ハイスクールD×D 〜鏡花水月とともに〜 作:bad boy
UA数が1万を超えました!正直ここまで見てもらえるとは思っていませんでした!見てくださる方本当にありがとうございます!
それでは第四話どうぞ!
黒猫を守り、悪魔たちを殺した翌日、俺はいつも通り朝5時に起床した。もう体に染み付いており目覚ましなしでも時間通りに目覚めることができる。
「ふあ〜あ、起きるかあ」
大きな欠伸を1つして起き上がる。
(そういえば昨日の黒猫は大丈夫かな?)
そう考え向かいの部屋のドアを開ける。そこには昨日と様子の変わらない黒猫が寝息を立てていた。
傷の具合は包帯を取ってみないとわからないが、気持ちよさそうに寝てる様子を見る限り大丈夫そうだ。
包帯を取り替えるべきかと考えたが、今起こしてしまうのは無粋だと考える。
「最初警戒していたし、長い間しっかりした休みを取れていなかったのかもしれないな。ゆっくりおやすみ」
そう起こさないように小さく呟き、部屋を後にする。
今日は昨日考えていた通り鍛錬は中止することにした。黒猫のために買わなければいけないものや、怪我した黒猫の面倒を見る必要がある。
そうして俺はシャワーを浴び、いつもの朝食をすませると必要なものを買うために近くのスーパーに向かうために家を出た。朝早いため24時間であるのが非常にありがたい。
俺はスーパーで猫の喜びそうなマグロの切り身や鰹節や、ブラッシング用の櫛などを購入し、家に帰る。
玄関をくぐろうとした時にふと家の中から魔力の気配を感じた。
「昨日の悪魔の残党か? いや、そもそもこの家は認識できないようにしてあるはず……」
絶対に家の中から感じないはずの気配に冷や汗が流れる。魔力の持ち主はどうやらリビングにいるようだ。俺は気付かれないようにそっと家に入り、リビングへと向かう。
リビングには家に入れた覚えのない女性が俺の食料庫(バランス栄養食品が入った段ボール)を漁っていた。
「誰だっ!!!!」
「にゃあああああああ!!!!」
そこにいた女性は俺に気付いていなかったようで驚き叫び声をあげた。
────??? side
時間はすこし遡る。
「うにゃ? ここは?」
私が目を覚まして目に入ってきたのは知らない部屋だった。ここはいったいどこなのだろう。
記憶を整理してみる。私は妹がこの街の中学校に入学したという噂を聞きつけて久しぶりに妹の姿を隠れて見ようとこの街に来た。
そこで追手の悪魔たちに見つかり不意打ちで手傷を負わされて猫の姿になり逃げていた。猫の姿になっている間は魔力などが感知されにくいからだ。
なんとか逃げ切れたはいいものの、思っていたよりもダメージが大きく、満身創痍だった。悪魔の気配も遠くに感じていた。でも私も限界が近かった。
その時私の目の前に優しそうな青年が現れた。見た所人間のようだ。私はその時目に見えるもの全てが敵に見えていたから威嚇をした。しかしその人間は
「大丈夫だ。私は君を傷つけたりはしない。安心してくれたまえ」
そう優しく笑顔で言ってくれた。この人間はきっと私がただの猫だと思っているのだろう。悪意は感じなかった。
そのあとのことは記憶にない。おそらく気を失ってしまったのだろう。
ふと自分の体を見てみる。綺麗に包帯が巻かれていた。きっと優しそうなあの人が手当てしてくれたのだろう。
「ってことはここはあの人の家ってことかにゃ?」
おそらくそうなのだろう。あとでお礼をしなければ。
しかし長居はできない。なんせ私はお尋ね者、いつ追手の悪魔に見つかるかわからない。人間を巻き込むわけにはいかない。あの人に礼を言ったらすぐにここを出よう。
幸い動けないほどの怪我ではない、仙術でそのうち治るだろう。そう思いながら私は人の姿になり、ベッドから起き上がる。
手当てをしてくれた彼にお礼を言うためにリビングに来たが誰もいない。人の気配もしない、あの人はおそらく出かけているのだろう。このまま出て行くのでもいいが助けてくれた相手に例の1つも言わないのは自分の良心が痛む。幸い追手の悪魔の気配も無いため少しの間待つことにした。そう考えているとお腹が鳴った。
「お腹すいたにゃあ」
そういえば私昨日から何も食べていないんだ。
勝手に食べたりはしないけどちょっとだけこの家に何か食べ物がないか探してみようかな。
そう思いキッチンに来てみたが使われている形跡がない、不自然なくらいに何もない。そう思って辺りを見回してみると1つの段ボール箱を見つけた。唯一使用感のあるもので気になり中をのぞいてみる。
「大量のカ○リーメイト?」
同じものが大量に入っていた。もしかしてあの人はこんなものばかり食べているのだろうか。そんなことを考えていると……。
「誰だ!!!!」
「にゃああああああああ!!!!」
不意に後ろから声が聞こえ私は飛び上がる。おかしい、気配は何も感じなかった。振り向いてみるとそこには見覚えのない中学生くらいの男の子がいた。
────??? side out
「お前は誰だ! どうやってこの家に入った!」
家に帰ったら見知らぬ女性がいた。おかしい、この家は誰にも認識されていないはずなのに。人なんて入れたくなかったのに!
「ど、どうやってって、目が覚めたらここにいたのにゃ!」
「は? 何言ってんだ? おれは誰かをこの家に入れた覚えはない!」
俺は鏡花水月を構えながら女性に話しかける。だがおかしい、こちらの話にきちんと返事をしてくる。俺を狙っているならすぐに仕掛けてきてもいいはずなのに。
「ほ、ホントだにゃ! 昨日ある人に助けられて、目が覚めたらこの家で手当てされてたんだにゃ!」
「俺はお前なんか助けた覚えはない! 手当てなんか……?」
昨日助けた? 手当てをした? その行為自体には覚えがあるがこの女性には覚えがない。
「俺が昨日手当てしたのは黒猫だけだ! お前なんか知らん!」
「私がその黒猫にゃ! 昨日あの人に手当てしてもらった黒猫にゃ!」
は? そんなわけないだろうが、あの猫からは今みたいな魔力は感じなかった。
「そんなわけないだろ! あの猫からは今お前から感じる悪魔のような気配はしなかった!」
「あ──! もう! だったらその証拠見せるにゃん!」
そういって彼女は黒猫へと変身した。包帯なども昨日のままだ。ということはマジでこの黒猫は悪魔だってのか?
「まじ……かよ……」
しばらくして黒猫は再び女性の姿へと戻った。そういえば猫耳も尻尾もある。コスプレか何かかと思って無視していたが本物なのか。
「だから言ったにゃん! ところで君! 昨日私を助けてくれた人はどこかにゃ? お礼を言いたいんだけど」
「へ? 俺だけど?」
「何嘘言ってるにゃん! 昨日助けてくれた人は君よりももっと大人だったにゃ! あの人は君のお兄さん?」
何言ってんだこいつ……?
あっ!! そうかこの家の中では催眠がかかっていない! 自分を助けたのはヨン様だと思っているのか。
「証拠を見せるよ、鏡花水月」
俺は鏡花水月を発動させヨン様に見えるように催眠にかけた。
「嘘。この人にゃ、昨日私を助けてくれた人」
「砕けろ、鏡花水月。だから言っただろ、昨日黒猫を助けたのは俺だって」
「だって見た目もしゃべり方も別人だにゃ」
「うっ、それは色々あるんだよ……。とりあえずお互い誤解は解けたようだし飯にしよう。詳しいことは食べながらでも話す。猫に食べさせるようにマグロとか買ってきたんだよ」
「にゃ!? わかったにゃ! 私も昨日から何も食べてないからお腹すいてるし」
「まずは名前からだな俺は藍染惣右介」
「惣右介ね、私は黒歌っていうにゃん」
俺はいつもの、黒歌は買ってきたマグロを刺身にして食べながら自己紹介をしている。
「単刀直入に聞くが、黒歌は悪魔なのか?」
「やっぱり悪魔のこと知ってるのね、姿のことも神器なんだろうし。そうよ私は悪魔にゃん」
やはりそうか、悪魔の魔力を感じるしそもそも普通の人間は猫になんて変身できない。
「じゃあなんで猫の姿であんなに傷だらけだったんだ?」
「それは、私がはぐれ悪魔だからにゃん……」
はぐれ悪魔? 黒歌が? 今までのはぐれ悪魔とは全然違じゃないか。魔力も今までのはぐれ悪魔とは質が違う。
「はぐれ悪魔? 今まで何回かはぐれ悪魔の相手をしたことがあるがそいつらとは随分違うな」
「え? はぐれ悪魔とやりあったことがあるにゃん? そうね、はぐれ悪魔には主に二種類いるにゃん。力に溺れ主人の元から逃げ出したやつ。そして理由があって主人を殺した眷属悪魔……」
なるほど、はぐれ悪魔にも色々とあるようだな。そもそも今までのはぐれ悪魔はまともにこちらと会話しようとする奴はいなかった。
「黒歌の様子からして後者のようだな」
「そうにゃん、だからあの時私は追手の悪魔に手傷を負わされて逃げていたんだにゃん」
こいつは俺が知っている悪魔と違うようだ。ここまで俺の話をちゃんと聞く悪魔なんて初めてだ。敵意も感じない。
「なるほど、あの悪魔どもの言っていた探している女ってのは黒歌のことだったのか」
「えっ、奴らと話したの!?」
「ああ、こちらを攻撃してきたからな、全員殺した」
「嘘っ!?」
「本当だ。俺の神器の能力は完全催眠、同士討ちさせて奴ら全員の首を落としたさ。それよりもお前が主人を殺した理由ってなんなんだ? そしてなんでこの街に来た?」
「理由は……」
黒歌は俯いて唇を嚙む。あまり聞かれたくないようだ。
「無理に話さなくていい。俺にも聞かれたくないことはあるしな」
「ありがとうにゃん。さてと、昨日の傷の手当てとご飯ありがと本当に感謝してるにゃん、でも私そろそろここを出るにゃん」
黒歌は捲し立てるように会話を切り上げ席を立とうとする。
「まて、お前行くあてなんてあるのか? はぐれ悪魔なんだろ?」
「そんなのあるわけないにゃん。でも私がここにいると惣右介に迷惑がかかるにゃん、いつ狙われるかわからないし……。私なら大丈夫にゃん!」
そう言って黒歌は笑顔を浮かべた。でも無理して笑っているのがわかる。俺を気遣っているのだ、自分のせいで俺に被害が行かないように。
優しいんだな。放っておけない、こんな気持ちになったのはいつぶりだろうか。俺はとっさに声をかけた。
「行く場所がないならここにいればいい」
「えっ?」
そうだ、俺は元々こいつを守るために家にあげたんだ。ならばもうすでに黒歌は俺の守らなければならない対象だ。
それに、他の悪魔は信じられないが黒歌なら信じられそうな気がする。自分が傷つくであろうことを承知で人間のおれのことを気遣ってくれるような優しい奴なら。
「ここにいていいって言ったんだよ」
「私の話聞いてなかったのかにゃ? 私ははぐれ悪魔でいつか必ず狙われるっt」
「それは大丈夫だ。俺の神器の能力は話しただろ、この家は誰からも認識されないようになっている。この家にいる限り誰かに狙われるなんてことはあり得ない」
「で、でも見ず知らずの人にそんなよくしてもらえる資格なんて私にはないにゃん……」
うーん、思っていたよりも意思が固いな。どうするか……。そうだ!
「ならその対価として俺に魔力の制御方法やこの世界のこと裏のことも含めて教えてくれないか? それならお互い対等だろう?」
こちらにメリットがないと思っているのならばこちらのメリットを提示すればいい。俺としても最近の鍛錬には限界を感じていたしちょうどいい。
「うーん、それだったら確かに……。わかったにゃ、お言葉に甘えさせてもらうにゃ、でも惣右介に危険が及んだらすぐに出て行くからね」
よかった、うまくまとまったな。
「ああ、わかった」
「じゃあこれからよろしく頼むにゃん! 惣右介!」
「こちらこそ、ようこそ我が家へ黒歌」
それからは黒歌がうちに住むうえで必要なものなどを買いに行った。如何せんうちにはモノがなさすぎる。
外に買いに行こうと黒歌に言うと家にいると言われたが、催眠で魔力や容姿もを誤認させることができるから大丈夫だと言ったらおそるおそる付いて来てくれた。
外に出るとおれの容姿や口調が違いすぎて「ギャップありすぎにゃ」と盛大に笑われてしまったが。解せぬ。
そうして色々と買い物を済ませ、黒歌が住むように家の中をいじったりしていると夜になっていた。ちなみに黒歌には父さんの部屋を使ってもらうことにした。きっと父さんも許してくれるだろう。
引っ越し作業が終わると俺と黒歌はスーパーで買って来た惣菜で夕食を済ませ就寝することにした。そういえばちゃんとしたご飯を食べたのなんていつぶりだろう。
「まだ怪我が完治したわけじゃないからしっかり休めよ」
「わかってるにゃん、おやすみ惣右介」
「ああ、おやすみ」
そう言って俺らはそれぞれの部屋に入った。
「おやすみ、か」
そうベッドに横になりながら呟く。おやすみなんて言葉を使ったのは両親が死んで以来だ。
いやそもそも
「誰か俺を見てくれって、心のどこかで思っていたのかもしれないな」
やはり俺はまだ心が弱いようだ。だから成り行きとはいえ7年ぶりにおれ自身と会話してくれた黒歌をとっさに引き止めて家に住むように言ってしまったのかもしれない。昨日までは誰も家にはあげたくないと思っていたのに。
守りたいからではなく、現在俺自身を見てくれる唯一の人だから。だが不思議と嫌な気分にはならなかった、寧ろ清々しい。
そろそろ寝よう。今日は昨日と同じくらい色々なことがありすぎた。
久しぶりに人と会話して、久しぶりにちゃんとした食事を誰かと食べて、「おやすみ」と言い合ったり。
今日のことを思い出すと自然と心が軽くなる。今日はいい夢が見れそうだ。
そうして俺は眠りについた。
はい!と言うことで黒歌さんが本作のヒロインであります。
理由としては主人公に魔力や色々なことを教えてあげられること、行くあてがないため主人公と同居人にするのに都合がいいこと、そして個人的に作者が好きだからなどです!
他のヒロインを期待していた方には申し訳ないです。これからも見ていただけると嬉しいです。
では次回をお楽しみに!