「ん~……」
昼。カナエと仁の訓練をしているとき、香が唸り声をあげた。
「どうした、香?」
「ん…いやこの後どうしようかなって…」
「この後?」
「仁、今使える属性を全部展開してみて」
「ん?あ、あぁ…まだうまくいかないが…」
仁はそう言って手から火、風、雷、土を生み出した。
「す、すごいね、仁くん…」
「いや…まだまだですよ」
「カナエさんも、今使える属性を全部展開してみてください」
「あ、うん…“花よ”」
その言葉にカナエの手から花が生まれ落ちた。その花はカナエの手から生まれた風で宙を舞う。
「…仁の成長速度早すぎでしょ。なんで自然六素属性のうち水と氷以外使えてるのよ…」
「…香ちゃん、仁くんって修行開始してからどれくらいなの?」
「2ヵ月経つかどうかですよ…ちなみに最優先適性は火。」
「…うわぁ」
カナエが少し引き気味になった。
「水と氷はうまくいかないんだよな…」
「火属性適性者の難関なんだろうね…加熱が得意だから冷却が苦手になる。」
「…そういえば、香の適性って聞いたことなかったような…」
「私は最優先が花、次に音、三番目に闇。……自然六素属性には適性そこまでないんだよ、私。」
「お、おう…」
香の言葉に仁が少し引いた。
「ちなみに前に言ったことあるかもだけど私が苦手なの火ね。一番苦手なのは虫…かな?」
「虫嫌いだっけか。」
「虫は嫌い。」
「どうかしましたか?」
その話しているところに声。その声の方向を振り向くと、そこにはしのぶがいた。
「虫は嫌い、と言いましたが。それは私に向かって嫌いと言っているのですか?」
「……あぁ、そういえばしのぶさんって“蟲柱”でしたっけ。別にしのぶさんに向かって言ったわけじゃないです。」
「そうですか…」
「…ところで、何か用ですか?」
香はしのぶにそう聞いた。何故なら、香が仁やカナエに何かを教えているとき、蝶屋敷のアオイ以外の誰かが来ることは少ないからだ。
「あぁ、そうでした。10日後、お館様がこちらにいらっしゃるようです。仁君との修行風景も見学されたいとのことですので失礼の無い様に。」
「はぁ…分かりました。用件はそれだけですか?」
「ええ、まぁ。…それでは。」
そう言ってしのぶは蝶屋敷の奥へと戻っていった。
「…さ、仁。あとカナエさんも…魔力の方は大丈夫ですか?」
「魔力?俺は大丈夫だが…」
「私も大丈夫だけど…?」
「…では、今日からちょっと違う修行に入りましょうか。」
「「違う修行?」」
見事にハモった二人にクスリと笑ってから香は口を開いた。
「回避訓練です。」
「回避…」
「訓練?」
「えぇ。緩めの状態から始めますけど、徐々に段階を上げていく形で。」
「それに何か強くなる方法があるの?」
「ある、というか…動体視力の向上でしょうか。とりあえず、まずは回避から。段階が上がってきたら相殺訓練です。」
その言葉に仁とカナエが首を傾げた。
「相殺…?」
「…一つ言っておきます。この回避訓練は相殺訓練の前段階。もしも相殺しきれなかった場合にそれを回避できるように設定している段階です。訓練ではありますが、当たれば痛いですからね。」
「う…」
「…じゃあ、始めましょうか」
そう言って香は空に浮き上がった。
「回避訓練…5分の間私が放つ弾幕を回避し続けてください。」
「それだけでいいのか?」
その言葉に香が少しむっとした表情をした。
「…言っておきますが属性弾幕ですから当たれば痛いですしけがだってします。それと…」
香が自身の前に魔方陣を展開した。
「あまり私の弾幕を舐めていると痛い目を見ますよ。咲け、花達!!」
そう宣言した瞬間。魔方陣から飛び出した複数の花弁が仁とカナエに襲いかかった。
「「!?」」
「私はここから動かない…けど、これを避けきらないと次の段階には進めない!!」
仁とカナエはその場で跳躍し、自分たちの元居た場所へ襲いかかってきていた花弁を回避した。だがそれもつかの間、
「追尾…!?」
「言っておくけどその花に追尾性能はない!標的を定めたらそこに一直線に飛ぶだけ!
「そういうことか…!!つまりこの回避訓練の果ては追尾付きの弾幕を避けろってことか!?」
「いや、追尾付きは避けられないから」
「だよね」
香とカナエから冷静なツッコミが入った。
「でも、着眼点はいいかもね。そして被弾してるの見えてるからね?」
「う…っぐっ」
「まぁ、流石にいきなりこの弾幕は辛いか…」
そう言って香は魔方陣を消した。
「システムコール!ジェネレート・メタリック・エレメント!!」
「なにを…する気だ!?」
「フォームエレメント・アローシェイプ!オートターゲット・フライストレート!!ジェネレートモード・オートジェネレート!!ディスチャージ!!」
そう宣言した瞬間、香の前から銀色の矢が射出され始めた。
「なんだそりゃ…!」
「当たったら痛そう!?」
仁とカナエは避けるのに必死だった。
「言っておくけど、これまだかなり序盤だからね?」
「さっきより密度薄いからわかるわ!!」
「薄いって…それでも一回当たり二十本近く来てるよね!?」
(…まぁ、端末は空間だし。
香は香でもっとエグイことを考えていた。
「とりあえず、これを避けられるように頑張って…特にカナエさん!」
「うぅぅぅ…頑張ります…」
「完全に物理なので属性でもいくらか弾けることは覚えておいてください!!」
「は、はいぃ…」
カナエは軽く涙目になりながら花弁を自身の周りに展開して状況に合わせて防ぐ、弾く、避けるを切り替えていた。
「うおっととと!」
仁は仁で多少危ないが全ての弾幕を避けていた。
その後。
「今回はこの辺にしますか。」
「…あ、あぁ……」
「う、うん……」
3時間ほど回避訓練を行い、カナエは30本の矢を避けられるようになり、仁は60本の矢を撃ち込まれるようになっていた。
「では続きはまた明日。…もしかしたら、すぐにでも相殺訓練に移れるかもしれませんね」
「勘弁してくれ…」
「言っておきますけどまだまだですよ、この程度は。…まぁ、100矢回避ができるようになったら花弾幕に切り替えましょうか。」
そう呟いたのを聞いて仁とカナエが落ち込んでいた。
「…香ちゃん、絶対弱いっていうの嘘でしょ。」
「…分かってませんね、カナエさんは。
「え…」
その言葉に顔を上げたカナエが見たのは辛そうな表情をした香だった。
あぁぁぁ……やっと魔法要素の修業入れた……といってもまだ序盤ですけどね。
ちなみにですが、カナエさんの修行開始時期は1915/11/10ごろです。属性適性は第一に花、次点で風、三番目に水。ここまでの登場人物で香が鍛錬の相手をしている人物の属性適性列記しますと……
香………第一適性:花 第二適性:音 第三適性:闇
仁………第一適性:火 第二適性:風 第三適性:影
鈴………第一適性:水 第二適性:音 第三適性:想
花………第一適性:風 第二適性:花 第三適性:幻
雫鞠……第一属性:闇 第二属性:影 第三属性:火
凛音……第一属性:影 第二属性:闇 第三属性:雷
楽………第一属性:影 第二属性:火 第三属性:闇
涼………第一属性:影 第二属性:水 第三属性:闇
妹紅……第一属性:火 第二属性:光 第三属性:風
美月……第一属性:闇 第二属性:光 第三属性:幻
流華……第一属性:花 第二属性:水 第三属性:氷
風兎……第一属性:風 第二属性:想 第三属性:魚
大地……第一属性:土 第二属性:幻 第三属性:石
日向……第一属性:光 第二属性:聖 第三属性:水
カナエ…第一属性:花 第二属性:風 第三属性:水
とまぁ、こんな感じになります。スマートフォンなんかから見ている人は読みにくいと思いますけど…ごめんなさい、それはもうどうにもできないです