時間がないので後編は明日かな……できる限り頑張ってみようとは思いますが。
そういえば今回のこの話は、
この物語の大筋を決める前に思いついていた3つの話のうちの1つです。
……だからなんだって話なんですけどね。
まぁ特に意味は無いです。
意味は無いので中編に行きましょう。
平成25年8月21日18:08
「……」
まずいな……何がまずいってとりあえず体調があまり良くない。さっきから歩いているだけなのにどんどん動悸が激しくなってきているような気がするし、そのせいで息も若干乱れている。痛みとかがないのが幸いか。
さらに進めば進むほど何て言うのか……上手く説明できないが俺の中のナニカが警鐘を強めているような、自分でも意味が分からないがそんな気がする。
「……大丈夫?」
客観的に見ても体調が悪そうなのか、心配するような声が聞こえる。
正直言えば大丈夫ではない……が、
「問題ない」
こんなところで何かを言ったところでどうにかなるわけでもない。ここまで来て引き返すのも癪だし、約束した以上は最後までやり遂げる。
「もしよかったら『エネルギーメイト』ならあるけれど、食べる?」
「いらない」
「さっき買ったばかりだから賞味期限は大丈夫よ?」
「んなもん食べたら口の中がパサパサになるだろ……馬鹿か」
というか下手したら吐く。
「体調が良くなさそうだから栄養補給した方が良いかと思ったのよ。それに水筒は持ってきているのよね?」
「どちらにせよ要らん」
「そう。でも無理はしないで」
「分かってる」
とは言うものの、少しキツイのも事実。耐えられないものではないし、途中で投げ出すのも嫌なので最後までやりきるつもりではいるが。
それにもし苦しくなってもほとんどの苦しさは「世界には今の自分よりも苦しんでいる人がいるんだ」「この程度は苦しいうちには入らないんだ」「俺はまだマシなんだ」と、思うことでなんとかなる。
今は大丈夫なのでそんなことを考える必要もないが。
「それなら出発……の前に、大分近いようだからコレを使ってみましょう」
そう言って取り出した黒い玉のようなもの。白い紐が付いている。
……爆弾じゃないよな?
「何だそれ」
「
爆弾ではなさそうだ。
「……それも吹田さんか?」
「ええ。犬って鼻が利くから、臭いをどうにかできる物がないか尋ねたらコレをくれたのよ。この機械もコレも置いてある場所が部室だったから学校に取りに行くことになってしまったけれど、依頼人の為だもの。念には念を入れる必要があるわ」
「で、使い方は?」
「火をつけた後に出てくる煙が臭いを消してくれる、らしいわ」
「その煙は吸っても人体に影響はない……よな?」
「部長曰く、無いらしいわ」
「そうか」
いやまぁ、元から人体に有害なものをそのまま渡す人とは思ってはいないけど……やっぱり気になるよなぁ。
「それじゃあ火をつけるわね」
言いながらライターを取り出し導火線に火をつけ、玉を持ち上げた。
自由の女神のマネか何かか? 元から頭はおかしいと思っていたが、唐突にそんなことを始めるとは。
「何で上に持ち上げてんだ」
「煙が空気より重いから上に持ち上げて使うように言われたのよ」
「そうなのか」
もちろん冗談ではあったが、どうやら正常だったようだ。
なんて思っている間に煙が出始めた。
「……」
「……」
「……」
「……」
煙がモウモウと立ち込める。
それはもう辺り一面どころか周囲一帯にまで……
……と、言うか出過ぎじゃね?
「ケム……まだ出んのかよ」
「思ったより煙が出るわね」
匂いも刺激も無い煙だから呼吸には問題はないが視界は白くなるし、なによりも時間が浪費されてしまう。
体調も万全ではないので早めに終わらせたいのだが……
「これは出終わるまで待たないといけないのか?」
「このくらい浴びていればその必要はないと思うけれど……コレを持って歩くのは気付かれてしまう可能性が高いわ」
「ならある程度近くまでいったら分かりやすい場所に置いて、帰りに回収しないか。時間がもったいない」
時間をかけたところで俺の体調がよくなるとは限らないし、最悪悪化する可能性がある。早めに済ませるに越したことはない。
「……そうね。コレによればまだ少し余裕があるからそうしましょう」
俺の提案に対し、溜井は少し思案してからそう答えた。
「と言うか犬は生きてるんだよな? さっきから真っ直ぐだが」
「少しだけれど動いているから生きていると思うわ」
「ならいいんだが……」
逃げ出した犬のくせに随分とおとなしいな……実は寝ているのか? だとすれば確保も随分と楽そうではあるが。
「じゃあ行きましょう。視界が悪いから気を付けてね」
「問題ない」
「そう。それならいいわ」
そうして俺たちは煙を纏ったまま移動を再開するのであった。
……心なしか先ほどより動機が早くなっているような気がする。
平成25年8月21日18:12
あれから数十秒くらいで煙は完全に収まり、回収する必要はなくなった。
歩き出していて正解だったな。
「だいぶ近いわね」
そして今はかなり近くまで来ているようだ。溜井も辺りを警戒してか小声で話している。
今現在空には月が出始め、辺りはそこそこ暗くなってきているので見え辛いが……この程度ならまだ捜索ぐらいは何とかなるだろう。
それよりも問題なのが――
「大丈夫?」
「問題、ない」
――この身体だ。
さっきから一切の痛みなどはないものの警鐘は強さを増している。まるで身体が進むことに拒否反応を起こしているみたいだ。
正直しんどい。
「でも顔色が悪いわよ」
「大丈夫、だ。心、配する暇が、あるならさっさと終わらせ、るぞ。近、いんだろ?」
「……無理はしないでよ?」
「分かって、る」
心配をかけて悪いとは思う。が、俺の自由と責任のためにもここで帰るわけにはいかない。絶対にだ。
「ならゆっくりでいいから、なるべく音を出さないように気を付けてね」
「……おう」
心臓が早鐘をうちながらも犬を探すため、なるべく落ち着けるよう努め辺りを警戒する。
暫く付近をウロウロと捜索。
「……」
「……」
「……」
「……ぁ」
と、ここで溜井が声を漏らし、木を背にして隠れるような行動をとる。
「いた――」
「静かに」
「……」
声をかけたら小声で力強くさえぎられた。
仕方がないので溜井の見ている方向を俺も見――
「……ッ!!」
――た瞬間に心臓が大きく跳ね、悪寒が走る。そして俺の中のナニカが今までの比でないくらいに警鐘を鳴らし、危険信号を発した。
ここにいてはいけない。
何故かは分からない。だが根拠のないソレを俺は明確に感じ取っていた。
しかし向こうにいたのはただの犬だった……そう、震えてはいたがただの犬のはずなのだ。そのはずなのに……。
「二手に分かれましょう。私が向こうから捕まえにかかるから、モリツネ君もそれに合わせて……ってモリツネ君?」
それはもはや無意識の行動だった。
向こうへと行こうとする溜井の手首を掴かむと、
「……ッ」
「ちょ、ちょっとモリツネ君?」
「逃げるぞ!!」
「え、ちょっと!?」
「いいからっ!!」
普段は絶対に出さないような大声で、俺は溜井を引っ張りながら本能のままに斜面を全力で下り出した。
平成25年8月21日18:17
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい……!
何がまずいのかわからないが、アレはまずい。責任とか自由とかどうでもいい、とにかくアレはまずいのだ。
途中で足がもつれそうになったがそんなことには構っていられない。とにもかくにも今は全力で下へと向かわなければいけない。
しかし体力が……限界、だ。
「ぜえ……ぜぇ……」
いまだに警鐘はなり続けるが俺はその場に立ち止まってしまった。今は下に行かなくちゃいけないのに……!
「ちょっと……モリツネ、君。どういう、つもり?」
明らかに俺よりは疲れていない溜井が手を振りほどき、やや怒ったように俺に問いかける。
その怒りはもっともだ。あのままなら犬を捕まえることができていたはず、なのに俺に邪魔をされたのだから。
だけど、
「知らねぇよ!」
「はあ!?」
「知らない……けど! けどとにかくマズいんだよアレは!!」
「どういう意味よ?」
「だから知らないつってんだろ。とにかく急いで下りるぞ」
俺にだった全く分からない。でもあれは危険だ。近づいちゃ駄目だ。今のうちに逃げなくてはいけない。現在こうしているのも本来は危険なのだ。さっさと溜井を連れて下りなければ……
自分でもわからないが、何故だか今の俺はそれらを直感していた。本能的に理解していたと言ってもいい。
多少息の整った俺は溜井を連れて再び山を下り始めた。
警鐘はいまだに鳴り続けている。
特に書くこともないので人物の大体の身長でも書きます。
吹田は170ちょい。
津出は170後半。
菅は吹田より少し大きい。
袖森は160後半。
船井は袖森より小さい。
溜井は船井とほぼ変わらないが、少し小さい。
室井は170の真ん中くらい。
識は船井とほぼ変わらないが、少し大きい。
津出>室井>菅>吹田>袖森>識>船井>溜井
こんな感じです。
では次回も書き溜めずに行きます。
……できれば今日中に。