を、
何とか乗り越えて現在は復旧済み。
まぁ正確には扇風機ではなくて、
扇風機のプラグを差し込むコンセントの方が駄目になっていたんですけどね。
そんなこんなで地獄を乗り越え一安心したところで、
15話を投稿します。
平成25年9月3日12:57
「あーいたいた。ムロ・袖森、ちょっといいか?」
「ん?」
「おう、いいぜ」
昼休み。
弁当を食べ終えたところに、教室に入ってきた級長が俺達を見つけて声をかけてきた。
級長はそのままこちらに近づいてくる。
「実は文化祭の出し物の話なんだけどな」
「あー……」
もう嫌な予感しかしないその言葉に俺の心は一気に曇った。窓の外はウザったいほどに晴れているのにな……ハァ。
「もしかして被ったか!?」
「いやそこは何にも問題なかった」
「うっしゃあ!!」
「あんなの被るわけないだろ……話が進まないから黙ってろ」
こんなことで喜べるんだから良いよな……そこが良いところではあるが、うっとおしい。
「で、何なんだ」
ムロが黙ったので話を進める。このままじゃ貴重な昼休みを浪費してしまう。
「あ、そうそう。出し物の内容の件なんだが」
「何か問題があったのか?」
「いやそこは大丈夫だった。全く問題なし」
「だろうな」
まぁ景品を常識ある物にして安全面をしっかりと確保すれば、内容には問題は出ないはずだよな。
「アレだ。それぞれの種目でランキングを取るだろ? で、そうやすやすと景品を渡さないために俺たちのクラスの中からも、その種目で一番の奴にその場にいてもらって挑戦してもらう訳だ」
「不正を疑われても面倒だしな」
つまるところ種目の一番の奴は店番も兼ねることになるわけだ。もちろん他にも店番はいる予定だが。
「それでその、だな。それぞれのクラスで一番の奴なんだが……」
何やら言い淀む級長。
……なんか嫌な予感しかしない。
「クラスの体力測定の結果を先生に見せてもらったんだが……長座以外全てムロが一番だったんだよ」
「マジでっ!? よっしゃあ!!」
「あー……」
一番で嬉しかったのか「黙っとけ」と言われたことも忘れ喜ぶムロとは対象に、俺は無機質な天井を仰ぐ。
「お前分かってるのか? お前が長座以外一番ってことは、長座の時以外は店番してないといけないんだぞ」
「あ」
喜んでいたムロが今頃理解して固まる。
「つまり文化祭をまわる時間がかなり少ないんだぞ。部活の方もあるだろ?」
「え、マジで? どどどどうしようモリツネ!? 俺も文化祭まわりてぇぜ!」
言いながらムロが俺の腕を掴んでガクガクと揺らしやがる。うっとおしいったらありゃしない。だから、
「諦めろ」
「そんな!」
切り捨てる。
「と、言うのは冗談だ」
「おおう、驚かせんなよー」
脱力するムロは無視するとして、どうするかな……流石にこれではムロが気の毒だ。それにそんな状況になったらムロとは言えテンション下がって全力を出すのは難しいだろう。良い記録が出ない可能性が有る。
それは出し物を出す身としてはやってはいけないだろう。責任放棄も良いところだ。
「仕方がないからムロと僅差で2番目の奴とかはいないのか? 僅差ならムロと変えてもさほど問題は無いだろ」
「あ~……気にしてなかったから分かんねーや。また放課後にでも見せてもらうとするわ」
「ああ、そうしとくといい」
「おう。サンキューな」
「気にすんな。じゃ、ムロは店番頑張れよ」
「任せとけって!」
よし、激励もしたしとりあえずはこれで話は終わりか。早々にゲームに移るとしよう。
ケースからイヤホンを取り出してゲーム機に電源を入れて接続。画面がついてメニューが表示される。
まぁ俺も仕事分担の戦争に負ければ店番になる可能性はあるのだが……願掛けみたいなものだ。悪いことを考えると悪いことが起きやすいと言うしな。
……逆にフラグじゃね? とか思ってしまったりもするけど、大丈夫だろう。
「あー……まだ話は終わってないんだけど」
「……まだ終わってなかったのか」
仕方なしにゲーム機を机に置いて、イヤホンをつけようとした手も机におろす。
「非常に言いにくいんだが……袖森」
「何だ」
「長座の一位はお前だぞ」
「何だ……と」
衝撃の事実にイヤホンが手から抜け机の上に音を立てて落ちる。
絶望の最中、僅かなその音がやけに耳に響いた気がした。
「おっ、スゲェじゃん! 良かったな、モリツネ」
ムロの声で正気に戻った俺は「良くねぇよ!!」という言葉は飲み込んで、現実を受け止めるよう試みる。
つまり……つまり、何だ。俺が長座で一位を取ってしまったせいで、俺は一番やりたくなかった店番決定という事なのか……?
何という事だ……動くのが面倒くさくて動かずに物がとれるように得た柔軟性がプラスならともかく、マイナスに働こうとは誰が予想できたか。
……しかしなってしまった以上は嫌でも面倒でもやらなくてはいけない。ある意味俺が提案者とも言えるわけだしその辺踏まえてキッチリしないと駄目だよな……本当の本当に嫌だけれども。
「……しょうがないか」
溜息をついてそう呟く。やる気は出ないが責任は果たさないとな。
「あ、ああ。やってくれるのか」
「まぁ……そうだな」
「なら良いんだが……本当にいいのか?」
俺の出している面倒臭いオーラを感じ取ったのか、級長が再確認してくる。
こうあからさまに態度に出せば流石に伝わるか。でもまぁ、
「一位なんだし仕方ないだろ」
そう、仕方ない。仕方がないんだ。
こうやって自分に言い聞かせるくらいしか今の俺には出来そうもない。
「まぁ本人が良いって言うならこっちとしては何も問題ないんだけど……いいのか?」
「いいぞ」
なるべく面倒くさいオーラを出さないように返事。
「それなら長座の時の店番よろしくな」
「ああ」
「ムロも、何個になるか分からないけどよろしくな」
「おう。任せとけって」
さっきまでの嫌がるそぶりも無く胸を叩いて返事。
まるで俺とは対照的だな……こいつは対人とかで苦は無いだろうし当たり前と言えば当たり前なのだが。
「じゃー……詳しく決まったらその時にまた伝えるし」
「おー」
そのまま級長は教室を出て行った。恐らく体力テストの結果を見るために、先生にでも会いに行くのだろう。
……ま、もう俺には関係ないな。ゲームしよ。
机の上に落ちたイヤホンを拾い直し装着。ムロは勝手に体育館に行くなり、ここで寝るなり何かしらしているだろう。放っておこう。
その後、特にムロは邪魔してくる様子も無く平穏無事に昼休みが終わった。
平成25年9月3日16:33
「そう。それで、結局モリツネ君も店番になってしまったのね」
「不本意ながら」
いつも通りの部室。俺は今日出た宿題を学校にいる間に終わらせている最中で、吹田さんは向こうの部屋にこもっているし、船井さんは緑の多い写真が載っている本を笑顔で読んでいる。津出さんはゲームばかりだし、菅さんは音楽聞きながら読書。そして溜井は勉強をしながら俺に話しかけていた。
別に話しかけてくることは多少面倒なものの、ムロで慣れているので何も問題は無いのだが、ここ最近多い気がするのは気のせいだろうか? もしかしたら文化祭シーズンだし探偵らしく、文化祭に関する情報でも集めているのかもな。
「でもモリツネ君。そこまで体が柔らかかったのね」
「昔から動くのが面倒だったからな……なるべく動かないで物を取ろうとしてたら何故かこうなった」
大した自慢にもならないが、苦も無く頭の後ろに右手を通して右耳を触ることもできるし、背中で合掌もできる。股裂きも余裕だ。
「面倒くさがりも、そこまで行くと素直に凄いと思えてしまうわね」
「今回はそのせいでこんな事になってんだが……」
「それでも断らなかったのでしょう?」
溜井の言葉にシャーペンを止める。
……分かられているような発言は非常に癪ではあるが、事実そうなので否定はできない。
「……面倒だけどな」
だから、なるべく面倒くさいオーラを出しながらそう言って、俺はシャーペンを動かし始めた。
……そんな俺を、少し笑いながら見る溜井の顔が妙に気になってイラついた。
平成25年9月3日21:25
夕食や風呂や歯磨きを終えて自室へと戻ると、そのままベットへと倒れ天井を見つめる。
「はぁ……」
溜息しか出ない。
理由は明白で、店番になってしまったからだ。
「はぁ……」
家族には店番になった事は言っていないが、ムロからばれる可能性は有る。でも口止めしても無駄だろう。あいつ嘘が下手だし。
バレないことを祈るしかないが、祈るしかできないのなら恐らくバレる。
そもそも家族が文化祭に来なければ何も問題は無い。そして言えることは、父は来ないが他2名は来るだろうという事。
特に、妹はうちの高校を志望している。ムロより馬鹿じゃないし、再来年には無事入学しているだろう。
だから文化祭を見てまわりたいと以前から言っていた。絶対に来るんだろうなぁ……
「……」
もう溜息も出ない。
ホント、嫌だなぁ……。
でもやらないといけない。
気分を変えるためにも俺は上半身を起こして、ゲームを起動する。テレビに映るゲーム画面は、今だけ沈んだ気分を消してくれた。
平成25年9月17日17:08
俺の店番が決定してから早2週間。周りはにわかに文化祭へと向けて活気づき、準備で疲れている人や浮かれている人を見かけることが多くなってきた。
そんな空気とは対称に、俺たちのクラスは準備するものも特にないので気楽なものだ。店番である俺やムロなどはなおさらすることが無い。
……ムロと言えば、結局ムロは反復横跳びと立ち幅跳びとなり、他は2番目の奴らが担当することとなった。俺も体力テストの結果を見たが妥当だと判断した。
まぁ、とにかく。俺は今やる事がない。つまりは文化祭が近いからと言って特に普段と変わったことをするでもなく、部室でグータラダラダラとゲームに勤しんでいる。
やっぱり楽に越したことは無いよなー……あー暇って良いなぁ。
「随分とだらけきっているわね」
「別にいつも通りだろー……」
いつもの距離で座る溜井が呆れるように言うが関係ない。俺は投げやりに答えた。
「はぁ……せめてもう少し、しっかりしたらどう?」
「いいんだよ……店番でしっかりしないといけない分、今は普段よりダラケててもー……」
「……自覚してはいるのね」
「……」
ゲームを止めて溜井を見る。
「……まぁ、何だ。他の人もいつも通りだしいいだろ。菅さんと船井さんはいないけど」
「菅先輩は力仕事に駆り出されているみたいね。船井先輩はお化け屋敷を手伝っているらしいわ」
「あ、そう」
菅さんが力仕事に駆り出されるのは分かるが……なぜ船井さんがお化け屋敷を手伝っているのか?
「あー、千利乃はグロイ特殊メイクとかゾンビマスク作るのとか得意だからさ。お化け屋敷にとっては重宝するんだよ」
と、俺たちの話をゲームしながら聞いていた津出さんが説明してくれる。
「そうなんすか」
なるほど……もしかして船井さんってそういうのが好きなのか? それなら時々気になってたことに説明がつく。
つまり、船井さんはグロイものが好きってことだ。いや、死んだふりとかしてたし死体が好きなのか? どっちでもいいけど思い返してみれば、そこの本棚にもそういう感じの本があったしな……あれ船井さんのだったのかぁー……死んだふりを除いても変わり者だったわけだ。
と言っても性格はいたってまともだし、気にすることも無いか。
「津出先輩は文化祭の準備は大丈夫なのですか?」
「俺は会計みたいなものだからねー。その程度ならいつ来てもすぐ終わらせられるし、今のところは会計が必要なことも無いしね」
「そうなのですか。ところで――」
溜井の会話先が津出さんに移ったのを確認して、ゲームに意識を戻す。これで暫くは安心してダラけていられるだろう。
……とは言え、こうしていられるのも一週間と少し。精神的体力の補充期間としては十分だ。が、
「……はぁ」
やっぱり嫌だなぁ……。
第16話 面倒くさがりの末路 完。
書きたい書きたいと思いつつも、
どうにもやる気が出ない今日この頃……というかいつも通りですね。
個人的な目標としては今年中には終わらせて、
次の奴を書き始めたいんですけど……どうだかなぁ。
正直できる気はしないんですよね。
今ようやく書き始めている所で新年あたりですから。
あと半分以上もあるわけで……半年で書くなんて言うのは昔ならいざ知らず、
今はちょっと……。
……結局は自分のやる気の問題ですよね。
言い訳にもならない。
とりあえず次回は27話を書き終えたら載せます。