ハイスクールD×D 〜鏡花水月とともに〜 作:bad boy
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それでは第一話どうぞ!
気付けば転生してから7年が経っていた。おれは7歳になっていた。
おれは藍染家の長男として生まれ惣右介と名付けられ、現在は両親と共に駒王町という町に住んでいる。いや容姿だけじゃなくて名前まで思いっきり鏡花水月に引っ張られとるやん……。容姿に関しては藍染様が子供の時はこんな感じだったのかなと思えるメガネをかけた穏やかそうな少年だ。ちなみにメガネは伊達である。母親がメガネをつけていた方が可愛いからという訳の分からない理由で伊達眼鏡を買ってきてそれをつけている。
家は裕福な方だ。父親はフリーランスの仕事をしているらしく、腕もよくいろいろな企業から引っ張りだこなようだ。かなり稼いでいるらしい。この家も一括で購入したらしいし、貯金もかなりあるとのこと。母親はそのためか専業主婦をしている。
ちなみに鏡花水月は常に外に出ているわけではなく普段は自分の中にあり、自分が念じたら外に出てくるようだ。でも出していなくても完全催眠は発動できるらしく、試しに甘いものが嫌いな父親に甘党になるように催眠をかけてみたら普段食べない食後のデザートをおれの分まで夢中で食べていた。後で子供の分までデザートを食した父親は母親に怒られていたけど、なぜ自分があんなに甘いものを食べていたのか理解していないようだった。
やっぱりチートすぎるな鏡花水月……。そして完全催眠を回避する方法はやはり原作通りあらかじめ触れておくことらしく両親には鏡花水月のかけらを手作りのお守りの中に入れて渡しておいた。
人外ども(確かこの世界は悪魔や天使、堕天使や神までいたはず)の世界でどんな波乱万丈な人生を送るのかとドキドキしていたが予想を裏切りバトルなどは一切なく、ただただ平和な日常を謳歌していた。ただ藍染様の体だから霊圧(魔力)を感知することはでき、この町にいくつか人外どもの気配はしたが自分には関わりがないものだと考え気にしていなかった。
なあんだバトルするのは一部のみで自分みたいなモブはこのまま平和に人生を送れるのではないかと思っていた。
「じゃあ遊びに行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい、気をつけてね。夕方までには帰ってきなさいね」
週末の日曜日、おれは子供らしく(精神年齢はアラサーだが)近くの公園に遊びに出かけた。ずっと家にいると両親がおれには友達がいないのではないかと心配していたので特にやることもないが近くの公園で夕方まで時間を潰すことにした。
べっ別に友達いない訳じゃないからね! ちょっと精神年齢が周りと離れすぎててどうしていいかわからないから自分から話しかけてないだけなんだからねっ!
そして時間が経ち空が紅く染まってきた。夏から秋への転換点なのか、最近日が暮れるのが早くなってきた。そろそろ帰るかなと思い公園を出ようとした時に異変を感じた。
さっきまで公園にいた人たちがいない。急に全員が帰宅するのも不自然であり、これは何かおかしいと考えていると魔力の気配と共に空から声が聞こえてきた。
「おい人間のガキ、お前
「えっ?」
振り向いてみると見るからに性格の悪そうなおっさんが背中から二枚の黒い天使の羽を出してこちらを見ていた。
え、これって堕天使ってやつだよね。そしてせいくりっどぎあ? 聞いたことあるなその単語……。あっ、この世界の武器の総称じゃん。ってことはこのおっさんおれの鏡花水月を狙ってるってこと? でもバトルなんておれ無理だし、万が一とぼけたら見逃してくれないかな?
「何か他の人間にはない力を宿しているだろう。あたりはついているのだぞ。白状しろ」
あっ、ダメですね、はい。バレてますね。だったら正直に答えるしかないか。別にバトルになると決まった訳じゃないし。
「はい、確かに僕には他の人にはないものがあります」
「そうかやはりな、さらにその歳でそれを自覚しているとは。おいガキ、おれについて来い。その年から鍛えれば戦争の時には俺たちの戦力になるかもしれん」
いやいやいきなりついて来いって……。しかも戦争って、それ絶対今みたいな平和な日常がなくなるやん。これは断固拒否だな。
「いえ、僕そういうのに興味ありません。親が待ってるので帰ってもよろしいでしょうか?」
「そうか家族か。ならば貴様の家族がいなくなればどうする?」
「は?」
「貴様のようなガキがそう言うのは予想できていた。なのですでにおれの仲間が貴様の家族を殺しに行っているだろう。そうすれば身寄りのない貴様はおれについて来ざるを得まい」
目の前の堕天使はニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべてそう言った。
は? 家族を殺す? あの優しい父さんと母さんを? こいつふざけてるのか?
おれは心底ムカついた。なんでこんなクズやろうのためになんの罪もない両親が殺されなければならないのか。ならばやることは1つ。こいつを殺して両親を助けに行く。鏡花水月の力があればおれをただのガキと思って油断してるこいつなんかたやすく殺せるはずだ。
おれは鏡花水月を使って奴には俺の足元にいた蟻を俺自身だと錯覚させ、堕天使の背後に回り心臓を貫こうとした。
しかし手が震える。震えが止まらない。早く両親のもとに行かなければならないのに。
当たり前だ、だって前世は普通の大学生だったんだ。そんな簡単に人を殺す覚悟なんてできるはずがない。刃物で人を指すなんて経験したことがある訳ない。
「さあ早くこい。貴様はいつか来る戦争dぐはっ!! き、貴様いつの間に……!」
結局おれは殺す決心はつかず、殺すのではなく動けなくすればいいと自分に言い聞かせ、蟻に話しかける堕天使の背中を震える手で鏡花水月を握り、思いっきり切りつけた。
堕天使は目の前で倒れていき、それを確認したおれは急いで家まで駆け出した。
家についておれは玄関の扉が壊されているのを見て土足のまま急いでリビングまで向かった。
すると一人のこれまた性格の悪そうな堕天使が両親に光の槍を振り上げていた。急いでおれは鏡花水月を発動し、堕天使の五感を狂わせそれに堕天使が動揺しているすきに両親に駆け寄った。
「よかった間に合った……!」
両親には傷がちらほら見えたが大きなものはない。あとはおれがこの堕天使を倒せば解決だ!
「惣右介! 無事だったのね!」
「惣右介! 怪我はないか?」
自分たちが傷だらけなのにも関わらず心配してくれるなんておれは両親に恵まれてるな……。
「父さん、母さんもう大丈夫だよ。僕がなんとかするから、詳しいことはまた後でね」
そう両親に告げておれは堕天使の方へと向かう。堕天使は五感が狂っていることに戸惑い訳のわからない叫び声を上げている。こいつは今真っ暗な世界で謎の音が周囲から聞こえ、腐臭をかんじ身体中に何かが巻きついていると錯覚している。こいつを倒せば全て終わる。
未だ叫んでいる堕天使を切りつける。目の前の堕天使はなすすべなく崩れ落ちた。
なんとか終わった。両親にどう説明しようかなと思いながら両親の方を振り向いた。
「えっ」
時間が止まったように感じた。嘘だと信じたかった。
振り返ったおれに目に映ったのはおれを温かく迎えてくれる両親ではなく光の槍に胸を貫かれていた二人だった。
「ハハハハハ!!! ガキい! さっきはよくもやってくれたなあ!!」
そこにいたのは先ほど倒したはずの堕天使だった。
え? なんで? なんでお前がいるの? さっき倒したはず。
「ごふっ……惣右介、お前だけでも、逃げるんだ」
「幸せに……なってね、私たち、見てるから……」
父さんと母さんは最後の力を振り絞ってそういうと動かなくなってしまった。それを見た堕天使は汚い笑みを浮かべる。
「俺たち堕天使の生命力を甘くみたなあ!! 貴様ら人間とは違うんだよ!! 貴様の両親が死んだのはおれにとどめを刺さなかった貴様の甘さのせいだ!!!」
おれのせい? おれが殺さなかったから両親が死んだ? おれが殺す覚悟が持てなくて手が震えてしまったせいで? なんで優しい両親が殺されなければならないのか?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?
「ああああああああああああああああああああアアアアアアアア!!!!!!!!」
気がつけばおれは二人の堕天使を殺していた。完膚なきまでに。おれの手に握られている鏡花水月は堕天使の地で真っ赤に染まっていた。むせかえるような血の匂いでおれは吐いていた。
もっと早くこうしていればよかった、普段から自分たちに認識阻害を使っておけばよかった、両親を助けた時に両親周りにも認識阻害の催眠を同時に使っておくべきだった、堕天使に父さんと母さんを殺したと催眠をかけておけばよかった、こんな世界に来たのだから日常に甘えることなく普段から鏡花水月をうまく扱う訓練をしていればよかった。
後から考えれば考えるほど自分で自分が嫌になる。何やってんだよおれ、ふざけんなよおれ、と自分を責めた。
おれのせいで殺されたんだ。おれが弱いせいで、両親を殺されたにも関わらず堕天使を殺した後に吐いてしまうほどに弱いせいで、おれの考えが甘かったせいで。マモレナカッタ。
おれは泣いた。前世を含めても人生で一番泣いた。堕天使への怒りもある、両親を失った悲しみもある、でも一番は守れなかった自分の不甲斐なさに、悔しさが込み上げてきておれは泣いた。
「俺は…………弱い…………」
強くならないと、もし守りたいと思える人ができた時に守れるように。
こんな弱くて甘い俺がそんな人を作るべきではないのかもしれないけど。
もしそんな人ができた時は、俺は守るためなら相手が誰であろうとコロス。
俺はその日から変わった。甘さを捨てようと思った。強くなろうと思った。
怪しまれないように俺は町に完全催眠を発動させた。解けることのない催眠をかけた。一人で生きていけるように周囲から両親とおれの記憶を消した。この家に住んでいる人間はもともといなかったと。寂しいけれど両親の記憶は俺だけが覚えていればいい。殺されたなんて知らせて両親が同情されたり遺産の取り合いで両親の死が汚されないように。家が認識されないように催眠をかけた。
いくつもの催眠を同時に発動しているとひどい頭痛に襲われる。数分程度ならなんとかできるが普段から使うのは不可能だ。戦闘でも基本催眠の併用はやめておこう。きっと脳の処理が追いつかなくなり、身体がストップをかけるのだろう。鏡花水月も万能ではないということだ。
だからこの催眠のコントロールをおれは手放した。俺から自立させたのだ。だからこの催眠は解けることはない。
また、あまり大きな範囲での催眠は複雑なことはできない。例えば全員に違った幻覚を見せたりはできない。基本的に同じことで単純なものでなければならない。複雑な催眠をしようと思ったらまた頭痛に襲われた。やはり脳の処理が追いつかないようだ。
だから俺は都合の良いことだけを忘れさせるのではなく極端な催眠しかかけられなかった。本当は父さんと母さんの存在を消したくなんてなかった。
そして少なくとも高校生くらいになるまでは家の外では俺の容姿が大学生ほどの姿で認識されるようにした。子供の姿では生きていきずらい。学校に行く必要はない、だって前世では大学生だったのだから。学校に行く時間を自分を鍛える時間に使った方が有意義だ。鏡花水月を使いこなせるようにしなければ。
ただしこの催眠については時間経過と共に解除されるようにしてある。自分の見た目が催眠に追い付いたら特に必要のないものであるからだ。
いつか自分で稼げるようにしないといけないな。幸いにも父さんと母さんが多額の貯金を残していてくれた。生活には困らないだろう。学者になりたいと家から出たくないために言っていた俺の適当な夢のために将来大学院までいけるように貯金をしてくれていたようだ。ダメだ、こんなこと考えているとまた泣いてしまう。
そうしておれは誰にも俺自身を認識されることもなく、一人で生活をするようになった。
「母さん、最後に幸せになれって言ったけど俺にそんな資格があるのかな。母さんたちを守れなかったこんなおれなんかに。俺、幸せになれるのかな、母さん」
俺はそう呟くと休憩を切り上げてトレーニングを再開した。
強くならないとBLEACHの藍染惣右介のように、頭も鍛えないとならない、あの藍染惣右介のように。
俺は藍染惣右介だ。そしてあの藍染惣右介のように強くなりたい。
はい主人公の名前はそのまま藍染惣右介君です!
いきなりどん底に落とされた惣右介君ですが、ちゃんと幸せになってもらう予定です!
なので次回以降にご期待ください!
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