鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

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第五十話です……ルビ多いですから気を付けて。
それと、たまに何人かの会話が重なるときに、言葉が違う場合って括弧と括弧の間に/を入れてるのですけど、同じ人でも言葉が違う場合とかは=を入れることにしました。


第伍拾話 虹色の刀と虹の呼吸

「…う」

 

香が倒れて暫く経った頃、香の声がした。

 

「あ、香?起きた?」

 

「…涼…?」

 

「香、さっき倒れたんだよ?」

 

「え…あぁ……ごめん。今何が起こってるの?」

 

「今は仁が刀を持とうとしてるところ。あっち。」

 

涼に示された方向を見ると、仁の周囲が雪で覆われていた。

 

「……だいじょうぶかな」

 

「師匠の見解はどうなのですか?」

 

澄が香に話しかけてきた。

 

「……どうだろう。最近心意強度上がってきてるけどあの刀に宿る魂に認めてもらえるかどうか……」

 

そんなことを話していると仁の周囲の雪が消えた。

 

「あ、終わったかな?」

 

『そうみたい…』

 

香の頭の中に未来の声が聞こえた。

 

『未来、わかるの?』

 

『一応姉妹刀みたいなものだから……』

 

『そう……』

 

仁はだまりに支えてもらいながら香の方へと戻ってきた。

 

「っと…香、もう大丈夫なのか?」

 

「私はね……仁、大丈夫なの?」

 

「俺は…だまりなしだと立ってられん。これは何が起こってるんだ?」

 

「多分体力の問題だと思うよ?…花さん。」

 

香が花を呼ぶと花がビクッとした。

 

「は、はい!なんでしょうか…」

 

「貴女の能力はこういう体力の回復などにも適しているはずです。仁にお願いできますか?」

 

「え……あ、はい……えっと……香さんは…?」

 

香の方を見て花が聞いた。

 

「私はもう回復しました。私よりも仁の方がこの戦いには慣れてませんから、疲労が大きいはず。早めに回復させてあげてください。」

 

「あ、はい……」

 

そう言うと花は仁に近寄り手をかざした。

 

「……さて。耀哉さん。この後はどうしたらいいのでしょうか?」

 

香は花の手元が淡く光ったのを見届けてから耀哉に向き直り、どうしたらいいかを聞いた。

 

「ふむ……とりあえず聞きたいのだけれど、もうその刀は君に対して先程のような反応はしないのかな?」

 

まず気になったのは反応のことだったようだ。香はその言葉に軽く頷いた。

 

「えぇ。恐らく、彼女が機嫌を悪くしない限り、先程の拒否反応は起こさないでしょう。」

 

「彼女…か……」

 

『……香って、もしかして私以外の意思を持った物品を知ってるの?』

 

未来が香に話しかけてきた。

 

『どうして?』

 

『なんか……さっきのぶつかり合いといい、今の説明といい……慣れてる感じだったから。』

 

『あ~……』

 

『それに思念会話も慣れてるみたい。あっちの男の子は小声で実際に声を出して答えてたのに、香は今もそうだけど全く実際の声を発してない。』

 

『…未来、痛いところ突くね……』

 

香がどう答えようか悩んでいると、耀哉が口を開いた。

 

「仁が回復したらその刀を抜いてみてくれるかな?どうなるかが見たい。」

 

「あ、わかりました…」=『一応、慣れてるのは本当。まぁ私にはまだ秘密があるから。』

 

「よろしくね。」/『へぇ……って、思念会話と通常会話を同時に……』

 

『私の秘密に関してはまだ答えられないけど…』

 

『へぇ…』

 

(…まぁ、同時なのは分割思考の一部を振り分けてるからなんだけど…いっか。思念会話、これからは仁にも教えないと…)

 

そんなことを考えながら仁の回復を待っていた。

 

「……香さん。」

 

「どうしました?」

 

「どれくらい回復ってしておけばいいんですか……?」

 

花が少し困った表情で香を見ていた。

 

「……ちょっと待ってくださいね」

 

香は仁に近づき、手をかざした。

 

「……あと……そうですね、30秒くらいで。」

 

「あ、わかりました……」

 

「…香、お前その辺分かるのか?」

 

「大体は。簡易的な測定だったから何とも言えないけど…あ、その子、名前何か言ってた?」

 

香は仁の刀を指さして言った。

 

「…あぁ、確か……」

 

『黄泉、だった気がするけれど…』

 

「黄泉、っていう名を名乗ったな。」

 

「黄泉、ね……」=『知ってたの?』

 

「香さん、終わりました」/『まぁね……一応姉の立場だし…』

 

「あ、うん。仁、何か不調とかはない?」=『教えてくれてもよかったよね?』

 

「問題ない。」/『教えるの忘れてた……』

 

あぁぁぁ……肩こったわぁ……

 

「肩なんてねぇだろ」

 

楽の突っ込みが入った。

 

そういう心持ちなの!

 

「…まぁ、硬質化中って肩こりそうだよね。」

 

「確かにな。…ところで俺の体力はどうなってるんだ?」

 

「簡易解析すらしないでも分かる、全快状態だよ。…さてと」

 

仁とそう話したのち、香は耀哉を見た。

 

「この刀、抜けばよいのでしたか?」

 

「あぁ…そうしてくれると助かる。」

 

その言葉に香は軽く頷き、仁を見た。

 

「別に抜刀技を使う必要はないからね」

 

「え…あ、あぁ」

 

香はその返答を聞くと、きれいに刀を抜刀し、蹲踞までつなげた。続いて仁が少しぎこちなく抜刀した。

 

「…普通に抜刀するの慣れない?」

 

「元々刀なんて使ってなかったからな…」

 

香と仁が話している間に、刀の色が変わり始めていた。

 

「…へぇ……こんな刀があったんだ。」

 

「いや、お前の使う変在刀もそんな感じじゃないか?」

 

「いやあれは使う属性に合わせて色が変化してるだけだし……こういう風には変わらないよ。…見た感じ、その人の適性に合わせて色を変えているみたいだけど」

 

「……その色は……」

 

香達が話している間に、刀の色が変化しきったようで、耀哉の側にいた子供が声を上げた。

 

「……香……さん。それから、仁…さん。その日輪刀の色を……よく見せてもらえませんか……?」

 

『…?……未来』

 

子供の声は震えていた。香は首をかしげながら未来を呼んだ。

 

『何?』

 

『貴女のこと、一時的にだけどあの子に渡してもいい?』

 

『……いいよ』

 

未来の承諾を得た香は子供の前に刀を置いた。仁の方も同じように置いた。どうやら仁の方も承諾してもらえたようだ。

 

(意思を持つ武器達は基本的に自分が認めた主以外には自身を使わせない。そのレベルはその武器の意思によってさまざまだけど、今回の場合、未来はそれがかなり強い。もしかしたら、未来の姉妹だっていう黄泉さんもそうだと思う。…でも、まだ抵抗力は弱いらしいから何とも言えない…か。)

 

香がそんな思考を巡らせている間に、子供は耀哉に寄り添って小刻みに震えていた。

 

「お館様……あれは……()()()は……!!()()()()()()()()()()()の……!!」

 

「…ふむ。“虹色”、か。…なるほど。やはり、香と仁は()()()()()()()()……適性者、なのかな。」

 

(あの呼吸?)

 

香が疑問に思っていると、不死川が声を発した。

 

「……お館様。そのような色の日輪刀など、見たことがありません。何かの間違いか何かでは?」

 

不死川が言ったその日輪刀の色。香と仁のそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…つまり、七色───()()()だった。

 

「ま、間違いではありません。」

 

子供がそう震えた声で呟いた。

 

「私も聞いたことはありませんが…鬼殺隊の歴史に何かあったのですか?」

 

しのぶの言葉に他の柱たちが頷いていた。柱たちも、見覚えはないようだ。

 

「ふむ……そうだね。まずは何から話そうか。とりあえず、刀は香と仁に返そう。」

 

耀哉がそう言った直後、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…お帰り」

 

『ただいま……』

 

「…驚いた。それも香の術なのかい?」

 

耀哉は本当に驚いた表情で香に尋ねた。それに対して香は首を横に振った。

 

「いいえ、私の術ではありません。確かに引き寄せ関係の術もありますが、今回はそれを使っていません。この子たちが、自分の意思で私達の手元に戻ってきた。ただそれだけです。」

 

「ふむ……」

 

耀哉がそう言った直後、後ろの襖が叩かれた。

 

「お館様。…例の書をお持ちしました。」

 

「…あぁ。ありがとう。入っていいよ。」

 

どうやら、話している間に子供の一人が何かを取りに行っていたようで、黒い表紙につづられた本を持って子供が入ってきた。

 

「…さて。今ここに持ってきてもらった本は属性のことが書かれていた本だ。これを、香に託したい。」

 

その言葉を聞いた柱たちがざわついた。

 

「…なぜ、です?」

 

「いま、この場で属性を自由に扱えるのは香だけだろう?私達が持っているよりも、香が持っていた方がよいだろう。」

 

「…そうですか。」

 

香がそう答えると子供が香に黒い本を手渡した。

 

「…中を見ても?」

 

「あぁ。」

 

了承を得てから香は本を開いた。本の内容に一瞬目を走らせた後、目を見開いた。

 

「……なんで?」

 

香から出たのはそんな言葉。

 

「なんで……なんで……」

 

「…若女将?」

 

鈴が心配そうに見上げる。それと同時に香が本を手放し、崩れ落ちた。

 

ちょっ、しっかりしなさい!!

 

「なんで……なんで……?」

 

どうしたっていうのよ!?

 

「なん…で…ここに、あの、文字、が……?」

 

「文字?」

 

仁がそう呟き、本を拾った。

 

「…うわ、なんだこれ。読めないな…だまり、花、咲、読めるか?」

 

読めんな。

 

「私も読めません……」

 

「私も読めない……」

 

綺糸屋勢が読めないと言っている中、香の状態が元に戻った。

 

「…すみません。取り乱してしまって。」

 

「いや、かまわないよ。…それで、何か書いてあったのかな?」

 

「…仁、その本貸してもらってもいい?」

 

「あぁ…」

 

香は本を受け取ると本を開き、内容に目を通し始めた。

 

「…“この書に記したはかつて鬼殺の剣士として隊に名を連ねた鬼の用いた呼吸。呼吸の名は虹。この呼吸を真に使うならばまず無想の領域へ達せ。これすなわち吸を使わず呼のみを使う秘伝。私を真に知ることができるのは私と同じ力を持つ者のみ。その力とはすなわち属性。世界と自らより更なる力を得る神秘。今は喪われた神秘を操る者。”」

 

「…そこまでは普通に読めるところだね。その下は、読めるかな?」

 

香は耀哉の問いに頷いて口を開いた。

 

「…“ごめんなさい(ごめんなさい)

このようなかたちで(このような形で)わたしのことをのこすこと(私のことを残すこと)

わたしはこのこきゅうをつくったもの(私はこの呼吸を作った者)

いうなればきさつたいにくみしていたおに(言うなれば鬼殺隊に与していた鬼)

あなたがこれをよんでいるとき(あなたがこれを読んでいる時)わたしはもうこのよにはいないでしょう(私はもうこの世にはいないでしょう)

それでも(それでも)だれかがきがつくかもしれないとおもって(誰かが気がつくかもしれないと思って)ここにこのもじでしるしました(ここにこの文字で記しました)

きがつくわけないのに(気がつくわけないのに)

わたしがおもいついたもじなんだから(私が思いついた文字なんだから)

…ほんだいにはいります(…本題に入ります)

このこきゅうをあつかえるかたへ(この呼吸を扱える方へ)

どうかわたしのおねがいをきいてください(どうか私のお願いを聞いてください)

わたしのおねがいとはひとがおにによって(私のお願いとは人が鬼によって)しなないせかいをつくること(死なない世界を作ること)

そのためには(そのためには)おにのしゅりょうであるきぶつじむざんを(鬼の首領である鬼舞辻無惨を)たおさなくてはいけません(倒さなくてはいけません)

ですが(ですが)わたしには(私には)もうむりです(もう無理です)

しんのけいしょうしゃもおらず(真の継承者もおらず)さいきんではそもそもぞくせいを(最近ではそもそも属性を)あつかえるひとがいなくなってきました(扱える人がいなくなってきました)

…それは(…それは)わたしのともだちも(私の友達も)おなじだったみたいだけれど(同じだったみたいだけれど)

それでもわたしのともだちは(それでも私の友達は)ひとのなかにわざをのこすことで(人の中に技を残すことで)わざをついだそうです(技を継いだそうです)

わたしにはよくわからなかったけど…(私にはよくわからなかったけど…)…でも(…でも)わたしのわざはすべてしんぴがひつよう(私の技は全て神秘が必要)

だから(だから)だれかにのこすことができない(誰かに残すことができない)

わたしはしょもつをまとめて(私は書物をまとめて)いつのひかだれかがこのわざを(いつの日か誰かがこの技を)つかってくれることをのぞみます(使ってくれることを望みます)

ちゅういてんだけど(注意点だけど)わたしのわざはわざじたいにも(私の技は技自体にも)いしがあるのかそのひとの(意思があるのかその人の)りきりょうがたりていないと(力量が足りていないと)ただしくはつどうしないものがある(正しく発動しないものがある)

それは(それは)ぜろのかた(零の型)

でも(でも)じかんがたてばそのわざが(時間が経てばその技が)どういったものかはわかるはず(どういったものかは分かるはず)

…ここまで(…ここまで)ながいことばにつきあってくれてありがとう(長い言葉に付き合ってくれてありがとう)

わたしのわざと(私の技と)きさつたいのみんなのことをおねがいします(鬼殺隊のみんなのことをお願いします)

 

にじばしら(虹柱) きほう(鬼縫) にじか(虹架)”」

 

そこまで読んで香は顔を上げた。

 

「文章はここで止まっています。」

 

「ふむ……その呼吸を作った人は、優しい人……いや、優しい鬼だったのかな。」

 

「…そうかもしれません。」

 

「…ふむ。その本は香が持っていていいよ。…それから玉藻、何か言いたそうだね?」

 

その言葉で玉藻に視線が向く。

 

「えぇ…っと…仁さんと香さん、お二人の模擬戦を見てみたいのですが……」

 

「ふむ、いいかもね。どうだい?」

 

そう聞かれ、香と仁は顔を見合わせた。

 

「…どうするんだ?」

 

「私は別にいいけど…」

 

「決まりだな。模擬戦するか…」

 

「いいけど、大丈夫なの?」

 

「問題ない。」

 

「…分かった。」

 

香は鈴に本を渡してから仁と距離を取った。

 

「全員、離れていてくださいね?」

 

その香の言葉に、全員が素直に従った。

 

「さてと。お願いね?未来。」

 

『任せて!』

 

香と仁は互いに日輪刀を構えた。

 




まぁ、模擬戦をする理由は実際ほぼほぼありません。
それと、全てひらがなになっている場所は香が読んだものをそのまま書き出しただけです。香が読んだ文字が漢字には対応してないもので、その文字を全て日本語に訳すと全ひらがなになるという性質があるのです。なので言ってしまえばあれは原文そのままに近いです。原文を出せとか言われたらこちらの作業がかなり面倒なのでやりません。

香の秘密を話す時期はいつがいいですか?

  • 無限列車直後
  • 遊郭前
  • 刀鍛冶の里前
  • 刀鍛冶の里直後
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