ハイスクールD×D 〜鏡花水月とともに〜 作:bad boy
緊急事態宣言が解除され、色々と忙しくなり、スランプにもなってしまい更新ができず申し訳ありませんでした!
気付けばお気に入りが1300件を超えており待ってくれていた方は本当にありがとうございます。
今だにスランプから抜け出せずこれからも不定期な更新になると思いますがよろしくお願いいたします。
それでは十五話どうぞ!
「惣右介、大好きにゃ」
──え?
俺はなんで黒歌に抱きつかれている? 黒歌は今なんて言った?
俺には大好きだと告白されたように聞こえた。
「黒歌、今なんて……?」
「大好きって言ったんだにゃ、もちろん異性としてにゃ」
「そう、か……」
抱きつかれているため黒歌の顔は見えないが耳が赤くなっているのがわかる。そうか、大好き、か。
正直黒歌の普段のスキンシップや言動などはすべて家族に対するものだと考えていた。いや、思い込んでいたという方が正しいか。
きっと俺も黒歌に対しては家族以上の気持ちを抱いていたのだろう。だがどうしても自分がこれ以上幸せになっていいと思えなかった、家族がいることで十分すぎると感じていたんだ。
また失うことに対しての恐怖に耐えられる気がしなかったから、これ以上大切な存在にすることが怖かったんだ。何もアクションを起こさなければ今の関係のままでいられると思っていたんだ。
でも女の子に告白させてしまったんだ、俺も誠意を見せなければならない。
「惣右介……?」
黒歌が反応のない俺を心配して上目遣いで俺を見てきた。
やばい、こんな状況だと嫌でも意識してしまうな、こいつ顔はものすごく整ってるし。それに今気づいたが腹のあたりから2つの幸せな感触が……。
いかんいかん。まだ返事も何もしていないのに。
「ん? ああ、ごめん。ちょっといきなりすぎて混乱してた」
「ひどいにゃ、私だってすごく緊張してるんだにゃ」
「ごめんな、自分が誰かにそんな風に思ってもらえるなんて考えたこともなかったから驚いたんだ。そしてありがとう、こんな俺を好きだと言ってくれて。すごく嬉しいよ」
「そ、それじゃあー」
「でも返事は明日まで待ってくれないか? 少し頭を整理してよく考えてから答えを出したいんだ」
このことに関してすぐに答えを出すわけにはいかない。
正直なことを言えば今すぐにいい返事をしたい。俺も黒歌には家族以上の感情を抱いているし、本当の俺を知った上で好意を持ってくれた黒歌ならむしろこちらからお願いしたいくらいだ。
でも俺たちは複雑な立場だ。そう簡単に答えを出すわけにもいかない。
「そっか。うん、わかったにゃ。明日、答えを聞かせてほしいにゃ」
そう言って黒歌は俺から離れた。少し名残惜しいが今後のことについて色々考える必要がある。
「おう、とりあえず今日は白音ちゃんの部屋にお邪魔してみれば? せっかく仲直りできたんだ姉妹水入らずで夜語り合うのも悪くないと思う」
改めて黒歌の顔を見た俺はなんだか気恥ずかしくなってあからさまに話題を変えた。きっと顔も赤くなっているのだろう、黒歌の顔もやはり赤い。
「そ、そのアイデアいただきにゃ! じゃあ早速白音の部屋にお邪魔してくるにゃ! じゃあ惣右介また明日にゃ!」
「あ、ああ。また明日」
黒歌もどうやら気恥ずかしかったのか捲し立ててさっさと部屋を出て行った。窓から。
「大好き、か」
夜、ベッドの上で俺は一人つぶやいた。これが何回目かなんてもうわからない。
はっきり言って嬉しい。めっちゃ嬉しい。
「でも、なあ」
俺たちは立場が特殊すぎる。俺は日々自分を偽って生きていて悪魔にも関わっているが後ろ盾は何もない。
黒歌もSS級はぐれ悪魔として指名手配されていていつ狙われるのかもわからない。そんな状況で俺は黒歌を守っていくことができるのだろうか。
もし俺たちが今以上の関係になるのだとしたら必ずこのことで何か問題が起きるに違いない。もし黒歌のことが悪魔たちにバレて俺以上の実力者が討伐に来たらどうするのか。俺の神器の本当の能力に目をつけた人外たちが俺の捕獲に乗り出してきたらどうするのか。
そんなことを考えると俺はまだ黒歌とそのような関係になるわけにはいかないんじゃないだろうか。勢いに任せて後先考えないのは違うんじゃないだろうか。
「今の環境をどうにかしなきゃなあ」
うん、そうしよう。今の環境をどうにかする目処が立つまでは今の関係でいることがきっと俺に取っても黒歌にとってもいいと思う。お互いの安全がある程度保証されるようにこれからの俺の立ち振る舞いを考えなければならないな。
「それにしても」
改めて考えてみると黒歌の今までの行動は単なる家族にするものじゃないよな。いきなり抱きついてきたり、毎日料理を作ってくれたり、風呂に突撃してきたり。兄弟なんかにやるような行動じゃない。それを家族だからとごまかし続けてきたけど流石に無理があるよな。
そんなことを思い返していると黒歌が非常に愛しく思えてくる。どうして俺なんかを好きになってくれたのやら。
でもこんな自分を受け入れてくれてそして好意を持ってくれる。まるで幸せになっていいのかと自問する俺に幸せになっていいと言ってくれているように感じる。こんなに嬉しいことはない。
だからこそ俺は黒歌のために黒歌が安心していられるような環境を作ってあげなければならない。そうしたら改めて黒歌に俺から告白しよう。そう俺は決意した。
「こ、答えを聞かせもらってもいいかにゃ?」
そして次の日の夜、俺と黒歌は俺の部屋にいた。黒歌はどこか緊張している様子だ。
「ああ、黒歌と付き合うことはできない。今はまだ、な」
「っ! そっか……。って今は?」
「ああ、今はまだ、だ」
そんな悲しそうな顔をしないでくれ。俺だって本音は今すぐオッケーを出したいんだ。
でも勢いに任せてはいけない。俺たちの立場を考えたらな。
「俺たちは特殊な立場だ、いつ狙われてもおかしくはない。そして今の環境じゃ何かあった時にお前を必ず守りきることができない」
「そっか、私みたいなはぐれ悪魔となんかじゃ惣右介が迷惑よね……」
黒歌は目を潤ませ俯く。
違う、そうじゃないんだ。そんなこと思うわけないじゃないか。
「違う、そういう意味じゃない! 迷惑だなんて思っていない!」
思わず声を荒げてしまった。
「じゃ、じゃあどうして」
「今はまだって言っただろ? 俺もお前が好きだ。大切だ。だからこそ今の状況じゃ何かあった時にお前を守ることができない。俺の能力だって隠してはいるがいつばれて狙われるかわからない。
俺が黒歌が安心していられるような環境を作ってみせる、何があっても俺が黒歌を守ることのできる環境を。
だからそれまで待っていてくれないか? その時が来たら改めて俺から黒歌に告白させてほしい。だから黒歌が嫌いなわけじゃない、迷惑だなんて思ったこともない、お前が好きだからこそお互いが心から笑顔でいられるようする。だからそんな悲しい顔をしないでくれ」
そういって俺は黒歌の頭を撫でる。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。好きな女にこんな顔をさせる俺はきっと最低なんだろう。良い男ならばきっとここで彼女を抱きしめてあげるんだろう。
でもこれが俺なりの誠意だ。どうか受け入れてほしい。
「うん、うん。わかったにゃ。惣右介が私を大切に思ってくれてるのはわかったにゃ」
「これは俺のわがままだ。お前を幸せにしたい、自由に過ごせるようにしてやりたいと勝手に考えてる俺のわがままだ。こんな俺を受け入れてくれるなら少しだけ待っていてくれないか?」
「ありがとにゃ惣右介、私のためにそこまで考えてくれて。わかったにゃ、惣右介のこと待ってるにゃ、でもあんまり待たせすぎないでよ?」
良い女だよお前はまったく。
「ああ、善処するよ」
「だったら今日は一旦解散だにゃ。今日も白音の部屋に行ってくるにゃ」
「おう、また明日。改めてよろしく」
「また明日! よろしくだにゃ!」
そう言って黒歌は窓から飛び出していった。万が一見られたらどうする気だあいつは。
そしてそのあとは俺と黒歌も普段と変わりなく過ごし、特訓も順調に進み十日という短い時間はあっという間に過ぎていった。
はい、ということで今はまだ、という結果になりました。
今回は少し短かったですが申し訳ありません。
今回で特訓は終わりです。あまり長々と書いてもこの特訓の見せ場はもうほとんどないので。
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それでは次回をお楽しみに!