……はい、雑談はここまでにして第四十四話。今回は異世界の人物達がほぼほぼ集まります。
「こことは別の世界…か。まるでこことは別の世界を知っているような言い方だね。」
「えぇ。私たちがここにいること自体がその証明になるでしょう。」
「ふむ…信じようか。」
「え……」
あっさりと信じると言われ、香があっけにとられたような表情になった。
「お、お館様!!このような得体のしれぬ者達のことをそう簡単に信用するのはいかがなものかと!」
不死川がそう叫んだ。
「…私も聞きたいです。何故、あの一言で信用すると?」
香も疑問を持ったようで、そう耀哉に問いかけた。
(あの言葉は信用させるために言った言葉じゃない。あの言葉の後から証拠になるような事柄を挙げて納得させるつもりだった。…それなのに、何故?)
ふと周囲を見渡すと、悲鳴嶼、時透、しのぶが静かに耀哉を見つめていた。
「そうだね…一つはこの目……いや、視力だよ。」
「視力…ですか?」
「そう。香はもう気がついているだろうけど、私は病に侵されている。その病によって私は視力を失っていた。香にさっきの術をかけられるまではね。」
「視力を取り戻したとはいえ、一時的にですから術の効力が切れればまた視力はなくなりますよ。」
「そうか…それは、別にいい。問題なのは、私の視力が一時的にでも戻った、ということだ。私の一族の病は医者にも進行を止めることができないという。…それを、一時的にとはいえ遅らせるどころか進行度を戻した。この奇跡ともいうようなものは異能、とでもいうべきだろう。」
「お館様!それではこの者が使ったのは“血鬼術”ではないのですか!?」
煉獄がそう大声で言った。
「そうだね。異能、といえば鬼達の血鬼術が思い浮かぶが…」
耀哉は香の方をちらりと見た。
「…やはり、血鬼術というものを知らないのだね?」
「ええ…たまに鬼達からその言葉を耳にしますがどういうものかはわかりません。」
「同じく。」
仁と香がそう言った。
「それに、私は君達のような姿の人間や鬼は見たことも聞いたこともない。鬼に狙われているのなら人間の可能性が高いだろう?」
「お館様。お言葉ですが、鬼になった後、鬼舞辻のもとから逃げ出した、と考えてはどうなりましょうか。」
「それも可能性は低いだろう。鬼喰いの鬼という鬼殺隊とは違う脅威を、何故自ら生み出す必要がある?」
「それは…」
「それに人の身にとり憑く鬼の魂、というのも不自然だ。この世界の鬼は、人が鬼舞辻によって鬼に変えられるもの、だろう?最近は例外も出ているらしいが。恐らくそれは香達が来る前兆だったのかもしれない。」
そう言って耀哉は香の方を見つめた。
「門から出てくる異形。これに、心当たりはあるかな?」
「…鬼門より人の世へと来る悪鬼のことでしょうか。鬼門や陰気の量によってその門から飛び出す鬼は様々。人などの負の気である陰気は一つのところに集まると、そこに鬼と鬼門を生み出してしまいます。私達は通り道として利用しますが、通常の悪鬼に関しては陰気が集まりそこに形を成すものです。」
そう、鈴が説明した。
「…ふむ。しのぶ、例のあれを。」
「は。」
耀哉に声をかけられたしのぶは屋敷の方へと向かい、一本の針に様なものを置いた。
「これは先日、しのぶが錦糸綺糸屋の方に行ったときに香から渡されたものだ。その日、その鬼…香達の言葉を借りれば“悪鬼”と戦っていた時、この針についている札が反応を示したらしい。香は当然知っているだろうから…錦糸綺糸屋の諸君、これを知っている者はいるかな?」
耀哉が全員に見えるように針を持ち上げた。
「…鬼導札、ですよね。隊長。」
「そうだな…」
「ふむ。暁と奏は知っているようだ。他も…知っているようだね。」
「…それに、何の関係が?」
「なに、今ようやく見たがこんな文字を私は今まで見たことがない。鬼に何らかの反応を示すのならば鬼殺隊の方にも何らかの記録があっていいはずだ。妻や子供たちにも調べてもらったがそのような記録は一切なかったそうだ。それなのに、
知らないのは当然といえば当然…だとは思うのだが、客人が知っているとはどういうことか。
「そして先程香が使った…すぺるあくと、だったかな。そのような式句にも心当たりはない。特にしのぶからの報告にあった花の呼吸ではないのに花の名を持つ技、“千本桜・巫剣”とその後に鬼を消し去った“浄刻ノ桜”。そしてもう一つ、“桜花獄殺”と“鬼殺の桜”。日輪刀ではない武器で鬼を倒してしまうなど、聞いたことがない事例だ。先日の報告にあった、その武器もね。」
耀哉が指さす方を見ると、そこには仁と香の武器を手に持った隠がいた。
「さて、これだけ言われても異世界の住人だと信じられないかい?」
誰も反論しようとしない中、香が小さく手を挙げた。
「どうしたのかな?」
「…今、耀哉さんは“とある二人の客人はこれを知っていた”、とおっしゃいました。……その客人とは、一体何者でしょう。」
「…すまないが、あの二人の客人を呼んできてくれないかな。刀匠ではない方だ。」
「分かりました」
耀哉の側にいた子供の1人が屋敷の奥へと入っていった。
「説明が遅れて申し訳ない。実は香達に会わせてみたい人がいる。」
「会わせてみたい人…ですか。」
「そう。香達なら知っているかもしれない人だ。」
錦糸綺糸屋勢は全員首をかしげた。
「…お客様をお連れしました」
「通してくれ。」
「「「失礼します。」」」
男性の声が1つ、女性の声が2つ。その声につられて香達は屋敷の奥を見た。
「…え」
「……うそ」
「……馬鹿な」
「……これ…本当なの?」
「信じられん…」
「………まじか」
「なるほど…」
事件当初から鬼導隊に関わっていたメンバーが現れた姿を見てそれぞれの反応を示した。ちなみに上から香、咲、柊、奏、暁、佐吉、灯純の順である。
「…その反応だと、彼らを知っているようだね。」
「……」
女性の方が香の側までやってきた。
「…お久しぶりです。…香師匠。」
「「「「「師匠!!!?」」」」」
女性の言葉にその場にいたほぼ全員が驚きの声を上げた。
「
「はい。奏も、暁師匠も、灯純殿も。みんな元気のようですね。」
「な、なんで……澄ちゃんがここに…」
澄。覚えている人はいるだろうか。奏の、死んだはずの姉である。
「それは私もわかりません。そして、それは彼も同じ境遇なようで。」
そういわれて綺糸屋勢の方を見ると、柊が少し硬直していた。
「
明。こちらも澄同様。咲の、死んだはずの兄である。
「いや、俺も分からないんです。気がついたらそこにいる澄さんと一緒にこの世界にいました。」
「ふむ…やはり香達は知り合いだったか。」
「…彼らのところへと導いてくださり、ありがとうございました。耀哉さん。」
明がそう言うと、澄が大きく頭を下げた。
「別にいいよ。いろいろと話したいことはあるだろうが、すまないが後にしてもらえると助かる。」
「あ、はい…」
そう言って耀哉は香に視線を向けた。
「異世界の住人だと信じた理由はこれで十分かな?」
「…えぇ、十分です。」
「それでは一つ聞きたい。この話題に入る前、香は屋敷に住む者の過半数が、と言った。ではそれ以外はこの世界にいた、と考えていいのかな?しかし、あの場所に建物はなかったはずだが…」
それを聞いて香が妹紅を見た。
「それに関しては私が。実は…」
妹紅が自分達の事情を話した。
「……以上です。」
「ふむ…不老不死か。それで君は平安の世から生きたままでいると。」
「…はい。霊体のまま出られるようになってからは周囲に現れる異形を蔵にあった刀で狩っていました。」
「そうか…これで聞きたいことは聞けたし、私が聞くのはもういいかな。全員、今聞いたこと───特に不老不死のことは絶対に漏らしてはいけないよ。」
耀哉の言葉に全員が頷いた。
「…さてと。ここからが本題、かもしれない。」
耀哉が再度香に向き直った。
「香、仁、妹紅、美月、流華、風兎、大地、日向。」
「「「「「??」」」」」
そこで輝哉が爆弾を落とした。
「鬼殺隊に、入らないかい?」
「「「「「………はい?」」」」」
香達は疑問でこたえるしかできなかった。
ということで…鬼殺隊勧誘までして今回は終わります。
香の秘密を話す時期はいつがいいですか?
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無限列車直後
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遊郭前
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刀鍛冶の里前
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刀鍛冶の里直後