香の動きが止まった。
「どうした、楽」
「花と鈴が鬼の反応を見つけたってよ!」
「そうか…よかった」
「さ、行こうか。」
香の言葉で香達は花達のいる台所の方へと向かった。
「鈴、見つかったの?」
台所に着いた香は地図を覗き込んでいた鈴に声をかけた。
「はい若女将。いくつか悪鬼と…よくわからないものが集まっているような反応が…」
「よく分からないもの?それは何だ?花。」
「恐らくは例の人が鬼と化したものかと……」
「人が鬼になる、か…」
「本当にそんなものがいるのか?花よ。」
「だまり殿…私もよくはわかりませんが…」
「…“那田蜘蛛山”、か。聞いたことない名前だね。」
香が地図を覗き込み、呪具が円を描いている場所の地名を読んだ。
「…蜘蛛、か…」
「…どうした、香。顔色が悪いぞ。」
仁の言う通り、香の顔色が少し悪かった。
「あぁ…そういえば、若女将は虫が大の苦手でしたね。」
鈴の言葉に香が頷いた。
「…どうする、行くのやめるか?」
「…ううん、行くよ。一応仁の師匠なわけだし。一応虫を見ても強く意識を保っておけば何とかなるから。」
「そうか…」
その会話を聞いていた花と鈴は地図の近くに鬼門を生成した。
「若旦那。香さん。この鬼門はその那田蜘蛛山の近くに繋がっています。」
「行くならば気を付けてください…」
「…あぁ。」
「うん、わかってるよ。…あ、そうだ」
香が何かを思い出したように着物の袖部分を探った。
「…あったあった、これこれ。」
取り出したのは紐のついた4つの石だった。石の色はそれぞれ異なっている。
「はい、これは仁に。で、これが花さんでこれが鈴。」
そう言って仁に赤色の石、花に緑色の石、鈴に青色の石を渡した。香の手元には桜色の石が残っている。
「これは?」
「お守り。3人とも首からかけておいて?そうじゃないと効果は発揮しないから。」
香に言われた通り3人が紐を首にかけた。
「…ん、じゃ、行こうか、仁。」
「あぁ。」
「…あっ!」
突然、食堂の中にいた美月が声を上げた。
「どうかしました?美月さん。」
「…香さん、仁さん。…気を付けてください。何か、良くないことが起こるような…そんな未来を予知しました。」
「良くないこと?」
「…いきなり来て、びっくりしたのであまり見えてないんです…ごめんなさい。でも、気を付けてください。」
「…分かった。」
そう言って香と仁は鬼門をくぐった。
はい、ということで次回からは那田蜘蛛山戦になる予定です。当然ですが鬼殺隊と仁・だまりペア、香・りんねペアは別行動です。
あ、ところで。那田蜘蛛山戦が終わって、柱合会議(裁判)、能力回復訓練があるじゃないですか。その柱合会議終了を投稿するまでで少しアンケートを取りたいと思います。議題は“香の秘密を話す時期”、です。無惨様討伐までには秘密を話させるつもりなのですが、それをいつにするか定まっていないんですね。ですのでそれを読者さんたちに決めてもらおうかと…人任せですがよろしくお願いします。
香の秘密を話す時期はいつがいいですか?
-
無限列車直後
-
遊郭前
-
刀鍛冶の里前
-
刀鍛冶の里直後