その話の一話目を書いたりで別方向にやる気のベクトルが行っていました。
ただ、
この物語は書き溜めている分でも半分も終わっていない現状。
つまりはまだまだ終わらないので、
その間にちまちまと他の物語を書き溜めていけるのが理想なんだろうなぁ……なんて、
思うだけで実際に行動に移せるかは自信はないです。
何が言いたいかと言いますと、
まだまだ投稿ペース的にも先が長そうなので、
こんな物語を見てくれている数少ない方々はお付き合いいただけたら幸いです。
少し長くなってしまったけれど後編投稿します。
平成25年7月30日8:04
携帯の時計を見ると8時過ぎ。
俺たちの前には庭が荒れ放題な一軒の家がある。
「ここが滑方さんの住んでいた家ね。今は空き家みたい」
「入るのか?」
「本当は念のために入りたいところだけれど……この時間だと他の人に目撃される可能性が高いわね。でも入れたとしても事件絡みの物品は犯人に処分されている可能性が高いでしょうから、入らなくても大丈夫だと思うわ」
確かにここに来るまでにも人とすれ違うことはあった。
そんな中空き家とは言え、堂々と侵入するのは不味いだろう。俺たちが小学生とかならともかく高校生だしな……変な噂でもされかねない。ただ、
「人のいなそうな時間帯だったら侵入してたのか」
「そうね。事件の真相を究明する為なら人道に反しない程度の違法行為は躊躇わないわ……もちろん、バレない様にはするけれど。真相を究明しようとしてるのにバレて捕まったら元も子もないから」
「そうか」
……まあ別に俺に迷惑がかからなければいいか。何だかんだ言ったところで俺も前に部活で廃校舎に勝手に入っているわけだし。
それに本人も「バレない様にする」と言っている。もしバレても本人が責任を持って行動した結果でしっかりと責任を取るのなら別にいい。
あまりにも無責任なことをするなら……こいつはただの屑だったってだけだ。
「それじゃあ近所の聞き込みを始めましょうか。本当は分かれてやりたいところだけれど、菅先輩がついて来てくれているのだから分かれるのは良くないわね」
「……そうだな」
こちらを振り返り喋る溜井の声を聞いて思考を切り替える。
少し思考がブラックになりかけたな。戻そうか。
「それなら私が聞き込みをするから、メモを取ってくれる? 流石に全部録音するわけにもいかないから」
「字の綺麗さが保証できなくてもいいなら」
「……心掛けてくれればいいわ」
「そうか」
しっかりと自分の字の汚さを提示してから差し出された手帳を渋々受け取る。
これを言わずに受け取って、後で文句を言われても面倒だ……本音を言えば何もしなくて良ければ一番良かったんだがな。仕方がない。
その後、あとで見た際に分かりやすい記録方法(溜井曰く、探偵式メモ書き)を大まかに教わり聞き込みが始まった。
平成25年7月30日19:29
「夫明君? 良い子だったわよ~。挨拶も元気良くしてくれて。でもまさか借金をしてたなんてねー……そんな風には見えなかったんだけど」
「変わった様子? ううん、いつもと同じだったわね~」
「あーでも、夜中に『車の音を聞いた』って人がいたらしいわよ。やっぱり夜逃げなのかしらね~」
「神隠し? 聞いたことないなぁ……そりゃ昔話程度に妖怪の話とかなら少しはあった気もするけど」
「でも夫明君なら夜逃げよりもそっちの方が現実味がありそうだな」
「ま、そういう話ならもっと爺さん婆さんに聞くといいよ」
「彼は良い子だったよ。重たい荷物を運ぶのを手伝ったりしてくれてねぇ……借金なんてする子じゃないよ、彼は」
「そうだねぇ、確かに神隠しにあってしまったのかもしれないねぇ……昔はこの近くの山に天狗が住んでいたって話もあるんだよ」
「私としては、例え夜逃げでも彼が無事でいてくれれば有り難いよ」
「夫明さんですか? いえいえ、借金なんて聞いたことなかったですよ! むしろ僕なんかお金を貸してもらったことがあるくらいで」
「え、ああ、もちろん返しましたよ」
「あーでも中には返さない人もいたみたいです。でも本人は気にしていない様子でしたね。ホントに良い人でしたよ」
「あー夫明? 夫明ね。確かに借金してたな、うん。あれじゃね? 良いやつだったし人にも貸してる手前言い辛かったんじゃねぇの?」
「神隠し、ねぇ……あーでも、車は山とは反対方向に行ったらしいからそれはないんじゃね?」
「ミステリーサークル? へー、んなもんあったんだ。あー……でも山に入るのはやめた方が良いんじゃね? 熊とかが昼間でも出るっていうから危ないって言うし」
「あ、はい……えぇ……はい。見た人、とかいるみたい、です。ゆ、幽霊」
「か、神隠し、です……か? い、いぇ聞いたこと、ないです。はい」
「あ……あの、で、でも妖怪とか、昔は出たみたい、です。おじいちゃんがい、言ってました……」
「失踪事件? あーそんなこともあったね。詳しくは知らないけど」
「いゃー……その事件があるまで知らない人だったから、どういう人って言われてもちょっと分かんないなー」
「あー確かあの時は警察とかも結構来てたなー。つっても夜逃げってことですぐに片付いたけど」
この他にも様々な人たちから聞き込みをした俺達は、夕飯を食べるために宿へと戻ってきていた。
「それじゃ、私は部長に報告してくるから」
「ああ」
溜井は手帳片手に部長のいる部屋……まぁ、つまりは俺が荷物を置きにこれから向かう部屋なのだが、そこへと向かっていった。
つまり何が言いたいのかと言うと、俺も行く場所なのに先ほどの会話はおかしい、と言う事なのだが……万が一そのことを指摘して俺が報告することになると面倒なので何も言わなかったのだ。
「……ま、それはさておき」
俺もそろそろ荷物を置きに行くかな。
平成25年7月30日21:15
夜。虫から発せられる音が響く中、
「それじゃー行きましょー!」
何でか知らないが小声ながらも気合の入っている船井さんの掛け声で、俺たちは宿を出発した。
余談ではあるが、耳に入ってきた溜井と吹田さんの話によると、やはり死体が埋まっているだろうとのことだ。それを掘り起こすためのシャベルは一番後ろの菅さんが背負っている。
……全く以て勘弁してもらいたい。それでも暗いのが不幸中の幸いか。
平成25年7月30日21:43
どのくらい山道を歩いたのか……確認するために携帯を見ると43分。つまりは宿を出てから28分歩いたことになる。
「……はぁ」
疲れた……いつまで歩くのだろうか。どこまで歩くのだろうか。ミステリーサークルへの道よりさらに歩きづらい道なのでかかる疲労も段違いだ。必然的に歩く速度も遅くなってしまう。こんなことなら目的地やかかる時間を聞いておくべきだった。
終わりが分からないのと分かっているのでは精神、ひいては肉体にもかかる負担はかなり違ってくる。
俺はそれを今、酷く痛感したのだった。
平成25年7月30日21:48
最後に携帯を確認してから体内時間で数十分。精神的疲労により真っ暗山道を歩くという不安も、景色が変わらない事による迷子の不安も薄れてきた。疲労はあらゆる不安を麻痺させるようだ。
「ここだ」
「っと……」
急に吹田さんがそう言って止まった。
俺は考え事をしていたため思わず躓きそうになるなるが、重心を後ろへと戻し何とか踏みとどまる。
……もう少し事前に言ってもらいたかったな。あと急に止まらないでほしい。
「確かにここですね」
「ちゃんと印もあるね」
ライトに照らされた箇所を見ると、意識しなければ気にならない程度の印の様なものが木につけられているのが分かる。
だが何で掘るのがこの付近だと分かったのかは知らない。だって聞かされてないし。
「スコップ。玲音は片付けて見張ってろ」
「……」
吹田さんが手を差し出し、無言で頷いてシャベルを2つ渡した菅さんは葉っぱを踏みしめる音と共に闇に消えた。
……もう驚かない。
「それじゃー……張り切って掘りましょー!」
「掘るのはここでいいかね?」
「指している」
「そこに居るのですか?」
「ああ」
「それなら間違いはなさそうですね」
「じゃー遺体を傷付けないように気にしながら掘りましょー」
何故か張り切る船井さんがシャベルを2つ受け取り、場所確認した津出さんに1つ渡す。
そうして吹田さんの答えたことが本当なら滑方さん本人の幽霊が見守る中、死体の発掘作業が始まったのであった。
生き生きとしながら掘り進める船井さんと、特に変わった様子も無く掘り進める津出さん。溜井は二人の掘っている場所を照らし、吹田さんは木に寄りかかり只見ている。
同様にただ見ているだけの俺。しかし、頭の中では先ほど菅さんが消えた直後聞こえた呻き声と何かが地面に倒れる音、吹田さんが菅さんに言った言葉といまだに戻ってこない菅さん。さらに呻き声が聞こえた後に暫くするとまた聞こえてくる、というこの状況。
誰も気にして無いようだし、俺も気にしまい気にしまいと思いながらもそれがものすごーく、気になってしまっていたのだった。
「近い」
「りょーかーい。気を付けて掘るねー」
たいして深く埋められていなかったのか10分くらいしてそんな会話がされる。
吹田さんはきっと幽霊から情報を得ているのだろう。でも幽霊って喋るんだろうか……ジェスチャー? まぁどうでもいいか。
「お――? 何か硬いものに当たったかも」
「ライトちょっと近づけてー」
「分かりました」
どうやら何かに当たったらしく、溜井がライトを近づける。
「んー……」
どこから取り出したのか小さいスコップや軍手をした手でその周りを掘り、ブラシで細かい土を落としていく。
「うーん……間違いなく人の骨ねー。じゃー傷付けないように周りを慎重に掘りましょーか」
「あいよ」
何か軽い言葉で再開される発掘作業。
正直なところ白骨死体と遭遇したくないのでここからは目を逸らさせてもらおうかな。
「これくらいで良いんじゃないか?」
「そーねー……完全に掘り起こすってなると時間もかかっちゃうから、後は警察にでも任せましょー。全体も見れたしねー」
「連絡、しますか? 警察に」
「普通の携帯は電波届かないんじゃないかな」
「あ……」
「大丈夫よー、後でレンがするから。普通の携帯だと色々バレるしねー」
「ああ」
「それに今すると下山中に警察と鉢合わせ、とかあるかもしれないし」
「確かにそれは避けたいですね」
「色々聞かれても面倒だしね……じゃ、俺は菅さんを呼んでくるよ」
「お願いねー。戻ってきたら宿に戻りましょう」
「そうですね」
どうやらようやく宿へと戻れるようだ。良かった良かった。
何よりも警察に色々聞かれないというのは有り難い。やっぱ面倒だし。
……でも恐らく犯人に顔を見られているんだし、今日は聞き込みだってしていた。本当に俺に警察の手が及ばないのか、それだけが心配だ。
「それじゃーシュンも戻ってきたし、宿に戻りましょう」
「はい」
「……」
「これでようやく落ち着いてゲームができるなー! あ、常もやる?」
「やります」
思いっきり伸びをする津出さんに誘われゲームの約束を取り付ける。
携帯の時計を見れば既に22時を大幅にまわり、宿までの時間などを考えればだいぶ遅い時間だ。疲れもあってゲームなんてする気力も体力も無くなっているかもしれない。
しかし、今は少しでも楽しいことを考えたかった。白骨死体があったという現実を忘れたかった。人が死んだのに面倒だと思う自分が嫌だった。
だから俺は、下山中に津出さんとゲーム談議に花を咲かせるのだった。
かくして、調査解決部は合宿の目的である「ミステリーサークルの調査」を終え、警察に何を聞かれることも無く、日程通りに無事帰還。
久しぶりの我が家は日常が戻ってきたことを感じさせてくれた。
だからこそ、せめて……せめて夏休み中にはもうこういった事と関わり合いになりたくない。
そう心に強く思う俺なのであった。
二日後、滑方さんの事件が少しだけニュースで流れた。
犯人はちゃんと捕まったらしい。
第12話 合宿とミステリー 完。
実をいうと、
今回の合宿の内容は最初の案では宇宙人関係を取り扱うつもりでした。
それでミステリーサークルは来年にしようと。
ただそうすると、
ちょっと不都合が出てしまうことが判明。
今年をミステリーサークルにしました。
さて今回はアンケートの最後。
特殊能力の有無(自己申告)。
特殊能力の認識としては「全ての人間に備わっているわけではない力」と言う感じで。
吹田……有り。
船井……無し。
津出……有り。
菅……無し。
溜井……無し。
室井……無し。
識……無し。
と言う感じです。
それでは次回は結構早く投稿します。
実を言いますと、
22話を書き終えた勢いで23話を書き終えました。
なので早めに投稿します。
……あ、
ちなみに3編構成ですが気分的なものもあって、
書き溜めを作らずになるべく早めで続けて投稿します。