シャンフロIF 呪われた牢獄は蒼き流星を堕とす 作:底無ノどろ沼
シルヴィア・ゴールドバーグという全米1位のプロゲーマーをも出し抜いた、もはや芸術の領域の貫手。
それを引き抜き、
「くぅぅぅたぁぁぁぁばぁぁぁぁぁれぇぇええ!!」
俺は左足による回し蹴りを放とうとした。
勝利の確信、ただこの一撃に思考が先鋭化する。
だがしかし、いやここはやはりと言うべきか。絶体絶命の王手を掛けられたこの一瞬でさえ、シルヴィア・ゴールドバーグは「プロゲーマー」だった。
「なめるなぁぁぁぁっ!!」
無理やり復帰したミーティアス。殺意すら漂う叫びとともに奴もまた蹴りの体勢に入る。奴が選んだ一撃は……その場で足を限界まで上へと蹴り上げるハイキックだった。
あと三秒。
それを認識した瞬間、いやおそらく認識以前に直感で自身の確信が揺らぐ。が、身体は勝手に動いていた。上半身を後ろに倒し、右腕を地面につき、回し蹴りの狙う位置を脇腹から奴の身体を支える片足に変更。
あとニ秒。
奴のハイキックは空振り、俺の蹴りは奴の片足を刈り取った。素早く体制を整え、奴に飛びかかり、渾身の右拳を放つが、それは地面を砕いただけだった。
足を刈られ宙を舞ったミーティアスは空中ジャンプを無理矢理使い、上へ。
あと一秒。
プリズンブレイカーの真上にいるミーティアスは縦に回転し、勢いをつけた踏みつけを放つ。
「うおっ!?」
「チッ!」
前転でその場を離脱。後ろで地面が砕ける音がする。さらに距離を離し、振り向きざまに地面の一部だったコンクリートを投げつける。
…残り零秒。
現在どちらも体力はミリ残り。なのでただのコンクリートでも奴は避けなければならない。
しかし、こんなちゃちな攻撃では捉えることなど不可能である。
容易く避けられ、両者が互いに向かって走り出す。
ダンっと投げつけたコンクリートが音を立てて、ミーティアスの後ろの地面に落ちる。
距離が縮まっていく。
俺と奴、ミーティアスとそして…
ヒュンと空気を切り、猛スピードで向かってくる黒い物体。ー呪われた牢獄ー
ミーティアスの背中越しにプリズンブレイカーへと向かうそれは、自らを着せようと一直線に奔る。
「……!」
ミーティアスがそれに気付き、避けようと動き出す。その一瞬、僅かだが俺から意識がはずれる。
好機。加速し、手を伸ばす。
「しまっ!?」
「終いだ!」
プリズンブレイカーが再度捕らえられ、カースドプリズンとなった。その左手にはミーティアスが掴まれている。
「ヒーローは負けない…!!」
逃げようともがくミーティアス。
「だから、ユニバースが…!」
右手を握りしめるカーストプリズン。
「違ぇんだよ、ここは!!」
右手を大きく振り、拳がミーティアスの顔面に食い込む。そのままミーティアスは吹き飛び、近くの車に激突。直後、大爆発。
「俺を…、いや俺様をなめんな」
そして目の前に
KO, YOU WIN
の文字。
勝ったという実感のあとに来る、とてつもない疲れ。さっさと寝たいと思っていると、
『ログアウトします』
現実へと戻った。
そして頭を覆うVRシステムを着けていても聞こえてくるやかましい大歓声。
そこでやっと当初の目的を思い出し、冷や汗が止まらなくなった。
これどうしよう?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
勢いで書いてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
が、天がやれって言ったんです。ワタシ、ワルクナイ。