鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

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タイトル通りやっと日輪刀とご対面です。ですがやはり一筋縄ではいかなさそう……


第肆拾捌話 刀匠と謎の日輪刀

 

 

「……そういえば、そうでしたね。私がしのぶさんに仁の保護を依頼し、それをしのぶさんが言葉を話す鴉に通達してもらうように頼んだ時、既に耀哉さんから捕獲命令が出ていると。…いったい、どうやって私達のことを知ったのですか?」

 

香が強い目線で耀哉を見つめた。

 

「香達のことだとは断定できていなかったよ。すまないが、彼女を連れてきてほしい。」

 

「分かりました。」

 

先程澄たちを連れてきた方とは別の子供が屋敷の奥へと消えた。

 

「…私達のことだとは断定できていなかった?どういうことですか?」

 

「今連れてきてもらう人が、夢を見たんだ。ちょうど今の香と仁の同じ、鬼のようなものが憑いた少年と少女の姿。顔は見えなかったが、刀を渡したのち、その二人は模擬戦を始めたそうだ。…その時に使った技の名前が、少女の方が“桜花一閃”。少年の方が“火炎一閃”だという。…聞き覚えは、あるかな?」

 

その技の名前に香と仁が小さく反応した。聞き覚えがないはずがないのだ。何故なら、二人が実際に使う技の一つなのだから。

 

「…その表情は、聞き覚えがあるそうだね。どういう技なのか教えてくれるかな?」

 

「…桜花一閃は花属性の基本技。火炎一閃も同じく火属性の基本の技です。より具体的には基礎中の基礎の技を少しだけ発展させた技、それが桜花一閃と火炎一閃です。」

 

桜花一閃の基礎中の基礎というのは以前香が使ったことのある“桜神の型・桜花一閃”である。これと同じようなものが、火炎一閃にも存在する。

 

「ふむ…ということはそこまで威力はないのかな?」

 

「そう…ですね。そのおかげで模擬戦向きの技だとも言えますが。」

 

「ふむ…」

 

耀哉が少し考えてから香を見た。

 

「その属性を外した基礎というのはないのかな?」

 

「…属性なし、ですか。あるにはありますが相当弱いです。その基礎は形だけを作ったもので、その先の派生には存在していませんから最弱の技ですよ。」

 

「そうか…一度見せてもらえないかな?」

 

「…すみませんが誰か刀を借りても?」

 

「私のでよければ。」

 

そう言って差し出されたのは湾曲した刀───甘露寺のものだった。

 

「ありがとうございます……ってこれ結構…」

 

「蜜璃……いくらなんでも蜜璃の刀は無理があるんじゃないだろう……か」

 

耀哉の声がしぼんでいった。何故なら、その甘露寺の刀を()()()()()()()()()()()()()()である。

 

「…いい刀ですね。扱いは難しいですが、貴女の刀への愛情が感じられる。…うん。少し慣れましたし、放てそうです」

 

「ちょっと待って!?慣れるの早くない!?」

 

甘露寺が思わず声を上げると、香がきょとんとした様子になった。

 

「…あぁ。私、これまでもいろいろな武器使ってましたから。こういうのも一応…」

 

そういいながら速度を上げている香であった。

 

「…ん、これくらいで十分かな。…“純正一閃”」

 

香は呟くと同時に左下から右上へと切り上げた。

 

「…と、こんな感じです。あ、お返ししますね。」

 

「ふ、ふええ……」

 

香は甘露寺に刀を返した。と、同時に屋敷の奥から足音が聞こえた。

 

「お連れしました。」

 

「入っていいよ。」

 

「…失礼します」

 

子供とは違う、高めの声。香が見ると紫色の髪に紫色の目を持つ女性の姿があった。女性は二つの細長い布をかけられた何かを抱えている。

 

「…君が見たのは彼らで合っているかな?」

 

耀哉がその女性に聞いた。

 

「……1人は黒い髪で黒い服の下に赤い襦袢を着た少年。もう1人は黒く長い髪で黒い服の下に青い襦袢を着た少女。その2人には牙の生えたゴムまりのようなものがいた。」

 

誰がゴムまりだ!!」/「誰がゴムまりよ!!

 

例のようにだまりとりんねはキレた。

 

「……それで、君の見た姿と一致するかな?…“玉藻”。」

 

(玉藻…)

 

玉藻と呼ばれたその女性は香と仁を見つめた後に目を閉じた。

 

「……姿形は同じです。そちらに浮かんでいる方の声も同一。…恐らくは、僕が夢で見た方々と同じだと思われます。」

 

「…ならば…」

 

耀哉がそう言うと、玉藻は頷いて香に近づき、体勢を低くした。

 

「……貴女には……これが抜けますか?」

 

そう言って香の前に布をかけられた何かの片方を置いた。玉藻が布をはがすと、そこには一振りの鞘に入った刀があった。

 

「……」

 

香は恐る恐る刀の柄に触れた。

 

 

ぱちっ

 

 

「っ?」

 

香の手と刀の柄の間に青色の閃光が走る。

 

(この感覚は……)

 

香は先程の閃光の時の感覚を頭に残したまま刀を見つめた。

 

「……ふー…」

 

目を閉じて深呼吸。その後目を開け、刀の柄にもう一度触れた。

 

 

バチチッ!!

 

 

青い閃光が強く走り、香は手を離した。

 

「……なるほど。お聞きしますが、この刀は一体?」

 

香は耀哉の方を向いて聞いた。

 

「その刀は、ここにいる柱達も、私も、隠達も……そして刀匠達も。玉藻以外の誰もが刀を抜くことができなかったものだよ。」

 

「玉藻さん以外の、ですか。」

 

「そう。玉藻は記憶は失っているけれど、その技術は本物だった。最初に作ったその刀だけが誰にも抜けなかった刀。…ところで、玉藻が持っているもう一振りは?」

 

確かに玉藻はもう一つ、似た形の…というかほぼ同じ大きさのものを持っている。

 

「…これは夢を見てから作ったものです。こちらもやはり、僕以外には…」

 

「…そうか。…それで、抜けそうかな?」

 

耀哉に聞かれた香は少し目を瞑った。

 

(……うん。行ける。このくらいなら…でも。)

 

「…りんね。」

 

何かしら?

 

「…離れてて。…ちょっと、心意出力全開にするかもだから。」

 

…分かったわ

 

りんねはそう言うと、香から離れた。

 

「…………すー………」

 

先程よりも静か。そして深い深呼吸。

 

「……行きます」

 

香は刀の柄を、しっかりと握った。

 

 

バリリリリリリッ!!

 

 

今までよりもさらに強い閃光。それを見たりんねが叫んだ。

 

全員、今すぐ香から離れなさいっっ!!運が悪ければ巻き込まれるわよ!!

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

りんねの警告に全員が香から距離を取った直後、香を中心にして大きな凹みができた。

 

「こ、これは…!?」

 

「過重力……いえ、これは……!!」

 

()()()()()()()()()()か!?」

 

しのぶが驚き、鈴と仁が起こった事象を分析した。

 

「心意と心意の衝突磁場…とは?」

 

「……一言でいえば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のことです。…ですが、それは基本的に生物同士で発生するものと聞いたのですが……」

 

仁が香の方を見た。

 

「…人間と刀。そんな謎の組み合わせで衝突している…これは…一体?」

 

仁達は香の状態を見守った。

 




やっと玉藻さん出せてうれしいです。

香の秘密を話す時期はいつがいいですか?

  • 無限列車直後
  • 遊郭前
  • 刀鍛冶の里前
  • 刀鍛冶の里直後
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