リフォームの影響でパソコンが使えなくならなければ、
もう少し早く書き終えられたのに……そんな保証はどこにもないんですけどね。
そんなことよりも12話。
一応は三編構成ですけど中身はさほどありません。
なんでサラッと行きたいですね。
では12話前編を投稿完了。
平成25年7月25日17:30
明日は終業式、それが終われば待望の夏休み。その為に休み時間を使って宿題は大方終わらせてある。あとは7月中に全て終わらせるだけだ……と、行きたいところだがその前に夏休み前最後の部活がある。普段は思うことも無いが、正直だるい。
それにしても一学期が終わるわけだけどちゃんとした部活動って何回やったっけ……脳内記憶が正しければ二回だけのはずだが。
「来週の月曜から自由参加で三泊四日の合宿を行う。チケットはとってある」
とまぁ、そんなことを考えながら部室で寛いでいると唐突に吹田さんから連絡事項が……でも合宿? 合宿してもやる事も無いだろうに。
「合宿、ですか? ……何処に行くのでしょうか?」
「ここだ」
そしてテーブルに置かれる紙と飛行機のチケット。
俺達が集まってそれを見ると……
「全く分からない……何処ですか? ここ」
「書いてあるだろ」
「……そですか」
県名くらいしか分からないぞ……いや、この辺りじゃないし知ったところで送り迎えしてもらうわけじゃないんだから特に意味も無いんだろうけど。
「千利乃、識は呼べるか?」
「あー来週はお師匠さんと一緒に強化合宿するって言ってたよー」
「そうか、分かった」
どうやら識はこれないようだ。
……でも呼ぼうとしたということは幽霊妖怪関係の可能性があるのか。一体何しに行くつもりなのか……また廃校舎の探索じゃないだろうな。
「それで合宿ですけれど、何をしに行くのですか?」
紙とチケットを見ていた溜井が顔を上げて、俺の考えていたことが勝手に代弁してくれた。
ナイスだ。
「先日ミステリーサークルが発見された。それの調査を行う」
「ミステリーサークル、ですか」
「一般に宇宙人や超能力者が作ったとされるやつねー」
「まー実際には幽霊とか妖怪の仕業も多いみたいだけど」
「そうなのですか」
確かに幽霊妖怪が存在するなら有り得ることだよな。
……もしかしなくても他にもそれらの仕業のやつがいくらかあるんじゃないだろうか? 例えばどんなのとかは詳しくないから分からないけど。
こちらとしてはそんなにポンポンと非日常に出てきてもらっても嬉しくないんだがな。
「ですが悪戯の可能性も高いのではないですか?」
「あるが、今回はメッセージ性が強いと判断した。悪戯であればもっと目立つところに創る。それに」
そう言って一つの写真がテーブルに出される。
そこには草を刈って作られたと思われるミステリー「
模様はとても簡潔で歪んだ枠をはみ出すように十字線が入っているだけだ。
「これが発見されたミステリーサークル、ですか?」
「山で発見されたものだ。恐らく制作から半年は経っている」
……それよりも
「確かに悪戯にしては円くないですし、シンプルですね」
そんな俺の心の中の疑問に誰も疑問を呈せず話は進んでいく。
「もしかしたらこの線が重なってる部分に何か埋まってたりして」
「そうねー……死体とか?」
「もしそうでしたら、これは幽霊が作ったことになるのでしょうか?」
いや……この前のことを考えれば有り得ないことではないけど、この短期間にそんなもの達との連続遭遇は勘弁してもらいたい……疲れるから。
ってか船井さんが嬉しそうなのは気のせいか。
「可能性は有るが、推測するのは調べてからにしろ」
「そーね」
「そうですね」
こうして、調査解決部は合宿でミステリーサークルの調査を行うことが決定したのであった……ここってミステリー研究会とかオカルトクラブじゃないよな?
「……にしても」
遠出、面倒だな……。
平成25年7月29日13:39
親からの許可も問題無くもらい、家族からお土産を頼まれ、嫌々ながらも朝早く起きて集合場所に最後に来た俺は、飛行機と電車とバスで他の部員と共に目的地へと辿り着いた。
ちなみに飛行機に乗ったのは初めてだったが……電車やバスよりはマシだな。特にバスはあの臭いが……
「う……」
思い出すだけで気持ち悪く……だから遠出は嫌いなんだ。
「大丈夫?」
「……ああ」
これが大丈夫に見えるならその目は節穴かと問いたいところだが、「大丈夫だ」と答えたところで意味ないしな……それに新鮮な空気のおかげで回復に向かいつつある。
まぁそんな乗り物酔いはさておいて、到着した場所はド田舎とはいかないまでもそこそこの田舎。少なくとも俺の住んでいる所よりは田舎なはず。
……それにこういう所の方が空気が美味しくて人も少なくて都会よりはかなり良いけど、買い物とかは面倒そう……やっぱり一番は自分の家だよな。中間くらいが丁度いい。
平成25年7月29日14:46
「男女で別の部屋をとってある。各自荷物を置き次第、外に集合」
そうして旅館……いゃ民宿? に到着した俺達は従業員に案内されてそれぞれの部屋へと向かい昼食を済ませて再び民宿の前へと集合した。
「これから現場に向かうのですか?」
「ああ。場所は分かってる」
……まぁそれは今回の目的だしいいとして、
「ちなみに、どのくらいで着くんですか?」
問題はこっちだ。なにせ付近に山があるとは言え、山で発見された以上登らないといけないわけで……疲れること間違いない。
「20分くらいだ」
「そうですか……」
20分か……学校への道より若干遠いくらいだな。面倒には違いないけどこのくらいならまだマシだ。
「それじゃー行きましょうか」
「そうですね」
「おーう」
「……」
しかし……行ったところで俺のやる事なんてないんだよな。調査的なものは恐らく吹田さんと溜井あたりがやるだろうし、手伝うことも無いだろうしなぁ……これは面倒な上に特にやるべきことも無いという、ことさら面倒な展開になりそうだ。
平成25年7月29日15:12
暫くの間、舗装もされていないタルい山道を歩いていると、少しひらけた場所に出る。
「ここだ」
そう言われて目線を斜め下へと向けると、確かにそこには写真で見たものを同じミステリーサークルができていた……思っていたより小さめだが。
「写真より刈られている気がしますね……最近また刈り直したのでしょうか?」
すると、ミステリーサークルに近づいてしゃがんだ溜井がそんなことを言う。
……ミステリーサークルって刈り直すものなのか?
「刈り直されている。つまり刈り直す必要があった、そして炎も使われていないと言うことだ」
「確かに炎を使用したのでしたら付くはずの焦げがありませんね」
そして今度は吹田さんがミステーサークルの手前にしゃがむ。
「パイロキネシスや五行、妖力や機械による炎熱の線は消えた。切り口を見れば鋭利な刃物では刈られていないこと、錆がついている。草ごとの切られている高さがバラバラすぎることからまとめて刈られていないことも分かる」
「……なるほど」
「それを踏まえ、このミステリーサークルは高確率で幽霊のポルターガイストによって地道に創られたものだ。使用したものは錆びた鋏の様なもの」
「鋏、ですか? それにポルターガイストと言うのは物が宙に浮いたりする、あの現象のことでしょうか?」
「鎌やナイフでは土を抉るか、草を押さえなくては切ること難しい。しかし土が抉れた様子はない。幽霊は草に触ることはできない事から鋏の様なものと判断した。そしてポルターガイストとはものなどに宿った意志が弱く波長の合う魂を、霊力で操ることだ。生きている人間もできるが、今回の場合は幽霊でなければそうする必要がない」
「そうなのですか」
「それと、やはりコレには何かしらのメッセージがある。それ以外を使った悪戯にしては手が込み過ぎている。それに最近になって再び刈られたのは誰かがこのメッセージを発見したのを知り、コレが広まる可能性を考えた為だろう」
「ですがコレを作ったのが幽霊でメッセージ性が強いと言うことは……」
「示す場所に死体が埋まっている可能性が高い」
そう言って吹田さんは立ち上がると、
「お前等、付近を捜索しろ。錆びた鋏の様な物を探せ」
俺達を見回してそう指示を出す。
「はいよー」
「……」
「りょうかーい」
「了解です」
「付近だけでいいのですか?」
「地道にやるのであれば刃物をわざわざ遠くまで運ぶことはしない。見つからなければ範囲を広げる」
「確かにそうですね……分かりました」
そして捜索が開始された。
……にしても話が吹田さんと溜井だけでドンドン進んでいったが、展開が早いうえにどうにも面倒な方向に話が行きそうだ。推測が正しければまた幽霊みたいだし……いや、現物を見ただけであそこまで分かるのは単純に凄いと思うけどさ。それとこれとは話が全く違う。
「はぁ……」
思わず溜息も出るが、そんな事より今は言われたとおりに探さないとな。結末がどうであれ、部活動なわけだから。
さて、目的のものは錆びた鋏の様な刃物。そして話を聞く限り魂が宿ってるとか何とか……付喪神みたいな感じなんだろうか? 詳しくは分からないけど。
しかしそうなると古いものだよな……「器物百年何とか~」って言うくらいだから。古い刃物か……磨製石器? ……ありえないか。磨製石器と言うか石製の鋏なんて聞いたことないし、そもそも錆びない。
「……」
……とりあえず探そう。
それから付近の草むらをとにかく探す俺達だが、いまだに何も見つからない。
本当にあるのだろう――
「ん?」
――か。とか思ってたら何か僅かに土じゃないものを踏んだ感覚が……。
そう思いその場にしゃがんで、
「……なんだこれ」
手に取ってみるとそれは錆びた……何だろう? 刃の付いたピンセットみたいな。
「……」
ピンセットを使う要領で力を入れてみると、鋏のように刃の部分が開閉することが分かる。
探し物はこれなんだろうか……錆びてて鋏のように使えるし。何か古そう。
「……とりあえず見せてみよう」
と、言うわけでこの仮名称「錆びたピンセット鋏」を吹田さんの所へと持っていく。
「吹田さん、これが落ちてたんですけど」
「ん」
錆びたピンセット鋏を見せると、吹田さんはそれを受け取って確認するように見てからその辺の草を数枚切って見せた。
「恐らくこれだ」
「そうですか」
どうやらこれの可能性が高いらしい。
「お前等、集合」
「んー、見つかったのー?」
「見つかったのですか?」
「ああ」
集合を掛けるとそれほど離れていなかったために全員がすぐに集まる。
「これは……和鋏、ですね」
「あー飴細工とかで見るやつねー」
「ああ」
吹田さんの手にある物を見た溜井がそう言うと、吹田さんが肯定。
どうやらあの錆びたピンセット鋏は「和鋏」と言って、飴細工とかで使うやつらしい。
「これに魂が宿っているかどうかは分かるのですか?」
「分からないが恐らくこれだ」
分からないのか……恐らく前に言っていたことを考えれば吹田さんじゃ見れないレベルの魂なのだろう。でも合点の行く箇所は多いと思う。
「それで、この後の行動はどうします?」
「ちょっと待て」
そう言って吹田さんはバックから紙とペンを出すと、何やら紙に書いて和鋏と一緒に俺に渡した。
その紙には『お前の死体の場所に印をつけて明日の夜そこに居ろ。死体を掘り返して警察に通報する』と書かれている。
「元の場所に置いておけ」
「……はい」
いや……何て言うか、その……もう死体確定なんですかね? できれば死体とは遭遇したくないなー……と、思うんですが……それなら幽霊とか妖怪の方がマシだ。
だってどう考えても警察沙汰になりそうだし、正直そうなったら事情聴取とか色々と面倒そうだ……本当に死体があったら悪いとは思うけどさ。
……でも行方不明よりは見つかるべき、か。
「……」
結局のところ、どう思ったところでコレが合宿内容である以上は部活動なわけだから、やることはやろう。
そんなこんなで俺はいろいろと思う所があるものの、とりあえず言われたとおりに元の場所に紙と和鋏を置いてくることにした。
「置いてきました」
「お疲れー」
「で、次の行動だが」
そして戻ってくると船井さんだけが労いの言葉を掛けてくれた。
……いや別にこの程度の面倒なら別に労われなくても良いけどさ。
「念の為、この辺りで失踪事件が無かったか聞き込みを行う。担当は一年、それと玲音は隠れてついて行け」
「……」
無言で頷く菅さん。
別についてくるのは何も問題は無いわけだが……何故隠れてついてくる必要が。
「分かりました」
「……了解です」
そう疑問には思ったが溜井は何も聞かないし、だからと言って俺が聞くのは面倒だし、そこまで知りたいわけではない。知ったところで何かなるわけでもないし、きっと必要なことなのだろう。そう思うことにした。
……ってか俺的にはそれよりも聞き込みが面倒だ。恐らく、いや願わくば溜井がほとんどをやってくれることを祈ろうか。
「残りはメッセージと伝承とこの付近の失踪事件を調べる」
「あいよー」
「おっけ」
「主な行動は明日の朝食後から。今日は宿に戻って休め」
その言葉に全員が返事をし、俺達は宿へと戻るのであった。
……あぁ、面倒だなぁ。
重たそうな流れですが基本的にはさらっと行きたい。
なにせ技量も何もないですからね。
それはさておき今回は夢ですね。
吹田……したいことができればそれでいい。
船井……吹田を手伝っていけたら……。
津出……すべてのゲームをやりつくす。
菅……強くなり続ける。
溜井……一流の探偵になる。
室井……楽しく生きていければいいかな。
識……立派な退魔師になる。
です。
では次回は21話を書き終えたら投稿します。
まだまだかかりそうですけどね。