───時は少し戻って香の方へ。
香は気配がした開けた場所へと戻ってきていた。
「……いるよね。でてきたら?」
香が声をかけると、木陰から一人の角の生えた少女が出てきた。
「貴女は…」
「…先日はどうも、よね?」
少女の左眼に“下肆”の文字があった。これは、十二鬼月である証拠。だが、鬼殺隊でもない香がそんなことを知るわけもない。
「ふふふ……前は仕留めそこなったけど…今度こそ仕留めてあげる…」
「……疲労状態の私に負けかけていたというのに随分と余裕そうですね」
「ふふ…ただの小娘が十二鬼月のこの私に勝てるわけがないでしょう?」
「…十二鬼月…」
「…さ、おしゃべりはここまで。黙って私の栄養となりなさい?」
「…生憎と、私も黙ってやられたくはないので。軽く抵抗はさせていただきますよ。」
「……言うじゃない?なら、どこまでできるか見ものかしら。」
「以前のように疲労状態ではありませんから。…逆に貴女を倒してしまうかもですよ?」
香がそう言うと鬼が顔色を変えた。
「…へぇ?余裕そうにしてられるのもいまのうちかもよ?…“血鬼術 超巨大化”」
鬼がそう呟くと、どんどん鬼の体が大きくなっていった。
「…巨大化の異能…」
「私は
その大きさは、138cmしかない香の身長をはるかに超える大きさ。というより…
「…大きくなりすぎじゃない?木より高いって…」
周辺の広葉樹の高さを越えている。
「問題ないのよー!これでアンタをきっちり踏みつぶせるからね!」
「…まぁ、確かに踏みつぶせそうだけど…狙えないような…」
「そうねぇ…その辺分かってんのかしらあの鬼。」
「…“下手な鉄砲も数打ちゃ当たる”系なんだろうなぁ…ま」
香は巨大化した鬼を見上げて小さく笑った。
「…りんね、私にそんな戦法効くと思う?」
「……絶対効かないわね。断言するわ。」
「…なんか断言されてもなぁ…」
「…だって香、貴女、一か所に留まるよりは素早く動いて相手に攻撃を入れる方でしょう?」
「…まぁ、その通りなんだけど。」
そう呟いたところで香の周囲に影が見えた。
「どーん!」
香が影を避けた直後、鬼の巨大な拳が地面に突き刺さった。
「あら?つぶれた感覚がしない…」
(まぁ、避けてるし…それより、これはこのまま放置しておくと周囲に被害が大きく出る。早期決着…かな。とりあえず。)
「あれ~?」
(さっきから思ってたけど少し思考とか口調とか幼くなってる?)
「みーつけた」
その声とともに香が陰に隠れていた木が引き抜かれた。
「怪力かぁ…」
「ばいばい」
「…」
ぱちん。
そんな音と共に香は斬想鬼を閉じ、背に背負った。…
「…“剣式・
ぱきん
斬想鬼の開く音がすると同時に香のいる場所へと鬼の平手が落ちた。
「あ…潰れちゃったかな?」
鬼がそう呟いた時、その平手の中央部分が穴が開くように斬れた。
「へあ…?」
「…“ストリーク”」
その穴から飛び出してきた香がそう呟くと、剣が青い光を纏い、その直後、横一文字に斬撃が放たれた。
「…?っ!」
鬼が気がついた時には落とされた平手の方の手首から切り落とされていた。
「…すみませんけど、環境破壊をしたくないので早めに決めさせてもらいます」
「…!ちっさいあんたに何ができるっていうの…!」
鬼は再生した手で殴りかかってきた。
「…大振りで、重いけれど遅い。貴方の弱点はそこ。」
そう呟き、香は高く跳躍した。
「高…!?」
香はそのまま鬼の手の上に着地し、腕を駆け上がった。
「“リニアー・二連”!!」
顔の付近に着いた時にかなりの速さの突きを二回放った。そして即座に構えを変え、今度は剣に紫色の光を纏った。
(あの人に依頼されてた剣技…!本当はあの人のものだから撃ちたくなかったけど………ごめんなさい、先にお借りします!!)
「“マザーズ・ロザリオ ver.凝縮突き”っっ!!」
大きな音と共に速く力強い一撃が香の細剣から放たれ、鬼が少し体勢を崩した。それによって香の体が空中に投げ出される。
ぱちん
その中、香は細剣を納刀して斬想鬼を閉じた。
「“剣式・
ぱきん
即座に斬想鬼を開き、剣を引き抜いてとある地点に持っていくと香の剣が光り始めた。
「少し体勢崩したけど…それくらいで……!」
「残念だけど終わり。“バーチカル・アーク”ッ!!」
そう叫んだ直後、香の剣が加速した。仁の時に使った“バーチカル・アーク ver.sonic”が遅いと感じるほど速く、鬼の体を断ち切った。
「ぐっ…!」
「届…けぇぇぇぇぇえええ!!」
片手剣ソードスキル“バーチカル・アーク”は二連撃技。一度断ち切ったとはいえ、次の“返し”が待っている。下から上への返し。生半可な跳躍力では届かない。
…と、その瞬間香の姿がブレた。
「!?」
(あれ…は!?)
香と同じ技を放とうとしているのは、
「い……けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
しかし声は紛れもなく香の声で。鬼の動きが停止しているうちにその謎の変化は終了し、鬼の体をもう一度断ち切っていた。
「う…ぐっ」
鬼は術が維持できなくなったのか、急速に体が元の少女の姿へと戻っていった。
「…っ!」
少女の姿に戻り、自分が不利だと悟ったらしい鬼は、香にはもう目も向けずに一目散に逃げ去った。
「ま…ちな…さ……い」
香は追いかけようとしたが、体がふらつき、地面に倒れた。
「…はぁ…はぁ……」
「…大丈夫、かしら?」
りんねが香に声をかけるが、香は小さく首を振った。
「……だめ……動けない」
「…しばらく休んでなさい。その間私が周囲を見ておくわ。」
「…ありがと……りん……n」
言葉を発しきる前に香は気絶した。
「……さて、私は警戒を張った方がいいわね。」
りんねはそう呟いて周囲の警戒を始めた。
香…結構低身長なのです。ちなみに香、仁、花、鈴の身長は以下の通り。
香=138cm
仁=146cm
花=152cm
鈴=146cm
…ところで。最後の方のバーチカル・アーク。相手が自分より大きい、片手剣、バーチカル・アークの三つのキーワードで気がつく人がいるかは分かりませんが…ソードアート・オンラインの一部のシーンの再現なのです。この話を組み上げる前からこの決着は考えてましたし…下弦の肆の血鬼術はそのために組んだのです。
…で。“マザーズ・ロザリオ ver.凝縮突き”ですが…名前の通りです。ユウキさんの十一連撃OSSの威力を一撃の刺突に凝縮したもの。香は使えるは使えるのですが、あまり使いたくはないというのが本心です。…なぜかというと、あれはユウキさんとアスナさんの使うものであって、それ以外の人間が使うべきではない。と考えているからです。香はある方から依頼を受けて凝縮突きという派生を組み上げましたが、自分が使うことは考えていません。自分の本心を上回るためにかなり強い心意を使ったために大きく消耗。その後も心意を消耗したために倒れたのですが…って、話が脱線してますね。…まぁ。今後鬼滅の刃の世界内で香が“マザーズ・ロザリオ”系統を使う機会はないとは言っておきましょう。
それでは、この辺で。ちなみに“マザーズ・ロザリオ”系統を使った理由はその時の状態で出せる単発技の中で一番の威力を持っていたからです。
香の秘密を話す時期はいつがいいですか?
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無限列車直後
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刀鍛冶の里直後