14話が1部編成なので1話だけの投稿となります。
最近はめっきり涼しくなってきたので過ごしやすいです。
過ごしやすくても書く速度は変わりませんけどね……はぁ。
独りの時間がもう少し欲しいです。
まぁ暫くは無理だなとは思いつつ、
6話前編投稿します。
平成25年4月26日17:43
「お前等、明日20時ここに集合。参加は自由」
向こうの部屋から出てきた吹田さんが唐突にそんなことを言って、4枚の地図を本棚側のテーブルの向こう側に置いた。そしてその周辺に皆が集まり始める。
……俺もゲームを中断して集まらないとな。
そしてとりあえず集まってみたのだが、
「……ここって何処です?」
他の人と同じように俺もテーブルに置かれた地図を覗きこむが、名称は書かれてないし場所もさっぱり分からない。
「ここだ」
「……何処だ?」
全く分からないのでこの辺りの地理を把握しているらしい溜井に視線と声を投げかける。
「ここはー……いわゆる廃校ね。肝試しでもするのですか?」
「最近ここで多発している怪奇現象に興味がある」
「怪奇現象の多発……事件の臭いがしますね」
「……何だそれ」
女の勘と言う奴だろうか? いやこいつの場合は探偵(自称)の勘か。
「千利乃、
「だいじょーぶよー」
「『識』って誰ですか?」
「『船井 識』、千理乃の2つ下の弟だね」
「識はねー、霊感があるのよ。だから肝試しに行くときは念のためについてきてもらうことが多いのよー」
「……霊感?」
また非現実的な単語がいくつか出てきたな……超能力じゃないのか? 幽霊とかの怪奇現象は科学と超能力で説明がつくと聞いたことがあるし。
「超能力では無く霊感、ですか?」
同じように疑問を持ったらしい溜井が問いかける。
「霊感よー」
「まあ、明日来れば分かると思うよ。実際に見ないと信じられないだろうしね」
「……そうですね。そうします」
少し考え込むそぶりを見せてから溜井はそう答える。
「俺と玲音は今から出る」
「……」
無言で菅さんは頷いた。
「今日は戻らない。千理乃、後は任せた」
「任せてー」
吹田さんと菅さんが部室から出て行き、それぞれ地図を取って各々のやっていたことに戻っていく。
俺もゲームを再開しようか。
平成25年4月26日18:04
時間になったので部室を出た俺は、いつも通りに一人で帰り道を考え事しながら歩いていた。もちろん内容は明日のことについてだ。
「……どうするか」
どこか分からない以上誰かしらを頼るしかないわけだが、学校からも遠そうだし移動は親の車か自転車にならざるをえない。歩きはあり得ない。
と、なると。道が分からないのだから自転車はあり得ない。昔みたいに道に迷うわけにもいかないしな……結果的に移動も場所も頼るべきは親しかないか……まぁ断られることは無いだろう、休みの日だし。
「問題があるとすれば帰りか……」
どのくらいの時間がかかるか分からない以上待っててもらうわけにもいかないし、やっぱり終わったら携帯で電話して迎えに来てもらうのが一番か。
「そうと決まったらまずは
平成25年4月26日23:42
「すっかり忘れてたな……」
ここは自室。
明日が休みなのを良いことに深夜3時くらいまでゲームをやると決めていた俺は、明日の準備のことをすっかり忘れていたことに今更気が付いた。
「別に出るのは夜だから準備は明日でもいいんだが……」
しかしこういう準備は前日にしておくべきだろう。こればかりは面倒だが忘れないためには仕方ない。
……ま、準備と言っても懐中電灯くらいだが、これも準備と言えば準備だ。
「電池も確認しないとな……念のために予備も持っていくか」
しっかりと点くかどうかの確認をスイッチのON・OFFでして、滅多にない外出時に多用するバックに間違いなく入れていく。
これで準備は万端だな。
「よし。ゲームだ」
俺はゲームの電源をONにして徹夜態勢に入る。
その後、俺はキッカリ3時までゲームをし、朝は休日なので8時に起こされた。
平成25年4月27日19:45
母さんのおかげで15分前に到着。俺はしっかりと礼と「いってきます」を言ってから他の部員と合流した。
「みんな来たかなー?」
「全員いると思います」
校庭内。前方には津出さんのゲームの明かりしか無いために何でできているのか、どのくらいボロいのかも分からないがとりあえず小学校(溜井が正しければ)はあるようだ。
……にしてもまた最後か。いゃ別に後ろめたく思う必要もないけどさ。
「それじゃー紹介とかもあるだろうけど、中に入ってからにする?」
「でも校舎内に入っちゃって大丈夫なのか?」
「玄関なら問題ないと思います。とりあえず大したのもいませんので」
そう答えたのは船井さんの横にいる男。部室での話的に恐らく「識」と言う奴だろう。
「なら玄関から入るぞ」
「玄関は開いているんですか? 目撃談があるようなのでどっかしらは開いていると思いますけど」
「夕方に開いているのを確認した」
「……」
「そうなんですか」
菅さんも頷いているということは、あの時出かけたのは下見だったようだな。
そして俺たちは校舎内に玄関から堂々と入った。
平成25年4月27日19:53
玄関。とりあえず建築材は木では無いようだ。
にしても――
「結構ボロいですね……落書きもありますし」
辺りを懐中電灯で照らしてみると、そんなことが分かった。それにゴミも落ちている。
「こういう所って漫画とかと違って不良とかの溜まり場になりがちだちだし、そのせいじゃないかな」
「玄関のガラスが割れてたのも、大方そのせいよねー」
「……不良とかいませんよね?」
貧弱な俺には存在しない幽霊よりそっちの方が怖いな……。
「今いるかは分からないけれど、落ちてるお菓子は最近のものもあるみたいね。少なくともここ数日の間にはいたと思うわ」
「よく分かるな。知りたくなかったが」
「お菓子の種類もだけれど、消費期限とか賞味期限、製造日である程度いつ売ってたかは分かるわよ」
「そうか」
言われればそうなんだが、日常生活では必要のないスキルだな。
「で、実際どうよ廉都? まあ、いても問題ないとは思うけど」
いや問題ありまくりです。
「夕方に居た奴らは玲音が駆除した」
「……」
「それなら安心ねー」
いやそれも問題があるような気がするんだが……いるよりマシか。
「ですが、誰でも入れるのなら今いる可能性もあるのではないでしょうか」
「玲音」
「……」
吹田さんの呼びかけに菅さんは首を横に振る。
「いないようだ」
「「……」」
……信じろと言うのか? それを。いくらなんでも無理だろ……いゃまてよ?
「菅さんは超能力者なんですか?」
超能力なら校舎内に人がいるかどうかわかるようなのもあるんじゃないだろうか。反超能力物質があるからサイコメトリーとかはできなくても過去視とかなら……。
「……」
しかしこれに菅さんは首を振る。
「それなら特異体質、でしょうか?」
「……」
菅さんは溜井の問いも首を振って否定した。
「それじゃあ一体……」
「気だ」
「……は?」
「気、とは……あの気功とかの『気』でしょうか?」
「あぁ」
「存在しているのですか……?」
「ある。玲音」
「……」
吹田さんは肯定し、視線を菅さんに向ける。
それを受けて菅さんは床を見回すと、その視線の先にあった何かを右手で拾い上げた。
「ストロー?」
「どう見てもストローね」
「……」
何を思ったのか分からないが菅さんはストローを振り上げ、正面の壁に向かって勢いよく振り下ろした。
すると――
「は?」
「え」
――ストローではありえない音と共に壁が深く削られた。
「「……」」
呆然とその壁を見つめる俺と溜井。
「気による強化だ」
「いやー久しぶりに見たけど、何時見てもゲームみたいな光景だよね」
「そうですね。それに気に付いてはよく知りませんが、そうとうなレベルだと思います」
「……エー」
ナニソレ。
「……でも超能力による強化ができない以上、今のは超能力以外のものによる強化の様なものが行われた証明に……そうなるとやっぱり『気』なのかしら……」
何か隣も口元に手をやってブツブツ言ってるし……いやでも確かに、ストローであろうと超能力を通さないのだから超能力での強化は無い。そうなると今のはやっぱり気、何だろうか……?
「えっと……気って何なのでしょうか?」
「エネルギーの様なものだ」
「それで校舎内に人がいるかどうか分かるのですか?」
「気で気配を探らせた」
「そうなのですか……そういう事もできるのですね」
……どうやら溜井は納得したようだ。
俺も認めるべきだろうか? これ以上考えても分からないし面倒だし。
「……ソウナンデスネー」
認めようか。気は存在する。特異体質も存在する。幽霊も霊感も存在する。もういっその事これから先何があろうと認めてしまおう。今日はいちいち悩むのがもう馬鹿らしくなってきた。
「本題に入る」
「あ、はい」
吹田さんの声に我に返る。
すっかり忘れてた。
「3組に分かれて行動、俺と千理乃、俊儀と玲音、一年と識。適当に周って22時半を目途にここ集合」
「りょうかーい」
「分かりました」
「はいよー」
「……」
「了解です」
「はい。分かりました」
「後、破魔矢だ。3つある。もしもの時の為に持っておけ」
バックから破魔矢? を2つ取り出し、吹田さんは菅さんと識に渡す。
その破魔矢の見た目は……何か……お札の様なものがビッシリと貼られていて先端が丸い。
……おかしいな、俺の破魔矢のイメージと違う。いやでも、そういうものもあるんだろう、キット。「もしもの時」が何なのかは考えたくもないが……。
「質問はあるか?」
「無いです」
「大丈夫です」
本当は面倒です。
俺と溜井が答えると、吹田さんは懐中電灯を取り出す。
「なら行くぞ」
「うん。行きましょー」
そして懐中電灯を点けて2人は正面の階段を上って行った。
「それじゃあ俺たちも行きましょうか。常たちは右と左どっちから行く?」
津出さんは左右の廊下を交互に指さす。
「あー……いえ、俺はどっちからでもいいです。溜井は?」
「私もどっちでも構わないわ。これだけ時間があればどっちから行っても全部周るでしょうし」
俺に尋ねられた溜井は同じようなことを答え、その溜井が識に視線を向けると、識は若干遠慮がちに口を開いた。
「それなら左からにしませんか? その方が都合がいいと思いますので」
「俺は問題ない」
「私も構わないわ」
「それじゃ俺たちは右から行くよ」
「……」
懐中電灯を取り出した津出さんと菅さんは右の廊下へと進んでいく。
そしてそれが見えなくなった頃、
「えっと、溜井さんと袖森さんですよね?」
識がこちらを向いた。
「そうよ」
「あぁ」
「始めまして、船井 識です。今日はよろしくお願いします」
礼儀正しくお辞儀をする。
「溜井 天衣よ。こちらこそよろしくね」
「袖森 常だ。よろしく」
こうしてようやく互いに自己紹介を済ますことができた。
「お二人のことは姉ちゃんから聞いています。探偵見習とゲーム好きの助手候補だと」
「……」
「……あ゛?」
ありえない言葉に思わず声に怒りを乗せてしまった……いやだがその人物像を認めるわけにはいかない。絶対に認めない。断じて認めない。探偵見習の助手候補とかなんだよ、痛いやつの仲間入りは勘弁してくれ。
……と言うかなんて説明しくれてんですか船井さんは。
「あ……えっと、すいません。姉ちゃん曰く役を当てはめると自然にそうなるそうです!」
「どういうこと?」
俺の怒りに気圧されてか後ずさりかけた識は早口でそんなことを言い、その説明に溜井は首を傾げて訊ねる。
「姉ちゃん曰く、探偵役が溜井さん。死体役が姉ちゃん。大道具小道具が吹田さんで、犯人役が津出さん。照明や効果音が菅さん。そうなると袖森さんは助手役だそうです」
「何なんだその設定は……」
ってか理由も無く消去法かよ……そこは第二容疑者でもよくないか? ってか津出さんが犯人役ってどうなんだろう。
「私はそれでも構わないわよ? 探偵に助手はつきものだもの」
「拒否する。間違っても助手じゃない、ゲーム好きは認めるが助手ではない」
「そう、残念ね」
とか言いつつ、笑いを堪えてるのが分かるのがイラッとするな。
……だが今はやる事があったはずだ。
そう思って俺は空気を変える意味でも咳払いをしてから、今やる事を告げる。
「とにかく! 助手ではないからな。それよりも俺たちも動いた方が良いんじゃないか?」
「それもそうね。ここで立ち話をしていたら今日来た意味がないもの」
「そうですね」
とりあえず二人とも了承したようだ。
「それなら行きましょう」
「はい」
「あぁ」
そして俺たちもようやく左の廊下へと歩きだした。
平成25年4月27日20:31
「何もないわね……」
「ないな」
ペンライトで辺りを照らしながら歩く溜井の言うとおり、所々荒らされているものの何もない。怪奇現象どころかお化け屋敷の様な人為的ギミックすらない。
ま、廃校舎を歩く機会なんてそうそうないし別に何もなくても良いけど。にしても、こっちは教室ばかりだな。
「そうですね……噂の怪奇現象に幽霊は関係ないと思います」
先ほどから明かりも付けずに歩いていた識が振り向いて立ち止まる。それに伴い俺たちも立ち止まった。
「『幽霊は』ってことは噂話自体は本当ってこと?」
「……というか幽霊の存在自体どうなんだ?」
面倒だから頭の中ではもう認めることにはしているが。
「幽霊自体は先ほどからその辺に居ます」
「え」
つい辺りを見回すがもちろん何も見えない。見えたら見えたで怖いものはあるが……。
「ただその殆どが人魂やオーブなので、ポルターガイストや憑依や五行を使えるようなのがいないんです。ですから噂の怪奇現象に幽霊は関係ないと思います。もちろん、偶々今いないだけの可能性もありますが」
「……ちなみに幽霊が存在するって言う証明は?」
「今言った通り弱い幽霊ばかりですので……そうなると霊感の無い人に証明するのは難しいです。波長が合えば霊感の無い人でも見えることはあるのですが……」
そこで言葉を区切った識は腕を前に突き出すようにあげて、
「ただ、霊感、と言うより霊力は証明することができます」
その腕から炎を発生させた。
「……」
「……」
「……」
発生させた。
「……」
「……」
「……」
発生させた?
「……それで?」
「? 霊力を五行のうちの火に変換したのですが……」
腕から炎が消えて、識はこちらを見る。
「ここから何かあるんじゃないのか?」
「え」
え、驚かれてもこっちの方が拍子抜けと言うか予想外だったんだが。
「炎を発生させるならパイロキネシスとかがあるわね」
「あ」
「だよな」
「え、あ、えーっとですね……あ、物を燃やすこともできます!」
慌てた識は閃いたとばかりにそう言うと、焦った様子でその辺に落ちていた紙ごみを拾って燃やした。
燃やし尽くし終えて、炭になった紙が識の手から崩れ落ちる。
「こ、これでどうですか?」
「……そうね、証明にはなったわね」
「まぁ……そうだな」
「ええっと……」
超能力の効かないものを燃やしたんだから何かしらの力の証明にはなるわけなんだが……驚きの欠片も無いのはきっとグダグダなせいだろう。
「……とりあえず、証明できたようで何よりです」
そうして俺たちは、何とも言えない空気の中再び歩き出した。
今回の話でようやく主要キャラが全員出ました。
話数は少なくても投稿期間を考えれば「ようやく」です。
……ホント申し訳ないです。
次回は15話を書き終えたら投稿します。
主要キャラが全員出たので、
次回からは後書きとかであまり必要の無い設定を少しずつ載せていきたいですね。