扉の向こうの   作:招代

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11月に入れば3連休が……。

この世界に関してですが、
人口の約1%が超能力者です。
特異体質も約1%。
第六感は10%程度。
魔眼は0.000001%です。

これらの特殊能力持ちを100%としたとき、
2つ持っている確率は1%です。
大体は第六感+超能力or特異体質ですね。

それでは眠気に耐えつつ後編を投稿。


第06話 廃校舎探索 後編

平成25年4月27日20:58

「さっき『五行のうちの火に変換』って言ってたけれど、他のもできるの? 確か五行って火・水・木・金・土があるのよね」

 歩きながらさっきのことを考えていたのか、溜井が歩きながら質問をする。

「そうですね。できることには出来ます。ですが適性が低いので大したことができないんです。それと僕自身の霊力も高い方ではありませんので」

「それなら霊力って言うのは?」

「霊力は魂、つまり霊魂からでている力のことです」

 魂から出る力……力を出し尽くしたら死んでしまうのだろうか? なんて言うのは霊感の無い俺には関係の無い話か。今は黙って質疑応答に耳でも傾けておこう。

 

「でも魂は誰にでもあるのよね?」

「はい。人だけじゃなくて動物とかにもあります」

「それなら私に霊感がないのは、魂から霊力が出ていないってこと?」

 識の返答に、いかにも何か考えているような仕草をしながら再び質問する溜井。

 ……ポーズは勝手だが目を瞑って歩くのは危ないと思うぞ。

「いえ、強弱はありますが、霊力の出ていない魂はないそうです」

「なら霊感の有る人と無い人の違いって何なの?」

「そうですねー……えーっと」

 識は頭の中で話す内容でも整理してるのか何やら唸っている。

 ……だから目を瞑るのは危ないって。

 

 暫く唸って。

「魂と言うのは殻の様なものに覆われているらしいです」

 また立ち止まった識が指を立てる。

「殻?」

「のようなものです」

 殻の様なもの……つまりは殻ではないということ。よく分からんがカタツムリの殻でも思い浮かべればいいのだろうか? あれって体の一部だしな。

「この殻のようなものは魂を周りの霊力などから護る役割をしています。また、魂や霊力が出ないようにするためのものでもあります」

 識が右手を心臓の位置に当てて言う。

 魂が出るって言うのは幽体離脱みたいなことを想像すればいいのだろうか。たしかに頻繁にポンポン出てたら不味いよな。

 

「ただ、この殻のようなものが完璧な人と言うのは凄く稀でして、大体の人はひび割れや少しの欠けがあるそうです」

「それって大丈夫なの?」

 確かにそうだ。と、言うかそんな大事なものが完璧じゃない人の方が多いとか駄目じゃないか。どうなってんだ一体……。

「ひび割れや少しの欠けでは殻のようなものの機能に問題はありません。ですが波長が合う幽霊などがいた場合は、その隙間から霊力が稀に漏れてその幽霊が見えることがあります」

「さっき言っていたのはそう言うことだったのね」

「はい。で、霊感のある人はこの欠けが大きい人のことを言います。欠けが大きいと霊力が漏れてしまうので、ずっと幽霊などが見える状態になります。あと霊力を引き出すことも可能になりますね」

「ずっと見えているの?」

「はい。ですので今も人魂とかの灯りのおかげで懐中電灯も必要ない感じです」

 言いながら虚空に手をかざしている。

 もしかしたらそこに人魂でもあるのかもしれないな。見えないから何とも言えないが……あるとしたら熱くないのだろうか? まぁ、どうでもいいけど。

 

「でもずっと見えてたら邪魔ではないの?」

「昔はそう思う時もありましたけど、今は特に思うことも無いですね。逆に見えなくなった方が違和感で集中できなくなるような気がします。それにオカルト系の話は好きなんで、霊感があってむしろ良かったと思ってますよ」

 識は笑いながらそう言ってるが、逆じゃないか? 「霊感があったからオカルトを好きになった」が正しいと思うんだが。今までが今になるわけだし。

「……」

 ま、他人の趣味とか事情なんてどうでもいいや。

 

 

平成25年4月27日21:03

「あ、ちょっといいですかね」

 向こう側にいる識がこちらに声をかけてくる。

 あれから再び歩き出した俺たちは現在、理科室に居た。

 

「どうしたの?」

「こっちの部屋に行きたいのでついて来て欲しいのですが」

 俺たちは識の方に集まり、溜井が尋ねると識は小声でそう言って後ろを指さす。

「それは構わないけれど、そっちは理科準備室よね」

 どうやら倒れた棚の向こうに扉があるようだ。

 そこは部屋名は無いが、まあ理科室から通じる部屋なんて理解準備室くらいしかないだろう。

「はい。こっちの部屋に噂の原因がいると思うので」

「……そっちにか?」

「はい」

 断言された。

 確かに理科室や準備室と言えば人体模型や骨格標本、ホルマリン漬けなどそう言った噂の代表的な場所ではある。火の無いところに煙は立たないというし、実際にもそうなのだろうか?

 

「それなら行きましょう」

 と、棚が壊れないかを足で確認してから、躊躇いなくドアを開けて中に入っていく。

 俺と識もそれに続いて中へと入っていった。

 

 

平成25年4月27日21:07

 中に入るとホルマリン漬けと骨格標本は無かった。人体模型ならあったが。

「理科準備室って入る機会がなかったけれど、こんな風になってたのね」

「用が無いしな」

 辺りを照らすと棚はいくつか空き瓶があるだけで空っぽのようだ。流石に薬品とかは残ってないか……。

 

「それで……噂の正体って?」

「それは――」

 その時、背後で物音がした。

「ん?」

「今、何か音がしなかった?」

 音がしたような、いゃ音のした方へ懐中電灯向けると……

 

「……」

「特に変わった様子はないわね」

「無いな」

 特に変わった様子はなかった。人も人の隠れられる場所も無い。人体模型ならあるけど。

「気のせい……ではないはずだけれど」

「……」

 溜井が音の正体を探そうとペンライトで照らすが、ネズミもGも見当たらない。

 ……いたらいたで嫌だが。

「人体模型の中に人が入ってたりな」

「……!」

「それは無いでしょ」

 即座に呆れ声で否定された。

「言ってみただけだ」

「そう」

「……」

「ですが『人体模型』ってのは良い線いっています」

 人差し指を立ててこちらを向く。

「そうなのか?」

「何となく先の展開が読めたわね」

「……」

 つまり噂の正体は人体模型なのだろうか? ……何か嫌な予感しかしないな。

 

 そう考えている間にも識は人体模型へと近づくと、それに向かって手をかざした。すると、

「えい」

「――ゴッ」

 識の軽い声の後に突然、人体模型が何かの衝撃を受けたかのように振動し、苦痛を伴った声が聞こえた。

「「……」」

 聞こえた……どこから? というかよく見ると人体模型の姿勢が変わっているどころか、痙攣しているように見える。

 

「いつまで黙っているつもりなのですか? もう正体はバレているんです」

 表情は見えないが、やけに平坦な声でもう一度人体模型に手をかざす。

「ヒッ……! た、退魔師!?」

 人体模型が壁を背にして後ずさる。

 退魔師って……またえらくファンタジーな単語だな。

「そうです。と言っても、今回は怪奇現象の噂を調査しに来ただけです……が、あなた達が意味もなく人などに害をなす、と言うのであればここで祓わなくてはいけません」

 後ずさる人体模型を追うように、手をかざしたまま歩いて近づく識。

「あ、ちなみにそっちのドアはお札で結界張っていますので、あなたでは出られませんよ?」

 その言葉に、人体模型がビクッとなった。

 どうやら図星で、逃げる気だったらしい。

 

「で、そろそろ理由を聞かせてくれませんか? このままだと祓わないといけないのですが……もしかして、本当に祓われるようなことをしたんですか?」

「ち、ちちちちちち違います違います! 確かに今までも面白半分でちょーっと物音をたててみたり、水みたいなものをを垂らしてみたりとかはしましたけど! その程度です、はい!!」

 両手を前に出した状態で手を振って、慌てて弁明する人体模型。

 よく動く人体模型だなー……さっきはあんなに動かなかったのに。

「でしたら最近になってでてる噂はどういうことです?」

「それには深ーい訳がありましてっ! 決してやましいことなど何もありませんです!」

「その『訳』とは?」

 

「ええっとそのー……み、見ればわかると思うのですが! ここは不良のたまり場の様になってましてですね、我々としては人間が来てもまっ――たく構わないのです。が、あまり荒しては欲しくないのです」

 理由を聞かれた人体模型が正座をして話し始めた。

「ですがここは廃校ですし、我々の住みかと言っても所詮は勝手に居ついている身。なのである程度の事には目を瞑ろうと今までは過ごしてきました。ですがそれも最近は目に余るものになってきまして……」

 肩を落とし俯く。

「確かに、かなり荒れていましたね」

「はい。ですのでお灸をすえる意味でも今までより派手ーに脅かしたりすれば被害も今よりはおさまるだろうと言うことになったのです。ですの決――して! 人間たちに危害を加えようとして加えていたのではないのですよ! 我々だってここが取り壊されるというのであれば素直に出ていく所存なのです。ですがここがある限りは穏やかに、たまーに訪れた人間にちょっかいを出しつつ暮らしていきたいのです」

 言い終えて頭を下げる人体模型。

 何とも変な光景ダナー。

「……そうですか。事情は分かりました」

 手をかざすのをやめ、息を吐く。

 

「今回の事に関しては人間側に非がありますし、祓うことはしません」

「ホントですかっ!」

 嬉しそうに顔を上げる人体模型。識の声もちょっと前までと同じになっていた。

「はい。ですがあまりやりすぎてしまうと他の祓い屋が来る可能性もあります。中には話の通じない、問答無用で消しに来る奴らもいますから、くれぐれもやりすぎないようにしてください」

「はい、肝に銘じておきます!」

「あ、あとですね。夕方にいた不良は僕の知り合いが駆除したそうですので、暫くは大丈夫なのではないかと思います」

「そ、そうなんですか?」

「はい。ですので他の方々にもそう伝えておいてください」

「ありがとうございます! 他の奴らにも必ず、伝えておきますので!」

 

「と、いうのが今回の怪奇現象の真実だったみたいです」

「「……」」

 話を終えた識がこちらを振り向く。

 まぁ、話は分かったし不良どもに原因があるのも分かった。ただ、とりあえずは……

 

 

「「人体模型が喋ったぁ!?」」

 

 

「ええっ!」

「今更ですか!?」

 驚きの様子で識と人体模型に見られる。

 いやしかしまさかこんな。

「だって……展開は読めていたけれど本当に喋ったわよ!?」

「ってか動いてるし! キモッ」

「予想通りすぎて予想外よ!」

「え……こちらの方々は事情を知らない人たちだったんです?」

「はい。ただ許可は貰ってるので問題はありません」

 取り乱す俺たちをよそに何やら話している様子。

 

 

「と言うよりも……もしかして本当に予想通りに、まさか……妖怪?」

 数秒して、俺よりも落ち着きをやや取り戻した溜井が確認を取る。

「はい。妖怪ですね。妖でもいいと思います」

 妖魔とかでもいいんだろうか。

「そう。でも妖怪は霊感が無くても見えるの?」

「この妖怪(ひと)は元が人体模型なので実体があるのです。ただ、中には実態があっても消えることができるのもいますし、実体がないのもいます。そういったのは霊感とかがないと見えません」

 「元が人体模型」っていうのは、つまり元々はただの人体模型だったということか? 付喪神とかそんな感じなんだろうか。

 

「それで、妖怪って何なの?」

 なんともまぁ根本的な疑問だな。

「妖魂と言う、霊力では無く妖力を発する魂を持った者達と考えて下さればいいと思います」

「妖力と霊力は違うの?」

「妖力は五行に変換できませんが、そのかわり妖怪(ひと)によってできることが様々です」

「超能力みたいな感じで考えればいいのか?」

「そうですね。その方が近いと思います」

「それならそこの人体模型は例えばどういうことができるの?」

 溜井が人体模型を指さす。

 

「あ、(わたくし)ですか? 私はですねぇー……なんと! どんな種類の、どんな血液型の人間の血でも出すことができるんです。もちろん新鮮清潔ですし、静脈と動脈の血液の区別も可能なんですよ」

「え……なにそれ」

「何かショボイな」

 人体模型は誇らしそうに言うが、正直期待外れだ。なんだその妖力(ちから)

「えー。確かに派手さはありませんけど、輸血とかの時にすごく便利ですよ」

「いや、する機会があるのか?」

「あんまりありませんけど、輸血用の血液はそこっそこの値段で売れるんですよ? 何か輸血用の血液が不足しているとか何とかで」

「あ、そう」

 よく分からんけど妖怪もお金が必要なのだろう。何処で使うのか知らんが。

 

「他に質問が無ければ他の場所に行きません?」

「そうね。他の所にもこういうのがいるの?」

「そうですね。いると思いますよ」

「あ、いますよ。もちろん! 私同様に危害を加えるようなことはしません」

「そう」

 えばるところではない。と言うよりも他にもいるのか……まぁ、これを見た後なら問題ないか。

 

 

平成25年4月27日21:28

 そして俺たちは理科準備室から廊下に出た。

「それじゃ行きましょう……あ、札はとっておくので安心してください」

「わっかりましたー」

 識が扉の両横の壁にいつの間にか貼っていたらしい札? を剥がし、後ろでは人体模型が手を振って俺たちを見送っていた。

 何とも……まぁ、言えない光景だな。

 

 

平成25年4月27日22:30

 その後俺たちは、肖像画とか石膏像とか傘とかその他元がよく分からん妖怪とかと合いまくり、その度に「人体模型から話を聞いて下さい」と識は説明をしていた。

 にしても、この短時間での人外との多数の邂逅により俺は食傷気味だ……。

 

 

 そして現在。時間になりそうだったので玄関へと集まると、既に他の人たちは集まり終えていた。

 俺たちが最後か……俺がいると最後になるジンクスでもあるのだろうか。無いだろうけど。

「あ、どうだったー?」

「色々と発見があったのは嬉しいのですが……少し疲れましたね」

「同じく疲れました。精神的に」

「まぁゲームで慣れているとはいえ最初はそんな感じだよね、やっぱり」

 ゲームで慣れてるの前提は俺しか当てはまらないんじゃないかと思うんだが。

 

「全員集まったなら帰るぞ」

 周りを見回した吹田さんが端的に言う。

「そーね。溜井さんと袖森君は帰りは大丈夫?」

「私は自転車で来たので大丈夫です」

「俺は迎えを呼んであるんで」

 行きでかかった時間を考慮して電話をしたからそろそろ着くはずだ。

「それならこれで解散にしましょう。溜井さん達はゆっくり休んでねー」

「はい。お疲れ様でした」

「お疲れ様でしたー」 

 そう言って先輩方と別れ、家の車の止まっている場所へと向かう。

 これでようやく休めるな……。

 

 

 

 そうして、俺は走行する車内の中で今日の出来事の整理を試みるもめんど臭くなり、とにかく休みたい一心で一先ずの眠りにつくのであった。

 ……ほんと疲れた。

 

 

 

第06話 廃校舎探索 完。

 




前回の後書きで書いた通りにどうでもいい情報を載せます。
暫くはアンケートにあった内容に沿いたいと思います。
今回は特技(自己申告)です。

吹田……開発、製造。
船井……特殊メイク、死んだふり、血糊制作。
津出……ゲーム。
菅……動くこと。モールス信号、手旗、手話、法螺貝。
溜井……ピッキング、モンタージュ、忍び足。バランスを取ること。
室井……バスケ。
識……習字。
主人公のはアンケート回で書いたのでソレです。

それでは次回は16話を書き終えたら。
内容どうしようかな……。
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