扉の向こうの   作:招代

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15話と16話を一緒にしてしまおうかと悩んでたら1日の自由時間が終わりました。
結果的にそのままにすることになりましたが……。

それはさておき非現実の無い日常を書いていると、
「あれだけタグにあるのこれでいいのか……?」
と思うことがしばしばあります。
まぁ一応「日常と非日常の話」だからと納得させていますが……。

それに部に非現実的な依頼がバンバン入ってきたら、
それはそれでおかしいような気もします。
主人公が積極的に関わろうとするわけでもないですしね……。

そういうわけで今回は日常回。
では投稿します。


第07話 諦めは大事

平成25年5月11日12:20

 休日は良いものだ。学校もないし、用事がなければ家どころか部屋から出る必要がない。一日中ゲームをすることだってできるし、寝ることだってできる。その上、親は二人とも遠くに買い物に出かけたし、姫依も友達のとこに遊びに行っていていない。

「……最高だな」

 これで少なくとも夕方くらいまでは自由気ままに過ごせるはずだ。こんな素晴らしい日にバイトするとか考えられんな。

 

 俺は今しがたキリが良くなってセーブした家庭用ゲームの電源を切り、そのまま後ろに倒れ込みベットに寝転がる。

「あー……」

 

 

 しばらく目を閉じてゴロゴロし続け、

「……さて、と」

 再び起き上がってさっきのとは別の家庭用ゲームを起動。タイトル画面から「Load」を選び、「Data1」を選択。

「?」 

 しようと思ったところで、枕元の充電しっぱなしの携帯が着信を告げているのに気付く。

 

「……面倒だな」

 とは言え出ないわけにもいかない。

 仕方がないので柔軟な体を生かして、その場から動くことなく携帯に手を伸ばして難なく掴む。

 大方の予想はついているものの、一応着信相手を確認すると予想通りムロだった。

 

 ……テスト期間は部活動は休みだし、何となくこうなるとは思っていたけどさ。

「はぁ……」

 思わず溜息が出るが、仕方なく電話に出ることにする。

 

『あ、モリツネか? きょ――』

「メンドウ」

 通話終了。

 

 どうせ用件はいつも通りだろうし、違ければまた鳴らすだろ。

 とりあえず今やろうとしたゲームを止めて、寝転がることにする。

 

 

 

 待つこと、少し。

 下でインターホンが鳴ったかと思うと、それに意味があったのかと思うくらいすぐに玄関扉が開き、階段を上がってくる音が聞こえる。

 

 そして足音はこの部屋の前で止まり、扉が開いた。

「よー」

「ようやくか」

「いやー、菓子探してたらちょっと遅くなっちまってさ」

「そうか」

 いつも通りの電話対応で、いつも通り家に来たムロが菓子袋をテーブルに置いてその辺に座る。

 

「で、なにするよ」

「ゲームしかないだろ」

 元より「外で遊ぶ」なんて選択肢があるわけがない。問題は何のゲームをするかだが、頭使うのはムロの頭的に厳しいしな……無難に乱闘ゲーからでいいか。これなら頭は使わないし、無駄に反射神経の良いこいつなら一方的にもならないしな。

「とりあえずこれでいいだろ」

「おう」

 ディスクを入れ物から取り出しゲーム機に挿入。コントローラーは一世代前のものを使用する。

 コレのは使い辛いんだよなぁ……。

 

 

 

「そいえばテスト明けから体育祭の練習が始まるらしいぜ」

「面倒くさいことに来月だからな」

 あれから戦い続け、画面上ではルールを変えながらの計40戦目が始まっていた。

「まぁまぁ、その日は授業無くなるんだし」

「その日に授業が無くても、それまでの日に練習時間が発生するだろ。自由時間が減る」

 話しながらも、互いに目は画面から離さず指も動かし続ける。

「まー確かに。そのぶん部活の時間も減っちまうしな」

「まったくだ」

 結果的にゲーム時間が減るからな。

「とは言え、体育祭が終わるまでの辛抱か……実際、練習自体は必要だしな」

 応援合戦は必要ない気もするが。

「俺たちは一年で初体育祭なわけだし、特に必要だよな。分からないことだらけだしさ」

「まぁな。と言っても俺は競技は一つしか出ないし、そこまで必要ないけどな」

 しかも団体競技の玉送り? とかいうやつだ。初めてだからよく分からんが、真っ直ぐに並んで玉を前後ろに送るらしい。

 とにかくよく分からんが、走ったり跳んだり回ったり投げたり引っ張ったりしなくていいらしいし、中学3年の時の棒倒しの様なものでもないはずだ。

 ……あれは酷かった。もう一生やりたくないな。

 

「そういえばそうだっけ? ……あれ、俺は何競技出るんだったけか?」

「3競技だろ。自分の出るやつくらい覚えとけ」

 ムロの操作キャラの動きが一瞬停止した隙にスマッシュを決めて吹き飛ばす。

 だがギリギリ撃墜(おと)せなかったようだ……まぁ復帰させないし、メテオ決めるから関係ないけど。

「あーそうそう! そういえばそうだった。確か障害物とリレーとー……玉転がし、だったよな?」

 撃墜(おと)されて復活するまで少し間があるため、こっちを向いて確認してくるムロ。

「あぁ」

 それに対して適当に肯定してやる。

 ま、本当は玉送りだが訂正してやる必要はないか。勝手に転がしてろ。

 

 

 

 それから、さらに戦い続けること60戦目くらいに突入。

「体育祭は別にどうでもいいが、来週のテストは大丈夫なのか?」

「んー大丈夫大丈夫」

 こいつ……全く動じないな。中学で中間テストの度に基本全教赤点とっては期末で「勉強教えてくれ」と頼み込んでくるくせに……それでも何教科かは赤点とるのにな。その根拠のない自信は何処から来るのだろうか?

 というか、毎回毎回勉強教えるのも正直面倒なんだが。

「知っていると思うが高校は留年があるからな」

 たしか最終的に赤点5つ以上で補習で、その後の再テストで赤点を返照できるんじゃなかっただろうか? で、それでも赤点が4つ以上あると留年だったか……うろ覚えだが、どちらにせよ補習で部活時間減って困るのはこいつなんだけどな。

「なんとかなるって。まだ一学期の中間だぜ?」

「……」

 中学一年一学期中間テストで全教科赤点だったのはどこのどいつだと思ってんだ。しかも英語に至っては一桁。筋量や体力と引き換えに記憶でも引き渡して忘れたんだろうか。

 

「……ま、奇跡を信じるしかないか」

 一応全部埋めはするから、稀に赤点じゃないのがあるんだよな。特に選択問題なら。

「奇跡は信じるものじゃなくて起こしにいくものだぜ?」

「……」

 なら起こしに行っていない以上、無理と言うことか。これで勉強を教えることは決定事項だな……

「……はぁ」

「? 溜息なんてついてどうした」

「……いゃ、決定した未来に対する諦めだ。気にするな」

「そうか?」

「あぁ」

 

 せめて、せめて授業をちゃんと聞くか、ノートを取るか、提出物を出すかのどれかでもしていれば赤点回避の確率は多少上がると思うんだが……無理な相談だよなぁ。

 さらに言うならそれらを全て小学校のころからしっかりとやって、テスト直前にノートやワークを見直せば自主学習なんかしなくも70点平均はとれるというのに……いゃ、70点とまでは行かなくても赤点は確実に回避できただろう。今さらだけどさ。

「頻繁に思うんだがお前、よく高校に進学できたよな」

「あーよく言われた気がする」

「そういえばそうだったな」

 推薦とは言え、あの酷い成績でよく入れたものだ……面接官たちは成績が目に入らなかったのだろうか? それともバスケ部部長と言う肩書が成績の悪さを帳消しにしたとでもいうのか……同じ推薦で入った身としては不思議で仕方がない。

 まぁ、偏差値の高い高校ではないけどさ。

 

「何はともあれ、入れたんだから気にしないでおこうぜ。終わり良ければ何とやら、だろ?」

「……そうだな」

 むしろ高校からが始まりだろ、とか、いきなり終わりそうなんだが、とか色々と思う所はあるが……言っても無駄か。

「……そろそろ別のゲームにするか」

「だなー、何する?」

 本来なら、こいつが留年したとしても俺には何の問題も無いはずなんだよな……ただ幼馴染の上に家が隣同士で親同士も仲が良いせいで、俺にも飛び火が来るわけで。ムロが留年どころか補習でも受けようものなら面倒なことになるんだよなぁ……。

 ホントにもう……どうしてこうなった……

 

「……ふぅ」

「ん?」

「いや……」

 考えても無駄か。なら無駄なことは考えず今はゲームに集中しよう。

「菓子もあるし、食べながらできるゲームのがいいか」

「おう」

 棚を漁り、いわゆるパティーゲームを取りだす。

 これなら自分の番が来るまでの間に菓子も食えるし、頭も使わない。

「お前は菓子開けとけ。後、食べたら手はしっかり拭けよ」

 ゲーム取り出しついでに、近くにあった宅配ピザについてきた紙の手拭きを放り投げる。

「りょーかい」

 それを受け取ったムロは言われたとおりに菓子袋を開けた。

 

 

 そして諸々の準備を終えた俺たちは、ムロが帰るまでの間パーティーゲームに興じるのであった。

 

 しっかしこのシリーズもそこそこ長いよな。

 

 

平成25年5月14日12:30

 テスト一日目終了。出来はまぁまぁか……さて。

「……」

 斜め左後ろを見るとムロは寝ていた。

 

 とりあえず放っておくわけにもいかないのでわざわざムロの席まで向かい、

「起きろ」

「ブッ――」

 脳天に鞄を自由落下させてやる。

 基本置き勉だし中身は筆箱くらいだから、そこまでの殺傷能力は無いはずだ。

「――いってえぇぇ……」

「帰るぞ」

「お、おう」

 それでも痛そうに頭をさすりながら席から立つムロ。を、連れて教室を出てそのまま帰ることにする。

 相変わらずテストの日は早く帰れるから良いよな。それまでの宿題が面倒なことを覗けば。

 

 

 そして帰ってまたムロと、家でゲームをするのだった。

 

 

平成25年5月15日12:30

 テスト2日目終了。

 出来はまぁまぁ……そしてムロを鞄で叩き起こし、帰路につく。

 

 

 そして俺たちは家で、またゲーム三昧で過ごした。

 

 

平成25年5月16日12:13

 今までと同じような出来で最終日が終了し、そしてムロを鞄で殴り起こした俺はムロと帰り道を歩いている。

 

「よーやっく、終わったなぁー!」

「あぁ」

 二つの意味でな。

「モリツネはどうだった?」

 他人を気にする前に自分の点数を気にしろよ。

「そこそこだな。まだ最初だしこんなもんだろ。お前は?」

 まぁ聞かなくても想像つくけど。

「俺か? 俺はとりあえず全部埋めたぜ」

「……そうか」

 ビシッとキメている所悪いが、それは誇れることでもなければ自信を持って言うことでもないぞ。ましてや、その「やりきったぜ」って表情は何なんだ。

 開き直っている様子ではないし……こいつの謎メンタルはなんなんだろうか。

 

「でもこれでやっと部活ができるな」

「別にテスト期間も自主練はしてたんだろ?」

 家の外からボールをつく音が聞こえてたりしてたし。と言うか、部活の無い日はいつもの自主練と違い、ボールを使っての自主練をするのは昔っからだからな。

「まーな。でもやっぱり思いっきり動きたいぜ。家の庭じゃ狭いし、やっぱりバスケするならバッシュじゃないとな」

「そりゃそうか」

 バッシュを履いたことがないから普通の靴との違いなんて見た目くらいしか分からないが、まぁ滑り具合とかが違うんだろう。

 

 

 そんな感じで話ながら俺たちは家に帰って、また一緒にゲームをするのであった。

 

 

平成25年5月24日14:38

 一週間後の金曜日の6限、この教科で全テストの返却が終了した。

 

 出来としては……まぁ、良い方だろう。詳しく計算はしてないが大よそ80点前後のはず。クラスの平均点が中学より低いような気がしたのは気になるが……クラス平均と比べても仕方ないしな。

 そもそも偏差値の高い高校ではないわけだし、もしかしたらムロ程とは言わないが、似たような頭の奴らが案外いるのかもしれない。

 で、その当の本人はと言うと……

 

「……」

 

 机に突っ伏していた。

 寝ているのかとも考えたが、時々痙攣したかのようにピクピクしてるから恐らくショックを受けているのだろう。

 なにせ先生から赤点のテストを貰うたびに唖然としてたからなぁ……貰うたびにリアクションも大きくなってたし。

 ただ、奇跡的に唯一赤点回避した現文のテストを返却された時はガッツポーズまでしていた。その次の時間のテスト返却でまた沈んでたが……なんとも単純で分かりやすい奴だ。

 

 

 まぁそんなことはどうでもよくて、だな……まあ確かに今回の結果が分かり切っていたとはいえ、これで期末に勉強を見ないといけなくなったわけであってだな……つまり「またか……」というか諦めているとは言え何というか兎にも角にも、もう……

「はぁ……」

 溜息が出ちまうよ……。

 

 

 

第07話 諦めは大事 完。

 




秋なのに春のような眠さだ……。

では今回はそれぞれの好物3つ。

吹田……アセロラ・干し芋・ガム。
船井……肉・ザクロ・トマト。
津出……骨付き肉・ドライフルーツ・ガム(ハイパーハードハーブ)。
菅……カニ・レバー・レモン。
溜井……あんぱん・エネルギーメイト・キャラメル。
室井……肉・野菜・魚。
識……えのき・ブルーベリー・焼いた玉ねぎ。

では次回も日常回。
投稿は17話を書き終えてからになります。
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