鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

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一応この話の次の話と、キャラ設定まではストック作ってあります。
それまでは1日1話投稿できるかと。
さて、第四話…なのはいいんですが、まだ原作の話に入ってないっていう…早く入りたいんですけど原作を知らないから書けないのです…


第肆話 空間接続門と香の力

 

「早くしろ。」

 

灯純に促され、香と仁は横に並んで同じ門を通った

 

「っ…」

 

真っ暗な中を通った香が次に目にしたのは、まぎれもなく錦糸屋の風景だった。

 

「錦糸屋…?ここ…」

 

香が隣を見ると、そこに仁の姿はなかった。

 

「あれ?…仁!?」

 

「仁なら綺糸屋にいるんじゃねぇか?」

 

「お父様…」

 

後ろから出てきた灯純がそう言った。

 

「この門は、世界と空間をつなぐ門。そして、おそらくだが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。」

 

「世界を…つなぐ。」

 

「おう。で、この隣にあるのは鬼神族の郷につながってるっぽいな。」

 

「…」

 

「戻るか。あっちも戻ってきてるだろ。」

 

灯純の言葉で香はまた門をくぐった。

 

「あっ!若女将どこにいたんですか!?」

 

「錦糸屋に…かな?」

 

「えっと…?」

 

香は鈴たちに事情を説明した。

 

「…お、仁と佐吉も戻ってきたみたいだぞ。」

 

灯純の言葉に振り替えると、ちょうど仁と佐吉が門から出てきたところだった。

 

「何が起こってるかさっぱりわからん…」

 

「香、茶を淹れてやってくれ。安息効果加工で。」

 

「あ、うん……りんね、ちょっと離れてて」

 

はいはいっと

 

香はお茶を淹れると、近くにあった大きな箱を開けた。

 

「それ…鬼導札?」

 

「えぇ。」

 

「…結構な数なんですけど。」

 

「まぁ自作もありますから。」

 

そういいつつ、茶を入れた湯呑に封をするように札を貼り、紐が付いた青い石を札の上に垂らした。

 

凱五樂導破……

 

「「鬼導術っ!?」」

 

咲と柊が驚いていた。

 

「何を驚いてんだ?香は元鬼導隊…それも零番隊隊長だぜ?」

 

「「「「「零番隊……?」」」」」

 

「昔の話です。今はただの錦糸屋三代目でしかありません。」

 

「…聞かせてくれ。その隊長職だった時、お前が使ってた術具は何だったんだ?」

 

「…この石と針、それから…数珠。」

 

「え……(あき)兄と同じ?」

 

「咲さんのお兄さん?」

 

「うん…明兄も術具が数珠だったの。」

 

「私のお姉ちゃんと同じ…」

 

「え?奏ちゃんの?」

 

「私のお姉ちゃん…(すみ)姉も数珠だったの。顔の無い鬼を滅した後、黒陰に殺されたらしくて…」

 

「そんなとこまで一緒なんだ…」

 

「錦糸屋と綺糸屋で違うのは性別だけ、って感じか。」

 

「呉服屋の若女将と若旦那。影の鬼導師。姉妹に対して兄妹。そして鬼喰いの鬼。鬼神族の娘と呉服屋の二代目が影の鬼導師ってことは同じだが、鬼神族の娘は恋愛対象の性別が違う、ってか?」

 

灯純の言葉に花と鈴が顔を真っ赤にした。

 

「あの…お茶入ったよ?」

 

「ん?あぁ、悪い。」

 

香が声をかけて、仁の前にお茶を置いた。

 

「悪いが、鬼導術のは…」

 

「いいから飲んでみろ。」

 

灯純に促され、仁がお茶を飲む。

 

「…!?飲める…!?しかも美味い!」

 

どういうことだ!?わっしゃが憑いているというのに!?

 

「俺言ったよな?鬼導術は鬼を滅するだけじゃねぇ、ってな。…っつってもこんな使い方は予想外だぞ、おいこら。」

 

「鬼導術とは、“鬼を導く術”と書く。それは死に導くという意味も持てば生に導くことだってできるのさ。…顔の無い鬼のようにな。」

 

「そうか…そういえば佐吉が連れていた鬼は俺の腕を癒していたな?」

 

「そういうことだ。破壊する力もあれば復元する力もある。破壊と復元は大体一対の力になってんだよ。」

 

「ん?そういえば柊は俺のように腕が治ったわけじゃないのか。」

 

暁の言葉で場が凍った。

 

「治った…だと?」

 

「俺の場合は左腕だけどな。」

 

「りんね」

 

わかってるわ…でも無理しちゃだめよ?

 

りんねはそう言うと香から離れた。

 

「柊さん、右腕を見せてください。」

 

「む?」

 

香は差し出された柊の右腕に触れた。

 

…spell act:system.id stand up heal…

 

香は小声かつ早口で何かを詠唱し始めた。

 

…十凱十嵐无抄鵬……

 

「それって……」

 

「回復術式の詠唱……か?」

 

「結曰く、香は鬼を滅する滅鬼術も得意だが一番得意なのは回復術だったらしいからな。一番隊隊長の黒陰と鬼導術で戦ったら香がギリ負ける、って感じだったらしい。」

 

「一番隊の隊長とギリ…だと!?」

 

柊が驚いていた。

 

「あの…右腕の復元終わりました。」

 

香の言葉に柊が視線を落とすと、頭から軽く血を流した香となかったはずの右腕があった。

 

「お、おい、大丈夫か!?」

 

「…りんね……」

 

はいはいっと

 

りんねが香に憑くと頭の血が消えた。

 

「どういうことだ?まだ一時間経っていないはずだろう。」

 

簡単よ。私が離れて力を使うことで、その力の大きさによって猶予時間を削っているのよ。

 

「それでも、生命力だけは高いから時間はあるといえばあるのだけど。」

 

わっしゃとは似ても似つかないのか。

 

ていうか腹減ったわね。

 

む…そうだな。

 

だまりとりんねは二人(?)してそう呟いた。

 

 




あ、昨日全話に修正加えました。よければ読み返してくださいな。
それと、鬼導術の術式式句については結構適当です。私にあれは解析できなかったのです…多分大本は漢字なんでしょうけどね…誰か鬼導術術式式句わかる人いたら教えてください。
ではでは。

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