あ、ちなみに前回のタイトルの読み方は“きさつのむしばしらとおにつきのはなつかい”。
今回のタイトルの読み方は“きさつのみずばしら、おにつきのひつかい”ですね。
「……」
だまりは仁の影のふりをやめて周囲を見渡した。
「……気のせいか?…んや。そこにいるのは誰だ。」
だまりが一本の木の方へと話しかける。するとその木の影から左右の模様が違う羽織を着た人物が現れた。
「……誰だ。」
「鬼に名乗るような名は持ち合わせていない。」
その人物はそう答え、青色の刀を構えて即座にだまりへと襲い掛かった。
「…チィッ!」
だまりは即座に仁と同化し、仁の手元にあった刀で謎の人物の刀を受けた。
「ヒュゥゥゥゥ」
「…!?その音…炭治郎とかいう小僧が使っていた水の呼吸とやらか!」
「!?」
だまりの言葉に謎の人物は驚愕の表情を一瞬だけ浮かべたが、即座に斬撃を放った。
「“水の呼吸 肆ノ型 打ち潮”」
「…!」
だまりは自身の一部を硬質化させ、仁とだまりを護るように囲った。
「…硬いな」
(精度は炭治郎とかいう小僧よりもはるかに高い……わっしゃだけの力で何とかなるか…?)
「……これはお前の血鬼術か」
謎の人物がだまりに問うたが、だまりは首をかしげた。
「………血鬼術とはなんだ?それはただの“呪力硬質化”だが……」
「……呪力ってなんだ」
「知らん。」
「……」/「……」
その場を沈黙が支配した。
「……質問を変える。なぜお前は炭治郎と水の呼吸を知っている?」
「…そんなことをわっしゃが答えてどうする。」
「……解答によっては斬る」
「…どんな回答をしても切るつもりではないのか?」
だまりが謎の人物を見つめた。
「……ならどうしろと。」
「まずは刀を下ろせ。話はそれからだ。」
そうだまりが言うと、だまりは刀を地面に突き刺した。
「…こちらから危害を加えるつもりはない。」
「……」
「…といっても、信用はされんか。」
だまりは軽くため息をついた。
「……一つ聞かせろ。」
「…」
「お前は今まで、何人、人を喰った」
謎の人物はだまりをまっすぐと見つめてそう聞いた。
「人間?…零。悪鬼を喰った数なんぞはもういちいち覚えとらんわ。」
「…人間を、喰っていない?」
「…わっしゃは鬼喰いの鬼だ。人喰いとは違う。」
「……なら、その異様な姿は何だ。」
謎の人物はだまりの姿のことを指摘した。
「人間の身にとり憑いていることはどう説明する?」
「…それについてはわっしゃも説明しにくい。」
「……ふざけているのか。」
「ふざけてなどおらん。…ただ一つ言えるのは。」
だまりはそこで言葉をきった。
「…なんだ。」
「…ただ一つ言えるのは、わっしゃもこやつもこの状況を自分の意思で受け入れている。…それくらいか。」
「……」
その回答を聞いて謎の人物が刀を納めた。
「……これでいいか。」
「……」
それを見てだまりも地面に差していた刀を抜き、斬糸へと納めた。
「…それで、さっきの質問に答えろ。」
「…簡単な話だ。この場所に来る前、炭治郎とかいう小僧と伊之助とかいう小僧と会ったのだ。その時に使っていたのが水の呼吸。音が特徴的だった。」
「…他には。」
「特に何か話せるようなことはないが……そうだ、炭治郎とかいう小僧はわっしゃたちとは別の方向へと飛ばされた。」
「飛ばされた?」
「鬼だ。強い力を持つ鬼。わっしゃたちと炭治郎とかいう小僧は鬼の攻撃に吹き飛ばされた。」
そこでだまりは一度目を瞑った。
「…む。小僧、お前さん鬼殺隊だな?」
「それがどうした。」
「伊之助とかいう小僧が危ない。案内するからついてこい。」
だまりはそう言って走り始めた。慌てて謎の人物もその後を追う。
「……なんだ、ついてこないと思ったがついてくるのか。」
「…義勇」
「ぬ?」
「“富岡 義勇”。水柱だ。」
「…そうか。」
義勇と名乗った人物とだまりは走り続け、川に近い場所に出た。
「…あれだ!」
「…ぅ」
「…む?」
仁の方の目が動いた。
「…あれ…ここは……」
「すまぬ、仁、あやつを助けられるか」
「は…?」
仁は周囲を見渡して何が起こっているのかを確認した。
「…分かった」
仁が刀の柄に手をかけた。
「“心意脚力強化”…“火炎抜翔・加速乱斬”」
仁は強く地面を踏み込み、一瞬で鬼に接近して鬼の左手を滅多切りにした。
それとほぼ同時に、義勇も鬼の左腕を切り落とした。
「ギャウ」
「げほ、げほっ…」
「…大丈夫ですか、伊之助様。」
「あ?楼か」
「仁です」
仁は即答で間違いを訂正した。
「…あいつが、斬ったのか?」
「えぇ、私は伊之助様についていた鬼の指を切り落としただけですが。腕はあの方が。」
「…」
そんな話をしていた時、鬼が腕を再生させて義勇に飛びかかった。
「速ェッ…」
「ヒュゥゥゥゥ」
「…彼は、水の呼吸なのですか。」
「そう言っておったぞ。」
だまりがそう答えた時、義勇の技が動いた。
「“水の呼吸 肆ノ型 打ち潮”」
「っ……」
伊之助がそれを見て声を失っていた。
「…あの人、すごいですね。」
「……」
義勇が鬼を斬り、刀を納めたところで伊之助が動いた。
「俺と戦え半半羽織!!」
「……えぇ!?」
「…なぁ、仁よ。こやつ、やはり馬鹿なのか?」
「聞こえてんぞ!!二度も言うんじゃねぇ、にがり!!」
「わっしゃはだまりだ!!」
「……」
義勇は仁を見つめていた。
「…?」
「あの十二鬼月にお前は勝った、そのお前に俺は勝つ」
そこまで伊之助が言ったところで義勇は伊之助の方を向いた。
「そう言う計算だ、そうすれば」
伊之助は自分を指で差した。
「一番強いのは俺っていう寸法だ!!」
「……」
「……」
間。
「修行し直せ戯け物!!」
「伊之助様は馬鹿なんですか?」
「やはり小僧、お主馬鹿だろう。」
二人と一匹から一斉に暴言を吐かれた。
「なにィィィ!!」
「今のは十二鬼月でも何でもない。そんなことも分からないのか」
「わかってるわ!!十二鬼月とか言ってたのは炭治郎なんだからな!!」
(あ、正確に名前言った……あっ。)
「俺はそのまま行っただけだから……な」
義勇が手を叩いたかと思うと、伊之助が縄に縛られていた。
「…!?」
義勇はその後、仁をまっすぐと見た。
「…お前、なぜあの時、鬼ではなく人間の方へと攻撃をした。」
質問したのは伊之助を助けた時のこと。確かに仁は、鬼の方ではなく人間、伊之助の方へと攻撃を放っていた。
「……あぁ。私のこの武器は、私が斬りたいと思ったもののみを斬ることができるので。伊之助様ではなく、鬼だけを斬るという意思を持って斬っていたのです。」
「……そうか。」
その時、バサッという音が聞こえた。
「伝令!伝令!鬼ノ憑ク黒イ着物ヲ着タ男ヲ保護セヨ!特徴ハ赤イ筒ノヨウナ武器!!自分ノ意思デ斬リタイモノを見分ケラレル物!!」
鴉の言葉に義勇が反応した。
「…これは…」
「……私達のことでしょうか。」
「尚、情報ハ鬼ノ憑ク黒イ着物ヲ着タ女カラモタラサレタモノ!!」
「…そのようだな。…何を考えておるのだ、香は…」
「知ら…ん……」
仁はそう呟いて倒れた。
「!?おい!」
「そっとしておけ。少し疲れて眠っているだけだ。」
「…そうか。鬼。」
「なんだ。」
「炭治郎の位置は分かるか。」
「…」
だまりは義勇の言葉に自身の体の一部を硬化させてある方向を指した。
「あっちだ。何かと戦っている。行くなら早くいけ。」
「すまない。」
義勇は鬼に教えられた方向へと向かった。
(鬼喰いの鬼……か。あいつらも、何かが違うかもしれないな…)
義勇は走っている最中、そう思った。
実際別世界の人間と鬼ですから違うのは当たり前といえば当たり前だったりしますね…
それではまた次回…あ、前回話し忘れたバーチカル・アークの速度なんですけど…ソードアート・オンライン好きの方はご存じだと思いますが、あれは“片手剣垂直二連撃ソードスキル”なんです。前回まで香達は“刀垂直二連撃ソードスキルとして無理矢理心意で改造したものを使用していた”のですね。ですから実は刀で使っている方は本当のバーチカル・アークからは劣化してるんです。刀で使った“バーチカル・アーク ver.sonic”よりも片手剣で放った“バーチカル・アーク”の方が速いと描写したのはそれが理由です。
それではまた次回。次々回あたりには柱合会議に入れるかもしれません。
香の秘密を話す時期はいつがいいですか?
-
無限列車直後
-
遊郭前
-
刀鍛冶の里前
-
刀鍛冶の里直後