ハイスクールD×D 〜鏡花水月とともに〜   作:bad boy

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はい!bad boyです!

緊急事態宣言が解除され、そろそろ不定期更新になるかもしれません・・・。

ですがこれからも書き続けていくので応援してくれるとありがたいです!

それでは第十一話どうぞ!


第十一話 教会への突入

 俺たちは今町にある教会の前にいた。

 

 これからおそらく戦闘があるために俺は予め伊達眼鏡を取り、髪を後ろに持って行っていた。

 

「どうやら扉は開いているようだ。なんとも不用心なことだね」

 

 結界でも張ってあるのかと思っていたのだが、何もなかった。シスターを取り返しに来ることを考えていないのか、自分たちの能力を過信しているのか。どちらにしろ愚かなことだ。

 

「それじゃあ中に入ろうか、準備はいいかい?」

 

「おうっ!」

 

「うん」

 

「……はい」

 

 ぎいっ

 

 と音を立てて教会の中へと入る。ぱっと見では誰もいないように感じる。

 

 だが隠す気もないような殺気を感じる。まるで気づいてくださいと言わんばかりだ。

 

「さて、シスターを探しに行く前に……。そこにいる君、隠れていないで出てきたまえ」

 

「あれえ? 気付かれちまった。お前人間のくせになんでクソ悪魔なんかと一緒にいるんですかあ?」

 

 物陰から出てきたのは白髪の神父服姿の男だった。はぐれ悪魔祓いか、腐った目をしている。

 

「お前……フリード! アーシアをどこにやった!」

 

 兵藤一誠が白髪神父(フリードという名らしい)に怒鳴る。

 

「んー? この前のクソ悪魔じゃありませんかあ! アーシアたんなら今祭壇の下にある隠し階段を通った先にある儀式場でお楽しみ中ですよお。いやあ羨ましい!」

 

 儀式場? 堕天使どもは何かシスターを使って儀式を行うのか? 

 

 ……もしかしてシスターが持っている神器を抜き取るつもりか!? 

 

 まずいな、それならば一刻も早く先を急がねばならない。

 

「ふざけんな!」

 

 兵藤一誠が叫ぶ。確かにこの神父んのふざけた喋り方は俺も好きではないが今はそんなことに時間を使うべきではない。

 

「君たちは先を急ぐといい。私の推測ではおそらく儀式は神器を抜き取ることだろう」

 

 だからここは俺が相手をして兵藤一誠たちを先に行かせることにする。

 

 本当なら俺が行って全てを終わらせるべきなのかもしれない。

 

 だが、今回はあくまで俺は少し力を貸すだけで自分で解決しようとは思っていない。

 

 兵藤一誠がシスターを守りたいと覚悟し、ここまできたのだ。彼の覚悟を踏みにじるようなことはしたくない。

 

「な、藍染! なんだよそれ!」

 

「神器を抜き取られたものは命を落とす。君はそのシスターを助けたいのだろう? ならばここは私に任せて三人で先を急ぎたまえ」

 

「っ! わかった、俺たちは先に行く。絶対負けんなよ!」

 

 俺はそう言って木場祐斗と白音ちゃんに視線をやる。

 

「わかったよ藍染君。行こう、二人とも」

 

「……わかりました」

 

 そうして三人は俺とフリードの横を走り抜けていった。以外にもフリードは三人を止めるそぶりを見せなかった。

 

 

 

 

 

「さて、それでは手短に終わらせるとしよう」

 

「アヒャヒャヒャ! クソ悪魔につくクソ人間が大口叩きますねえ! クソ悪魔を殺す前にぶっ殺してあげますよおおお!!」

 

 クソ神父は汚い笑いとともにそんなセリフを吐く。

 

 あれ? もしかしてこの場面、あのセリフ使えるんじゃないだろうか? ()()藍染惣右介の代表的な名言の1つ────

 

 

 

 

 

 

「あまり強い言葉を遣うなよ……弱く見えるぞ」

 

 

 

 

 

「なーに屁理屈言ってるんですかあ!? 普通にやってたら勝てないからって心理戦ですかあ!?」

 

「君とこれ以上喋るつもりはない」

 

「はあ!? てめえ何いっt」

 

 あの言葉をいった俺は日々の鍛錬で身につけた瞬歩もどき(魔力を足に集中させて高速移動すること)で背後に回り込みフリードの背中を切りつけた。

 

 一瞬で殺そうかとも思ったが、確かこいつ原作に少し出ていたような気がしたため殺しはしなかった。

 

 俺がギリギリ記憶していたということは登場回数が一回じゃないはずだ。もしかしたらいつか味方になって再登場したのかもしれない。

 

「がはっ! ぼ、ボクちゃんはこんなところで死にたくありませんので退散させていただきまーす!」

 

 フリードはこちらを信じられないような目で見たあとすぐに閃光弾のようなものを使ってこの場から逃げ出した。勝てないと見るやすぐに撤退できる判断力だけは評価しよう。

 

 気配で追いかけて殺してもいいのだが先ほどの理由でまだ殺さないほうがいいかもしれないと頭によぎったので見逃すことにした。

 

 だが、次はないぞ。フリードよ。

 

 そうして一瞬でフリードとの戦闘を終わらせた俺は隠し階段を降り、儀式場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 階段を半分降りた頃だろうか、戦闘の音が響いてくる。おそらく儀式場での戦闘が始まっているのだろう。

 

 白音ちゃんと木場祐斗もいることだし何より覚悟を決めた兵藤一誠がそう簡単にくたばるとは思えないが、俺は階段を降りる速度を少しだけ早めた。

 

 階段が終わり、現れた扉を開くとはぐれ悪魔祓いの大群と白音ちゃんと木場祐斗がいた。その奥には堕天使、確かレイナーレと兵藤一誠がいた。

 

「二人とも平気かい?」

 

「藍染君もうきたのかい!? こちらはまだ始まったばかりだよ」

 

「……一人一人は弱いですけど数が多いです。それよりも兵藤先輩が」

 

 二人とも目立った怪我などはないようだった。確かに数が多いな。

 

 ここは仮の鏡花水月の能力が使えるか。そうすれば白音ちゃんをこれ以上戦わせないで済むしな。

 

「今から鏡花水月を使う。二人とも私の後ろに下がってくれるかい」

 

 二人に斬りかかっていたはぐれ悪魔祓いを斬り払いながらそう言う。

 

「なるほど、了解したよ!」

 

「……お願いします」

 

 二人はすぐに理解してくれたようで俺の後ろに下がった。

 

「砕けろ、鏡花水月」

 

 本来ならこんな掛け声など不要なのだが、後ろの二人に発動の瞬間を認識してもらうためだ。

 

「なっ貴様いつの間に私の後ろに!」

 

「悪魔めえ!」

 

「死にやがれえ!」

 

 目の前のはぐれ悪魔祓いたちは揃って同士討ちを始めた。

 

「やっぱり、君の神器の能力はかなりえげつないね……」

 

 木場祐斗が少し引いている。本当の能力はこんなもんじゃねえぞ! 

 

「さてそれでは彼らは放っておいて兵藤一誠の援護に行こうか」

 

「……了解でs」

 

 

 

 

「いやあああああああああっ!!!」

 

 

 

 

 

 その時シスターの叫び声が響いた。

 

「アーシア!?」

 

 兵藤一誠が呼びかけるが返事は返ってこない。彼女から光とともに神器と思われるものがレイナーレの手に渡る。

 

 まさか儀式は継続中だったのか? だとしたらあのシスターはもう……。

 

「あははははは! やったわこれで私は至高の堕天使になれる! 私をバカにした者たちを見返してやれる!」

 

 体から緑色の光を発しながら笑うレイナーレ、どうやら彼女は神器を自分のモノにしたらしい。

 

「そ、そんな。神器を抜かれたってことはアーシアは……」

 

「死んでいるわよ、その娘は! 私が至高の堕天使になる礎となれたのだから本望でしょう!!」

 

「くそっ! 救えなかった! アーシアを、友達を!」

 

 兵藤一誠の顔が絶望に染まる。そしてその気持ちが俺には痛いほどわかってしまう。

 

 ここは俺が出る幕ではない、兵藤一誠自身が決着をつけるべきだ。

 

「おい! 俺の神器! 神器は想いに答えるんだろ! だったら俺のこの想いに応えやがれえええ!」

 

 すると兵藤一誠の神器の形状が変わり、真っ赤な鱗のような見た目に手の甲の部分に緑の宝玉が埋め込まれた神器が姿を現した。

 

『Boost!!』

 

「なっ! それは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!? まさか貴様みたいな下級悪魔が神滅具(ロンギヌス)を!?」

 

 その神器からは今までとは比べ物にならないほどの荒々しいドラゴンのオーラを感じる。なるほど赤龍帝の籠手、さすが主人公と言うべきか。

 

 

 

 

 

 

 そのあとの戦闘は一方的だった。不利になったレイナーレは儀式場を飛び出し逃亡を図ったが、そこは俺が阻止した。

 

 そして兵藤一誠はレイナーレを倒し、俺たちは気絶したレイナーレと冷たくなってしまったシスターを連れ階段を戻り、教会にまで戻ってきた。

 

 それとレイナーレと神器はまだ融合していなかったらしく彼女が気絶した時に出てきた。今は兵藤一誠がそれを握りしめている。

 

 そこにはリアス・グレモリーと姫島朱乃がいた。

 

「どうやら私たちが想像していたよりも早く終わったようね」

 

「はい、でもアーシアが……」

 

 兵藤一誠は俯いたままだ。

 

「そのことについては一応考えがあるわ。それよりもひとまずその堕天使に起きてもらいましょう。小猫」

 

 リアス・グレモリーには考えがあるらしい。思いつく死者を蘇らせる方法なんて1つしかない。

 

「……はい部長。えいっ」

 

「かはっ!」

 

 ドゴン! と音がしてレイナーレは無理やり意識を取り戻した。少し堕天使に同情した。

 

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

 

「グレモリー一族の次期当主か……」

 

「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ」

 

 レイナーレはリアス・グレモリーを憎々しげに睨み、嘲笑うような表情を浮かべる。

 

「してやったりと思ってるんでしょうけど、私に同調し協力してくれる堕天使もいるわ。私が危なくなったら彼らは──」

 

「彼らは来ないわよ」

 

 リアス・グレモリーがレイナーレの言葉を遮る。

 

「堕天使カラワーナ、ドーナシーク、ミッテルト。彼らは私が消滅させたわ。この羽は彼らのものよ、あなたならわかるでしょう?」

 

「そ、そんな……」

 

 レイナーレが絶望の表情を浮かべる。

 

「そしてあなたにも消えてもらうわ」

 

「冗談じゃないわ!」

 

 この堕天使は俺のことを利用しようとした堕天使によく似ている。さっきから殺意を抑えるのが大変だ。

 

「静かにしたまえ」

 

 俺はこのうるさい口を黙らせたかった。昔を思い出すし、傷心の兵藤一誠をこれ以上傷つけるのも昔の自分を思い出すようで嫌だった。

 

「イッセー君! 私を助けて! あなたのことが好きなの! だからこの剣を退けて!」

 

 こいつは最後まで胸糞悪いことをしやがる。

 

「あなたいい加減にっ」

 

「部長!」

 

 先ほどまで黙っていた兵藤一誠がそこで声をあげた。

 

「最後に一発やつを殴らせてください。その後は消してもらって構いません」

 

 どうやら兵藤一誠にはかりそめとはいえ彼女と過ごした時間には想いところがあったらしい。

 

「ええ、わかったわ」

 

 リアス・グレモリーはそれを了承した。

 

「イッセー君! 好きよ、愛してるの!」

 

「うるせええええええええ!」

 

『Boost!!』

 

 バキイッ──

 

「グッバイ、俺の初恋。……部長」

 

「ええ、消えなさい」

 

 バシュッ──

 

 そうして堕天使レイナーレはこの世から消滅した。その場には彼女の黒い羽が数枚残っただけだった。

 

 

 

 

 

「兵藤君、その神器をシスターさんに返してあげるといい」

 

 すでに伊達眼鏡を装着していた俺はそう声をかけた。

 

「でも、アーシアはもう……」

 

 兵藤一誠はいまだに俯いたままだ。

 

「イッセー、これはなんだと思う?」

 

 リアス・グレモリーは1つの悪魔の駒を取り出して兵藤一誠に見せる。

 

「それは?」

 

「これは『僧侶(ビショップ)》の駒よ」

 

 そう彼女の言っていた考えとは悪魔として転生させることだ。

 

 

 

 

 

 そうしてシスター、アーシア・アルジェントは悪魔として蘇り、神器も彼女の元へ戻った。

 

 生き返った彼女を見て兵藤一誠は涙を流しながら彼女を抱きしめていた。

 

 正直、一度失ったものが戻ってきた彼が羨ましかった。

 

 

 

 

 

「〜これが今回の顛末だ」

 

 家に帰った俺は最初に黒歌に怒られた。料理の練習をして夕飯を作って待っていてくれたのに俺が連絡もせずに帰ってくるのが遅れたからだ。

 

 俺は黒歌に謝り、なんで帰りが遅かったのかを説明した。

 

「ふーん、それで遅れたのかにゃ。でも連絡くらいしても良かったんじゃない?」

 

「そ、それは……。完全に忘れていた、ごめん」

 

「まあ理由が理由だから許してあげるにゃん。でも今後は何かあった時は連絡してほしいにゃ」

 

「今後はこのようなことがないように気をつける、ごめん」

 

 怒った黒歌は結構怖い。怒ってても語尾が「にゃん」なのが余計不気味に感じて怖い。

 

「もう謝らなくていいにゃ。それよりもシャワー浴びてくるにゃん、その間に冷めたご飯温め直しておくにゃ」

 

「ああ、そうするよ。ありがとう黒歌」

 

 黒歌が作ってくれた夕飯は温め直したものでもとても美味しかった。

 

 

 

 

 

「そういえば、白音は今回の戦いで怪我してなかったかにゃ?」

 

 夕飯を食べ寝ようとしていると横に寝ていた黒歌が話しかけてきた。

 

「大丈夫、無傷だったよ。鏡花水月で敵を同士討ちにさせたから戦闘自体あまり行ってないはずだ」

 

「そっか、ありがとにゃん惣右介。妹を守ってくれて」

 

「家族の家族を守ることは当然だよ。それに白音ちゃんが傷つくと黒歌が悲しむだろ? 俺は黒歌が悲しむ姿は見たくない」

 

 妹思いの黒歌のことだ。そもそも妹にはあまり戦って欲しくないのだろう。

 

「うん、ありがとにゃ。でも惣右介も無理はしないでね。私は惣右介が傷つく姿も見たくないにゃ」

 

 そっか、そうだよな。俺が黒歌に傷ついて欲しくないのと同様に黒歌も俺が傷ついて欲しくないんだよな。

 

「ありがとう、心配してくれて」

 

「家族なら当然にゃ」

 

「ああ、そうだな。そろそろ寝よう。明日も早い」

 

「うん、おやすみにゃ惣右介」

 

「おやすみ黒歌」

 

 そうして俺たちは目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい!ということで今回で第1巻が終了となります!

次回からはライザー編ですね!人間であるオリ主をレーティングゲームに参加させるかどうかまだ悩んでいます。

評価・感想よろしくお願いします!

それでは次回をお楽しみに!

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