扉の向こうの   作:招代

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めっきり寒くなって朝起きるのがつらいです。
でもあと数週間後にはクリスマスや正月……そう思えばやっていける気がします。
……年が終わっても寒いのは続くんですけどね。

それはさておいて、
前回書いた通り今回も通常回。
長文がありますが読まなくていいです……中身の無いものなので。

そんなこんなで8話です。


第08話 体育祭日和

平成25年6月1日9:04

「いやー最っ高の天気だな! まさしく体育祭日和って感じだな?」

 無駄にテンションの高いムロがこちらに同意を求める。

「あぁ……」

 そう。今日は体育祭。

「……ホンットに……」

 見上げる空は雲一つなく、からりと快晴。

「……最悪の天気だな……」

 これは暑さに弱い俺への虐めだろうか。

 

「……帰りたい」

 と言うか籠りたい。贅沢言えば涼しい部屋にこもりたい。

「帰るなよっ!? じゃなくて、最高の天気だろ?」

「ぁー……最高に最悪の天気だな」

 デフォルトで俯きたくなるような最高に最悪の天気だ。

「どっちだよそれ」

「はぁ……あっつい……うっさい……だるい……めんどい」

「いやまぁ毎年のことだけどさ、今年は特に酷くないか? なんかよく分からんけど」

「そりゃーコレだけ天気が良ければな……クソ暑いし。異常気象かよ。だいたい何で体育祭に限って晴れんだよ。別に雨降って中止にしろとまでは言わないけど、そこは空気読んで曇りにしやがれよ……応援席に日陰もないし日差しで椅子も熱いしよ。第一体育祭ならスポーツの秋とか涼しくなった頃にやりやがれよ。実際そう言う所もあるじゃないか。よりにもよって何で中止の可能性の高い梅雨にやるんだよ。だいたい夏に外で体育祭なんてやったら水分不足で熱中症患者とかが出る可能性が高まるだけじゃねぇか……保健委員の面倒事増やすなよ。自己管理くらい高校生ならしっかりしろってんだ……やせ我慢で俺たちに迷惑かけんなっての。あと、客だって炎天下で観戦よりも秋空の下で観戦の方が良いだろうに。熱せられたグランドにブルーシートひいて座ることになるんだぞ。もしくは炎天下で立ち続けるんだぞ? ある意味俺たちよりも酷じゃないか。お弁当だっていたみやすくなるだろ。だからこんな時期やるメリットなんてないんだって。夏に熱戦繰り広げとどうするんだよ。「暑さ+熱さ」とかむさ苦しいんだよ。そこは秋に開催して「涼しさ+熱さ」でプラマイゼロで丁度良くなった方が良いに決まってるじゃないか……あーもうホントに無駄に暑い。雨天中止に加えて、晴天中止とかにしろよ。そりゃモンスターペアレントみたいに過保護なシュプレヒコールをするつもりなんてないし、そもそも本当にそうなれとかは思わないけどさ……なにも快晴にならなくたっていいじゃないか。ここまで気温が高い日にやらなくてもいいじゃないか。もともとないやる気がダダ下がりで底辺貫いて二番底に到達しそうだよ。全員が全員ムロみたいにノーテンキな運動野郎じゃないんだよ。そもそも出不精のインドアにとって体育祭なんて面白味もないし楽しくないし迷惑極まりない行事だ。何が悲しくてやりたくもない運動して、したくも無い応援をせねばいかんのだ。世の中には適材適所と言うものがあってだな、体育祭は「体育」の「祭」なんだから適材は体育会系に決まってるだろ。俺みたいなやつらが体育を祭る理由がそもそもないっての。あぁそうだ、体育祭が体育を祭るなら体育の日に体育会系共がやればいい。それこそ適材適所というものだ。あぁホントにそんな世の中にならないかな……あれ、体育の日っていつだっけ? まぁどうでもいいや……あー……なんでもいいから急に曇らないかな。雨降らせる妖怪とかいないのかよ。雨女でもいいや。テルテル坊主逆さに吊るそうか。だれか雨乞いでもやれよ。あめっあめっふれっふれ……あはははは……」

 

「……本当に大丈夫か?」

「……」

 あつさにやられて思わず愚痴が口からこぼれていたらしい。

「……大丈夫だ。正直面倒ではあるが、サボるわけにもいかないしやる事くらいキチンとやる」

 何だかんだ言ってもムロみたいに楽しんでいる人もいるわけで、それにわざわざ自分勝手な言動で水を差すというのは良くないな。無意味な愚痴を愚痴愚痴いって心配かけるなんて言語道断。やる気がないとは言えしっかりしないとな。

 まあ愚痴に関してはうっかり漏れてしまっただけなんだが。

「そうか? まーあんまり無理すんなよ?」

「大丈夫だ。お前こそ気を付けろよ。馬鹿は風邪ひかないが熱中症にはなるんだからな」

「だーいじょうぶだって。これでも運動部だぜ? その辺は任せとけって」

「そうか」

 ムロは自信満々にグッドポーズ。

 まぁ確かにバスケ部だし、そっち方面なら大丈夫か。なにせ運動馬鹿だしな。それだけが取り柄なのだから自ら壊すようなマネはしないだろう。

 

 

 それから応援席で応援したりムロがリレーで活躍したりで時間が過ぎていき、次が三年の競技と言うことは俺の番か。

「時間だし保健委員の仕事に行ってくる」

「おう」

 ムロに声をかけ、俺はその場を離れ救護テントへ向かうことにする。

 これで日陰に移動できる。移動は面倒だが……それは仕方がないか。

 

 

平成25年6月1日10:57

「あ、袖森君。こっちこっちー」

 と、テントに近づいたところで船井さんに手招きされたので、付近の空いているパイプ椅子に座ることにする。

 偶然にもこの人も保健委員会なんだよなー……その上、当番時間まで被るとは。まぁ知り合いの方が気楽でいいけど。

 

「今は特にやることは無いんですか?」

「残念だけど怪我人は滅多に来ないから、基本的に座ってるだけねー……はー」

 船井さんは目の前のテーブルに肘をついて足をブラブラしている。

「そうですか」

 ……何かこの人、本当に残念そうなんだが。それはどうなんだ?

 個人的には怪我人は来ないに越したことは無いんだけど……メンド臭いという意味も込めて。

 

 

 そして特に会話も無く数分後、3年の競技が始まったようだ。

「菅さんのクラスはまだみたいねー」

「そうなんですか」

 競技は騎馬戦か……中学の時もあったが良い思い出は無い。棒倒しの次にやりたくない競技だ。

 3年になったら何としても避けたいな……どうすればいいか……。

 

 

「……ん?」

 どうやら考えにふけっている間に一試合目が終わったようだ。

「菅さんはー……次みたいね」

「どっちですか?」

「右クラスの大将よー、長ーい鉢巻の」

 言われて右を見ると、確かに長い鉢巻を巻いた菅さんの姿があった。

 でも大将が長い鉢巻って言うのはありがちだけど、取られ易くなって駄目じゃないだろうか? むしろ短くするべきだと思うんだが……長い方が見栄えは良いけどさ。

 

 で、競技が始まったわけだ……が、

「やっぱりこーなるわよねー」

「……まぁ」

 何となく予想はついてたけど……アレは勝ち目が無さ過ぎて相手が可哀想になってくるな。

 さっきのリレーは菅さんの団が元々一位だったから凄さはそこまで伝わらなかったが、コレを見るとやっぱり菅さんの身体能力のおかしさを再確認できる。もしかして「ストローで壁破壊」の件と同様に気を使っているんだろうか……? 確認してみよう。

「……あれって『気』を使ってるんですか?」

 あまり大声で言ってはいけない内容だと判断し、俺は小声で船井さんに尋ねる。

「んー……『気』を使ってるかどうかは分かららないけど、普段から重りをつけてるって言ってたわねー」

「重り……?」

 アレで重りを付けてるのか……いや、そもそも着けているように見えないけど。

 

「確か『ありがちだが上手くやれば効果的』って珍しく口数多く説明してたわね」

「口数多く……?」

「そうねー」

 その言葉数で?

 と言うか無口だとは思ってたけど、よく思い返してみるとあの人の声を全く聞いたことがない。溜息とかそう言うのでさえも。

「……そもそも菅さんって喋るんですか?」

「普段は無口だけど質問とかすれば返してくれるよ? 少しだけどねー」

「そうなんですか」

 喋るのか……別に喋らないと思っていたわけでもないけど。

 

 でもそれなら今度何か質問してみるか……でも質問することもないし、変に気まずい空気になりそうでヤダな。声を聞くためだけにそこまでする必要はない。

 ま、そのうち何かそういう機会が来るだろう。

 

 そんなことを考えている間にも、勝敗がついたようだ。結果は……まあ最初から分かりきっていたというか、もう決定事項だよなぁ……だから、アレに勝つにはもう下の騎馬が自滅してくれるしかないんじゃないだろうか。下の騎馬は普通の人だろうし……普通の人、だよな?

「……うん」

 考えても仕方がないな。やめよう。疑い出したら限がない。

 

 

 で、騎馬戦が全試合終わったわけだが……誰も勝てなかったな。菅さんに。あれはどうしようもない。仕方がないと思う。

 

 まぁでも今はそんな事よりも、誰も怪我人が出なかったことが非常に嬉しい。面倒な治療の類をせずに済んだからな。次の競技も怪我をするようなものではないだろうし、何もせずに終わりそうだ。良かった良かった。

 ただ、船井さんは少し残念そうにしていた。そんなに治療がしたかったのか、あるいは別の理由か……俺には分からないけど、どうでもいいので気にしないことにした。

 

 

平成25年6月1日13:55

 保健委員の仕事を何もせずに終えた後、すぐ昼食休憩になり弁当を食べた俺は、休憩後の玉送りを終えてムロと共に応援席に戻ってきた。

 

 玉送りは人が密着しすぎてそこが不快だが……面倒度を考えれば一番楽な競技だろう。何せほとんど立っているだけだからな。

「これで後は見てるだけか」

 よし。まったりしてよう。

「いやこれからまだ応援合戦あるって」

「……分かってる」

 ムロにつっこまれてしまった。

 事実、もう一競技終わった後に応援合戦が真に残念ながら存在する。

 これさえなればもう終わりだったのに……応援合戦も必要人数決めて出たい人だけ出ればいいじゃないか。何も全員参加にしなくてもさ……ちゃんと練習通りにするけども。

「はぁ……」

 

 

 そうして俺にとってとっても面倒な応援合戦をやりきって、後は基本的に観戦しているだけで高校生活初めての体育祭が終わった。

 楽しかったかどうかと聞かれれば、面倒なことこの上なかった。これなら授業の方がマシだと思う。どっちも面倒なのは変わらないけど。

 

 ……まぁ、今は早く帰って休みたい。疲れたし今日はゲームじゃなくて小説でも読もう。

 

 

平成25年6月1日16:39

 帰り道。

 今日は部活があるはずもないのでムロと一緒に帰路につく。

「いやー惜しかったな」

「あぁ」

「どっかでもう一回勝ってれば優勝だったんじゃね?」

「そうかもな」

「だよなー。まっ、楽しかったから良いけど」

 そう言って笑って見せるムロ。

「……そうか」

「これで後は来月の球技大会をやって夏休みだな!」

「ああ」

 その前に期末テストなんだが……わざとか。

 でもまぁ、今くらいは触れないでおいてやろう。どうせ期末テスト前に「勉強教えてくれ!」と乞われるのだから。下手に触れて今乞われても面倒だし。

「……」

「ん、どうした?」

「……いや、さっさと帰って休みたいだけだ」

「そっか」

 ……何時だろうと面倒なものは面倒なんだけどな。今から面倒を避けるためにどうにかできないか案でも練っておくか。無意味な気もするけど。

「だよなぁ……」

「何が?」

「何でもない。それよりも、明日俺はゆっくりと過ごすから遊びに来るなよ?」

 確証はないが、何となく明日のことは予想できてしまうからな……念の為に今のうちに行っておくべきだろう。明日になってメールも面倒だしな。

「あいよー」

 よし、これで明日は安静に過ごせる。

 

 

 そして翌日、予想通りに筋肉痛に苦しむことになった俺は、小説を読んで安静に過ごすのであった。

 

 

 

第08話 体育祭日和 完。

 




悪に虫が抜群なのは某バッタ仮面のせいだと思うんですよ。
あれがなければ等倍だったに違いない……。

それは置いておいて今回は趣味。

吹田……探究・開発・実験。
船井……グロ系映画・写真鑑賞。
津出……ゲーム。
菅……人知れず特訓、読書、音楽(聞く専門)。
溜井……探偵活動。
室井……バスケ。
識……ホラー映画鑑賞、怪談収集。

では次回は18話を書き終えてから。
次も一応……日常回です。
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