鬼ヲ狩ル者達之交差【休載中】   作:Luly

62 / 75
第五十三話……原作第六巻終わってるのですけど。こっちはまだ原作第六巻の内容終わってません。


第伍拾参話 鎹鴉と説明の終わり

 

「…う…」

 

香が倒れ、鈴に支えられてすぐ。香が小さく声を発した。

 

「若女将?大丈夫ですか?」

 

「鈴…?…ったた…」

 

香は少し痛むようで頭を押さえていた。

 

「……あぁ、そっか。私は自分の心意技跳ね返されて…」

 

香は起こったことを思い出したようで、体を起こして仁の方を見た。

 

「……どれくらい、経った?」

 

「5分経ったかどうか…いや、それよりも。…お前、本当に香か?」

 

「え??」

 

仁の言葉に香が首をかしげた。

 

「どういうこと?」

 

「……」

 

「え?え?」

 

香が困惑しているとりんねが影から出てきた。

 

貴女の身体を勝手に使ってた何者かがいたのよ。…そこ、“あなたが言えることじゃないでしょう”みたいな視線やめなさい

 

りんねがそう言うとしのぶがぴくっと反応した。

 

「私の身体を?りんねじゃないんだよね?」

 

ええ。逆に私は動きを封じられてたわ。……それより、気になることがあるのだけど…

 

「?」

 

香がりんねの言葉に首をかしげると、りんねは顔を横に振った。

 

…いえ、今は別にいいかしら。それより、あなたは私達の知る“錦糸 香”で間違いないわね?

 

その言葉に少し緊張気味に香が頷いた。

 

仁達に色々教えてて、屋敷によくわからない結界を張ってて、昼はお店を開いてて、夜になると鬼を狩って、日記みたいなのを書いてて、さらに鈴と恋人同士のあの香で間違いないわね?

 

「うん……ってそこまで言う必要ないよね!?ねぇ!?」

 

「そ、そうですよ!!」

 

大人数の前で恋人同士だということをバラされた香と鈴が顔を真っ赤にしてりんねに抗議していた。

 

ふふふ……ごめんなさい。

 

「全っ然、反省してないよね!?」

 

あら、ばれた?

 

「も~~~!!!“ストライク”!!」

 

かはぁっ!?

 

影であるりんねを何かの属性を纏った拳で殴り、りんね自身にダメージを与え、周囲の人々を驚愕させていた。

 

や……やっぱり香のストライクは効くわね……それとこれを使ってくるってことは本物の香ね……がくっ

 

りんねが気絶したところで香は息を吐いた。

 

「…で?仁?」

 

「……」

 

「私が“本当に香なのか”、ってどういうこと?」

 

「…それは……」

 

香は静かに仁を見つめていた。…威圧感付きで。

 

「…さっき…香が気を失った後だ。香じゃない誰かが、香の身体を使っていた。」

 

「それはさっき聞いた。で?」

 

「…それだけだ。」

 

「…そう」

 

香はため息をついた。

 

「まぁ、疑うのは正解。姿は一緒でも本当にその人かは分からないからね。私のことをよく知ってる人なら私に成りすますことだってできるはずだし。…で、その私に入ってた人は何か言ってた?」

 

「……なぁ、香。」

 

「うん?」

 

「“記録の語り部”…って知ってるか?」

 

「記録の……語り部?」

 

香の聞き返しに仁が頷いた。

 

「記録の語り部……香の中に入ってたやつがそう名乗ったんだ。“俺のことをよく知らない奴はそう呼ぶ”って言って…な。香とはただの知り合い、それ以上でも以下でもない、って言ってたが……」

 

「記録の語り部………あぁ。」

 

香は何か思い当たったような表情をしてからため息をついた。

 

「あの子か……うん、私の知り合いなのは間違いないよ。…でも、それ以上でも以下でもないっていうのはあの子の嘘だね。…まぁ、私の秘密に関わるから伏せてくれたんだろうけど……ちょっと傷ついたかなー…」

 

そう言いながら香は少し辛そうに笑った。

 

「他に何か言ってた?」

 

「え…あぁ、いつの日か必ず香が壊れるってことと……予言で俺と花とだまりがいずれその語り部のいる世界に必ず来るってことと……それから……お前に伝言だ。“もしも、お前だけの力ではどうしようもなくなった時。その時は、星虚の歌達を歌え。”とな。」

 

「ん~……」

 

香はそれを聞いて悩むような素振りをした。

 

「……あの子なりに心配はしてくれてるのかな。それと予言に関してはちょっと分からないかな。…で、星虚の歌達、かぁ……ん~……」

 

香は頭を押さえて悩んでいた。しばらく悩んだ後、香は顔を上げた。

 

「…まぁ、伝言は受け取ったからいっか。使うかどうかは別として。…仁。それと…鈴。」

 

「うん?」/「はい」

 

「…もしも、私が壊れた時は……その時はよろしくね?」

 

香は少し泣きそうな顔になってそう言った。

 

「……香自身がそう言うってことは、いつか壊れるのは確定なのか。」

 

「うん、多分。もっとも、簡単に壊れるつもりなんて全くないけどね。でも、私も一人の人間だから……いつの日かきっと限界は来る。多分あの子はそれを警告しに来てくれたんだと思う。これから限界が来るのか…それとも、もうすでに限界の寸前で踏みとどまっているだけなのか。それは、私にもわからないけど。」

 

「…そうか。…最後に一つ聞いていいか?」

 

「うん?」

 

「語り部が、“香が壊れる”って話をした後だ。…あいつ、最後に“姉さん”って言った気がするんだ。何か、知ってることはないか?」

 

その言葉に香は一瞬だけ動揺の表情を浮かべたが、すぐに表情を普通に戻し、人差し指を口の前に立てた。

 

「それはまだ内緒。私の秘密に関わるから。…秘密を話すときになったら、教えてあげる。」

 

「…分かった。」

 

「…それで、先程から言葉を発したそうにしている耀哉さんは何か?」

 

香は耀哉に視線を向け、そう聞いた。

 

「いや、そこまでのことじゃない。確かに機会はうかがっていたがそれは香達に鎹鴉をつけるということを言うためだ。」

 

「「鎹鴉?」」

 

香と仁の声が被った。

 

『鎹鴉……鬼殺隊の隊士達に1人1羽付いている人の言葉を話す鴉。本部との伝令役だよ。』

 

『伝令役……あぁ、あの鴉。』

 

「あの鴉か……」

 

未来から香が教えてもらった直後、仁も小さくそう呟いた。どうやら仁も黄泉から教えてもらっていたようだ。

 

「香達も階級は癸からだ。…とはいえ、すぐに甲まで行きそうで怖いが。」

 

耀哉の言葉に隣にいる子供二人が目を逸らした。次いで耀哉が手を叩くと一羽の鴉と一羽の()(!?)が降りてきた。

 

「…梟?」

 

「それが香達の鎹鴉だ。」

 

(…いや、私の前にいるの完全に梟なんですけど。)

 

香は善逸から温かい目で見られていた。

 

「えっと……よろしくね?」

 

「ホ~」

 

「っと…よろしく?」

 

「マカセロ」

 

仁の方は喋ったが香の梟は喋らなかった。…当然と言えば当然なのだが。

 

「お二人は隊服の採寸をしますので少しだけこちらに来てもらえませんか?」

 

そう耀哉の隣にいる子供に言われ、仁と香は屋敷の方へと上がった。

 

「…あ。」

 

香は何かに気がついたように声を上げ、屋敷内にあった壊れた扉付きの箱───つまり炭治郎の私物である箱に駆け寄った。

 

「…りんね、起きて」

 

……

 

「…りんね」

 

……

 

りんねが目覚める気配は全くなかった。

 

「……さっさと起きなさい、“ストライク”!!」

 

香は先程とは違う属性を纏ったストライクをりんねに叩き込んだ。

 

あだっ!?な、何よ……

 

「ごめん少し離れて?」

 

え?…あぁ、状況は分かったわ。ちょっと待ちなさい。

 

りんねはそう答えると香と分離した。

 

ん、これで大丈夫よ。

 

「ありがと」

 

香は礼を言ってから箱に手を触れた。

 

「その箱に何をする気だ!!」

 

それまで黙っていた炭治郎が叫んだ。ちなみに禰豆子はずっと屋敷内にいた。

 

「別に、壊したりはしませんよ?…“修復”」

 

香がそう呟くと、まるで時間の巻き戻しのように壊れた部分が直りはじめた。

 

「…それは、なんだい?」

 

「ただの修復術です。物品にしか効果はありません。」

 

そう答えると同時に箱が不死川に壊される前の状態に戻った。

 

「……?」

 

香は首をかしげながら箱に異常がないかを調べる。

 

「……禰豆子さん、でしたっけ。この箱の中に入ってもらってもいいですか?」

 

「……」

 

禰豆子は小さく頷くと箱の中に入った。

 

「…“筋力強化”」

 

香はそう呟くと軽々と箱を持ち上げた。

 

「……?」

 

香は首をかしげながら箱を叩いたり揺らしたりした。

 

「……修復ができてる?でもいつもより負担が軽すぎる。…どうして?」

 

……

 

首をかしげている香をりんねは見つめていた。

 

「…まぁいっか。…隠の方、これお願いできますか?」

 

「あ、あぁ…」

 

香が地面に箱を降ろすと出てきた隠がそれを回収した。

 

「りんね、融合」

 

…わかったわ

 

りんねが憑いたのを確認した香は子供の方へと向かった。

 

「…それじゃあ、香達の話もこれで終わり。下がってもいいよ。そろそろ柱合会議を始めようか。」

 

その耀哉の言葉を最後に香と仁は屋敷の奥へと消えた。

 

 

 

───本に囲まれた部屋にて。

 

 

 

男性に見える少女───彼方が一人座って本を読んでいた。

 

「……ん?」

 

何かに気がついたのか彼方が本から顔を上げる。左手を振り、現れた青いウインドウから何かを操作した。

 

「……」

 

操作した後、青いウインドウを消すとまた本に目を落とした。その直後、キィ…キィ…という車輪が回るような音が聞こえた。

 

「……何か用か?」

 

「用がないと言えば嘘になる、かな。」

 

彼方の声にこたえた少女の声。その声がしても彼方は本から目を離さなかった。

 

「何の用だ?…星海姉さん。」

 

彼方はそう言った。それを聞いてくすっという声。

 

「あの子…元気だった?」

 

「知らん。そもそも、Luly姉さんは精神の間で会ってんだろうが。」

 

「それもそうなんだけどね……」

 

「そもそも俺はLuluna姉さんに憑依干渉しただけだ。精神干渉なんてしてない。」

 

「そっか…」

 

星海は小さくため息をついた。

 

「Lulunaの状態、どうだった?」

 

「……かなり危険。あと一度、Luluna姉さんの精神を……心を悪い意味で揺らす何かが起こってしまえばすぐに崩壊するほどの状態だ。打てる手は打ってきたがあいつらがLuluna姉さんを救えるかどうか…それが運命の分かれ道かもしれねぇ。」

 

「…そっか。」

 

「…ところで、Luly姉さんの方はどうなんだ?準備、できてるのか?」

 

その問いに星海は悩むような声を上げた。

 

「まだ、かな……そもそもこんな姿じゃ会えないよ?」

 

「ははっ、それは確かに。」

 

「笑い事じゃないんだけどね……はぁ。」

 

「ま、頑張れ。」

 

「ん…頑張るよ。」

 

そんな言葉と共にキィ…キィ…という音が遠ざかっていった。

 

「……さてと。観測結果見てくるか。」

 

彼方はそう言って椅子から立ち上がり、どこかへと行った。

 




なんか…結構ネタバレ展開になってきてる気がします。それと善逸さんが香を温かい目で見ていたのは自分と同じように鴉じゃないものをあてられたからです。
ともかく、やっと柱合会議終了……次話投稿前までで投票は締め切ります。まぁ、香の秘密話したところで“知ってた”ってなりそうな予感がするのですけど……
あ、ちなみに次回は蝶屋敷に行きます。仁さんも香も特に怪我してませんけどね。あるとしてさっきの模擬戦での怪我じゃないですかね?…あ、それもなくなってますか。だまりさんとりんねさんの自動治癒能力で。
それでは感想その他お待ちしております。前から言っていますが別に展開予想なども私は構いませんよ?答えられるかは別としますが。個人的には読者の皆さんがどういう予想をしているのか知りたいです。

香の秘密を話す時期はいつがいいですか?

  • 無限列車直後
  • 遊郭前
  • 刀鍛冶の里前
  • 刀鍛冶の里直後
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。