タグに無い超能力に関してですが、
この世界では超能力は一般認知されているので扱う予定はありません。
それと超能力物質を通さない物質……まぁ反超能力物質としましょうか、
それをほとんどのものに入れることが義務化されています。
そして入れてない物質を手に入れるには面倒な手続きが必要になっています。
超能力に関する扱いはこの辺りにしておいて、
後編に行きましょう。
平成25年4月10日15:58
「レンー。入るよ」
ガチャっとノブを回す音がして……って、引き戸かよ!
「スライドドア、なのですね」
「場所を取らないだろ」
俺と同じで驚いた様子の溜井に、部屋の中にいた吹田さんはこちらも向かずに淡々とした様子で答えた。
でも確かに場所はとらない。
それにしても……
「何かよく分からないものがいっぱいあるんですが」
わかりそうなものと言えば顕微鏡とかくらい。
吹田さんは一体ここで何をしていたんだ。
「そうねー。専門的なものとかが多いから私たちじゃ説明できないし、興味があればレンに直接聞くといいよ。その間に届け出を顧問の先生に出してくるねー」
「達って俺も?」
「もちろん。シュンもここの説明はできないでしょ」
「いいけどさ」
「じゃ、行ってくるねー」
「わかりました。いってらっしゃい」
顧問いるんだな……当たり前か。
そして津出さん、ゲームをしながら歩くのは危ないと思います。
「今まで部長は何をしてたのですか?」
二人が去った後、溜井がパソコンでよく分からない作業をしている吹田さんに問いかけた。
「指紋登録と鍵製作」
指紋? 鍵? いゃ鍵はまだわかるが何で指紋。
「指紋、ですか」
「指紋だ」
「何のためにですか?」
「部室は指紋認証と鍵の二重ロックになっている。鍵は出来たから渡しておく」
指紋認証に自作の鍵とかえらく厳重だな。
で、受け取ったわけだが、受け取ったわけだが……
「……」
「これは何ですか?」
「鍵」
いや鍵と言ってもこれは……隣も困惑してるし。
「どう見てもプラグにしか見えないのですが……」
「鍵だ」
「鍵、ですか」
「鍵だ」
「……そうですか」
溜井はどうやら納得したようだ……押し切られただけかもしれないが。
だがしかし、
「……ここは秘密基地かなにかなんですか?」
どう考えても部室に必要なものとは思えない。
「部室だが?」
いや頭では分かってるんだが、どうにもこうにも……。
「ですが、どうやって使えばいいのでしょう」
「ドアノブに差し込んで回せ。両端にチップが入ってる」
「だったら普通の形でいいんじゃ……?」
正直そう言わずにはいられない。
「誰も鍵とは思わないだろ」
「いゃ……まぁ、そうかもしれませんけど」
「ならこの方が安全だ」
「そう言われればそうですね」
隣はなぜか納得したようだ。
……まあ、見た目は本当にただのプラグだし、鍵屋がこれを作れるのかも疑問だ。確かに安全なんだろう。納得するしかない。
と言うかもう面倒だし深く考えない方が良い気がしてきた。
「何か質問は」
「特にないです」
「私はあります」
「何だ?」
余計なことを……そう思いつつも、質問がある以上は仕方ない。
でも俺は関係ないだろうし向こうの部屋に行ってていいのだろうか。特に聞くこともないし、面倒なんだが……ただ立ってるのが。
でも話の途中だしなー……。
「ここにあるものも自由に使っていいのですか?」
「良いが使い方を俺に聞いてからにしろ。壊されても直すのは俺だ」
「わかりました。どのようなものがあるのか聞いても良いですか?」
「顕微鏡、照合機、分離機、盗聴器……」
……やっぱり俺には必要なさそうだし、聞いてるのが面倒になってきた。
「俺は先に隣に戻ってますね」
なので、聞いているかは分からないが一応断ってから俺は隣に戻った。
平成25年4月10日16:06
「あ、説明終わったー?」
「溜井がよく分からない機械の説明を受けています」
もうこの人たち戻ってきたのか。早いな。
まぁそれは置いておいて、周りを見ると津出さんと船井さんはソファに座ってゲームをしている。菅さんは本を読んでいるようだ。
なら俺は何してよう。
「……」
まだゲームは持ってきてないし……本でも読んでよう。何かあるだろうか。いゃ、これだけあれば何かしらあるだろう。
……なにせ天井まであるんだから。
そして本棚に近づくとあることに気づいた。
「ん」
この本棚、後ろにもう一つある。
……どうやって動かすんだ? よく見ると天井と床に溝があるのでここを動くのだろう。横を見ると横の壁に3つのボタンがあるがこれが操作パネル、か?
一応聞いてから操作するべきだな。
「すいません。この本棚どうやって動かすんです?」
「あーそれね。前に出したい後ろの棚と同じ場所のボタンを押せば前に出るよ。あ、それと。持ってきたい本あったら持ってきて空いてるとこに勝手に入れていいからー」
「了解です」
まぁ、まずは前列を探すべきだよな。
と言っても、ジャンルはバラバラだし探し辛い。恋愛漫画のとなりに猟奇小説があるとか、もう少し並びを考えたらどうだろう。
「それにしてもなんかねぇかな……」
むしろあり過ぎて困るので端から見ていくと……
「……ふむ」
『樹海の落し物Vol.1』『ゲルゾル入門』『家庭でできる自作爆弾』『旬の野菜で作るまごころ料理』『幻影機甲』『パンチドラッカー』『歴史の裏側』『FOOL』『本当にあった都市伝説』『懐かしのあの名曲・歌手大全』『催眠療法』『砕け散った青春』『デストロイ』『世界終末論争まとめ』『ほめごろし』『写真でわかる正しいミイラの作り方』『愚の骨頂』
「……」
なんかヤバいのまじってないか。
……ちなみに菅さんは何を読んでるんだろうか。
『春夏秋冬 ~お盆~』
あ、まとも。
さて、俺はどうするかな……あぁこれにしよう。『トワイライト』だ。前少し読んで読み切れてなかったんだよな。
席はー……端で良いや。
そして溜井と吹田さんが向こうの部屋から戻ってきて暫く、ようやく読み終わって携帯の時計を見ると時間は午後5時45分を表示していた。
そういやこの部活いつ終わるんだ?
「そういえばこの部活って終了時間とかあるんですか?」
「いつでも帰っていいし来てもいいよー。むしろ来なくても誰も文句は言わないから。あー、でも残っていい限界は8時だから。これは覚えといてねー」
「了解です」
どうするかな……せめて6時まではいよう。
ってことは後15分ほど暇をつぶさないとか……読み直そう。
そして時間になったので本を返した俺は立ち上がって周りを見回し、
「そろそろ帰ります」
一応礼儀として声をかけてから帰ることにした。
「なら連絡事項。今日の深夜0時暇な奴は学校のグランドに集合。撤去作業を行う。主に力仕事だし部外者を連れてくるのも可」
自由参加か……どうする。正直暇だが面倒だ。しかし自由参加とはいえ部活動。入った以上「面倒だから」なんて理由でサボるわけにはいかない。
それにやっぱり気になる。
「わかりました」
そう言って俺は出口に向かい部室を出た。
平成25年4月10日18:01
俺は歩きながらふと思い出す。
「そういえばあいつからのメール来ないな。もしかしてもう普通に活動しているんだろうか……」
待つか待たないか、こっちからメールを出してみるか。
「……面倒だな」
帰ろう。メールが無いという事は終わっていないってことだ。
「……忘れているだけならあいつの責任だしな」
誰に言うでも無く独り言を呟く。
それに放置して先に帰ったところでそれを気にするような奴ではない。
「それにしても半端な時間だからか人が少ないな」
校庭や教室にはいるのだろうが廊下では1・2人すれちがった程度だ。
「静かだ……」
学校特有の静けさとでもいうんだろうか。普段騒がしいところが静かだと、物凄く静かなように感じる。
自分が独りのように感じるこの感じは嫌いじゃない。
「ま、それは此処だけの話で騒がしい場所は騒がしいんだろうけど」
体育館とか校庭、教室も場所によっては騒がしいか。
なら、とりあえず騒がしくなるまではこの感じを楽しんでおこう。これから毎日こう言った雰囲気があるかは分からないしな。
平成25年4月10日18:03
そうしていつの間にか玄関についたようだ……どうやって歩いてきたんだっけな?
ちなみに連絡はまだない。
「いないし帰るか」
携帯を見ながら靴を出して内履きを脱いで入れて、靴を履き歩き始める。
平成25年4月10日18:05
「6時5分か。帰ったら20分くらいだな……」
今日のことを親に報告しなくてはならない。部活の事と0時のこととかを。
「風呂入った後に出かけるのは面倒だな……」
かといって入らないと電気代が無駄だしなー……あぁ、やめだやめ。
「そう言えば今日親は少し遅いんだったか」
そうなると自分で風呂洗わないとか。後弁当も。面倒だな。
……いや、
「まぁ……何をどうするかは家についてから考えるか」
それが楽だ。どうせ風呂には入らんといけないし、その時考えればいいだろう。
「今は歩くことだけを考えよう……」
しかしそう言いつつも今は信号待ち。なんともうまくいかないものだ。
「此処の信号長いんだよなー……青信号の時間はあんなに短いっていうのに」
ただ立っているのも疲れる。
……こういう時間を過ごすのは車のナンバープレート見ているに限るな。
そうこうしているうちに数分数秒が経ち信号が青になったので歩き始める。
「ようやくか」
その時ポケットの携帯がメールの受信を知らせた。
歩きながら携帯を取りだし内容を確認する。
「……今終わったのか」
俺は横断歩道を渡りながら『信号を渡った』と返信をした。
「あとはあいつ次第だな」
平成25年4月10日18:08
……結果的にムロは追いついた。ただ疲労困憊だったが。まぁいくら体力馬鹿でもあの距離を全力疾走は無理だよな。人間100mも全力では走れないんだった気がする。
それにもう回復しているようだ……恐るべし体力馬鹿。
「バスケ部はもう練習があったのか?」
「おう。と言っても基礎的な練習だけだったし、来週いっぱいはこの時間に終わるみたいだぜ」
「お前としては物足りないんじゃないか?」
「まぁなー。あの程度じゃー俺は疲れないからな」
「お前の『あの程度』はあてにならないけどな」
体力馬鹿の「あの程度」があてになるはずないだろう。他人からしたらとんでもない可能性もあるわけで。
「で、そっちはどこに入ったんだ?」
「調査解決部」
「……ちょーさかいけつぶ?」
頭が悪そうな言い方をしているのはわざとなのだろうか?
それにしてもあの部活の説明を聞いていれば絶対に覚えているだろう事を覚えていないという事は、こいつは本当に説明会を聞いていなかったんだな。
……それか、そんなことも記憶できないほど馬鹿か。
「あぁ、砂の城を作った人が部長の部活だ」
その言葉で興味がわいたようだ。あぁ、面倒。
「それは面白そうだな! で、どうだった?」
さて、どう説明するか……どう説明すればいいんだろうか?
「……まだ最初だから何とも言えないが、滅茶苦茶だな」
「滅茶苦茶?」
「とりあえずはそんな感じだ。後はこれから活動をしてみてだな。どんな活動か知らないけど」
「知らないのかよっ」
そう言えば今日の集合は部外者OKだったな。力仕事だと言っていたし働き手を増やしておこう。
「あーでも、今日の0時に城の撤去をするらしい。部外者OKだと言っていたし暇なら来るか?」
「へー、やけに遅い時間なんだな」
「理由は聞いていないが、恐らく先生方に見つからないためじゃないか?」
「あ、なるほど。それはあり得るかもな」
適当に答えたんだが納得したならそれでいいか。実際は先生は関係ないと思うけど。
「で、来るのか?」
「もちろん行く行く。楽しそうだし、噂の吹田先輩にもあってみたいしな」
「そうか」
楽しそうだから、か。相変わらず単純思考な奴だ。
……まぁそこが楽で良いんだが。
「いつごろ家でる?」
「11時35分くらいで良いだろ。5分前にある程度余裕を持って着く感じで」
「りょーかい」
「寝るなよ?」
「大丈夫大丈夫」
「来なければ置いていくからな。念のため30分にでも目覚ましかけとけよ」
「心配性だなー」
「お前だからな。万が一があり得るだろうが」
昔、こいつが寝坊したせいで炎天下に2時間放置されたことを忘れはしない。ただ待っていた自分も馬鹿だったとは思うが。
「否定はできないけどさ」
そう言いながら携帯を操作している。これで来なかったらそれは知らん。
その後も俺たちは雑談をしながら帰った。
平成25年4月10日18:23
そうして互いに家につき、玄関の前まで行く。
「じゃ、また後で」
「あぁ寝るなよ」
「わかってるって」
そう言いながら俺たちはそれぞれの家のドアを開けて中に入――
「ん」
――ろうとしたが、鍵がかかっているようだ。
「まだ帰ってないのか……」
仕方ないので鞄から鍵を取りだして鍵を開け、鍵をしまってから玄関を開ける。
「ただいまー」
習慣になった言葉を言うが誰もいないことは、家の鍵を開けているので分かっている。幽霊とかでも居れば別だが、生憎そんなものは信じていない。
存在しないものを信じるのなんて面倒なだけだからな。
「さて、風呂掃除をしないと」
でもあのブラシ使いにくいんだよな……。
第01話 調査解決部 完。
本来ならここまでで00話の予定でした。
ただ00話から三部構成もどうかと思ったのでこのように区切らせていただきました。
それと袖森に妹はいますが、
出てくる予定はありません。
あと本棚の本の名前は適当です。
ですので問題があればすぐに変えます。
それでは次回は12話を書き終えたら載せます。
内容は撤去作業です。