「この声は……」
「まさか……」
仁と香が同時に声の方向を向く
「よぉ。」
「俺が起きたと思ったらなんか話してるんだもんよぉ。」
「父さんっ!?」
「お父様っ!?」
仁と香が同時に声を上げた。
「“
「“
今度は柊と暁が声を上げる。呼ばれた二人は首を振った。
「いや、俺は死んだはずだ。
「俺も同じく。
「だが…どうして…」
「さぁな。」
佐吉がそう言ったところでことが起こった。
「ごちゃごちゃ五月蠅いわ!寝ておったのに起こすな!」
「ごちゃごちゃうるっさい!!寝ていたのを起こすんじゃないわよ!」
「「え?」」
仁と香の影から何かが現れた。
「うん?…キサマ、仁か?」
「「「「「「だまり!?」」」」」」
「あら?あなた、香?」
「「「「「「りんね!?」」」」」」
「「だぁぁぁぁぁぁぁ!五月蠅い!」」
「おい……どういうことだ?」
「なんでだまりがまた俺に憑いて…?父さんがまた何かしたのか?」
「なんでりんねがまた私に……?お父様がまた何かしたの?」
「今回は俺は何も関係してないが。」
「右に同じく。」
「わっしゃも知らん。気が付いたらこの状態だった。」
「私も知らないわよ?目が覚めたらこの状況。ていうか…」
「「腹が減った。」」
仁と香は顔を見合わせた。
「「なんだこれ?」」
佐吉と灯純はそれを聞いて笑った。
「言ったはずだぜ、外に出りゃわかるってな。」
「外?」
仁がそう呟き、障子を開ける。
「外っつってもこの屋敷の敷地の外だ。店の看板、みてこい。」
灯純の言葉に香が店の扉を開け、外に出た。
「え…?」
「どうした…っては?」
仁と香が見たのは洋風の服を着た人々と和風の服を着た人々が入り混じっている光景だった。
「なんだ…これ?」
「……洋服…?」
香はそう呟いて店の看板を見た
「じ、仁!」
「どうした?」
「お店の名前…!」
仁もつられて店の看板を見る
「呉服…“
「これ…まるで私と仁のお店が合わさったような名前…」
「どういう…ことだ?」
「そのまんまの意味だろ…」
佐吉がそう呟いた
「恐らく、としか言えないがここは俺たちがいた世界と別世界だ。お前らの話にあった“歪みを使う鬼”とやらにここに飛ばされたんだろう。時間もろとも、な。」
「時間?」
「死んだはずの俺と佐吉が生きていること。仁と香から離れたはずのだまりとりんねが憑いていること。空間だけじゃなく、時間まで飛ばされた。記憶は保持したままで、な。これが俺と佐吉の見解だ。」
「だが…そんなことが可能なのか!?」
柊がそう言った
「わかんねぇな。だが今の状況を見るにそうとしか言えねぇだろ。…ところで仁。」
「何だ?」
佐吉は周囲を見渡して言った
「母さん……
「母さんは…」
「おい香、母さんは……?
「お母様は…」
「「歪みを使う鬼に連れ去らわれた。」」
「「なん…だと…!?」」
佐吉と灯純は驚愕の表情をして仁と香の首をつかんで店の中に入れた
「…説明してくれ。何があった。」
「香。俺は仁から話を聞くから茶、淹れてくれねぇか。」
佐吉から促され、仁がここに来るまでのことを話し始めた。香は茶葉筒を手に取り、お茶を入れ始めた
「…なるほどな。」
「お茶、入りました…」
「お、ありがとさん」
「ん…珍しく加工はしてないのか」
灯純はそう呟き茶を飲んだ。
「加工?」
仁が香に聞いた。
「私、よく鬼導術を使ってお茶に加工するの。大体の効果は回復促進なんだけどね。」
「どういうことだ?お前にはりんねが憑いてるはずだろう。」
「私、生命力だけは高くてね。りんねが私から分離しても1時間は生きていられたから。」
「鬼導術を使う間だけ、私が離れていれば香は本来の力を振るえる。逆に離れすぎると香が死ぬのよ。ま、別に良かったといえばよかったんだけど。」
「…だまり。力を抜いてみろ。」
「あぁん?」
佐吉の言葉でだまりが溶けた。
「っ!?」
すると仁が血を吹き出し始めた。
「ちょっ、若旦那!?」
「仁っ!?」
「……だまり、もういい」
「言われとらんでもわかっとるわ…しかし…」
「はぁ……はぁ……」
「ど、どういうこと……?若旦那の傷は治ったんじゃなかったの?」
咲が仁を見てそう言った
「確かに治ってたんだろうな。だが、歪みを使う鬼の術に飲み込まれた時、事件当夜の体まで戻されたんだろう。」
「そしてそれは恐らく、香も同じだろう。」
佐吉の言葉に灯純が付け加えた。
「ど、どうすれば治るのですか…?」
「とりあえず食いもん食わせとけ。香っつったか、そっちもだ。鬼神族の郷で入手できる調味料は今なさそうだしな。」
「それ、私持ってるよ?」
涼がそう言った。
「佐吉さんが言ったとおり、調味料として結構使えるからね。」
「ていうかここが綺糸屋なら台所の方にソレがあると思うんだが…」
「なん…だと?」
「香と仁が起きる前、少し屋敷内を回ってみたけど…恐らく構造は錦糸屋と全く同じ。」
「もし、綺糸屋と錦糸屋が屋敷ごと飛ばされて繋がったのなら、可能性はアリ、か。」
「「か、確認してきます!」」
花と鈴が飛び出していった。
「…そういや、楽と涼…っつったか、お前らは影の鬼導師って言ってたな。」
「あんたと同じでな。」
「ってぇことは鬼神族と交流がある、のか。」
「まぁね。」
「…なぁ、あの門ってなんだ?」
灯純が指さした方向には謎の門があった
「…?あんなもん、綺糸屋にあったか?」
「…いや、ないな。」
「錦糸屋にもなかったと思う…」
仁と香がそう答えた。
「…調べてみるか」
灯純がそう言って近づく
「…───…」
呪具を介して何かを呟きすぐに離れた。
「…はっ、こいつぁ…たいしたもんだ。」
「どうした?」
「この門、綺糸屋に…いや、錦糸屋にもつながってやがる。」
「どういうこと?」
香の問いに灯純が振り向いた
「仁、香。二人同時にこの門を通ってみろ。行けばわかる。」
「「?」」
佐吉と仁、灯純と香の関係は良好になっています。
だまりと仁、りんねと香の関係も良好になっています。