扉の向こうの   作:招代

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何とか本日中に投稿できた……早番でなければもう少し余裕持てたんですけどね。

さて後編ですが、
今までが少し短めだった分、
今回は長めになります。
区切りの都合上仕方がないと思っていただきたいです。

それでは後編に行きましょう。



第13話 犬と直感と変化と 後編

平成25年8月21日18:21

「……モリツネ君は超能力者じゃないわよね」

 体力がなくなり歩いて下りる俺に溜井が声をかける。

「当たり前だろ」

「特異体質とか」

「ない、はずだ」

 それに関しては何とも言えない。あるかどうかなんて自分じゃ分からないし。

 

 第一今はそんなことを気にする暇はない。現在進行形で警鐘が再び強くなってきているのを感じているからだ。だけど、

「まずいな……」

「何が?」

「……」

 このままじゃ確実にまずいことになる。何がまずいかって言うと、アレから逃げきれない。急いでどうにかしないと……ならどうすればいい……どうすれば……

 

「……携帯だ」

「モリツネ君?」

 ……そうだ連絡だ。携帯だ。呼べばいい。誰を? 誰を呼べばいい。吹田さんか? それとも菅さん、識か? それとも別の人か……?

「……」

「ちょっと大丈夫? モリツネ君?」

 菅さん、識、吹田さんの順だ。それがベスト。なら急がなければ……いゃまて電波は届くのか?

 携帯を取り出し電波を確認するが無情にも圏外。

「クソが……」

「どうしたのよ、いきなり携帯を見て」

 というかそもそも俺はその人たちの連絡先を知らないじゃないか! まずいまずいまずい……どうする。

 

「……あ」

 そうだ……そうだよ。溜井(こいつ)がいるじゃないか。溜井なら連絡先を知っているはずだ。そうと決まれば、

「溜――」

 言葉の続きは出なかった。

 身を切り裂くような悪寒が全身を走り、直感的に俺は溜井もろとも真横へと大きく飛び込んだ。

「――危ね!」

「ちょっ……!」

 

 その刹那、俺たちのいた場所を何かが高速で駆け抜けた。木にぶつかったような音があたりに響く。

 

 すぐさま立ち上がり音のした方に目を向けると、呻り声をあげるナニカがいた。

 良く見えないが確実に異常な危険生物だ。

「な、何? 何の音!?」

「いいからとっとと立て!!」

 無理矢理に溜井の手を掴み引き上げる。

 どうするのがベストだ……逃げる? それは無理だ。だが少なくとも電波の届くところまで溜井を逃がさなければ俺の命がない。なら溜井を逃がすのが優先だ。

 なら俺は? 俺はどうすればいい……戦う? 無理に決まってんだろ! 別方向に逃げる? 逃げ切れるわけがない。むしろ溜井に危険が及ぶ可能性もある。避ける? ……それが一番可能性が高いか? 避けるのだけに集中すれば何とか避けれる気がする。それで時間を稼げれば菅さん達が何とかしてくれる。と、信じるしかない。

 普段では考えられないような思考速度で即座に判断を下すと、すぐさま行動に移す。

 

「何なのアレは……」

「知るかっ!! いいからとっとと逃げて菅さん識吹田さんに連絡! 圏外なんだよ、急げ、早くしろ!!」

 固まっている溜井を叱咤して、俺はバッグを放り捨て注意を向けさせるためにその辺に落ちている適当な石を拾い集め、その場を離れて石を一発投擲する。

 しかし外れてしまった。今だけはノーコンを恨むぞ……。

「モリツネ君は!?」

「俺は――危っ!」

 相手がこちらを向いたのを感じてすぐさま左方向へとダイブする。当たりはしなかったがどうやら注意をこちらに向けることに成功していたようだ。

 起き上がり素早く通過していったナニカに視線を移す。先ほどよりも近くにいる為に見えるそれは二足で立ち、人間のものではない毛の生えた体で、鋭い牙と爪を持っていて……その姿はまるで「狼男」のようだった。

 ……なんでやねん。何で犬を探しに来て狼男に遭遇しなくちゃいけんのだ。

 

 とか余計な考えている場合じゃない。急がなければ。

「大丈夫!?」

「いいから引き付けてんだからとっとと逃げろよ! 俺は連絡先知らねぇんだよ!!」

「知らないの!?」

「知ってるわけないだろ!」

「偉そうに言わないでよ! それに危険よ!」

「知って……るっ!!」

 再び真横に飛び退きそのまま地面を転がり距離を取る。

 あーくそ、こんな無益な言い争いしている場合ではないって言うのに……もうどうでもいいから、ごちゃごちゃ言ってないで早く連絡してくれよっ! 俺が死ぬだろ!!

「いいから逃げろよ! とっとと逃げろよ!! お前しか連絡先知らねぇんだよっ! 俺が死ぬだろ! どんどん死ぬ確率高まってんだよ馬鹿かっ!! アホかっ! 早く連絡しろよ!」

「でもっ!」

「早く!!」

「……ッ!」

 自分の命がかかっているだけにもう必死どころではない。ましてや面倒だのほざいている場合でもない。このままでは本当に死んでしまう……!!

 

「……分かったわ。すぐに戻ってくるから! 絶対に、絶対に死なないで!!」

「分かったからとっとし――うおっ!」

 溜井が走り去って行く音を聞きながら転がるように突撃を避けると、元いた場所の後ろの木に狼男の爪が突き刺さる。

 そのままミシミシと音を立てて木は倒れていく。

 

「ぇー」

 ……あんなのに当たったらマジで死んでしまう。いくらこれしか生きる道がないとしても勘弁しろよ……。

 

 でも溜井がいなくなった今、避けることだけに集中することができる。不幸中の幸いにも火事場の馬鹿力と言うか、死ぬ瞬間にスローに感じるアレと言うかそんな感じのおかげなのかは知らないが、いつもより体とかの動きが良い気がする。

 だからって命の危険なことには変わりはないし、ましてや本当に運動能力が上がってるのかなんて分からない。それでも避けるしかないって言うんだから酷い話だ。

 ホントにあんな取引をした自分を呪いたい。

 

「っと! ……危な」

 そんなことを考えている間にも関係なしに突っ込んでくる狼男。

 少しは休ませろと思いつつも、何とかまた横っ飛びで躱したが……マジで余計なことを考えている場合じゃないな。

 

 今はとにかく体が動く限り避けまくって時間を稼がなければ……!

 

 

 

 

「はっ――ぜぇ……はぁ」

 そんな決意をしてからどれくらい避け続けたのか……時間にして10分にも満たないはずだが物凄い長い時間避け続けている気がする。

 緊急回避により地面にダイブしまくった俺の服と体は土と汗で汚れまくり、ボロボロだ。大きな怪我はないが擦り傷打ち身で体中が痛い。長袖長ズボンなのが幸いか。

 しかも辺りは大分暗くなってきて視界がかなり悪い。相手の動きも最初よりかなり良くなってきていて動きが細かくなった気がする。

 

 そう思うのは俺の体が痛みと疲れで鈍ってきているのもあるのだろう。酷く体が重い。

 今だけは馬鹿体力のムロが羨ましく思えるな……なんて、考えてしまっている辺り末期なのかもしれない。

「ははは……」

 自然に自嘲がこみあげてくる。

 

 そろそろ走馬灯が見えてもおかしくないかもな。

 

 縁起でもない言葉が頭に浮かぶが現状、いつそうなってもおかしくは無い。

 今の体力が切れた体では横に跳ぶことも出来ず、半ば倒れるようにして地面を転がって相手の暴威を避ける。

 こんな状況ではもうそろそろ死ぬかもしれない。

 

 それでも気力を振り絞り立ち上がるが、相手はもう動き始めている。

 何とか避けようと、体を動かそうと、足を動かした。

「――は?」

 つもりだった。

 今までのことが全て嘘だったかのように全身から力が抜け、視界がぼやける。動かそうとした足はまともに動かずにもつれ、俺はその場に躓いてしまった。

 そして……そんなことに構うはずも無く、無情にも目の前で狼男が鋭利な爪を振り下ろす。

 

 あ、死んだな。

 

 反射的に目を瞑り、それを見ることもできない俺の脳裏をそんな思いが過る。

 

 ……しかしそんな思いとは裏腹に、俺の心は酷く穏やかで、先程まで鳴り響いていた警鐘は鳴りを潜めていた。

 

 

 暗闇の中、次に俺が聞いたのは自分の体に爪が刺さる音でも骨が折れる音でも無く、激しい衝突音のようなものと激突音。時間差で木が倒れる音だった。

「……?」

 どうやら俺は死んでいないらしいので、ゆっくりと閉じた目を開けて前を見るとそこには……菅さんがいた。近くに狼男は見当たらない。

 

「っはあぁぁぁぁ……」

 さっきとは違う意味で全身から力が抜け、安堵感から自然に口から息が漏れる。

 た、助かったぁあ……マジで死ぬと思ったもんな……って、まだ助かったと決まったわけでもないのか。

 ……いやでも菅さんが来たならもう大丈夫だろ。あの人よく分かんないけど気とか使えるみたいだし、どのくらいかは知らないけどとりあえず強いし。さっきの音だって恐らく狼男を吹っ飛ばした音に違いない。

 

 とにかく今は体を休めよう。気が付けば菅さんが消えて何処からか打撃音のようなものが聞こえる。

「モリツネ君大丈夫!?」

「あ、ああ……何とかな」

 唐突に声をかけられて驚いたが溜井か……足音にも気づかないなんて気が抜けまくってる証拠だな。

 まぁ、でも今は良いよな……。

「良かった……動ける?」

「動けはするが少し休憩させてくれ……」

「そう、ね。狼男の方は菅先輩や識君がどうにかしてくれるから、モリツネ君はそれが終わるまでゆっくり休んでて」

「……そうか」

 それならもう大丈夫だな……お言葉に甘えてゆっくり休もう。

 汚れも気にせず地べたに仰向けになり目を瞑る。それだけで体中の疲労が取れていくような気がした。

 そのまま俺の意識は落ちていく。

 

 

 

「起きてる? モリツネ君」

「ん……」

 溜井に声をかけられ、若干の痛みをこらえて起き上がり目を開ける。そこには菅さんと識がいた。

「……あ、終わったのか?」

「はい。あの犬も今は気絶して元の姿に戻っています」

「元の姿?」

 識の言葉に狼男と合う前に見つけた様子のおかしい犬を思い浮かべる。

「ええ。どうやらあの狼男は私たちの探していた犬だったらしいわ」

「そうだったのか……」

 何となくそうだとは思っていたが……まさか本当にそうだったとは。世の中何処に妖怪がいるのか分かったものじゃないな。

 

「つまりあの犬は妖怪だったってことか?」

「そうですね。ですがまだ妖怪になって余り経っていないんだと思います」

「そういうのも分かるの?」

「いえ、直接にはわかりません。ですが、どうやらいわゆる狼男のようでしたので。恐らく満月の夜に妖力が増えるタイプだったんだと思います。その急に増えた妖力を制御できず暴走してしまったのではないかと」

 なるほど……確かに空を見上げれば満月が見える。探すのが夜に被ったのが一番不味かったのかもな……でも、それより前に見つけてたら依頼人とかが危なかったのかもしれない。

「もしかして……あの犬はそれを知っていて、あの家からこの人気の無い山まできたのかもしれないわね」

「それは聞いてみないと分からないですけど、その可能性は高いかもしれません」

「そう……」

 

「で、あの犬はどうするんだ? このまま返しても良くないと思うんだが」

 結局同じことの繰り返しになったら意味ないしな。いつ人的被害が出るとも限らない。

「そうね……識君、暴走を抑えることはできるの?」

「そうですね……暴走に関しましては妖力の扱いに慣れるしかありませんので、次の満月までに慣れさせるしかないですね。ですが今は応急処置をしたので念のため動物病院に送ります。溜井先輩、あの犬を飼っている家の住所を教えてもらっても良いですか?」

「ちょっと待っていて……」

 バッグから紙とペンを取りだし住所を書いている。

 

 ……そう言えば俺のバッグは?

「そういや俺のバッグを知らないか?」

「それならここにあるわ。それと識君、これが住所よ」

「ありがとうございます」

 溜井が識に住所を渡し、俺にバッグを渡す。

 最初に放り捨てたからかバッグの方はそこまで汚れていないようだ。

 

「それでは、僕はあの犬を病院に送ってきます。そこで問題が無ければ明日からでも妖力に慣れさせていきたいと思います」

「お願いするわ」

 そうして識は向こうの方へと歩いて行った。

 どうやらあっちの方で犬が気絶しているようだ。

「そういや吹田さんはいないのか?」

「部長はあの犬を見ているわ」

「そっか」

 あの人はもしかしたら来ないかもしれないと思ってたが来たようだ。きっと狼男に興味があったのだろう。

 

 それから少しして吹田さんが戻ってきた。

「帰るぞ」

「はい。モリツネ君、歩ける?」

「問題ない」

 だいぶ疲労も回復で来たし、歩く程度なら問題ないだろう。

 ……問題はどうやって帰るかだ。

「下に車を用意してある。場所は伝えてある。1年はそれで帰れ」

「あ、有難うございます」

「助かります」

 良かった……流石に家までの距離を帰るのは厳しいかもしれなかったからな。

 

 そして俺たちは山を下り始めた。

 

 

平成25年8月21日19:15

 途中で何回も溜井に心配されたが、無事に下に到着。

 そこには確かに車が一台停まっていた。

「あれで帰れ」

「分かりました。今日は本当に有難うございました」

「有難う御座いました」

 溜井にならって俺も頭を下げる。

 今日は命を助けてもらったのと同じようなもんだし、ホント感謝してもしきれない。特に菅さんには。次学期からはもう少し変人だの人外だのなんだのを思うのを控えて、分かろうとしよう。そうしよう。

 

「……」

 その菅さんが俺の前に来て何かの容器を俺に差し出している。

 ……受け取れという事だろうか?

「あ、はい……えっと、くれるんですか?」

「……」

 無言で頷いたことから、どうやらくれるそうだ。

 なので何かは分からないがとりあえず受け取ってラベルを見ると、『傷薬』と書かれている。塗り薬かな?

「有難うございます」

「……」

 感謝すると「気にするな」とでもいう風な動作をする……恐らくは。

 それならこちらも気にする必要はない。と、思う。

 

「それでは帰らせていただきます。お疲れ様でした。おやすみなさい」

「お疲れ様でしたー」

「……」

「ああ」

 もう一度礼をして後部座席へと乗り込む。

「それではお願いします」

 ドアを閉め溜井がそう言うと、車は俺達の家へと出発した。

 

 

平成25年8月21日19:28

 走行中の車内で俺は困っている。本当は眠っていたいのだが、重い空気が隣からしてきて眠るに眠れないからだ。

 ……なんとなく理由は想像つくけどな。

 どうにかしたいけど、俺がどうすればいいのか分からないのでどうにもできない。

 

「その……」

 すると重たい空気の中、下を向いていた溜井がようやく口を開いた。

「今日はこんなことに巻き込んでしまってごめんなさい。それに……軽いとは言え怪我もさせてしまったし……本当にごめんなさい」

「気にすんな」

 やっぱり予想通りだな……気にする気持ちも分からないでもないが、それは気にされると俺的にあまりいい気分ではないし、今後もそんな気分を引きずられては面倒すぎる。

 それに眠れないからさっさと重たい空気をしまってもらいたい。

「でも……! もしかしたら死んでしまうかもしれなかったのよ」

「別に死んだとしても、あれは俺が自分で選んだことだ。その行動の責任は俺にある。だったらそのことで他の人を責めるは違うだろ。それと同じで、今回の手伝いを受けたのだって俺の意志で決めたことだ。何が起こってたとしても人のせいにはしないっつーの」

 正直こんなことを言うのは恥ずいので言いたくない。言いたくないが、こんなことでも言わないと俺では納得させられそうな言葉が分からない。

 これで納得させられなければ無理矢理にでも納得させよう……できるかは分からないが。

 

「だとしても――」

 納得しないのか。ならばまくし立ててからの強硬手段だ。

「うっさいな……そんなに責任を感じたいならお前はムロの夏休みの宿題をちゃんとやってればいいんだよ。それでも足りないんだったらこの重い空気をどうにかしてくれ。疲れてるから眠りたいんだ。それでも足りなければその内どっかで恩を返せ。いいな? 分かったな? じゃあ俺は寝る」

「え、ちょっ」

「……」

「えっと……」

「……」

 重たい空気も溜井も無視して、有無を言わさず目を瞑り「眠ってますよ」的体勢を取る。

 このくらい無理矢理しないと溜井を納得させることは、俺にはできないかもしれない。そしてこれでも駄目なら時間が解決してくれるのを待つしかない。非常にそれは面倒ではあるのだが……解決するまでギクシャクするわけだからな。

 そうならない為にも、とにかく今は無視を続行する。

 

 

「……はぁ」

 暫くの間迷っているような声が聞こえたが、ようやく折れたのか諦めたような息を吐くのが聞こえた。

 ……いけるか?

 

「ありがと、モリツネ君」

 その言葉で重たい空気が和らいだような気がした。

 ……俺が嘘寝だと気づいているのかいないのか分からないが、これは聞いてなかったことにしよう。こんな感じで感謝されたことなんて無いから慣れていなくて、何か照れる……さっさと寝よ。

 

 

 その後、俺の家に着くまで時々視線は感じたような気がしたが、溜井が話すことは無かった。

 

 

平成25年8月21日20:24

 どうやら家に着いたらしく、溜井に起こされた俺は車を降りて思いっきり伸びた。

「んー……いててて」

 固まってた擦り傷が開いたのか痛みを感じたが、大したものではない。それよりも大事な事を思い出して車内に振り返る。

「あぁ、ムロの宿題のことだが最終日の朝8時頃に(うち)に来い。昼飯は(うち)で出すし」

「……モリツネ君の家でやるの?」

「あいつは自分ちだと集中できないからな。しょうがない」

「そ、そう。なら仕方ないわね……じゃあ最終日の朝8時に来るわ」

 何故か溜井が少しぎこちない。

 ……吊り橋効果? いやいや無いか。もしそうだとしても夏休み中に消えるだろうから問題ないな。

「ああ、任せた」

 

「えっと、それじゃあ……おやすみなさい。ゆっくり休んで」

「分かってる。おやすみ」

 別れの挨拶をして車のドアを閉めると、車は溜井の家へと向けて出発した。

 

 それを見送ってから玄関を開ける。

「ただいまー」

 学校に行っている時間より短かったはずなのに、この時の俺には凄く久しぶりに家に帰って来たような感覚があった。

 

 

 

 その日、あまりにもボロボロな俺の帰宅に家族は驚いたが「山で盛大に転んだ」と言ったら、思いっきり笑われそれ以上追及されることは無かった。

 風呂に入った後に塗った傷薬は沁みたが、翌日には筋肉痛はあったが傷の殆どが治っていたので良い薬だったのだろう。擦り傷ばかりだったのもあるとは思うが。

 問題は昼頃に送られてきた溜井のメールである。その文章によるとなんと、俺達を乗せていたあの車は自動操縦で、運転席に乗っていたのは人形だったらしい。

 

 ……何やってくれてんですかあの人は。

 昨日の今日でもう悪態をつく俺なのであった。

 

 

 

第13話 犬と直感と変化と 完。

 




袖森にはわからないことですが、
今回の助かったのは袖森の第六感が大きく関係しています。
それについてはそのうち、
袖森の設定でも載せた時に説明したいと思います。
……まぁなんとなく分かるとは思いますけどね。

さてさて次回からは暫く日常が続きます。
平和っていいですよね。

では次回は24話を書き終えたらです。
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