ということで書き貯めたものこれでなくなりました…丸一日の成果が……
フラフラとした足取りで虹架は縁壱が最初に来たあの日、自分の技を縁壱に見せ、縁壱の技を見せてもらったあの場所に来ていた。
「土よ、開いて…」
虹架がそう呟くと、開けた場所の土が口を開けるように寄った。
「…ありがとう」
虹架はそう言って、色彩の呼吸についてという本を土の中に置いた。
「閉じて…」
そう呟くと、土が元に戻った。
「……日継…夜張……」
「カァ?」
「ホゥ?」
ついてきていた鴉と梟が反応した。
「お願い……この二冊と、この手紙を、鬼殺隊に届けて…」
「……カァ」
「……ホ~」
「今まで、ありがとう。」
虹架が鴉と梟を撫でると、気持ちよさそうにした後、心配そうな目を向けた。その時、緑色に光るもの…導虫が虹架に近寄ってきた。
「……導虫。…最後の、お願い。もしも、私の…炭次くんより後の虹の継承者が、この森に来たら。…そしたら、この場所に、導いて。」
導虫はその場でふるふると揺れた。
「…ごめんね。もう、私は消えないといけない。奴に、ここを知られた以上。もう隠れていることはできない。」
「ニジカ!!」
「ホ~~~!!」
「…ごめんね。…最後に…伝えてくれるかな。……私は、幸せでした。って。」
その言葉に鴉と梟が頷いた。
「…ありがとう。」
そう言うと、虹架は小刀を手に取った。
「…鬼舞辻、無惨。後悔しろ…日を敵に回したことを……虹を敵に回したことを!!永遠に!!」
虹架の持つ小刀に濃い紫色の光がともった。
「私はもう出来ないけど……それでも、お前は絶対に許さない!!いずれ……いずれ私達の後継がお前を潰すだろう!!」
その叫びと共に虹架は自身の胸に小刀を突き立てた。その瞬間、どす黒いひび割れが虹架の身体を走った。
「………あぁ。拾壱の型が完成した…わたしは、これを技に刻む……」
そういったとき、指南書がひとりでに開いて光った。虹架がそれに触れると、本の光が収まり、元の状態に戻った。
「……ごめんなさい」
ひび割れが虹架の体を覆いつくしたかと思うと、刀のある場所から虹架の身体が消え始めていった。
「わたし……たすけられ、なかった。ごめんなさい……おねえちゃん……おにい……ちゃん…」
消える寸前、虹架は涙を流していた。
「……カァァァァァァァァァ!!!!!」
「ホォォォォォォォォ!!」
虹架が消え去ったその森に、鴉と梟の鳴き声が響いていた。…ここに、始まりの虹の命が終わりを告げたのだ。
その後。虹架は真っ暗な空間にいた。
「…ここは…死後の世界、なのかな」
虹架はそう呟いた。
「多分私は地獄に行くことが確定しているんだろうけど。…でも、なんでここに連れてこられたんだろう。」
「…よく、自分が死んだと確信できますね。日の下にいたわけでも、日輪刀で首を斬られたわけでもありませんのに。」
虹架の背後からした声。その声に、虹架は恐る恐る振り返った。
「…縁壱くん」
「どうも。お久しぶりです。」
「…うん、久しぶり。元気…は違うよね。」
「ですね。」
その言葉のあと、二人はしばらく黙っていた。
「…虹架殿。」
「うん?」
「兄が、申し訳ありません。やはり、私は貴女に迷惑をかけてしまいました。」
その言葉に虹架がため息をついて縁壱を見つめた。
「…あのね、縁壱くん。」
「はい」
「縁壱くんはもう亡くなっているんでしょ?っていうか縁壱くんが亡くなってから200年くらい経ってるからね?それなのに今まで私の心配でもしてたの?」
「…えぇ、まぁ。」
「呆れた…」
虹架は頭を押さえた。
「縁壱くんが生きてるときも言ったよね?私達は神様なんかじゃないんだよ?ただの人間に全部背負えるわけないでしょ。」
「…それは、そうかもですが。ですが、貴女に迷惑をかけたのは変わりません。」
「でも、その迷惑をかけたのは巌勝くんであって縁壱くんじゃないでしょ?」
「…それは、そうかもですが。」
「確かに、森に来たのが巌勝くんで、そのせいで私は消えないといけなくなったけど。それは私に訪れるべき“終止符を打つ時”だったんだよ。最近、虹の継承者も少なくなってきたからね。」
「……そう、ですか…」
「だから気にしないでいいんだよ。私は私の人生に満足だったし。…まぁ、人生っていうか鬼生…かもしれないけど。」
そう言って虹架は微笑んだ。
「……あの、虹架さん。」
「うん?」
「最後に虹架さんが使った技は…なんですか?貴女が死ぬときに使った、あの技は。」
「…あぁ、あれ?あれか~…」
虹架は言いにくそうに悩む声を上げた。
「…秘密、かな。多分、縁壱くんから見れば私らしくない技だから。でも、私はあの技で死なないといけなかった。」
「…というと?」
「私の血鬼術と記憶を奴に渡すわけにはいかないから。森の中は日の光が通りにくいし、日の光で死ぬにしてもあの時間じゃ無理。だから私はあの技を使ったの。…鬼を呪い殺せる、あの技を。」
「呪い、ですか…確かに、虹架さんらしくないですね。」
「でしょ?だから、あの技は指南書に記してない。もしも、あの技がまた使われるとすれば……技の記憶を読める子くらいじゃないかな?」
「…そうですか。」
そう縁壱が言ったとき、炎に囲まれた空間の裂け目が現れた。
「…あ、地獄への門が開いたみたい。」
「…あの、虹架さん。」
「うん?」
「……もしも、生まれ変われたら…どうしたいですか?」
「生まれ変われたら、か…」
その言葉に虹架が悩みの声を上げた。
「…そうだな。また、縁壱くんと会いたいかな?」
「え…」
少し困惑している様子の縁壱に、虹架は笑いかけた。
「その時は、うたちゃんにも会ってみたいな。縁壱くんの奥さんの、ね。」
「うたに……」
「……だめ、かな?」
その心配そうな声に縁壱は首を横に振った。
「いえ……うたと、虹架さんが嫌でなければ。私とうたの子になるはずだった子にも、会って貰いたいです。」
「うん、いいよ。…願わくば、鬼のいない世界に生まれ変われますように。」
「…そうですね。」
「…じゃ、またね。縁壱くん。」
「はい、また。虹架さん。」
その言葉を聞いた虹架は炎に囲まれた空間の裂け目を通った。
「…本当に、ありがとうございました。」
縁壱のその呟きは、誰にも聞かれることはなかったという。
「っ!!」
その日。香は蝶屋敷で跳び起きた。
「……なんだろう。凄く、長い夢を見た気がする。」
そう呟き、香は手を振る。すると、
「…1915年、10月25日、4時30分。私が寝てたのは2時間くらいなのに、すごく長い夢だった気がする。」
香は板を消し、目を閉じて精神通話を繋げた。
『妹紅さん、起きてます?』
『はい。起きてますよ。どうかしました…?』
心配そうな妹紅の声がする。それに対して、香は言葉を返した。
『…妹紅さん、私が寝る前、私に夢を見せる能力を使いましたか?』
『え…?いえ、使っていませんが…』
『……そう、ですか。すみません。』
『いえ…』
その言葉が聞こえると同時に精神通話を切った。
「…妹紅さんじゃ、ない。なら、今の夢は一体…」
香はそう呟いていた。
───そのころ
仁もまた、布団の上で目覚めていた。
「…今の夢は、一体…」
そう呟き、自分の手を見つめていた。
「…虹の呼吸……鬼縫 虹架……一体、あれは何だったんだ…?」
仁はそう呟いたが、解答はどこからも帰ってこなかった。
…はい、これにて謎の夢は終了です。六話も使ってしまい申し訳ありませんでした。
次回からは現実の方に戻ります。え~っと…カナエさん治療したからあと何すればいいんだっけ…