そして私がやってしまいそうになったこと。私が書いているもう一つの作品、“亡霊のお話”にこのお話を投稿しそうになったことです。危なかったです…
それでは、どうぞ。あ、“亡霊のお話”に関しては宣伝でも何でもないので見たい人がいればどうぞ。…もう先にあっちの方完結させるかな…
香が気を失ってからしばらくした後。
香に近づいてくる人影が複数あった。
「この人か?伝令にあった鬼が憑いた子供って。」
「影に目があるから多分そうじゃないか?…ってこれ寝てるのか?」
鬼殺隊の事後処理部隊、“
「女の子か…ということは男の子の方は違うところなのか。」
「う~ん…縛るのかわいそうかな…」
そう呟きつつ香に近づき、隠の一人が香に触れた時、香の指がピクリと動いた。
「……今一瞬動かなかったか?」
「…そうか?」
「……死んではないと思うけど、確かしのぶ様と戦った後って聞いたからな…早々動けないとは思うけど……」
「しのぶ様と戦ったんだったら毒が回ってるんじゃないか?」
「どうだか…」
そう会話した後、隠が香の腕を持ち上げようとすると、逆に香にその腕を掴まれた。
「うおっ!?」
「この人、動いて…!?」
「ちょ、離れろ!!」
腕を掴まれた隠が腕を振るが、香は一向に離す気配はない。
「ちょ…ゆ、ゆら……ゆらさ……ない…で…」
その小さな声に隠が動きを止める。
「……一つ……お願いがあります」
「は……?」
香は辛そうな表情をしながらも隠をしっかりと見つめた。
「…私達はこれから…鬼殺隊の……本拠地に……行くのでしょう…?」
「…それがどうした?」
「…なら……麹町の……」
香はそこで少しせき込んだ。
「…大丈夫か」
「……麹町の、“錦糸綺糸屋”というお店に寄って……そこにいる人たちを全員…連れて……きて…ください」
「錦糸綺糸屋……?」
香はぎこちなく頷いた。
「…理由は?」
「……話しておかないと……駄目、なのでしょう?…突如現れた、大きな屋敷を。」
「…」
隠はそれを聞いて少し納得した。
「…俺の一存では決められないが掛け合ってみよう。」
「…よろしく…お願い…しま……s」
香は言葉を発し終わる前に気を失った。
「…とりあえず拘束するぞ」
「あ、あぁ…」
隠達は香を軽くとはいえ拘束してから持ち上げた。
「うわ軽っ!?」
「てかこの子小さくね?」
「普通にしのぶ様より小さいな…こんな子が戦ってたのか。」
ちなみに、そのころりんねはというと。
(うっさいわねぇ……着物の中って狭いから好きじゃないのよね)
香の着物の中に隠れていた。
その香はというと───
どこかで水滴が落ちる音が聞こえる。
「ん……」
意識が目覚めると、どこか真っ暗な空間の中にいた。
「…ここは……」
実体のある実際の肉体感覚はともかく、意識体の感覚ははっきりと存在し、自分がどこか真っ黒な空間にいるということは知覚した。
「……あれ?私のこの服って…」
香が自分の姿を見下ろして言葉を発した。半袖の、紫色の部分が多いワンピース。靴下も紫であり、靴は青い花がついているサンダル。今の香とは全く違う服である。
「……この髪…」
香は自身の髪を手に取って小さく呟き、右手を軽く下に振った。
すると青い板が開き、香が操作すると香の手元に姿を反射するもの───鏡が現れた。
「…うん、間違いない。」
そこに映っていたのは白く毛先が紫色の髪を持つ、紫色の目を持つ少女の姿。どことなく、
「間違いない。…これは、
そう呟いてもう一度青い板を操作して手元にあった鏡を消した。
「…りんね」
香がりんねの名を呼ぶが、返事はなかった。
「…そっか、いないのか。」
香はそう呟いて、先程から宙に浮いていたものに話しかける。
「…貴女が案内してくれるの?」
「……」
浮いていたもの───それはハート型のペンダント。そのペンダントは縦に小刻みに動いてから香から遠ざかっていった。香はそれについていく。
「…ねぇ、ここがどこかわかる?」
「……」
ペンダントは横に小刻み動いた。否定の意。
「…そっか。今は誰かのところに向かってるの?」
「……」
ペンダントは小刻みに縦に動く。つまり肯定。
「そっか…」
そのまま少し歩き続けると、ペンダントが急に停止した。
「ここ?」
「……」
ペンダントが小刻みに縦に動いた。
「……はぁ…」
香が小さくため息をついた。
「手紙、届いたかな…」
そう呟いてからしばらく無音の時間が続いた。
「…ここ、どこなんだろ。」
香は答えが返ってくるとは考えずにそう呟いた。
「ここは精神の間。香の精神の奥底……少し無意識に近い領域だよ。」
背後から声がした。
「…その声。まさか…」
香は少しずつ振り向いた。その振り向いた先には青い眼を持つ白く青い毛先の髪を持つ女性がいた。
「…久しぶり。香。…元気…だった?」
「
お姉ちゃんと言われた人物はそれを聞いて柔らかく笑った。
「覚えててくれたんだ。」
「…当然、だよ……家族なんだから…!」
「…そっか。改めて、久しぶり。香。」
「うん…
Lulyと呼ばれた彼女。香の、実の姉である。
「ふふ…ごめんね、今まで全く接触してこなくて。」
「ううん…お姉ちゃんにも事情はあったんだと思うし…」
そういうとLulyが苦笑した。
「今回接触するのも実は結構ギリギリでね…それでも、香が気を失ったのがこっちで観測できたから何とか意識と意識の隙間に割り込んで今ここで話せてるんだ。」
「意識と意識の隙間…」
「うん。ここは意識と意識の隙間。その中でも無意識にかなり近い部分。香がその姿なのは香が“この姿が自分である”って自覚してるからなんだよ?」
「そっか…ていうことはお姉ちゃんは…」
「…私は、香がイメージしてる私の姿。だから今の姿ではないんだよね。まぁ、助かってるといえば助かってるんだけど…」
「?」
香は少し疑問そうな顔をしたが、すぐにはっとしたような顔になった。
「お姉ちゃん、聞いていい?」
「うん?」
「…私がそっちの世界からいなくなって、どれくらいの時間が経った?」
香のその言葉に、Lulyは少し暗い表情になった。
「…2年、かな。」
「2年…」
「香は…どれくらい経ったの?」
「えっと……11年くらい…かな?私が今13歳で…あの世界に落ちてきてお母様とお父様に拾われたのは1歳とかだから…」
「…そっか。手紙見てて思ってたけどやっぱり時間の流れが全く違うんだね。」
「うん…」
少し流してしまったが、実は香、錦糸屋の結と灯純の娘にはかわりないのだが、義理の娘、つまり拾い子なのである。香にとって結は義母、灯純は義父となる。香が結と灯純を呼ぶとき、呼び方が変だったのはそれが理由だ。ちなみに、結と灯純に実の子供はいない…わけではないのだが、今説明するべきことではないので省いておく。
「…どう?そっちの暮らしは。」
「慣れたけど…寂しいのは変わらないよ。…好きな人もできたけど。」
「…そっか。おめでとう。」
「ありがと…」
Lulyの言葉に香は顔を赤くしていた。
「…そういえば、お姉ちゃん結局何の用だったの?」
「…あぁ、そうだった。本題忘れるところだった。」
「お姉ちゃん…」
香に呆れられていた。
「…えと…はい、これ。」
Lulyが差し出してきたのは透明な石に近い何かだった。
「これは?」
「心意観測石…かな。適当につけた名前だけど。しばらくの間持っててほしいの。」
「えっと…?」
「ちょっと、問題が発生してね。それの調査のために動かせる人材がいなくて。香にお願いしたいんだけど…いいかな。」
「…ちょっと、詳しく聞かせて。」
Lulyは小さくうなずくと、香が今いる世界のことを話した。曰く、何らかの原因によって世界の境界と構成情報が歪みに歪みまくり、世界へ跳ぶことはおろか正常な観測すらできないということ。Lulyの力をもってしてもその歪みを正常に戻すことは難しく、せめて観測はできるように追跡ができる心意観測石を香に持たせるということ。そして、その世界に、何を間違ったのか“跳んでしまった存在がいるということ”。そしてその存在は、恐らく
「…8年前…5歳までの私と同じ感じってことなんだ…」
「うん。こっちの調査で分かってることは変な跳び方をするとその人に何か…特に記憶への異常が起こるってこと。その跳んでしまった人は多重転移していたみたいだから…その多重転移に使われた転送エネルギーが香のいる世界の方に引っ掛かって跳んじゃったんだと思う。」
「…そっか。」
「…それと、もう一つ。それを持たせる目的は転送座標の固定にあるの。」
「固定?」
「うん。香という存在を転送座標として設定することで正常な転送ができるようにするのが今回の目的。」
香はそれを聞いて小さく首をかしげた。
「…楔、ってこと?」
「そう。もしかしたら、増援を送れるかもしれない。」
「…分かった。…ところで、その跳んでしまった人って?」
香のその言葉に、Lulyは一枚の紙を差し出した。
「…香は、こっちの世界のことを忘れてるかもしれないけど…」
香がその紙を見ると、そこには紫色の髪に紫色の目を持った女性に近い人の顔写真と“玉藻 鬼神”という名があった。
「“
「…玉藻さん…」
「…香。」
「ん?」
香が資料から顔を上げると、Lulyが真剣な顔つきで見つめていた。
「…貴女の姉だけど、今回ただ一人の依頼者として貴女に依頼します。…玉藻さんを保護し、世界の歪みの原因を突き止め、修正後に安全にこちらの世界へと連れ帰ってきてください。」
「…」
「私のもつ“世界の管理”の力。そして、私の親戚が持つ“空間を操る力”をもってしても歪みを修正できないのは明らかにおかしいです。歪みを永続的に発生させている何者かが、その世界にいるはず。その何者かを倒し、この状況に終止符を。…恐らく、貴女も終止符を打たねばこの世界には帰れないでしょう。」
「…うん。わかった。その依頼、受けるよ。私も早く帰ってお姉ちゃんたちと遊びたいし。」
「…ありがとうございます。」
Lulyが頭を下げると、近くからピシッ…という音がした。
「…そろそろ目覚めそうだね。」
「…そうだね。」
「…あ、最後にもう一つお願いしていいかな。」
「?」
Lulyは真剣な顔ではないもののお願い、と言ってきた。
「さっきの玉藻さん以外に、仁さん達にも気にかけておいてほしいの。」
「それくらいなら。」
「…ん、じゃあ、私はそろそろ帰るね?」
Lulyはその場で体の向きを変えた。
「あ、まって!」
「うん?」
「あ、えっと…」
「どうしたの?」
香は少し恥ずかしそうに言った。
「えっと…あれ、やってほしいなって…」
「……うん、いいよ。」
Lulyは少し驚いたような顔をしてから香の背中に手を置いた。
「…“希望の虹はいつも心の中に。我らが魂の輝きは虹の中に。汝が魂は心の中に。汝の心は何色ぞ?”」
「“我が心は桜色。花に愛されし花の使い手。”」
「“汝の道に鮮やかなる希望の虹がかかることを。”」
そう言ってLulyは香の背中から手を離した。
「…じゃあね。」
「うん。」
そう香が言うと同時にLulyの体が粒子となって消え始めた。
「…またね。
香がそう言うと、Lulyは少し驚いたような表情をしてから柔らかく微笑んだ。
「うん。またね。
Lulyは言葉を紡ぎ終える前に消え去ってしまった。
「……仁は、絶対に守るよ。私が、この手で。必ず…みんなを、元の世界に戻してみせる。」
香がそう呟いた直後、世界が割れて光が差し込んだ。
「柱の前だぞ!!」
(…うるさい)
覚醒直後から特大の声が聞こえて少し香が一気に不機嫌になった。
意識を失っていた人がいきなり動いて自分の手を取ったら怖いですよね。本当は襟のところを掴ませて少し高圧的に要求させようかと思ったんですけど、もしかしたら厳しいかなって。
そして、新キャラ出てきましたね。星海、Luly…それから香の真の姿。私のtwitter見てる人は少し心当たりあるのではないでしょうか。
さて、いよいよ柱合会議。アンケートの回答期間も終わりが近づいてきました。…というのに、まだ一件しか回答がないという。ちょっと泣けますね。
では少し次回予告のようなものを。
鬼殺隊に連行された香達。そこには“柱”と呼ばれる8人の剣士たちがいた。香、仁、炭治郎、善逸、伊之助がその場にいる中、違う場所から来たもう1人の柱がとある行動を起こす。それを見た香と炭治郎は───
次回、鬼ヲ狩ル者達之交差 第肆拾話。“逆鱗に触れた者”
それでは、また。感想その他お待ちしております。展開予想もかまいませんよ~
香の秘密を話す時期はいつがいいですか?
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無限列車直後
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遊郭前
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刀鍛冶の里前
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刀鍛冶の里直後