扉の向こうの   作:招代

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新年明けましておめでとう御座います。
と言ってももう1月の終わりが近いですが……気にしても仕方のないことです。

最近は仕事も忙しすぎず、
かといって暇というわけでもなくいい感じです。
気温も低いとはいえ、
低すぎずって感じですし。
なので精神的には安定しています。

そんなことよりも、
最近野球のゲームが始まったので始めたんですが、
面白くてついついそっちに時間がとられてしまいます。
気を付けないと……

そう思いながら前編投稿。


第11話 学校からの依頼 前編

平成25年7月18日16:44

 今日もいつも通りゲームをする日々。

「吹田はいるかー?」

「いますよー」

 ……だったはずなんだけどなぁ。

 

 吹田さんを訪ねてきた人はどうやら先生みたいだ。生徒ではないしな。

「それでセンセー。今日はどうしたんですか?」

 そして今現在、吹田さん・船井さんと向かい合う形でソファに座っている。

 にしても……先生が来てもテレビゲームし続けるんですね。津出さんは。

「あぁそれなんだがな、学校からこの部活に依頼が来たんだ」

「学校から、ですか?」

「たまにあるのよー。確かー……前は『謎の鍵がどこの鍵か調べて欲しい』だったねー」

「そうなのですか」

 「謎の鍵」ってなんだよ……用途不明の鍵ってことか? まぁ偶にあるけど、そういう鍵。

 

「で、依頼内容は」

 今まで黙っていた吹田さんがいつも通りの語調で尋ねる。

 この人誰に対してもこんなんなんだろうか……いゃ、敬語とかが想像できないけどさ。

「それなんだが……実は新人の警備員が『幽霊を見た』って騒いでてな。そのことについて調べてもらいたい」

「幽霊ですかー……忍び込んだ生徒とかの見間違いでは?」

 以外にも船井さんが幽霊を否定して別の可能性を示唆した。

 誰構わずそう言った存在のことを教えるわけではないという事か? まぁ、確かに幽霊でない可能性は大いにあるわけだが。

 

「だと思うがな。でも警備員は慌てて逃げてしまったそうなんだ。まー幽霊何ていないと思うが、誰かがいた可能性は高いらしい」

 逃げたとか……役に立たない警備員だな。自分の仕事くらいちゃんとしろよ。

「何か痕跡があったのですか?」

「その警備員が昨日幽霊を見たって言うのが10時頃、4階の第2自習室前なんだそうだが、何でもそこの廊下が今朝水浸しになっていたそうなんだ」

 水浸しか……確か五行に「水」って入ってたよな。それに妖怪にもそういう奴がいるかもしれない……いや、人間もだけど妖怪なら普通に水汲んで撒けばいいのか。

 どちらにせよ、そうする意味が分からない。

「水浸し、ですか。第2自習室は廊下の水道とは離れていますよね。今までにそういったことはあったのですか?」

「いや……今までにそういった報告は一度も無かったらしい」

「そうですか。ですがそこだけ水浸しと言うのは不自然ですね……」

 そして何やら考え込む溜井。

 ……にしても自習室なんてあったんだな。使ったことなかったから存在すら全く知らなかった。

 

「幽霊の見た目は」

「残念ながら暗くてよく見えず服が白系だったことくらいしか覚えてないそうだ。男か女かも分からないらしい……はぁ」

 ホントに役に立たないな……溜息をつきたくなる気持ちも分かる。

「白系って言いますと、女子の制服も白系ですよね」

「ああ、だから先生の間では『女子生徒が忍び込んだ』って意見がやたら多いな」

「確かに自習室の前ですから、忘れ物を取りに来た女子生徒の可能性は高いですね。水に関しては分かりませんが……」

「だねー。他に何か情報ってあります?」

「いや、これだけだ」

 まぁ逃げたんならそれ以外に情報もあるわけないよな。

 

「そうか。なら調査は土曜夜に行う。許可をとっとけ」

「分かった、伝えておこう」

 吹田さんの言い方を気にすることもなくそう言って、先生は立ち上がり出入り口へと向かう。

 

「じゃ、頼んだぞ。部活頑張れよー」

「はーい」

「任せて下さい」

 そして船井さんと溜井だけが返事をして、先生は部室を出て行った。

 ……結局何て言う先生だったんだろうか?

 

 

「お前等、聞いてたな。土曜夜9時に幽霊調査を含めた怪談調査を行う。各自明日の帰りまでにこの学校の怪談を集めて報告しろ」

 周りを見渡してそう告げる吹田さん。

「りょうかーい」

「うーい」

「……」

「分かりました」

「了解です」

 それに対し全員が頷く。

 

 ……ん? いや、聞いていた内容とほぼ違うんだが。

 あまりにも当たり前のように言った上に、他の人が当たり前のように返事をするのでつい返事をしてしまった……いや、どうせやる事になるんだから良いけど。

 

「千利乃、識は呼べるか」

「大丈夫よー」

 どうやら識も来るらしい。

 ま、幽霊がらみの可能性もあるしいた方が良いのは確かか。

「そうか。俺は向こういく」

「はーい」

 そして吹田さんは何かをしに向こうの部屋に行った。

 このタイミングだし明日のことと何か関係があるのだろう……とりあえずは『立ち入り禁止』も貼ってないし大丈夫だろう。

 

 それよりも問題はどうやって怪談話を集めるか……って、クラスの多少話せる奴らに聞くしかないよな。

 ……ホントは面倒なんだがムロだけではどうしようもないし。それ以前にそんなのを知ってるわけないし……でもムロを使ってバスケ部関係から集めるのはできないだろうか?

「……」

 よし、俺のクラスだけでどの程度集まるかは疑問だがやれるだけやってみよう。

 

 

 後日、俺はあまり集められなかったが、予想外にも溜井が結構な数を集めてきた。

 自称探偵だし聞き込みは得意なのかもしれないな。

 

 

平成25年7月20日20:50

 調査の日。

 懐中電灯などの準備を終えた俺が時間10分前に行くと、いつも通り最後だった。

「集まったか。説明を始める」

「はい」

 そして着くと同時に説明が始められる。

 

「まず怪談のリストだ。目を通せ」

 吹田さんが手に持っていた紙束を隣の船井さんに渡し、一冊とって紙束は隣へと回されていく。

「……結構あるな」

 回ってきた紙束にざっと目を通すと、怪談は場所ごとに分別されていて相当な量があることが分かる。

 まぁ、同じような内容のものもあると言えばあるわけだが。

「一部立て直しはあったみたいだけれど古い学校だから、こういう話は多いみたいなのよ」

「そうなのか」

「ええ。先生が言っていたわ」

 ……先生からも聞いていたのか。道理で多いわけだ。

 でも古い学校か……前回の廃校舎を考えると妖怪でもいる可能性は有るわけか……。

 

「今回は数が多く時間指定があるものがある為手分けする。玲音は体育館・外・校舎1階、千利乃と俊儀は校舎2・3階、一年は校舎4階・屋上、識は端から妖力・霊力の高い場所を。俺は部室棟を回る」

「はいよー」

「分かりました」

「りょーかい」

「はい、分かりました」

「……」

「了解です」

 担当場所が告げられそれぞれが返事をする。

 ……でも4階か。上るのが面倒なのもあるけど、あそこは理科室があるんだよな……理科室と言えば人体模型、人体模型と言えば前回のアレが思い出され――

 

「……いや」

 ――やめよう。確かにそれっぽい怪談はあったがまさかここにもいるとは限らないし。

「もしもの為の破魔矢、それとマスターキーだ。各自一つずつ取れ」

 そんなことを考えている間に今度は破魔矢とマスターキーが回されてくる。

「この学校のマスターキー、多いですね。普通は1つ2つではないのですか?」

「『謎鍵の件』で取ってあったデータを元に作成した」

「「……」」

 その発言に俺と溜井が固まった。

 あれ、鍵の無断複製って良いんだっけ……? いや作成って言っていたからオリジナルなのか。この場合はどうなるんだろう。

 ……よく分かんないし追及はいろいろ面倒だし気にしないでおこう。溜井も何も言わないし。

 

「各自持ち場が終わったらここに集合。何か質問は」

 吹田さんが尋ねると、溜井が手を挙げた。

「担当場所にまたがっている階段はどうすればいいのでしょうか?」

「下の階の奴が調べろ」

「分かりました」

 つまり3階と4階の間の階段は津出さんたちの担当と言う事か。

「他に質問が無ければ取り掛かれ」

 こうして他には質問も無く、調査が開始された。

 

 

平成25年7月20日21:02

「時間の指定があるやつもあるから、時間を気にしつつ端から確認していく感じで良いわね」

「あぁ……」

「なら行きましょ」

 俺たちは現在、玄関前の階段から上がって4階にいる。

 幽霊? が確認されたのもこの階なんだよな。自習室前、だったっけ? 確かに見る限り自習室にも幽霊系の怪談はあるみたいだが……どれも水とは関係なさそうだった。

 所詮怪談だし正確性なんてあって無いようなものだと思うけどな。

 

「……」

「どうしたの?」

 気づくと溜井が少し進んでこちらを振り返っていた。

 どうやら無駄に考え込んで固まってしまっていたようだ。

「……いゃ、なんでもない」

「そう?」

「あぁ」

 とりあえず溜井に追いつく。

 調べるところはいっぱいあるんだし、しっかりしないとか。

 

 

平成25年7月20日21:28

 端から回っていき問題の自習室。

「これもバツ」

「こっちのポスター。目に蛍光塗料みたいなのが塗ってあるみたいだな」

 懐中電灯を少し当てて離すと暗闇で目の部分が光るようになっている。

「ただの悪戯ね」

「ああ」

 全く下らないことを……と、思いつつ紙に「蛍光塗料・イタズラ」と書き込む。

 さて、次のに移るか。

 

 

 自習室を一通り調べ終えて。

「ここに幽霊はいないみたいね」

 そう言いながら教室を見回している。

「いても見えないだろ。波長が合えば知らないが」

「見えなくてもても水浸しになっていれば、そこにいる可能性は高いじゃない。それに妖怪なら誰でも見えるのもいるみたいだし」

 確かにあの人体模型は見えてたしな……ただ、

「今回もそう都合よくなってるとは限らないだろ。そもそも、幽霊や妖怪と決まったわけでもないんだが」

 そう、一昨日溜井が言っていたようにあそこだけ濡れているというのは不自然だ。なら警備員の自作自演と言う可能性もかなりあるはず。

「それだったら私たちにはどうしようもないのだから、そこまでの話よ。でも幽霊や妖怪であれば理由は分からないけれど、水浸しにしたのには何かしらの意味があるはず。それなら、今回も水浸しになっている可能性は高いわ……もちろん、理由の無い犯行の可能性が無いわけではないけれど」

「……なるほど」

 言われた通り、どうしようもない可能性を考えても仕方がない。ならどうにかできるほうで考えるべきか。

 それに理由なく濡らす意味も無いしな。警備員の時とさほど条件が変わってないなら今回も濡れている可能性は高い。

 ……まあ面倒事は避けたいから濡れてない方が良いんだけど。

 

 それから自習室を少し見て回り終えて、

「そろそろ隣の部屋に行きましょう」

「あぁ」

 俺達は次の教室に行くことにした。

 

 

平成25年7月20日21:45

 隣の教室。

「理科室か……」

「人体模型もあるわね」

 理科室の窓側、そこには月明かりに照らされて不気味さが増した人体模型。

 そしてこの理科室には『血の涙を流す人体模型』と言う怪談がある。

「「……」」

 余りにも共通点が多すぎるために俺ももちろんのこと、溜井も気になっているようだ。

 ただ、気にはなるものの動きづらい。

 

 しかしこのままではらちがあかないので、とりあえず提案してみる。

「……とりあえず人体模型に破魔矢でも当ててみるか?」

「……そうね。妖怪なら何か反応があると思うわ」

 と言うわけで、貰った破魔矢をバックから取り出して人体模型に近づいていく。

 ……アレを見たせいか顔を見づらいな。

 

 そして近づいて破魔矢を当ててみるが何も起きない。

「なにもないな……」

 一安心しつつ、怪談にある『血の涙』を確かめるべく懐中電灯を顔へと向け――

「……?」

 

 ――ようとして、破魔矢を当てている手に何か冷たいものが当たる感覚。

「……」

 そのままゆっくりと懐中電灯を上に向ける。

「……」

 すると人体模型の顔に光を反射するナニカガ……

「……」

 ナニ、カ、ガ……?

 

 

「……うおぁっ!!」

「どうしたの!?」

 慌てて飛び退くと溜井が駆け寄ってきた。

「い、いや何か今手に冷たいものが」

「え!」

 驚いた溜井が俺の手を照らす。

 するとそこには……

 

「……ん? これは……水、じゃないかしら」

「……は?」

 言われて照らされた手を見るとそこには無色透明の液体が。

「……」

「……」

 溜井が人体模型の顔を照らす。

「……どう見ても水ね」

「そう、だな」

 上を見ると、どう見てもそこにあるのは水滴だった。

 ぁー……やっちまった。まさか水を血と見間違えるなんてな。はははは、俺もまだまだ落ち着きが足りないなぁ。

 

 

「……」

「……」

 ……うわ恥ずっ!! 思いっきり驚いちまったじゃねぇかよ! これは恥ずかしすぎる――うわもう、何だよこれ! どうしてこんなタイミングよく水滴が落ちてくんだよ……最悪だ……。

「まぁ……しょうがないわよ」

「……そう、か」

 気を使ってくれているのは分かるがその視線はいたたまれなくなる。

 ……ホントどうしてこうタイミングが悪いんだ。と言うかどうして今日に限って濡れてんだよ……

 

「……ん?」

 ……濡れている?

「どうして、濡れているんだ?」

「そういえばそうね」

 溜井が再びペンライトで人体模型を照らすと、上から水滴が落ちてきた。

「上から落ちてきたな」

「そうね」

 ペンライトを天井へと向ける。

 

「……天井が雨漏りしているみたいね」

「そうか……だが外は晴れだったと思うんだが」

 窓を見ると綺麗な月と星が見える。

「もしかしたら屋上の貯水タンクから送られてくる水が漏れている可能性もあるわ……でも、雨漏りしているのならとっくに問題になっていそうだけれど」

「貯水タンクなんてあったのか?」

「屋上は立ち入り禁止だけれど、外から見えるわよ。それに『貯水タンクに沈む女生徒』って怪談があるじゃない」

「そうなのか」

 呆れられてしまった。

 しかし屋上なんて気にしてなかったからな……わざわざ上がるのも面倒だし、使う機会なんてないと思ってた。

 実際に立ち入り禁止だから使えないわけだが。

 

「とりあえず破魔矢を投げてみたらどうだ?」

「……そうね」

 そして溜井が破魔矢を濡れている部分に投げると……

「……」

「……」

 濡れている所に当たった破魔矢はそのまま重力に従って落ちた。

 

「……ここで考えていても仕方がないわね。屋上に行きましょう」

「そうだな」

 暫く動かずにいたが、溜井の言葉に移動を開始する。

 ……何事も無いといいけどな。

 




名前の出なかった顧問の紹介を。
ここで出さないと今後出るかどうかもわからない人物なので……。

小森(こもり)崋山(かざん)(飾り・顧問→かざりこもん→こもりかざん)
・形だけのお飾りの顧問。
・男。
・社会科教師。
・自分の名前が嫌い。

で、
今回は嫌いなタイプ。

吹田……変態と変人を区別しない奴ら。
船井……人の趣味にとやかく言う奴ら。
津出……器の狭い奴ら。
菅……頼んでもないのに無理やり人の和に入れようとする人(嫌いというより苦手)
溜井……平気で人を傷つける人。
室井……人を見た目で判断する人。
識……見境なく退魔をする人達。

です。
次回は後編。
20話を書き終えたら載せます。

……当分先になってしまいそうですけれどね。
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